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第142話 巻き込まれナンパ

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 私は街へと繰り出した。
 ジェルバンスはどこも人通りが多く、賑わっており私はそんな街中を通り目的のお店を探し始めた。
 お店の場所は券の裏に記載されていたので、それを頼りに探していたが行ったこのない店の為少し苦戦していた。
 私は一度街の案内図を見ようとその場所へと向かった。

 ジェルバンス内で人との待ち合わせに置いて有名な場所が2つある。
 1つは、噴水の時計台である。
 ここは、学院からも近い為学院生たちが待ち合わせをするのによく使われている。
 2つ名は、街の案内図が魔道具によって映し出されている広場である。
 こちらはジェルバンス内地図が魔道具から宙へと映し出されている場所であり、本来の案内図よりも両面から見られることが出来、更には自分が行きたい場所への通路案内も出してくれると言うものでもある。
 その為、その広場は少し学院から遠く噴水の時計台と真反対側にあるのだ。
 少し遠いけど、このままウロウロと探すよりも手っ取り早いよね。
 そして私は、街の案内図のがある広場に到着するとそこには待ち合わせとして有名な場所でもある為数多くの人々が居た。

 こっち側も向こうと変わらず人が多いな~。
 私は待ち合わせの人の数に少し驚きつつも、目的の案内図へと近付き見上げた。
 え~っと、この店は……
 そうやって私は券の裏に書かれた店の場所と、案内図を交互に見ながら周辺の場所を特定していた時だった。

「ちょっ、ちょっと止めて下さい」
「?」

 その声は私にも聞こえ声が聞こえて来た方を見ると、1人の女子が3人の男子にナンパされている所であった。

「だって1人なんでしょ、俺たちとちょっと食事に行こうよ」
「そうそう。友達も来なくなったんでしょ?」
「だからって、貴方たちとどこか行く理由にはなりません」
「そんなケチ言わないで、お茶だけでもしようよ」
「嫌です! 早くどっか行ってください!」

 私はその光景を暫く見た後、案内図の方へと視線を戻した。
 あれがナンパね~強引な所はあるけど、相手の女性の感じだとそのまま振り切れそうだし、男子たちも諦めるだろう。
 それよりも、私はお店お店と。
 直後、先程よりも大きな女性の声が聞こえて来て私は再度その方向を向いた。

「止めて下さい! 引っ張らないで!」
「え~だって、行きたそうな感じじゃん」
「嫌だって、言ってるじゃないですか!」

 女性は握られた手首を払い、男子たちから離れ睨みつける。
 だが男子たちはひるむことなく女性に近付く。
 周囲の人たちが異変に気付き、ある人が止めに入ろうとすると男子の1人に睨まれ威圧する言葉を言われ、引いてしまう。
 女性は少し震える様に周囲に助けてほしいという視線を送るも、先程のことが自分へと振りかかるのを恐れて皆目線を逸らしてしまう。
 そんな中で女性は唯一視線を逸らさない人を見つけると、その人目掛けて一直線に向かって行く。
 その相手は私だった。
 ちょっ、ちょっと、え、え~~!? 何々? 何で向かって来るの!?
 私は少し後ずさりすると、先に女性が私に抱き着いて来て耳元で囁かれる。

「助けて……下さい……」

 その声は震えており、怖がっていた事が直ぐにでも分かる状態であった。
 何で私なのかと思ったが、そう言えば今は男子の服装を来ているし彼女には私が男子に見えているのだと思い解決した。
 するとそこに、先程彼女を囲っていた3人の男子たちが私の前へとやって来た。

「え? 何々? 知り合い? それとも彼氏?」
「いやいや、それはないでしょ。だって、それなら友達となんて出かけないでしょ」
「確かに、確かに~。つう事は、知らない男に抱き着いたって事でしょ」
「おいおい、抱きつくなら俺たちがいるのによ。何で、そんなひょろひょろの男なんだよ」

