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第148話 植物展5
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翌日、久しぶりに柔らかいベッドで眠ることのできた少年はすっきりとした表情で集合した。泣き腫らしたと思われる目は赤いが表情は昨日までとはまるで違う。リカルドには少年を1人泊めてやると言っておいたのだが、まさかのそういう趣味でもあるのではと思われた。ふざけおって…
「み、ミチナガ様…大丈夫ですか?」
「ん…大丈夫……眠い…」
昨日に引き続き俺は完全におねむ状態だ。なんとか会場入りすると再び隅の椅子に座って休む。少年も同じように椅子に座ったが、俺にかまわずに買い付けに行くように言うと販売はもう少し時間が経ってかららしい。それならとりあえずシェフに少年をもてなしておいてもらう。
それからしばらくしてようやく活動できるようになった俺はお茶を飲んでリフレッシュする。少年は近くの展示物を見てドルイドの眷属から解説されている。この少年には良い勉強になるようだ。あれ?そういえば昨日からずっとこの子の名前聞いてないや。
「なあ少年よ。俺はお前の名前まだ聞いてなかったよな?もしかしてだけど…名乗れないわけとかある?」
「あ、いえ…その…妾の子だから名前なんて名乗るなってずっと言われて…家名も恥さらしなんだから言うなって…」
おっと、こんな朝早くから地雷踏み抜いたぜ。めちゃくちゃやっちまったよ。しかしよっぽどな扱いを受けていたんだな。まあこの子の家名なんてどうでも良い。この子の名前だけ聞ければ十分だ。この子が話せる範囲で聞いておこう。
「えっと…名前はマクベスって言います。お母さんがつけてくれたんです。僕の…大事な名前なんです。お母さんが最後に残してくれた大事なものなんです。」
「あ…うん…そっか、改めてよろしくな。マクベス。いい名前じゃないか。」
マクベス、シェイクスピアの4大悲劇の一つの題名であり主人公の名前だ。正直聞いたときはなんとも…と思ったのだが、確かこれは元となる実在したマクベスっていう人もいたはずだ。そっちは悲劇じゃなかった…と思う。正直興味ないからよくわからんけど。
まあ物語のマクベスは悲劇で終わり、実在したマクベスは優秀だったという。さて、では異世界のマクベスは一体どんな人生を送るのかな?まあ悲劇にだけはならないように俺がなんとかしてやろう。ハッピーエンドのマクベスっていうのもなかなか面白いと思うぞ。
「お、そろそろ販売始まるんじゃないか?さて、買いに行くぞマクベス。」
「はい、ミチナガ様。」
「その様っていうのはやめてくれ。せめて…さんだな。いいか?さんだぞ。」
「わ、わかりました。ミチナガ…さん。」
なんともぎこちないが初めのうちはこんなものだろ。徐々に慣らしていこうじゃないか。俺が買い付けに行くと昨日のことを知っている客が俺の後をついてくる。俺はマクベスと一緒にどんどん買い付けをして行く。マクベスは途中からそんなに買わなくてもと言っていたが俺が楽しくなってきたから買っただけだ。ドルイドの眷属だってノリノリだぞ。
散々買い漁った俺は展示物をいくつか眺めてから昼食をとり、ゆったりと午後を過ごしてからホテルに戻った。リカルドたちはまだ忙しくやっているようなので夕食はマクベスと先に食べてしまった。やがてリカルドたちと共に使い魔たちも戻ってきた。さて、俺のお仕事はこれからだ。
「リカルドさん、明日の発表会のことなんですけど…ああ、主催者の方も、ちょっとご提案があるんですけどよろしいですか?」
「ん?昨日のことか?何か用意できそうなのか?」
「あ、そっちはまだなんとも…行けそうなら明日までになんとか伝えます。そうじゃなくて発表なんですけど…」
そこでいくつかの提案をすると興味を持ってくれたようで、逆に案をいくつか出された。しばらく話し合いをした後にいくつか決定したのでそれの準備に取り掛かる。最終日はなかなか忙しくなりそうだ。
