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第169話 マリアの狙い
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「ちょっと! 何言ってるんだよ!」
私は内心、物凄く動揺しつつもクリスとして2人に問いかけるとマリアが笑顔で答えて来た。
「何って、そのままの意味じゃない。私がルーク様に悩み相談していただけよ、2人きりっで」
マリアのその言い方は、完全に語尾の後ろにハートが付いている言い方であった。
私はマリアに向けて目で訴えるも、直ぐにそっぽを向かれてしまう。
そこで私は諦めず、そのまま視線を変えてルークの方を見て「どうにかしてよ!」と目で訴えるとルークと目が合う。
だが、直ぐにルークも私から目を外して行った。
ちょっ! 何で目線を外すのよ! あんただって、変な風に思われて嫌なんじゃ……あっ……
私はそこまで自分で考えて、ルークからの告白を突然思い出して動きが止まるも、すぐに首を左右に振った。
いや、今はそれはいいんだ! 今は! それよりも、どうしてこんな事を言い出したのよマリア!
私はどうしようもなく、少し落ち着きをなくしていると、私よりも慌てて動揺しているジュリルが視界に入って来た。
「な、ななな、何をしているんですの!? 少しくっ付き過ぎではありませんか? その、どう言う事を相談したかは知りませんが、さすがにその距離感はおかしいと思いますわ!」
ジュリルはルークの腕にくっ付く私事マリアを、ビシッと指でさして言い切ると後ろでウィルが物凄く頷いていた。
「え~でも貴方はルーク様とご婚約者でも、恋仲でもないんでしょ?」
「ぐぅ、それを言われますと……」
「そんな貴方に、つべこべ言われる筋合いはないと思いますけど?」
マリア、何でそんなジュリルに喧嘩を売る様な言い方するかな~何考えてるのよ。
これじゃ、この先に本当の私とジュリルとの関係が険悪になるじゃないの。
そしてルークはと言うと、この状況で全く言い訳も何もせずにただ状況を見ているだけであり、ジュリルの後ろにいるマートルも同じ様にただ見つめているだけであった。
「あ、貴方こそ、ルーク様とはどう言うご関係なのです? クリスの姉だけと言う関係性だけではないのですか?」
「確かに、貴方の言う通りです。ですが、それは今までの関係で今日の今からは、少し私がルーク様に興味を抱いていると言う状況ですので、何の問題もないのでわ?」
「問題大ありですわ! わ、私だってルーク様には好意を持っていますし、学院でも仲良くしてもらっていますのよ。それを突然現れた貴方に変に乱されては困りますの」
「貴方の恋愛がうまく進まないのを、私のせいにされては困りますね。それはただ貴方が恋愛下手なだけですよ」
「なっ……」
ジュリルは自分自身でも、サラッとルークに告白している事には気付いておらず、それに気付いたウィルとマートルが後ろで驚きの顔をしていた。
さすがに私も直接ルークにジュリルが自分の気持ちを伝えた事には気付き、咄嗟にルークの方をチラッと見るとルークも分かったのか、少し視線をずらしていた。
その間も、マリアとジュリルで互いに睨み合っていたので、私は軽く深呼吸してから2人の間に割って入った。
「そ、そろそろ姉さんも冗談は辞めなよ。ジュリルも、少しは落ち着いて……ね?」
「クリス、今は貴方の姉と真剣な話をしているのです。邪魔をしないで」
「そうよクリス。今、ジュリルと大切な話をしているのだから、今の貴方には関係ないから下がっていなさい」
私はその言葉を聞き、やっとマリアがどうしてこんな事をしているのか気付いた。
マリア……もしかして、また私と入れ替われって言うの? 今更入れ替わった所で、この事態は収拾がつかない。
そう、既にジュリルはマリアを完全にライバル視しており、冗談だったなんて言った所で何も意味を持たない状況であるのだ。
完全に2人から邪魔者扱いされた私は、一度下がりどうすればいいかを考えだすと、マリアがジュリルにある提案を持ち掛けた。
「このままでは埒が明かないので、ある勝負をしませんか?」
「勝負?」
「そう。ちょうど、私と貴方は学院の代表者であり、明日戦う可能性があるかもしれません。そこでです、もし対戦出来たのなら勝った方の言い分を認めると言うのはどうですか?」
「……それは、私が勝った際には貴方はルーク様から手を引くと言う事ですか?」
「う~ん、少し違いますね。このような距離感ではなく、もっと誠実な距離感でルーク様とお話しますし、貴方の邪魔もしないと言うことです。どうですか?」
「でもそれは、対戦出来たらの話ですわよね? 出来ない可能性の方が高いのでわ? その場合はどうするのですか?」
するとマリアは小さく笑いかけた。
「知りませんか? 小説とかだとこういう戦う理由を作ると、意外と当たったりするものなのですよ。まぁ、冗談はさておき、もし対戦出来ない時はその時にまた話しましょうか。それで今日は身を引くと言うのはどうですか?」
「貴方の実力は知りませんが、かなり実力がある様子ですわね。一応言っておきますが、私そんな弱くはありませんよ」
「えぇ、存じております。ですから、これは私が貴方とどこまで渡り合えるかの挑戦でもあるのですよ」
そうマリアが言った直後、ルークが今まで閉じていた口を開いた。
「それは面白そうだな。クリスの姉とジュリルの対戦か。クリスの実力や成長性を考えると、ジュリルといい勝負をしそうじゃないか? なぁ、ウィルもマートルもそう思わないか?」
ルークにいきなり振られたウィルは直ぐには答えられずにいたが、マートルは普通に返事をした。
「そうね。確かに、ルーク様の言う通りクリス君の可能性を考えると、姉であるマリアも十分に実力はあると見てもおかしくない」
「マートル! 少しクリスの奴を過大評価し過ぎじゃないの?」
「ウィルは、クリス君の事嫌いだからそう言うけど、実力がある事はこの前ぽろっと口に出していたじゃない」
「ちょっ! わ、私はそんな事言ってないわよ! 変な事をあいつが居る前で言わないでよマートル!」
マートルはウィルに迫られて、軽く「ごめんごめん」と謝っていた。
ウィルやマートルがそんな風に思っていたなんて知らなかった。
私はそこで、少し驚いた顔をしているとウィルが急に振り返って来て「勘違いするなよ!」と釘を刺してきた。
ルークは、そんな私の表情を見てからマリアの方をチラッと見ると、マリアは小さくウインクをする。
「(なるほど。ようやくあんたがやろうとしている事は分かったが、少し変に芝居をし過ぎだろ)」
その後ルークは、小さくため息をつくと、暫く私たちの反応を見ていたジュリルがマリアの方を向き返事をし始めた。
「……分かりました。貴方の勝負を受けましょう。ルーク様や、ウィル、マートルの意見も聞いた上で私は少し貴方を下に見ていたようね。それは謝るわ。ごめんなさい」
「いえいえ、私の方こそ少し失礼な態度をとっていましたので」
「貴方、分かっていた上であんな事を言っていたのですのね。なかなか、いい度胸ですわね」
ジュリルの言葉にマリアは笑顔で返す。
そして暫くジュリルがマリアの方を見た後、ルークの方へと視線を移した。
「ルーク様、もし私たちが対戦する事になりましたら、しっかりと見届けて下さいますか?」
「あぁ。もちろんだ。こんな対戦見逃さないよ」
それを聞いてジュリルは、ルークに笑いかけて「絶対ですよ」と念を押した。
ルークは好意を向けられていると知ったジュリルの笑顔に、鼓動が少し早くなっていた。
するとマリアがその場から先に立ち去り始める。
「ちょ、姉さん!?」
「いい勝負をする為に、私も入念な準備をしたいから帰るわ。また明日ね、クリス」
その言って、早速さとその場から立ち去って行き、ジュリルもその場で一度ルークに軽くお辞儀をしてから学院へと先に戻って行く。
そしてその場に残ったのは、私とルークだけになってしまい、暫くはその場で無言で立ち尽くしていた。
「……で、あれはどう言う事なんだよルーク?」
「さぁな、明日アリスにでも聞けよクリス」
ルークは私の問いかけを流して、学院へと向かって歩き出す。
私はすぐにその後を追いかけて追求するが、全て適当にかわされてしまい何も聞き出せないまま学院へと戻ったのだった。
そしてその日の夜、私は自室で今日の事を色々と思い出し、考えてから就寝した。
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私はマリアに向けて目で訴えるも、直ぐにそっぽを向かれてしまう。
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ジュリルはルークの腕にくっ付く私事マリアを、ビシッと指でさして言い切ると後ろでウィルが物凄く頷いていた。
「え~でも貴方はルーク様とご婚約者でも、恋仲でもないんでしょ?」
「ぐぅ、それを言われますと……」
「そんな貴方に、つべこべ言われる筋合いはないと思いますけど?」
マリア、何でそんなジュリルに喧嘩を売る様な言い方するかな~何考えてるのよ。
これじゃ、この先に本当の私とジュリルとの関係が険悪になるじゃないの。
そしてルークはと言うと、この状況で全く言い訳も何もせずにただ状況を見ているだけであり、ジュリルの後ろにいるマートルも同じ様にただ見つめているだけであった。
「あ、貴方こそ、ルーク様とはどう言うご関係なのです? クリスの姉だけと言う関係性だけではないのですか?」
「確かに、貴方の言う通りです。ですが、それは今までの関係で今日の今からは、少し私がルーク様に興味を抱いていると言う状況ですので、何の問題もないのでわ?」
「問題大ありですわ! わ、私だってルーク様には好意を持っていますし、学院でも仲良くしてもらっていますのよ。それを突然現れた貴方に変に乱されては困りますの」
「貴方の恋愛がうまく進まないのを、私のせいにされては困りますね。それはただ貴方が恋愛下手なだけですよ」
「なっ……」
ジュリルは自分自身でも、サラッとルークに告白している事には気付いておらず、それに気付いたウィルとマートルが後ろで驚きの顔をしていた。
さすがに私も直接ルークにジュリルが自分の気持ちを伝えた事には気付き、咄嗟にルークの方をチラッと見るとルークも分かったのか、少し視線をずらしていた。
その間も、マリアとジュリルで互いに睨み合っていたので、私は軽く深呼吸してから2人の間に割って入った。
「そ、そろそろ姉さんも冗談は辞めなよ。ジュリルも、少しは落ち着いて……ね?」
「クリス、今は貴方の姉と真剣な話をしているのです。邪魔をしないで」
「そうよクリス。今、ジュリルと大切な話をしているのだから、今の貴方には関係ないから下がっていなさい」
私はその言葉を聞き、やっとマリアがどうしてこんな事をしているのか気付いた。
マリア……もしかして、また私と入れ替われって言うの? 今更入れ替わった所で、この事態は収拾がつかない。
そう、既にジュリルはマリアを完全にライバル視しており、冗談だったなんて言った所で何も意味を持たない状況であるのだ。
完全に2人から邪魔者扱いされた私は、一度下がりどうすればいいかを考えだすと、マリアがジュリルにある提案を持ち掛けた。
「このままでは埒が明かないので、ある勝負をしませんか?」
「勝負?」
「そう。ちょうど、私と貴方は学院の代表者であり、明日戦う可能性があるかもしれません。そこでです、もし対戦出来たのなら勝った方の言い分を認めると言うのはどうですか?」
「……それは、私が勝った際には貴方はルーク様から手を引くと言う事ですか?」
「う~ん、少し違いますね。このような距離感ではなく、もっと誠実な距離感でルーク様とお話しますし、貴方の邪魔もしないと言うことです。どうですか?」
「でもそれは、対戦出来たらの話ですわよね? 出来ない可能性の方が高いのでわ? その場合はどうするのですか?」
するとマリアは小さく笑いかけた。
「知りませんか? 小説とかだとこういう戦う理由を作ると、意外と当たったりするものなのですよ。まぁ、冗談はさておき、もし対戦出来ない時はその時にまた話しましょうか。それで今日は身を引くと言うのはどうですか?」
「貴方の実力は知りませんが、かなり実力がある様子ですわね。一応言っておきますが、私そんな弱くはありませんよ」
「えぇ、存じております。ですから、これは私が貴方とどこまで渡り合えるかの挑戦でもあるのですよ」
そうマリアが言った直後、ルークが今まで閉じていた口を開いた。
「それは面白そうだな。クリスの姉とジュリルの対戦か。クリスの実力や成長性を考えると、ジュリルといい勝負をしそうじゃないか? なぁ、ウィルもマートルもそう思わないか?」
ルークにいきなり振られたウィルは直ぐには答えられずにいたが、マートルは普通に返事をした。
「そうね。確かに、ルーク様の言う通りクリス君の可能性を考えると、姉であるマリアも十分に実力はあると見てもおかしくない」
「マートル! 少しクリスの奴を過大評価し過ぎじゃないの?」
「ウィルは、クリス君の事嫌いだからそう言うけど、実力がある事はこの前ぽろっと口に出していたじゃない」
「ちょっ! わ、私はそんな事言ってないわよ! 変な事をあいつが居る前で言わないでよマートル!」
マートルはウィルに迫られて、軽く「ごめんごめん」と謝っていた。
ウィルやマートルがそんな風に思っていたなんて知らなかった。
私はそこで、少し驚いた顔をしているとウィルが急に振り返って来て「勘違いするなよ!」と釘を刺してきた。
ルークは、そんな私の表情を見てからマリアの方をチラッと見ると、マリアは小さくウインクをする。
「(なるほど。ようやくあんたがやろうとしている事は分かったが、少し変に芝居をし過ぎだろ)」
その後ルークは、小さくため息をつくと、暫く私たちの反応を見ていたジュリルがマリアの方を向き返事をし始めた。
「……分かりました。貴方の勝負を受けましょう。ルーク様や、ウィル、マートルの意見も聞いた上で私は少し貴方を下に見ていたようね。それは謝るわ。ごめんなさい」
「いえいえ、私の方こそ少し失礼な態度をとっていましたので」
「貴方、分かっていた上であんな事を言っていたのですのね。なかなか、いい度胸ですわね」
ジュリルの言葉にマリアは笑顔で返す。
そして暫くジュリルがマリアの方を見た後、ルークの方へと視線を移した。
「ルーク様、もし私たちが対戦する事になりましたら、しっかりと見届けて下さいますか?」
「あぁ。もちろんだ。こんな対戦見逃さないよ」
それを聞いてジュリルは、ルークに笑いかけて「絶対ですよ」と念を押した。
ルークは好意を向けられていると知ったジュリルの笑顔に、鼓動が少し早くなっていた。
するとマリアがその場から先に立ち去り始める。
「ちょ、姉さん!?」
「いい勝負をする為に、私も入念な準備をしたいから帰るわ。また明日ね、クリス」
その言って、早速さとその場から立ち去って行き、ジュリルもその場で一度ルークに軽くお辞儀をしてから学院へと先に戻って行く。
そしてその場に残ったのは、私とルークだけになってしまい、暫くはその場で無言で立ち尽くしていた。
「……で、あれはどう言う事なんだよルーク?」
「さぁな、明日アリスにでも聞けよクリス」
ルークは私の問いかけを流して、学院へと向かって歩き出す。
私はすぐにその後を追いかけて追求するが、全て適当にかわされてしまい何も聞き出せないまま学院へと戻ったのだった。
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