 3人の男子は私の事を馬鹿にして、嘲笑った後真ん中にいた男子が私を脅すように「お前はお呼びでないんだよ。さっさと帰りな」と言って来た。
 私はそんな言葉に屈する事無く、男子たち3人を見た後抱きついて来た彼女を一度離させた。
 彼女は私は男子たちに引き渡すと思ったのか、物凄く絶望的な顔をしていたが私はそんな事するはずはなく、ただ前から抱き着かれたままでは危ないから後ろに回ってもらいたかったと伝えた。
 すると彼女は安堵の表情をして、直ぐに私の後ろへと回った。

「おいおい、何のつもりだ? ヒーロー気取りは止めた方がいいぜ」
「別にヒーロー気取りじゃないし、危ないから下がってもらっただけだ」
「あ? それがヒーロー気取りだって言ってんだよ!」
「ナンパをするなら脅しは良くないんじゃないかな? そんなんじゃ、誰だって誘いに乗るわけないだろ」
「てめぇなんかに、言われるいわれはねぇ! いいからその女を庇うのを止めて、さっさとどけ!」

 はぁ~男子ってこんな感じだったけ? いや、私は学院の男子たちとしかいないしそんな奴がいないだけだな。
 こういう時は、大抵相手が私に対して暴力で解決してこようとするって聞いた事があるんだよな確か。
 さてどうしたものか? 力を使えば確かに相手を退散させられるが、それじゃ一方的だしいつか復讐されるかもしれない。
 かと言って、このままやられてしまっては後ろの彼女が危険な目に遭ってしまう。
 まぁ、巻き込まれただけだしここまで考えなくていいのかも知んないけど、さすがにこんな状況じゃ考えない訳には行かないよね……
 そんな間も男子たちは私に対して、脅すような言葉を吐き続けていたが私はどうすれば円満に解決するかを考えていたので、全く聞こえてはいなかった。

「おい! 聞いてんのかぁ! あぁ!?」

 もう今すぐにでも手が出るんじゃないかと言う寸前に、私はある方法が思い付き片手を前へと突き出した。

「まぁ、待て。ここは円満に行こうじゃないか?」
「はぁ?」

 首を傾げる男子たちに私は自信満々の顔をしてから、突き出した片手を素早くスナップする様してどこからともなく1枚のカードを取り出して見せた。
 突然の事に男子たちもあ然とした顔をしていた。
 そして私は続けて、その1枚のカードを再び消して見せ、更には再度出現させ、その時には2枚のカードになると言うマジックを披露した。
 そう私が思い付いた解決策は、マジックで相手の戦意を喪失させてしまう作戦である。
 ある本で喧嘩を仕掛けてきた相手に、マジックを見せる事で興味をそちらに移させて喧嘩を免れたと言う物を呼んだ事があった為、それをこの場で使えば相手もナンパする気が失せて帰るのではと思ったのだった。

 ちょっと部屋で練習しておいて良かった~興味があったから密かに練習してたんだよね。
 まさかこんな場で披露する事になるとは思わなかったけど、上手く行って良かった~。
 私はこれで解決すると本当に思っていたが、現実はそう簡単に行くわけなく、男子たちは一度はポカーンとした顔をしていたものの直ぐに私に対して「それが何なんだ!」と怒鳴って来た。
 あれ? 何か逆効果だった?
 すると1人の男子が私に近付いて来て、私の胸元を握り締めようとした時だった。
 男子たちの背後から1人の男子が近付いて来て、私を胸元を握り締めようと男子の腕を背後から止めた。

「っ!? 何だ!」

 その男子がまさかの事に驚き、振り返りその男性を見て驚きの表情をした。

「おいおい、子猫ちゃんの悲鳴が聞こえたと思って来て見たら。暴力とは良くないな~」
「な、何であんたが……」

 そこに突然現れた男子と言うのは、ヒビキ・スノークであったのだ。
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