「それでは、これより結果発表を始めます!」
翌日、時刻はすでに昼過ぎだ。すでに投票は済んでいる。集計もすでに終わっているらしい。そんなに早くどうやって集計したのかというと魔法とのことだ。投票を集計するための魔道具が開発されており、それを使うことで即時集計可能とのことだ。
そして結果発表の合図とともに壇上の壁に真っ白な幕が広がる。そしてすぐに映像が投影される。この映像は使い魔たちに展示されていたものを撮影しておいたものだ。映像とともに結果が発表されるというのは見ている観客を楽しませる演出となっている。
そしてどんどん発表されて行くが盛り上がりは寂しいものだ。ちょっとした歓声程度しか上がらない。なんというか仲間内でこいつ頑張ったなって感じの歓声だ。本当に盛り上がりにかけているな。そんな中すらすらと発表されていき、とうとう最優秀賞まで発表されてしまった。
「今年度の最優秀賞は…ルシュール辺境伯となります!おめでとうございます。」
まさかのルシュール辺境伯かよ。どんなものを展示していたかよく知らなかったのだが、画像として映し出されたものは複数の新品種を見るものを楽しませるように植えられた素晴らしいものだ。ルシュール辺境伯は壇上で表彰される。賞金ももらっているな。白金貨とは羨ましい。
「それではこれにて表彰式を終了…と例年ではなっていました。ですがとある方が今年は特別賞を設けてくれました。紹介しましょう。ミチナガ商会商会長、ミチナガ子爵です。」
ちょっとした拍手で迎え入れられた俺は壇上に上がり簡単に挨拶を済ませる。正直こいつ誰だと思っている人間の方が多いだろう。まあここで俺の知名度を少しでも上げておこう。
「さて、今回特別賞を設けましたがその受賞者は3名の方となりました。すぐに発表したい気持ちはあるのですが少し待っていただきたい。とりあえずこちらの映像をどうぞ。」
そう言って早速映像が切り替わり、とある一つの動画が流れ始める。そこは月明かりに照らされた一つの池が映し出された。その池には小さな島があり、そこには綺麗に花開く桜が映し出されていた。映像はそこから徐々に引いていき、全体図が映し出される。そこには酒を飲む一つの巨体があった。
その巨体が映し出された時、誰もが息を漏らした。名前だけは有名だが、出会うことは極々稀だ。しかし誰もがそれを見てすぐにわかった。ここにいる誰もが一度で良いから出会いたいと思う。やがて映像は動き出す。
『ドルイド・…師よ……お願いする…』
『ん?ああ、わかった。どれ…ほうほう……人の子もよくやるものだ。ではこの3つにしよう。中でもこれは実に良い。では頼んだぞ。』
映像は短くこれだけで終わってしまった。まああまりだらだらと長くする必要もない。再び映像は切り替わり、とある言葉が表示された。誰もがその言葉を疑う。そんなことがあり得るのかと。だから俺は声に出して言ってやる。
「それではこれから森の大精霊賞の発表を行います!まずは優秀賞の2名から!」
「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
熱気は最高潮だ。一体何事かと会場にいなかった人間も集まってきた。誰もが祈るように願っている。先ほどの最優秀賞の時なんかとまるで違う。映像は切り替わり続け、やがて一つの映像で止まる。会場の一箇所から悲鳴のような歓声が上がると俺は受賞者の名前を告げた。
それをもう一名発表したところでとりあえずその2名には壇上に上がってもらう。上がってきた2人はもうウキウキといった感じだ。他のどんな賞よりも嬉しいのだろう。とりあえず上がってきた2人に賞品を受けわたす。
「おめでとうございます。お二人にはとあるものを差し上げます。授与するのは森の大精霊の弟子、ドルイドです。」
『ドルイド・…おめでとう……』
「こ、これはまさか!だ、大精霊様の苔玉!す、すごい…ほ、本物だぁぁ!!いやったぁぁぁ!」
「す、すごいぞ!うおぉぉぉぉ!!」
