368 / 564
第367話 もしかして怖い話?
しおりを挟む
「妹がご迷惑をおかけしました!」
「いやいや、もう何度も頭を下げなくていいですから」
私は妹のエルと共に姉であるモリンに対して、そう言葉を掛けた。
トウマも似たような言葉を掛けていた。
「本当にすいませんでした。こんな事までして下さって、感謝しかありません」
「お姉ちゃん、そこまで謝らなくてもいいって言ってるよ二人とも」
「エルは黙っていて。もう、姿が見えなくて驚いたんだからね」
「うっ……それは」
「本当に心配したんだから、もう勝手に何処かに行かないでよねエル」
モリンはその場で膝をついてエルに優しく抱き着くのだった。
エルもモリンがどれだけ心配していたのか、悪い事をしたのかを理解し、ギュッとモリンに抱き着いて「ごめんなさいお姉ちゃん」と口にするのだった。
その光景を見て、私とトウマはひとまずこれで一段落したと思い安堵の息をついた。
「これで当初の作戦は達成だな。良かった、良かった」
「そうだな。エルがお姉ちゃんのモリンさんを見つけてくれなかったら、まだ時間がかかってだろうな」
モリンさんもエルを探し回っていたのかな?
私がそんな事を思っていると、モリンがエルと手を繋いだまま立ち上がった。
「トウマさん、クリスさん、この度は本当にありがとうございました」
「そんなに気にしないで下さい。俺たちは、ってより俺はほとんど何も出来てないですし。最後もエルがモリンさんを見つけてくれたから、出会えた訳ですし」
「いえいえ、トウマさんたちがエルを出会って親切にして下さっていなければ、出会えていませんよ」
モリンは私たちに笑顔で感謝を口にした。
「そう言えば、モリンさんがエルに持たせていたメモ書きの場所に、他のチームが行っているですが会いましたか?」
「いえ、今日はお店をお休みさせてエルを探していたので、その場所には行ってないです」
「そうだったんですか」
「もしかして、彼らがお店を訪ねて私やエルの事を訊いているかもしれませんが、店長は口が堅い人なので何も分からない状態かもしれないです。すいません」
「謝らないで下さい。見ず知らずの人にそう簡単に情報を教えないのは普通ですよ」
その後私たちは、モリンとエルと軽く話した後、そこで別れる事にした。
エルをお姉ちゃんであるモリンの元へ届けると言う目的も達成したので、後はルークやフェルト、ピース、ガードルにそれ伝えて皆にも無事に送り届けた事を伝えなければいけないと思ったからである。
「それでは、このお礼はまたいずれ」
「バイバイ~トウマ! クリス!」
「バイバイ、エル。今度は一人でどっかに行くなよ」
「またね~」
そうして私とトウマは二人と別れて、ルークを探し始めた。
とりあえず私とルークが別れた位置まで戻って来て、トウマとルークを探したがやはりそこには居ないのか見つける事も、通信用魔道具も反応がなかった。
「ルークはいないか。どうするクリス? ここでルークを待つか? それとも探しに行くか? それか、フェルトやピースたちの元に行くか?」
「うーん……もしかしたらルークもここに戻って来るかもしれないから、もう少しここで待っていいか」
「了解。あー何だ、寒くないか? 大丈夫か?」
「大丈夫だけど、どうしたの急に?」
「いやな、その、待つなら飲み物でも買ってこようかと思ってな。クリスもいるか?」
「ありがとうトウマ。それじゃ、お願いしてもいいか」
私の言葉にトウマは「任せておけ」と軽く胸を叩いた後、飲み物を買いに離れて行った。
そのまま私は、待っている時間をただ無駄に過ごすんではなく通信用魔道具を使い、ルークに呼びかけ続けた。
だが返事はなかったので、一度呼びかけるのを止めた。
「はぁー、どこ行ったんだルークの奴」
私は近くで大道芸している者を見ながらため息をつき、少し前のトウマの言葉の事について思い返した。
さっきはエルが偶然お姉ちゃんのモリンさんを見つけてうやむやになったけど、よくよく考えると告白紛いの事をされたんだよな私。
たぶんトウマもそれを分かっていたし、偶然うやむやになったから何事もなかった様にさっきは接していたけど、どう思っているんだろ? 今飲み物を買いに行ったのも、気まずくならない為にした事なのかな?
