156 / 564
第155話 服装で他人からの見え方も雰囲気も変わる
しおりを挟む
遡る事、数時間前。
ルークが朝目を覚ますと、物凄い剣幕をしたトウマが真横にいてルークは眠気が一気に覚める。
「ト、トウマ……何だよ朝からその顔は?」
「冷静に聞けルーク。今日クリス、いやアリスが誰かとデートをするらしい」
「……はぁ? クリスがデート? 何言ってんだお前」
「冗談だと思ってるのか、ルーク? 残念ながら確かな情報源から聞いた事だから、本当だ」
するとルークはベッドから完全に起き上がった。
「……馬鹿馬鹿しい、どうせあいつの事だ。何か家の事情とかそう言う関係だろ」
「いいや、今回はガチのデートらしい。なんせ、事前に何度も街でデートコースの下見とか、おススメ場所を聞いて回っていたらしいからな。更には、今日の予定を色んな人に聞いていた姿をも目撃されているんだ。ちなみに、俺も聞かれたぞ」
「それは俺も聞かれたぞ」
「そうか、やっぱりな」
トウマはその言葉を聞くと、何故か納得した様な表情をしていた。
ルークは何に納得したのか分からず首を傾げていると、トウマは自信満々に語り始めた。
「現時点で、クリスのデート相手は俺でもルークでもない。更には皆に今日の予定を聞いていたとなれば、これは極秘のデート。誰にもバレたくないと言う、クリスの考えもしくは、その相手に考慮したデートと言う事だ」
と、トウマは何故か物凄く決め顔でルークの方を向いて語るが、ルークはその顔をただ黙ってじっと見ていた。
そのままトウマも黙ったままルークを見ていたが、遂に耐え切れず軽くため息をつく。
「おいルーク、何でそんな無反応なんだよ。お前だって気になるだろ、クリスのデート相手」
「別に気になんねぇよ、仮の相手なんて」
そう言うとルークはトウマに背を向けて背伸びし出す。
ルーク自身、トウマの言葉を真に受けていない訳ではなく、どうせクリスの事だし家の事情だろうと自分の中で決め込んでいた為であった。
しかし、全く気になっていない訳ではなかった。
「(にしてもあいつは、俺たち以外の誰を頼ったんだよ……)」
そんな事を思いつつも、ルークは着替えようと上着を脱ぎ始めた時、トウマの呟きに動きを止めてしまう。
「何だか気にしてない態度をとってるが、いいのかルーク? 噂じゃ、相手はレオンらしいぞ。昨日2人きりで医務室に居たらしいしな」
「っ……」
「でもレオンは今日から病院。となると、次の相手はタツミ先生って話だ」
「なっ! タツミだと!?」
その言葉にルークは勢いよく振り返った。
思いもしなかった反応の良さにトウマは少しのけ反るが、やっと話に食い付いて来たのでずいっとルークに近付きある提案をし出す。
「そんなルークに提案だが、今日のクリスを尾行してその相手と、本当にデートなのかを確かめてみないか?」
「尾行?」
「な~に、心配するなよ。バレなきゃいいだけだし、もしバレたら偶然を装えば問題ねぇよ」
「どの口が言うんだよ。お前、前に俺とクリスで外出した時にも尾行してたろ」
ルークは第1期期末試験後の外出時の話を持ち出すも、トウマはそっぽを向いて口笛を吹いて誤魔化した。
その態度にルークは、軽くため息をつきトウマの提案を断り、「タツミに直接聞けばいい事だ」と言ってトウマから離れ着替え始める。
だがトウマは諦めなかった。
「おいおい、タツミ先生が本当にデート相手だったら答えると思うのか? それこそ、あり得ないな」
「話さないなら、話してもらうまでだ」
「そんなことしたら、クリスにも嫌われるぞ。それでもいいのかよ?」
「っう……なら尾行は良いってのかよ」
「良いとは言ってないぞ。相手にバレずに相手を知る1つの手段ってだけだ。で、どうするよルーク? やるかい、俺と?」
その後、ルークは暫く長考した後トウマの案に乗るのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「なぁ、ルーク。今更何だか聞いてもいいか?」
「何だよトウマ」
「いやな、ずっと思ってたんだが俺らの前にいるあの男誰だ? 見る感じ、俺らと同じ様にクリスとオービンを尾行してるみたいだが」
「俺が聞きてぇよ。でも、うちの学院生じゃなさそうだ。やけに周囲をキョロキョロとしてて、初めて来たって感じだ」
トウマはルークの推理に「確かに」と呟き頷く。
するとトウマがある事に気付く。
「もしかしてあの男、クリスのあの姿に一目ぼれしたとかじゃ」
「あまり自分の妄想を口に出すもんじゃないぞ、トウマ。後、今更だが今のあいつをクリスと呼ばない方がいいかもな。誰かに怪しまれたら面倒だ」
「確かに。それじゃ、アリス呼びか。……ん? 勝手にその名前を呼んで良かったんだっけ?」
「大丈夫だろ。あいつがクリスって怪しまれるより、ましなはずだ」
そんな会話をしていると、アリスとオービンが入った洋服屋から2人が出て来る。
オービンの格好ががらりと変わっており、髪型と伊達メガネはそのままであったがシックなジャケットのコーデに変わっており、がらりと雰囲気が変わっていたのだった。
「うん。やっぱり、その方が似合いますよオービン先輩」
「そうかい? アリス君がそう言うなら、間違いないね。それじゃ、デートと行こうか」
「あっ、そうでした……あの、本当にやるんですか?」
「俺じゃ、君に不釣り合いかい? それとも、俺とじゃデートは出来ないかい?」
「い、いえ! そんな事はありませんが……」
するとオービンは突然私の手を優しく握って来て、引っ張って歩き出した。
「ちょっ、オービン先輩!?」
「せっかく今日の為に色々と準備したんだろ? なら、それを無駄にするのは勿体ないだろ、アリス君。色々と案内してくれよ」
優しく微笑みかけて来たオービンの表情を見て、私は何故か恥ずかしくなり少し視線をずらしてしまった。
そのまま私はオービンに手を引かれるまま付いて行った。
その姿を、クレイス魔法学院の男子は動揺を隠しつつも後を追って行った。
またルークとトウマはと言うと、オービンの積極的な行動に度肝を抜かれていた。
「これは、マジのやつじゃないのかルーク? まさかオービン先輩だとはね……」
「いや、まだ決まった訳じゃないだろ。行くぞトウマ」
と、ルークは目の色を変えてトウマよりも尾行に本気になり始めた。
「(まぁ、そうなるよね~)」
トウマはそう心の中で思いつつ、ルークと共に尾行を続けるのだった。
そんな彼らの後ろ姿を、胸に獅子が剣を銜えたマークが付いているのが特徴の学院生服を着た、2人組が通り1人が足を止める。
「ん? あれは……」
「どうしたんだ、ラーウェン」
「……いや、気のせいか。何でもない、ドウラ」
「そうか。なら、早く調整しに行くぞ。学院対抗戦まで時間もないんだからな」
「分かってる」
そう言って2人はその場から離れて行った。
ルークが朝目を覚ますと、物凄い剣幕をしたトウマが真横にいてルークは眠気が一気に覚める。
「ト、トウマ……何だよ朝からその顔は?」
「冷静に聞けルーク。今日クリス、いやアリスが誰かとデートをするらしい」
「……はぁ? クリスがデート? 何言ってんだお前」
「冗談だと思ってるのか、ルーク? 残念ながら確かな情報源から聞いた事だから、本当だ」
するとルークはベッドから完全に起き上がった。
「……馬鹿馬鹿しい、どうせあいつの事だ。何か家の事情とかそう言う関係だろ」
「いいや、今回はガチのデートらしい。なんせ、事前に何度も街でデートコースの下見とか、おススメ場所を聞いて回っていたらしいからな。更には、今日の予定を色んな人に聞いていた姿をも目撃されているんだ。ちなみに、俺も聞かれたぞ」
「それは俺も聞かれたぞ」
「そうか、やっぱりな」
トウマはその言葉を聞くと、何故か納得した様な表情をしていた。
ルークは何に納得したのか分からず首を傾げていると、トウマは自信満々に語り始めた。
「現時点で、クリスのデート相手は俺でもルークでもない。更には皆に今日の予定を聞いていたとなれば、これは極秘のデート。誰にもバレたくないと言う、クリスの考えもしくは、その相手に考慮したデートと言う事だ」
と、トウマは何故か物凄く決め顔でルークの方を向いて語るが、ルークはその顔をただ黙ってじっと見ていた。
そのままトウマも黙ったままルークを見ていたが、遂に耐え切れず軽くため息をつく。
「おいルーク、何でそんな無反応なんだよ。お前だって気になるだろ、クリスのデート相手」
「別に気になんねぇよ、仮の相手なんて」
そう言うとルークはトウマに背を向けて背伸びし出す。
ルーク自身、トウマの言葉を真に受けていない訳ではなく、どうせクリスの事だし家の事情だろうと自分の中で決め込んでいた為であった。
しかし、全く気になっていない訳ではなかった。
「(にしてもあいつは、俺たち以外の誰を頼ったんだよ……)」
そんな事を思いつつも、ルークは着替えようと上着を脱ぎ始めた時、トウマの呟きに動きを止めてしまう。
「何だか気にしてない態度をとってるが、いいのかルーク? 噂じゃ、相手はレオンらしいぞ。昨日2人きりで医務室に居たらしいしな」
「っ……」
「でもレオンは今日から病院。となると、次の相手はタツミ先生って話だ」
「なっ! タツミだと!?」
その言葉にルークは勢いよく振り返った。
思いもしなかった反応の良さにトウマは少しのけ反るが、やっと話に食い付いて来たのでずいっとルークに近付きある提案をし出す。
「そんなルークに提案だが、今日のクリスを尾行してその相手と、本当にデートなのかを確かめてみないか?」
「尾行?」