受賞した2人はあまりの嬉しさに雄叫びをあげている。観客もその雄叫びに感化され雄叫びをあげている。少し待ち、落ち着いたところで先ほどの苔玉よりもさらに大きな苔玉を取り出した。その瞬間、雄叫びはピタリと止んだ。
「さて、残るは最後です。先ほどの苔玉よりも大きなこの大苔玉を得る最優秀賞の発表を行います。」
俺にも緊張感が伝わってくる。息を飲む音さえ聞こえてきそうだ。再び映像が切り替わっていく。やがてその映像は一つの画像で止まる。この画像は先ほども見た映像だ。
「最優秀賞はルシュール辺境伯!おめでとうございます!」
「よし!!」
突如上がった声に俺は驚いてしまった。まさかルシュール辺境伯があんな声を出すとは思わなかったのだ。ルシュール辺境伯もハッと我に帰り、一つ咳払いをしてから壇上に上がってきた。俺と目が合うと少し恥ずかしそうな表情をしている。
「ルシュール辺境伯、最優秀賞おめでとうございます。こちらをどうぞ。」
「ありがとうございます。しかし…これは今までもらったどの賞よりも嬉しいですね。これは今年度限りですか?」
「いえ、この賞はこれから毎年の恒例にしたいと思います。すでに森の大精霊様からも許可はいただいております。ですが選ぶのは森の大精霊様です。来年は受賞なし…なんてことになるかもしれませんし、10名受賞するかもしれません。私のミチナガ商会がスポンサーをしている間はずっと続けます。来年度は…さらに多くの出展を期待しております。」
再び歓声が上がる。盛り上がりは最高潮だ。主催者の方も大喜びだ。こんな盛り上がりは人生初めてだという。これからは毎年この盛り上がりができるはずだ。それを伝えると何やら考え込んでしまった。
「それでは…会場の増設もしなければなりませんね。ミチナガ様、出資してはいただけませんか?そうすれば大々的にミチナガ商会の宣伝もできます。」
「そうですね…まあこれだけ大きなイベントですからね。その価値はあるでしょう。じゃあ後でそこら辺の話もできますか?」
まさかの出資の話になるとは。今までどちらかというと出資される方だったからな。まあナイトのおかげもあってお金は結構ゆとりがある。これだけ大きなイベントに出資して宣伝できるのならこの機会は逃すわけにはいかないだろう。
「み、ミチナガ様…大丈夫ですか?」
「ん…大丈夫……眠い…」
昨日に引き続き俺は完全におねむ状態だ。なんとか会場入りすると再び隅の椅子に座って休む。少年も同じように椅子に座ったが、俺にかまわずに買い付けに行くように言うと販売はもう少し時間が経ってかららしい。それならとりあえずシェフに少年をもてなしておいてもらう。
それからしばらくしてようやく活動できるようになった俺はお茶を飲んでリフレッシュする。少年は近くの展示物を見てドルイドの眷属から解説されている。この少年には良い勉強になるようだ。あれ?そういえば昨日からずっとこの子の名前聞いてないや。
「なあ少年よ。俺はお前の名前まだ聞いてなかったよな?もしかしてだけど…名乗れないわけとかある?」
「あ、いえ…その…妾の子だから名前なんて名乗るなってずっと言われて…家名も恥さらしなんだから言うなって…」
おっと、こんな朝早くから地雷踏み抜いたぜ。めちゃくちゃやっちまったよ。しかしよっぽどな扱いを受けていたんだな。まあこの子の家名なんてどうでも良い。この子の名前だけ聞ければ十分だ。この子が話せる範囲で聞いておこう。
「えっと…名前はマクベスって言います。お母さんがつけてくれたんです。僕の…大事な名前なんです。お母さんが最後に残してくれた大事なものなんです。」
「あ…うん…そっか、改めてよろしくな。マクベス。いい名前じゃないか。」
マクベス、シェイクスピアの4大悲劇の一つの題名であり主人公の名前だ。正直聞いたときはなんとも…と思ったのだが、確かこれは元となる実在したマクベスっていう人もいたはずだ。そっちは悲劇じゃなかった…と思う。正直興味ないからよくわからんけど。