私はそんな風に考え事をしていると、通信用魔道具から声が聞こえていた事に気付き直ぐに耳を傾けと、聞こえて来た声はルークであった。
『クリス? クリス、聞こえているか?』
「ルーク。聞こえているぞ、今何処に居るんだ?」
『今別れた場所に、フェルトとピース、それにガードルと共に向かってる?』
「え? フェルトたちと合流してたのか?」
『いや、偶然エルを探している時に会ったんだ。それよりも、話したい事があるんだ。お前は何処に居るんだ?』
「俺もルークを探すために別れた所にもういるぞ。それにトウマとも合流して一緒だ。後、エルに関してだけどエルは見つけて、その後偶然お姉ちゃんを見つけたぞ」
『なっ!? そ、それは本当か? それで二人は?』
ん? 何か変に驚いてる? それとも連絡が遅れて怒ってるのか?
「え、二人とはもう別れたけど。どうしたの? 通信用魔道具で直ぐに伝えようとしたけど、離れ過ぎたのか全然反応なかったから遅れたのは謝るけど」
『……いや、分かった。細かい話は直接しよう。それじゃ一度切るぞ』
「分かった」
そうやってルークとの連絡は終わり、私はとりあえずルークたちの到着を待った。
「えっ……ごめん、もう一回話してもらっていい、ルーク」
私はルークたちの話が一度では理解出来ずにもう一度話してもらう様にお願いした。
ルークは素直に受け入れてくれ、もう一度話しをしてくれた。
その内容は、信じがたい物であった。
先程まで一緒にいたエルとモリンと言う人物は、25年以上も前の人物であり既にここ王都には存在しない人物だったのだ。
フェルトとピースがエルの持っていたメモ書きの場所は、確かに存在はしていたが既に廃業となった飲食店であった。
その店は25年前は人気店であり、看板娘のエルとモリンは周辺では知らない人はいなかったのだ。
だが、それから王国転覆事件前に危険を察知したのか店主共に一度王都を離れてしまい、それ以降誰も居ない店となっていたらしい。
フェルトたちは偶然その店に昔通っていた人からその話を聞いたのと、写真を見せてもらいそこにエルとモリンと思われる人物が映っているのも確認していた。
エルは学院で見た時と容姿が全く変わっていなかった為、フェルトとピースは驚いたと口にしそこにガードルも合流しそれを見て驚いた話してくれた。
それからフェルトたちは、その事をルークに伝えようと通信用魔道具で連絡をとりつつ移動していたら、偶然ルークと出会い話をしてから今に至ると話してくれた。
「え~と、つまり俺たちは存在しないはずの人たちと会話してたのか?」
「言い切れはしないが、そう言う事になる」
「で、でもエルにも触れたし、変な所は何もなかったぞ」
「だから真実とは限らないが、そういう可能性が高いと言うだけだ」
「……マジかよ」
トウマはその場で気が抜けてしまう。
そして私たちは暫く無言になってしまう。
するとフェルトが口を開いた。
「と、とりあえず、何であろうと解決はしたんだしここはパーッと何か食いに行こうぜ。ピース、何かいい店ないのか?」
「え、あ、え~と、ここからだと」
「そうだな、フェルトの言う通りエルはその姉とも会えたのだから、一件落着でいいだろ。分からない事は考えなくでもたまにはいいだろ」
「そ、そうだなよ! いい事言うぜガードル!」
「まぁ、特に変な事も起きてないしフェルトの提案に乗るか」
と、皆が前向きに盛り上がっていたので私も深い事は考えずに、今はそのテンションに合わせる事にした。