「な~に、心配するなよ。バレなきゃいいだけだし、もしバレたら偶然を装えば問題ねぇよ」
「どの口が言うんだよ。お前、前に俺とクリスで外出した時にも尾行してたろ」
ルークは第1期期末試験後の外出時の話を持ち出すも、トウマはそっぽを向いて口笛を吹いて誤魔化した。
その態度にルークは、軽くため息をつきトウマの提案を断り、「タツミに直接聞けばいい事だ」と言ってトウマから離れ着替え始める。
だがトウマは諦めなかった。
「おいおい、タツミ先生が本当にデート相手だったら答えると思うのか? それこそ、あり得ないな」
「話さないなら、話してもらうまでだ」
「そんなことしたら、クリスにも嫌われるぞ。それでもいいのかよ?」
「っう……なら尾行は良いってのかよ」
「良いとは言ってないぞ。相手にバレずに相手を知る1つの手段ってだけだ。で、どうするよルーク? やるかい、俺と?」
その後、ルークは暫く長考した後トウマの案に乗るのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「なぁ、ルーク。今更何だか聞いてもいいか?」
「何だよトウマ」
「いやな、ずっと思ってたんだが俺らの前にいるあの男誰だ? 見る感じ、俺らと同じ様にクリスとオービンを尾行してるみたいだが」
「俺が聞きてぇよ。でも、うちの学院生じゃなさそうだ。やけに周囲をキョロキョロとしてて、初めて来たって感じだ」
トウマはルークの推理に「確かに」と呟き頷く。
するとトウマがある事に気付く。
「もしかしてあの男、クリスのあの姿に一目ぼれしたとかじゃ」
「あまり自分の妄想を口に出すもんじゃないぞ、トウマ。後、今更だが今のあいつをクリスと呼ばない方がいいかもな。誰かに怪しまれたら面倒だ」
「確かに。それじゃ、アリス呼びか。……ん? 勝手にその名前を呼んで良かったんだっけ?」
「大丈夫だろ。あいつがクリスって怪しまれるより、ましなはずだ」
そんな会話をしていると、アリスとオービンが入った洋服屋から2人が出て来る。
オービンの格好ががらりと変わっており、髪型と伊達メガネはそのままであったがシックなジャケットのコーデに変わっており、がらりと雰囲気が変わっていたのだった。
「うん。やっぱり、その方が似合いますよオービン先輩」
「そうかい? アリス君がそう言うなら、間違いないね。それじゃ、デートと行こうか」
「あっ、そうでした……あの、本当にやるんですか?」
「俺じゃ、君に不釣り合いかい? それとも、俺とじゃデートは出来ないかい?」
「い、いえ! そんな事はありませんが……」
するとオービンは突然私の手を優しく握って来て、引っ張って歩き出した。
「ちょっ、オービン先輩!?」
「せっかく今日の為に色々と準備したんだろ? なら、それを無駄にするのは勿体ないだろ、アリス君。色々と案内してくれよ」
優しく微笑みかけて来たオービンの表情を見て、私は何故か恥ずかしくなり少し視線をずらしてしまった。
そのまま私はオービンに手を引かれるまま付いて行った。
その姿を、クレイス魔法学院の男子は動揺を隠しつつも後を追って行った。
またルークとトウマはと言うと、オービンの積極的な行動に度肝を抜かれていた。
「これは、マジのやつじゃないのかルーク? まさかオービン先輩だとはね……」
「いや、まだ決まった訳じゃないだろ。行くぞトウマ」
と、ルークは目の色を変えてトウマよりも尾行に本気になり始めた。
「(まぁ、そうなるよね~)」
トウマはそう心の中で思いつつ、ルークと共に尾行を続けるのだった。
そんな彼らの後ろ姿を、胸に獅子が剣を銜えたマークが付いているのが特徴の学院生服を着た、2人組が通り1人が足を止める。
「ん? あれは……」
「どうしたんだ、ラーウェン」
「……いや、気のせいか。何でもない、ドウラ」
「そうか。なら、早く調整しに行くぞ。学院対抗戦まで時間もないんだからな」
「分かってる」
そう言って2人はその場から離れて行った。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~
薄味メロン
恋愛
HOTランキング 1位 (2019.9.18)
お気に入り4000人突破しました。
次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。
だが、誰も知らなかった。
「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」
「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」
メアリが、追放の準備を整えていたことに。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる