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第334話 派閥と中立
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「はぁ~という訳で、何か今の状況疲れるんですよね~」
「そうかよ」
「どう思います、タツミ先生?」
「知るか! 用がないならさっさと寮に帰れ! ここは誰かの愚痴を聞く所じゃねぇんだぞ!」
私は椅子に座りながら不満げに「え~」と返すと、タツミはぎろっと私の方を睨んで来た。
うっ……ちょっと調子に乗り過ぎたかも。
私が少し強張った表情をしていると、タツミが睨むのをやめて小さくため息をついた。
「もういいから、用がないなら帰れ。部屋に誰かいられると気が散るんだよ」
「は、は~い」
ここ医務室なのに、大抵誰もいないんだからこういう時くらい、ちょっといいじゃん。
「次期寮長選挙で居づらいのは分かるが、ここじゃない所に行け」
うっ……タツミ先生は心でも読めるの? 何でピンポイントに当てて来るかな。
私はそんなことを思いつつ、医務室後にした。
そして私と入れ替わる様に医務室にやって来たのは、オービンであった。
「失礼します。タツミ先生いますか?」
「……」
「いますね。入ります」
「返事してないのに、勝手に入って来るな」
オービンはタツミの言葉を無視して、医務室の奥へと入りタツミの前に椅子に座った。
「そもそもタツミ先生が、医務室にいないはずないじゃないですか。今日は、定期健診の日ですし」
「はぁ~そうだったな。新年から書類仕事が多くて、忘れかけてたよ」
そういいながらタツミは、オービンの体調の定期健診をする為の準備を始める。
準備しながらタツミはオービンに愚痴を言うのだった。
「オービン、お前今次期寮長選挙に首突っ込んでいるらしいな」
「耳が早いですね、タツミ先生」
「教員だからな」
「それで、それがどうしたんですか?」
「お前の寮の奴らが対立してて、その影響であふれてた奴が俺の所に来たから迷惑してたんだ。早く何とかしろ」
タツミの言葉にオービンは片手で軽く頬をかきながら「そういわれましても」と困った態度をとる。
そこへタツミが機材を準備し終えて、オービンをベッドの方へと呼ぶ。
「なら、あとどれくらいで決着がつく? それだけ教えろ。どうせお前のことだ、それくらいは予想ついてるだろ?」
「まぁ例年通りいけば、次期寮長選挙期間は1月19日までの11日間なので基本的には来週の頭には終わるはずですね。でもうちはもしかしたら、今週中には決まるかもしれないですね」
「そうか。それなら後2日間耐えればいいだけだな」
「あくまで予想ですからね。真に受けないでくださいよ」
「いや間違ってたら、きついリハビリ日程に変える」
「タツミ先生、それなんていうか知ってます? 脅迫ですよ?」
「……いや~このままお前の体は鈍ってしまうな。リハビリを増やさないとダメだな~これはダメだ。あ~俺の診断では今週中にお前の寮の次期寮長選挙が終われば、良くなる気がするな~」
「(いやいや、何も変わってないですけど?)」
そう思いつつオービンは、タツミへと視線で訴えたがタツミはにっこりを笑い返すのみだった。
「(はぁ~これはもう、願うしかないな。どうか今週中に決着がつきますように……リハビリ増加はちょっときついから、嫌だな)」
オービンはベッドにうつ伏せになりながら、ただそう願うのだった。
一方医務室を追い出された私は、大図書館へと向かっていた。
学院の廊下には、他の寮の次期寮長選挙ポスターなどが貼られており、学院は次期寮長選挙一色であった。
次年度の寮長を決めるのだから、これほど盛り上がるのは分かるし、自分が今いる寮の次の長が誰になるかで雰囲気も変わるし、方針とかも変わるのだから皆が興味を持つのは突然のことだと私は思っていた。
ただ私としては、第3学年になる前に辞める予定なのでそんな奴が、次の寮長を左右する決定権を持つのはおかしいと思い私は中立の立場にいるのである。
今更だが、現状クラスの勢力としてはトウマ派が7人おり、ルーク派が6人で、中立が私を含め5人という状況だ。
トウマ派閥には、フェルト、ガイル、リーガ、ライラック、ガードル、ノルマ、シンリがいる。
一方でルーク派閥には、ニック、マックス、ケビン、シン、ヴァン、アルジュという感じである。
残った私、ガウェン、ベックス、モーガン、ピースが中立となっている。
各々が各々の意見や考えを持って支持をしており、中立にはまだ決めきれない人や私の様に完全に傍観と決め込んでいる人がいる。
ちなみにそれはガウェンであり、関係性的にルークを支持すると思っていたが、ガウェン曰くどちらにも決めきれないので傍観することを決めたらしい。
優柔不断な奴だと思われても仕方ないと自分では話しており、それが時間を掛けて考えた結果なので、どちらが寮長になったとしても文句はないし支持すると宣言したのだった。
さすがに私はそんな宣言は出来なかったので、ひっそりと逃げ続けている状況である。
現状、どの様に次期寮長を決めるかの方法は決まっていないので、明日両派閥で話し合い決める予定になっている。
何か新年そうそう、気が滅入る展開だな……
私はそんなことを考えていると、大図書館前に到着した。
よし、とりあえずリフレッシュするために本でも読むかな。
そう言き込んで大図書館へと入ろうとした時だった、名前を呼ばれ私は足を止めて声が聞こえた方へと視線を向けた。
「やっぱり、ここに来たわねクリス」
「エリス先輩!?」
「あけましておめでとう、クリス」
「あ、あけましておめでとうございますエリス先輩」
私は直ぐに頭を下げて新年の挨拶をし顔を上げた。
「どうしたんですか、こんな所で?」
「どうしたって、貴方がそれを私にいうの? もう忘れたの去年そこでした約束」
エリスはそういいながら、大図書館の中を指さした。
そこで私は思い出した。
「すす、すいません! そうでした、強化を手伝って頂ける約束をしてました」
私の態度に少し呆れるエリスだったが「まだ思い出せるだけ、ミカよりましよ」と小さくぼやいた。
直後私の手首を掴んで来た。
「それじゃ早速、行きましょうか」
「へぇ? 何処にですか?」
「競技場よ。大運動会とかやった場所」
「何をするんですか?」
「何って、競技場でやることなんて一つでしょ」
するとエリスは、一番の笑顔を私に向けて来た。
「そこで私と全力で勝負してもらうわ」
「……えぇー!?」
「そうかよ」
「どう思います、タツミ先生?」
「知るか! 用がないならさっさと寮に帰れ! ここは誰かの愚痴を聞く所じゃねぇんだぞ!」
私は椅子に座りながら不満げに「え~」と返すと、タツミはぎろっと私の方を睨んで来た。
うっ……ちょっと調子に乗り過ぎたかも。
私が少し強張った表情をしていると、タツミが睨むのをやめて小さくため息をついた。
「もういいから、用がないなら帰れ。部屋に誰かいられると気が散るんだよ」
「は、は~い」
ここ医務室なのに、大抵誰もいないんだからこういう時くらい、ちょっといいじゃん。
「次期寮長選挙で居づらいのは分かるが、ここじゃない所に行け」
うっ……タツミ先生は心でも読めるの? 何でピンポイントに当てて来るかな。
私はそんなことを思いつつ、医務室後にした。
そして私と入れ替わる様に医務室にやって来たのは、オービンであった。
「失礼します。タツミ先生いますか?」
「……」
「いますね。入ります」
「返事してないのに、勝手に入って来るな」
オービンはタツミの言葉を無視して、医務室の奥へと入りタツミの前に椅子に座った。
「そもそもタツミ先生が、医務室にいないはずないじゃないですか。今日は、定期健診の日ですし」
「はぁ~そうだったな。新年から書類仕事が多くて、忘れかけてたよ」
そういいながらタツミは、オービンの体調の定期健診をする為の準備を始める。
準備しながらタツミはオービンに愚痴を言うのだった。
「オービン、お前今次期寮長選挙に首突っ込んでいるらしいな」
「耳が早いですね、タツミ先生」
「教員だからな」
「それで、それがどうしたんですか?」
「お前の寮の奴らが対立してて、その影響であふれてた奴が俺の所に来たから迷惑してたんだ。早く何とかしろ」
タツミの言葉にオービンは片手で軽く頬をかきながら「そういわれましても」と困った態度をとる。
そこへタツミが機材を準備し終えて、オービンをベッドの方へと呼ぶ。
「なら、あとどれくらいで決着がつく? それだけ教えろ。どうせお前のことだ、それくらいは予想ついてるだろ?」