だけども、心の中では「ちょっと、怖いかも」と思っていたのは内緒である。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――とある裏路地に、エルとモリンの姿はあった。
「はぁ~ここまで来れば、もう大丈夫でしょ」
「迎えに来てくれてありがとう、モリンお姉ちゃん!」
「いやいや、もういいですってそれ」
「ん? 何の事を言ってるのか私分からないよ、モリンお姉ちゃん」
「もう辞めてくださいよ、師匠! 私が辛いですから!」
するとエルは小さくため息をつくと、両手を組んだ。
「……はぁ~もう少しやっていたかったがな。後、結構似合ってるぞ、モーガン」
「それだけは言わないでください、師匠……」
モーガンはそう口にすると、モリンの姿を解きいつもモーガンの姿へと戻る。
そしてエルも一度指を鳴らすと、その直後変身魔法が解かれいつもの姿へと戻るのだった。
「にしても、まさかあんな事態になるとはね~参った、参った。あははは」
「笑い事じゃないですよ。朝起きてから手紙見て、直ぐに指示された通りに変身魔法を使って来たのに、師匠がいないわ、来るのはフェルトたちで焦ったんですからね!」
「悪かったよ。ちょっと学院に忍び込んで、寮に入り込んで手紙を置いたまでは良かったが、軽くフラフラして帰ろうとした時にトウマに見つかってね。そのまま逃げようかとも思ったけど、寮には他にどんな奴がいるのか気になってね」
そう口にしてリリエルは笑うが、モーガンはため息をつく。
「いや~実に楽しかったし、モーガンも問題なく変身魔法を使えていて師匠としては鼻が高いぞ」
「変身魔法は苦手で何とか保っていたに過ぎないですよ。それにあの設定は何なんですか? 年の離れた姉妹って」
「あれか? あれは私が昔学院で教員をしていた時に、よく昼食を食べに行っていた店屋の看板娘たちだよ。ちょっと顔見知りだったんで、変身で使わせてもらったのさ」
「もし本人たちがいたらどうしたんですか?」
「それは大丈夫。彼女たちは今は別の地で、新しく飲食店をしているからね。それよりも、お前が送って来た手紙の本題に入ろうか」
「……はぁ~他にも言いたい事はありますけど、分かりました。今日はそれが目的ですし」
そうしてモーガンは以前リリエルに送った手紙の内容について、話始めるのだった。
「いやいや、もう何度も頭を下げなくていいですから」
私は妹のエルと共に姉であるモリンに対して、そう言葉を掛けた。
トウマも似たような言葉を掛けていた。
「本当にすいませんでした。こんな事までして下さって、感謝しかありません」
「お姉ちゃん、そこまで謝らなくてもいいって言ってるよ二人とも」
「エルは黙っていて。もう、姿が見えなくて驚いたんだからね」
「うっ……それは」
「本当に心配したんだから、もう勝手に何処かに行かないでよねエル」
モリンはその場で膝をついてエルに優しく抱き着くのだった。
エルもモリンがどれだけ心配していたのか、悪い事をしたのかを理解し、ギュッとモリンに抱き着いて「ごめんなさいお姉ちゃん」と口にするのだった。
その光景を見て、私とトウマはひとまずこれで一段落したと思い安堵の息をついた。
「これで当初の作戦は達成だな。良かった、良かった」
「そうだな。エルがお姉ちゃんのモリンさんを見つけてくれなかったら、まだ時間がかかってだろうな」
モリンさんもエルを探し回っていたのかな?