まあ物語のマクベスは悲劇で終わり、実在したマクベスは優秀だったという。さて、では異世界のマクベスは一体どんな人生を送るのかな?まあ悲劇にだけはならないように俺がなんとかしてやろう。ハッピーエンドのマクベスっていうのもなかなか面白いと思うぞ。
「お、そろそろ販売始まるんじゃないか?さて、買いに行くぞマクベス。」
「はい、ミチナガ様。」
「その様っていうのはやめてくれ。せめて…さんだな。いいか?さんだぞ。」
「わ、わかりました。ミチナガ…さん。」
なんともぎこちないが初めのうちはこんなものだろ。徐々に慣らしていこうじゃないか。俺が買い付けに行くと昨日のことを知っている客が俺の後をついてくる。俺はマクベスと一緒にどんどん買い付けをして行く。マクベスは途中からそんなに買わなくてもと言っていたが俺が楽しくなってきたから買っただけだ。ドルイドの眷属だってノリノリだぞ。
散々買い漁った俺は展示物をいくつか眺めてから昼食をとり、ゆったりと午後を過ごしてからホテルに戻った。リカルドたちはまだ忙しくやっているようなので夕食はマクベスと先に食べてしまった。やがてリカルドたちと共に使い魔たちも戻ってきた。さて、俺のお仕事はこれからだ。
「リカルドさん、明日の発表会のことなんですけど…ああ、主催者の方も、ちょっとご提案があるんですけどよろしいですか?」
「ん?昨日のことか?何か用意できそうなのか?」
「あ、そっちはまだなんとも…行けそうなら明日までになんとか伝えます。そうじゃなくて発表なんですけど…」
そこでいくつかの提案をすると興味を持ってくれたようで、逆に案をいくつか出された。しばらく話し合いをした後にいくつか決定したのでそれの準備に取り掛かる。最終日はなかなか忙しくなりそうだ。
「それでは、これより結果発表を始めます!」
翌日、時刻はすでに昼過ぎだ。すでに投票は済んでいる。集計もすでに終わっているらしい。そんなに早くどうやって集計したのかというと魔法とのことだ。投票を集計するための魔道具が開発されており、それを使うことで即時集計可能とのことだ。
そして結果発表の合図とともに壇上の壁に真っ白な幕が広がる。そしてすぐに映像が投影される。この映像は使い魔たちに展示されていたものを撮影しておいたものだ。映像とともに結果が発表されるというのは見ている観客を楽しませる演出となっている。
そしてどんどん発表されて行くが盛り上がりは寂しいものだ。ちょっとした歓声程度しか上がらない。なんというか仲間内でこいつ頑張ったなって感じの歓声だ。本当に盛り上がりにかけているな。そんな中すらすらと発表されていき、とうとう最優秀賞まで発表されてしまった。
「今年度の最優秀賞は…ルシュール辺境伯となります!おめでとうございます。」
まさかのルシュール辺境伯かよ。どんなものを展示していたかよく知らなかったのだが、画像として映し出されたものは複数の新品種を見るものを楽しませるように植えられた素晴らしいものだ。ルシュール辺境伯は壇上で表彰される。賞金ももらっているな。白金貨とは羨ましい。
「それではこれにて表彰式を終了…と例年ではなっていました。ですがとある方が今年は特別賞を設けてくれました。紹介しましょう。ミチナガ商会商会長、ミチナガ子爵です。」
ちょっとした拍手で迎え入れられた俺は壇上に上がり簡単に挨拶を済ませる。正直こいつ誰だと思っている人間の方が多いだろう。まあここで俺の知名度を少しでも上げておこう。
「さて、今回特別賞を設けましたがその受賞者は3名の方となりました。すぐに発表したい気持ちはあるのですが少し待っていただきたい。とりあえずこちらの映像をどうぞ。」
そう言って早速映像が切り替わり、とある一つの動画が流れ始める。そこは月明かりに照らされた一つの池が映し出された。その池には小さな島があり、そこには綺麗に花開く桜が映し出されていた。映像はそこから徐々に引いていき、全体図が映し出される。そこには酒を飲む一つの巨体があった。
その巨体が映し出された時、誰もが息を漏らした。名前だけは有名だが、出会うことは極々稀だ。しかし誰もがそれを見てすぐにわかった。ここにいる誰もが一度で良いから出会いたいと思う。やがて映像は動き出す。
『ドルイド・…師よ……お願いする…』
『ん?ああ、わかった。どれ…ほうほう……人の子もよくやるものだ。ではこの3つにしよう。中でもこれは実に良い。では頼んだぞ。』
映像は短くこれだけで終わってしまった。まああまりだらだらと長くする必要もない。再び映像は切り替わり、とある言葉が表示された。誰もがその言葉を疑う。そんなことがあり得るのかと。だから俺は声に出して言ってやる。
「それではこれから森の大精霊賞の発表を行います!まずは優秀賞の2名から!」
「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
熱気は最高潮だ。一体何事かと会場にいなかった人間も集まってきた。誰もが祈るように願っている。先ほどの最優秀賞の時なんかとまるで違う。映像は切り替わり続け、やがて一つの映像で止まる。会場の一箇所から悲鳴のような歓声が上がると俺は受賞者の名前を告げた。
それをもう一名発表したところでとりあえずその2名には壇上に上がってもらう。上がってきた2人はもうウキウキといった感じだ。他のどんな賞よりも嬉しいのだろう。とりあえず上がってきた2人に賞品を受けわたす。
「おめでとうございます。お二人にはとあるものを差し上げます。授与するのは森の大精霊の弟子、ドルイドです。」
『ドルイド・…おめでとう……』
「こ、これはまさか!だ、大精霊様の苔玉!す、すごい…ほ、本物だぁぁ!!いやったぁぁぁ!」
「す、すごいぞ!うおぉぉぉぉ!!」
受賞した2人はあまりの嬉しさに雄叫びをあげている。観客もその雄叫びに感化され雄叫びをあげている。少し待ち、落ち着いたところで先ほどの苔玉よりもさらに大きな苔玉を取り出した。その瞬間、雄叫びはピタリと止んだ。
「さて、残るは最後です。先ほどの苔玉よりも大きなこの大苔玉を得る最優秀賞の発表を行います。」
俺にも緊張感が伝わってくる。息を飲む音さえ聞こえてきそうだ。再び映像が切り替わっていく。やがてその映像は一つの画像で止まる。この画像は先ほども見た映像だ。
「最優秀賞はルシュール辺境伯!おめでとうございます!」
「よし!!」
突如上がった声に俺は驚いてしまった。まさかルシュール辺境伯があんな声を出すとは思わなかったのだ。ルシュール辺境伯もハッと我に帰り、一つ咳払いをしてから壇上に上がってきた。俺と目が合うと少し恥ずかしそうな表情をしている。
「ルシュール辺境伯、最優秀賞おめでとうございます。こちらをどうぞ。」
「ありがとうございます。しかし…これは今までもらったどの賞よりも嬉しいですね。これは今年度限りですか?」
「いえ、この賞はこれから毎年の恒例にしたいと思います。すでに森の大精霊様からも許可はいただいております。ですが選ぶのは森の大精霊様です。来年は受賞なし…なんてことになるかもしれませんし、10名受賞するかもしれません。私のミチナガ商会がスポンサーをしている間はずっと続けます。来年度は…さらに多くの出展を期待しております。」
再び歓声が上がる。盛り上がりは最高潮だ。主催者の方も大喜びだ。こんな盛り上がりは人生初めてだという。これからは毎年この盛り上がりができるはずだ。それを伝えると何やら考え込んでしまった。
「それでは…会場の増設もしなければなりませんね。ミチナガ様、出資してはいただけませんか?そうすれば大々的にミチナガ商会の宣伝もできます。」
「そうですね…まあこれだけ大きなイベントですからね。その価値はあるでしょう。じゃあ後でそこら辺の話もできますか?」
まさかの出資の話になるとは。今までどちらかというと出資される方だったからな。まあナイトのおかげもあってお金は結構ゆとりがある。これだけ大きなイベントに出資して宣伝できるのならこの機会は逃すわけにはいかないだろう。
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