「まぁ例年通りいけば、次期寮長選挙期間は1月19日までの11日間なので基本的には来週の頭には終わるはずですね。でもうちはもしかしたら、今週中には決まるかもしれないですね」
「そうか。それなら後2日間耐えればいいだけだな」
「あくまで予想ですからね。真に受けないでくださいよ」
「いや間違ってたら、きついリハビリ日程に変える」
「タツミ先生、それなんていうか知ってます? 脅迫ですよ?」
「……いや~このままお前の体は鈍ってしまうな。リハビリを増やさないとダメだな~これはダメだ。あ~俺の診断では今週中にお前の寮の次期寮長選挙が終われば、良くなる気がするな~」
「(いやいや、何も変わってないですけど?)」
そう思いつつオービンは、タツミへと視線で訴えたがタツミはにっこりを笑い返すのみだった。
「(はぁ~これはもう、願うしかないな。どうか今週中に決着がつきますように……リハビリ増加はちょっときついから、嫌だな)」
オービンはベッドにうつ伏せになりながら、ただそう願うのだった。
一方医務室を追い出された私は、大図書館へと向かっていた。
学院の廊下には、他の寮の次期寮長選挙ポスターなどが貼られており、学院は次期寮長選挙一色であった。
次年度の寮長を決めるのだから、これほど盛り上がるのは分かるし、自分が今いる寮の次の長が誰になるかで雰囲気も変わるし、方針とかも変わるのだから皆が興味を持つのは突然のことだと私は思っていた。
ただ私としては、第3学年になる前に辞める予定なのでそんな奴が、次の寮長を左右する決定権を持つのはおかしいと思い私は中立の立場にいるのである。
今更だが、現状クラスの勢力としてはトウマ派が7人おり、ルーク派が6人で、中立が私を含め5人という状況だ。
トウマ派閥には、フェルト、ガイル、リーガ、ライラック、ガードル、ノルマ、シンリがいる。
一方でルーク派閥には、ニック、マックス、ケビン、シン、ヴァン、アルジュという感じである。
残った私、ガウェン、ベックス、モーガン、ピースが中立となっている。
各々が各々の意見や考えを持って支持をしており、中立にはまだ決めきれない人や私の様に完全に傍観と決め込んでいる人がいる。
ちなみにそれはガウェンであり、関係性的にルークを支持すると思っていたが、ガウェン曰くどちらにも決めきれないので傍観することを決めたらしい。
優柔不断な奴だと思われても仕方ないと自分では話しており、それが時間を掛けて考えた結果なので、どちらが寮長になったとしても文句はないし支持すると宣言したのだった。
さすがに私はそんな宣言は出来なかったので、ひっそりと逃げ続けている状況である。
現状、どの様に次期寮長を決めるかの方法は決まっていないので、明日両派閥で話し合い決める予定になっている。
何か新年そうそう、気が滅入る展開だな……
私はそんなことを考えていると、大図書館前に到着した。
よし、とりあえずリフレッシュするために本でも読むかな。
そう言き込んで大図書館へと入ろうとした時だった、名前を呼ばれ私は足を止めて声が聞こえた方へと視線を向けた。
「やっぱり、ここに来たわねクリス」
「エリス先輩!?」
「あけましておめでとう、クリス」
「あ、あけましておめでとうございますエリス先輩」
私は直ぐに頭を下げて新年の挨拶をし顔を上げた。
「どうしたんですか、こんな所で?」
「どうしたって、貴方がそれを私にいうの? もう忘れたの去年そこでした約束」
エリスはそういいながら、大図書館の中を指さした。
そこで私は思い出した。
「すす、すいません! そうでした、強化を手伝って頂ける約束をしてました」
私の態度に少し呆れるエリスだったが「まだ思い出せるだけ、ミカよりましよ」と小さくぼやいた。
直後私の手首を掴んで来た。
「それじゃ早速、行きましょうか」
「へぇ? 何処にですか?」
「競技場よ。大運動会とかやった場所」
「何をするんですか?」
「何って、競技場でやることなんて一つでしょ」
するとエリスは、一番の笑顔を私に向けて来た。
「そこで私と全力で勝負してもらうわ」
「……えぇー!?」
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