私がそんな事を思っていると、モリンがエルと手を繋いだまま立ち上がった。
「トウマさん、クリスさん、この度は本当にありがとうございました」
「そんなに気にしないで下さい。俺たちは、ってより俺はほとんど何も出来てないですし。最後もエルがモリンさんを見つけてくれたから、出会えた訳ですし」
「いえいえ、トウマさんたちがエルを出会って親切にして下さっていなければ、出会えていませんよ」
モリンは私たちに笑顔で感謝を口にした。
「そう言えば、モリンさんがエルに持たせていたメモ書きの場所に、他のチームが行っているですが会いましたか?」
「いえ、今日はお店をお休みさせてエルを探していたので、その場所には行ってないです」
「そうだったんですか」
「もしかして、彼らがお店を訪ねて私やエルの事を訊いているかもしれませんが、店長は口が堅い人なので何も分からない状態かもしれないです。すいません」
「謝らないで下さい。見ず知らずの人にそう簡単に情報を教えないのは普通ですよ」
その後私たちは、モリンとエルと軽く話した後、そこで別れる事にした。
エルをお姉ちゃんであるモリンの元へ届けると言う目的も達成したので、後はルークやフェルト、ピース、ガードルにそれ伝えて皆にも無事に送り届けた事を伝えなければいけないと思ったからである。
「それでは、このお礼はまたいずれ」
「バイバイ~トウマ! クリス!」
「バイバイ、エル。今度は一人でどっかに行くなよ」
「またね~」
そうして私とトウマは二人と別れて、ルークを探し始めた。
とりあえず私とルークが別れた位置まで戻って来て、トウマとルークを探したがやはりそこには居ないのか見つける事も、通信用魔道具も反応がなかった。
「ルークはいないか。どうするクリス? ここでルークを待つか? それとも探しに行くか? それか、フェルトやピースたちの元に行くか?」
「うーん……もしかしたらルークもここに戻って来るかもしれないから、もう少しここで待っていいか」
「了解。あー何だ、寒くないか? 大丈夫か?」
「大丈夫だけど、どうしたの急に?」
「いやな、その、待つなら飲み物でも買ってこようかと思ってな。クリスもいるか?」
「ありがとうトウマ。それじゃ、お願いしてもいいか」
私の言葉にトウマは「任せておけ」と軽く胸を叩いた後、飲み物を買いに離れて行った。
そのまま私は、待っている時間をただ無駄に過ごすんではなく通信用魔道具を使い、ルークに呼びかけ続けた。
だが返事はなかったので、一度呼びかけるのを止めた。
「はぁー、どこ行ったんだルークの奴」
私は近くで大道芸している者を見ながらため息をつき、少し前のトウマの言葉の事について思い返した。
さっきはエルが偶然お姉ちゃんのモリンさんを見つけてうやむやになったけど、よくよく考えると告白紛いの事をされたんだよな私。
たぶんトウマもそれを分かっていたし、偶然うやむやになったから何事もなかった様にさっきは接していたけど、どう思っているんだろ? 今飲み物を買いに行ったのも、気まずくならない為にした事なのかな?
私はそんな風に考え事をしていると、通信用魔道具から声が聞こえていた事に気付き直ぐに耳を傾けと、聞こえて来た声はルークであった。
『クリス? クリス、聞こえているか?』
「ルーク。聞こえているぞ、今何処に居るんだ?」
『今別れた場所に、フェルトとピース、それにガードルと共に向かってる?』
「え? フェルトたちと合流してたのか?」
『いや、偶然エルを探している時に会ったんだ。それよりも、話したい事があるんだ。お前は何処に居るんだ?』
「俺もルークを探すために別れた所にもういるぞ。それにトウマとも合流して一緒だ。後、エルに関してだけどエルは見つけて、その後偶然お姉ちゃんを見つけたぞ」
『なっ!? そ、それは本当か? それで二人は?』
ん? 何か変に驚いてる? それとも連絡が遅れて怒ってるのか?
「え、二人とはもう別れたけど。どうしたの? 通信用魔道具で直ぐに伝えようとしたけど、離れ過ぎたのか全然反応なかったから遅れたのは謝るけど」
『……いや、分かった。細かい話は直接しよう。それじゃ一度切るぞ』
「分かった」
そうやってルークとの連絡は終わり、私はとりあえずルークたちの到着を待った。
「えっ……ごめん、もう一回話してもらっていい、ルーク」
私はルークたちの話が一度では理解出来ずにもう一度話してもらう様にお願いした。
ルークは素直に受け入れてくれ、もう一度話しをしてくれた。
その内容は、信じがたい物であった。
先程まで一緒にいたエルとモリンと言う人物は、25年以上も前の人物であり既にここ王都には存在しない人物だったのだ。
フェルトとピースがエルの持っていたメモ書きの場所は、確かに存在はしていたが既に廃業となった飲食店であった。
その店は25年前は人気店であり、看板娘のエルとモリンは周辺では知らない人はいなかったのだ。
だが、それから王国転覆事件前に危険を察知したのか店主共に一度王都を離れてしまい、それ以降誰も居ない店となっていたらしい。
フェルトたちは偶然その店に昔通っていた人からその話を聞いたのと、写真を見せてもらいそこにエルとモリンと思われる人物が映っているのも確認していた。
エルは学院で見た時と容姿が全く変わっていなかった為、フェルトとピースは驚いたと口にしそこにガードルも合流しそれを見て驚いた話してくれた。
それからフェルトたちは、その事をルークに伝えようと通信用魔道具で連絡をとりつつ移動していたら、偶然ルークと出会い話をしてから今に至ると話してくれた。
「え~と、つまり俺たちは存在しないはずの人たちと会話してたのか?」
「言い切れはしないが、そう言う事になる」
「で、でもエルにも触れたし、変な所は何もなかったぞ」
「だから真実とは限らないが、そういう可能性が高いと言うだけだ」
「……マジかよ」
トウマはその場で気が抜けてしまう。
そして私たちは暫く無言になってしまう。
するとフェルトが口を開いた。
「と、とりあえず、何であろうと解決はしたんだしここはパーッと何か食いに行こうぜ。ピース、何かいい店ないのか?」
「え、あ、え~と、ここからだと」
「そうだな、フェルトの言う通りエルはその姉とも会えたのだから、一件落着でいいだろ。分からない事は考えなくでもたまにはいいだろ」
「そ、そうだなよ! いい事言うぜガードル!」
「まぁ、特に変な事も起きてないしフェルトの提案に乗るか」
と、皆が前向きに盛り上がっていたので私も深い事は考えずに、今はそのテンションに合わせる事にした。
だけども、心の中では「ちょっと、怖いかも」と思っていたのは内緒である。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――とある裏路地に、エルとモリンの姿はあった。
「はぁ~ここまで来れば、もう大丈夫でしょ」
「迎えに来てくれてありがとう、モリンお姉ちゃん!」
「いやいや、もういいですってそれ」
「ん? 何の事を言ってるのか私分からないよ、モリンお姉ちゃん」
「もう辞めてくださいよ、師匠! 私が辛いですから!」
するとエルは小さくため息をつくと、両手を組んだ。
「……はぁ~もう少しやっていたかったがな。後、結構似合ってるぞ、モーガン」
「それだけは言わないでください、師匠……」
モーガンはそう口にすると、モリンの姿を解きいつもモーガンの姿へと戻る。
そしてエルも一度指を鳴らすと、その直後変身魔法が解かれいつもの姿へと戻るのだった。
「にしても、まさかあんな事態になるとはね~参った、参った。あははは」
「笑い事じゃないですよ。朝起きてから手紙見て、直ぐに指示された通りに変身魔法を使って来たのに、師匠がいないわ、来るのはフェルトたちで焦ったんですからね!」
「悪かったよ。ちょっと学院に忍び込んで、寮に入り込んで手紙を置いたまでは良かったが、軽くフラフラして帰ろうとした時にトウマに見つかってね。そのまま逃げようかとも思ったけど、寮には他にどんな奴がいるのか気になってね」
そう口にしてリリエルは笑うが、モーガンはため息をつく。
「いや~実に楽しかったし、モーガンも問題なく変身魔法を使えていて師匠としては鼻が高いぞ」
「変身魔法は苦手で何とか保っていたに過ぎないですよ。それにあの設定は何なんですか? 年の離れた姉妹って」
「あれか? あれは私が昔学院で教員をしていた時に、よく昼食を食べに行っていた店屋の看板娘たちだよ。ちょっと顔見知りだったんで、変身で使わせてもらったのさ」
「もし本人たちがいたらどうしたんですか?」
「それは大丈夫。彼女たちは今は別の地で、新しく飲食店をしているからね。それよりも、お前が送って来た手紙の本題に入ろうか」
「……はぁ~他にも言いたい事はありますけど、分かりました。今日はそれが目的ですし」
そうしてモーガンは以前リリエルに送った手紙の内容について、話始めるのだった。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
暁にもう一度
伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。
ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。
ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。
けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。
『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。
小金井は八王子に恋してる
まさみ
BL
秋葉の路上でザクを壊され悲嘆に暮れるニート青年・八王子 東。彼をオタク狩りから救ったのは見るからに軽薄でナンパな青年・小金井リュウ。
「へー八王子っていうんだ。ヘンな名前。これもらっとくね」
免許証をとりあげた上助けた恩に着せアパートに転がりこんできた小金井と、人の目をまともに見れない卑屈で対人恐怖症気味の八王子のぬるーい東京近郊同居ライフ。
同居/モラトリアム/日常/ライト/コメディ
表紙:いぬいぬのふわ様
私がヒロイン? いいえ、攻略されない攻略対象です
きゃる
恋愛
「今日からお前は紫記だ」
幼なじみの紅輝からその言葉を聞かされた時、私は突然気づいてしまった。
ここが『虹色奇想曲~にじいろカプリチオ~』という乙女ゲームの世界であることを――。それは、虹のどれか一色の名前を持つ七人のイケメン攻略者との恋を楽しむゲームで、ハッピーエンドとノーマルエンドしかない平和なストーリーが特徴だ。
けれど私が転生したのはヒロインではなく、悪役でもない。女の子なのに、なぜか攻略対象の一人である紫記(しき)。その名前で男装して、三兄弟のお目付け役として学園に通う羽目になってしまった。手のかかる幼なじみ達から解放されるためには、ヒロインの恋を応援するしかない! そう思って頑張っているけれど、なかなか思い通りにいかなくて……
*タイトル変更しました。
*実在の人物や団体には一切関わりありません……あったらすごい。
ウォルヴァンシアの王兄姫~淡き蕾は愛しき人の想いと共に花ひらく~
古都助(幸織)
恋愛
父親の故郷、異世界エリュセードに移住した幸希(ゆき)。
狼王族の国、ウォルヴァンシアで始まる新しい日常……。
心優しい真面目な騎士様や、捻くれているけれど不器用な優しさをもつ竜の皇子様、
ドSで意地悪な王宮医師様や王宮の個性的な面々に囲まれながら、幸希は様々な人々と巡り会っていく。
幸希の中に封じられた、異世界での記憶と魔力……、そして。
――異世界・エリュセードを呑み込んでいく不穏を前に、
幸希は試練と戦いの世界へと巻き込まれていく事になる。
※2018・11・25
第一章・プロローグ改稿。
※『Side』の主人公表記があるものは、別キャラ視点から主人公視点に戻る時のみに記載します。
(また、基本的に話の最初に『Side』表記がない場合は、全て主人公視点となっております。
稀に『不穏なる者達の嘲笑』とつくタイトルの場合、三人称視点の場合もございますので、ご了承ください)
※個別ルートあり(アレクディース・カイン・ルイヴェル)
※小説家になろう&カクヨムでも、同じものを連載しています。
※表紙サムネは、お友達の蒼鷲さんから頂いたイラストを使用させて頂いています。(感謝!)
獣人騎士団長の愛は、重くて甘い
こむぎダック
恋愛
BL世界にやって来た神の愛し子は、世界初の女性だった。
獣人騎士団長アレクは、異界からやって来た愛し子のレンが自分の番だと分かり、レンを溺愛する。神の愛し子を利用しようと暗躍する神官達や、レンに群がる有象無象を蹴散らして、2人は無事に結ばれる事が出来るのか。
R18 性的・暴力的な描写のある回には*
【完結】私は薬売り(男)として生きていくことにしました
雫まりも
恋愛
第三王子ウィリアムの婚約者候補の1人、エリザベートは“クソデブ”という彼の心無い言葉で振られ、自決を決意する。しかし、屋敷を飛び出し入った森で魔獣に襲われたところを助けられて生き延びてしまう。……それから10年後、彼女は訳あって薬売り(男)として旅をしていた。そんな旅のさなか、仲間に言い寄ってくる男とその付き添い、そして怪しげな魔術師の男も現れて……。
ーーーそれぞれが抱える悲劇の原因が元を辿れば同じだということにまだ気づく者はいない。
※完結まで執筆済み。97+2話で完結予定です。
【完結】ツインクロス
龍野ゆうき
青春
冬樹と夏樹はそっくりな双子の兄妹。入れ替わって遊ぶのも日常茶飯事。だが、ある日…入れ替わったまま両親と兄が事故に遭い行方不明に。夏樹は兄に代わり男として生きていくことになってしまう。家族を失い傷付き、己を責める日々の中、心を閉ざしていた『少年』の周囲が高校入学を機に動き出す。幼馴染みとの再会に友情と恋愛の狭間で揺れ動く心。そして陰ではある陰謀が渦を巻いていて?友情、恋愛、サスペンスありのお話。
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる