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第74話 波乱の同学年合同授業
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第3学年オービンからの第2学年への宣戦布告から次の日。
トウマたちの反論は見事に跳ね返され、同学年合同授業を迎え私たちはグラウンドに集まっていた。
だが、第2学年が全員集まったはいいが、次期寮長候補たちとトウマがちょっとした事で口論が始まり、今では完全に寮ごとに固まって言い合いになっていた。
「だから、何でお前の指示で動かないといけないんだっての!」
「別に指示出した訳じゃねぇって言ってんだろうが、ダンデ」
「いいや、あれは完全に見下した言い方だったわよ」
「うちは基本どうでもいいけど、トウマにそんな感じで言われると少し気に食わないな」
「だ・か・ら! そんな感じで言ってねぇって言ってんだろうが! 少しは人の話をきけやお前ら!」
集まってから誰も話さなかったので、最初にトウマが少しテンション低めに話し出したのを切っ掛けに今の口論状態に至っている。
ちなみに担当教員たちは今、席を外しているのでこの場にはいない。
とりあえず今日は大運動会の競技内容を確認して、出る人を決めて行こうという日だったが、それすら出来ない状態だった。
私は長々と続く言い合いにため息をついていた。
中心で言い合いをしている4人以外に、各寮が背後から「そうだそうだ」的な声を送っている状態だった。
そこには全員が参加しているわけではなく、私の様に呆れているのか面倒なのか、少し離れている人もいた。
私は全く大運動会の競技について知らないので、傍にいるアルジュに何があるのかと問いかけた。
「大運動会は全10種の競技があって、その競技には1人1種目しか出られないっていうルールがあるんだ」
「1種目しか出られないのか。すると、全員でるはめになるのか?」
私の問いかけにアルジュは頷いて答えた。
そしてアルジュは地面に、各競技名を書きながら説明してくれた。
大運動会の競技は、『徒競走』『借り物競争』『障害物競走』『大玉送り』『バトルロイヤル戦』『綱引き』『玉入れ』『棒倒し』『騎馬戦』『代表戦』の10種だと教えてくれた。
その中でもメインの物は『代表戦』であり、毎年最後の競技で名前の通り5名の代表者が、魔力や魔法と言った何でもありの勝負を行う競技だ。
ここだけは唯一盛り上がり、毎年だいだいどこかの寮長と次期寮長候補が対決しているそうだ。
また、他の競技も基本的には名前の通りイメージ出来るものとは言われ、魔力や魔法を駆使して1位を目指すものらしい。
詳しくはまた出場者を決める時に話されるから大丈夫だとされたが、どうしても『バトルロイヤル戦』と言うのが気になって仕方がなかった。
「なんだ委員長、クリスに競技を教えてるのか」
「フェルト。珍しいなお前が、こっちに居るななんて」
「まぁね。だってほら、あんな状態だしシンリみたいに巻き込まれたくないからね」
私とアルジュは逃げ遅れ、埋もれているシンリを見つめて「なるほど」と呟いた。
するとフェルトは、私が一番気になっていた競技について口にし出した。
「にしても、出場する競技を決めるのも面倒いよな。でも、適当にって言うとバトルロイヤル戦に流されるから、それだけは勘弁だな」
「そのバトルロイヤル戦ってのは何をするんだ?」
「聞いちゃうか、クリス。あれはな、正しく地獄だ。制限時間内にフィールド上から自分以外を落とす、完全戦闘競技だ。俺はああいうのが一番ダメなんだよ」
「完全戦闘競技……」
「言葉だけだと怖い感じするけど、例年ルールが変わるから今年はどうなるか分からないんだよね。でも、戦闘をするのは変わりないけど……」
「なるほど」
それを聞いた私は、絶対その競技だけには出ないと心に決めた。
そして大運動会の競技の話も一段落したが、未だに言い合いは続いており、これはいつまで続くんだと改めてため息をついた時だった。
「おいおい、たまたま通りかかったから見に来たら、言い合いの喧嘩とは余裕だね~後輩たちは」
とグラウンド外からエメルが声を掛けて来たのだった。
エメルの横には、副寮長のスニークが立っており、エメルがグラウンドの方に歩き出すとスニークは一歩後ろを歩いて付いて来た。
「確か第2学年は、今日から同学年合同授業だったよな。なのに、何もせずに喧嘩とは呆れちゃうね。まさか、昨日のオービンの宣戦布告を見てなかった? それとも、本当に冗談だと思ってるとか?」
まさかの寮長登場に皆が少しざわつく。
私は小声でアルジュに話し掛けた。
「何でこんな所に先輩がいるの? 先輩も今の時間は授業とかじゃないの?」
「第3学年になると、授業とかも人それぞれなんだよ。特に寮長とか副寮長は、ちょっと特別らしいよ。詳しく知らないけど」
「そうなのか……」
エメルの言葉に誰も返さずいると、エメルも何か言葉を返せと呆れたように言った。
だが、それでも誰も言葉を返す人はいなかった。
皆にとってエメルはただの先輩ではなく、寮長というこの学院でも凄いとされるたった4人の内の1人である為、軽々しく変な事を言えないと思っていたので誰も何も発さなかったのだ。
私は近くでオービン以外の寮長を見て、全く雰囲気が違うと感じ、オービンは寮長の中では接しやすい方なのではと思っていた。
「まぁいいけど。オービンかの言葉を、お前らがどう受け取ったとしても僕には関係ないからね。でも、よ~く分かったよ今の後輩が、全く大した事ない集団だってことがさ」
その言葉にその場にいた全員が反応すると、エメルは鼻で笑った。
「何も間違った事は言ってないだろ。だってよ、こんな状態見れば誰でもそう思うだろ。ただでさえ時間がないのによ、喧嘩してるし誰1人として勝ってやろうと言う奴がいないんだからよ。舐められたもんだよ、先輩ってのも」
「そ、それは」
「何だ、スバン。言い訳を言ってみろ」
「……い、いえ……」
「何も言えないか。まぁ、それもそうか。いきなり先輩から潰す宣言受けても、向き合えないよな。僕もあんまり乗り気じゃなかったけど……でもここで、やって来た奴とやってこなかった奴の差が出ると思ったから賛同したんだよね」
エメルは今まで3年間同じ生活をして来た奴らに、勝手に下に見られたりしたことがあるらしく、基本的には期末試験位しか上下をはっきりと示すものはなかったと急に話し出す。
試験ならたまたま良かったりすれば上位になり、ダメでも次があったりと所詮は同級生同士の物差しだと言い捨てた。
だが、この先も同級生とずっと勝負をしていくわけじゃなく、いずれは上とも下とも争う事になり、自分の実力を知って今まで見下していた奴が勝手に絶望するんだよと、少し笑いながら言った。
でも今年の大運動会では、第3学年が第2学年に宣戦布告した事で、先輩と言う立場で後輩に負けたら自分の立場も失い、周りからも馬鹿にされるという絶対的な状況に立たされた事で、今まで以上に第3学年は結束し成長していると言われる。
「ぺらぺらとここまで話したが、何が言いたいか分かったかな?」
エメルの問いかけに、数名は生唾を飲んだ。
「つまり、今の君らに僕たち第3学年が負けるわけないし、ぼこぼこにされて後輩や世間に醜態晒すのはそっちって事」
「世間?」
「あれ、まだ聞いてない? 今年は学院があるここ、ジェルバンスの街中で大運動会を中継するんだよ」
「!?」
まさかの情報に皆が驚きざわつく。
するとエメルはその場で背を向けて、グラウンドの外へと歩いて行く。
「まぁ、いまさらそんな事を知って焦ったとしても遅いけど。って、スニークからも何か言ってやれよ」
「いえ当方は寮長から何も言われないので、勝手に発言するわけには」
「あっそ。いいけどさ」
そしてそのまま立ち去って行くかと思われたが、暫くした所で止まりこちらを向いた。
「そうだ、1つアドバイスするの忘れてた。全力で立ち向かって、負けた雰囲気だせる練習した方がいいぞ。そうじゃないと、見苦しいからさ」
「なっ」
見下した言い方をしたエメルは、スニークと共にグラウンドから完全に立ち去って行った。
完全に馬鹿にされた言葉を言われ、さすがに皆も目の色が変わっていた。
ここまでコケにされた事はなかったのか、立ち去ったエメルの方を強く見ている人が多かった。
私もここまで言われるとは思わず、さすがにそこまで言われるいわれはないとムッとした。
普通に私たちの代も、遊んでいる訳じゃないし皆相応の力を持っている人ばかりだと言える。
だが、私を含め誰一人として言葉を発する者がいなかったのだ。
誰もがエメルの言われた通り、先程まで言い合いの喧嘩をしていたり、関心を持たない人がいたりと自分の事だけで完全にバラバラで、心の底では先輩からの宣戦布告が本気だと真に受けていないと見抜かれてしまい、言い返す言葉が無かったためだ。
「それで、あそこまで言われて、ただ黙ってるだけでいいの?」
そう口を開いたのは、レオンだった。
「なわけあるか! たとえ寮長でも、あそこまで言われる筋合いはない!」
「さすがに俺も頭に来たね! うちの寝てるだけ寮長も、あんな風に思ってるだと思うとさ」
「そうね。あの人に良い様に言われて終わるのだけはごめんだわ!」
「何にも言い返せなかった。くっそ! 先輩たちにあんな風に思われぱなっしなのは、ごめんだぜ!」
レオンの言葉を機に、次期寮長候補たちとトウマを筆頭に言葉を発すると、皆が一気に団結し始めた。
そこにタイミングよく担当教員たちもやって来て、目を疑うようなやる気と団結に驚いていた。
話し合いの結果、次期寮長候補であるダンデ・スバン・ロムロスと何故かトウマが各寮代表者として選ばれ、出場競技決めが行われた。
そしてこの日を機に、第2学年全体が初めて団結し、打倒第3学年を掲げて各出場競技ごとの連携や特訓が行われ、数日が経過するのだった。
――大運動会開催まで残り、16日
トウマたちの反論は見事に跳ね返され、同学年合同授業を迎え私たちはグラウンドに集まっていた。
だが、第2学年が全員集まったはいいが、次期寮長候補たちとトウマがちょっとした事で口論が始まり、今では完全に寮ごとに固まって言い合いになっていた。
「だから、何でお前の指示で動かないといけないんだっての!」
「別に指示出した訳じゃねぇって言ってんだろうが、ダンデ」
「いいや、あれは完全に見下した言い方だったわよ」
「うちは基本どうでもいいけど、トウマにそんな感じで言われると少し気に食わないな」
「だ・か・ら! そんな感じで言ってねぇって言ってんだろうが! 少しは人の話をきけやお前ら!」
集まってから誰も話さなかったので、最初にトウマが少しテンション低めに話し出したのを切っ掛けに今の口論状態に至っている。
ちなみに担当教員たちは今、席を外しているのでこの場にはいない。
とりあえず今日は大運動会の競技内容を確認して、出る人を決めて行こうという日だったが、それすら出来ない状態だった。
私は長々と続く言い合いにため息をついていた。
中心で言い合いをしている4人以外に、各寮が背後から「そうだそうだ」的な声を送っている状態だった。
そこには全員が参加しているわけではなく、私の様に呆れているのか面倒なのか、少し離れている人もいた。
私は全く大運動会の競技について知らないので、傍にいるアルジュに何があるのかと問いかけた。
「大運動会は全10種の競技があって、その競技には1人1種目しか出られないっていうルールがあるんだ」
「1種目しか出られないのか。すると、全員でるはめになるのか?」
私の問いかけにアルジュは頷いて答えた。
そしてアルジュは地面に、各競技名を書きながら説明してくれた。
大運動会の競技は、『徒競走』『借り物競争』『障害物競走』『大玉送り』『バトルロイヤル戦』『綱引き』『玉入れ』『棒倒し』『騎馬戦』『代表戦』の10種だと教えてくれた。
その中でもメインの物は『代表戦』であり、毎年最後の競技で名前の通り5名の代表者が、魔力や魔法と言った何でもありの勝負を行う競技だ。
ここだけは唯一盛り上がり、毎年だいだいどこかの寮長と次期寮長候補が対決しているそうだ。
また、他の競技も基本的には名前の通りイメージ出来るものとは言われ、魔力や魔法を駆使して1位を目指すものらしい。
詳しくはまた出場者を決める時に話されるから大丈夫だとされたが、どうしても『バトルロイヤル戦』と言うのが気になって仕方がなかった。
「なんだ委員長、クリスに競技を教えてるのか」
「フェルト。珍しいなお前が、こっちに居るななんて」
「まぁね。だってほら、あんな状態だしシンリみたいに巻き込まれたくないからね」
私とアルジュは逃げ遅れ、埋もれているシンリを見つめて「なるほど」と呟いた。
するとフェルトは、私が一番気になっていた競技について口にし出した。
「にしても、出場する競技を決めるのも面倒いよな。でも、適当にって言うとバトルロイヤル戦に流されるから、それだけは勘弁だな」
「そのバトルロイヤル戦ってのは何をするんだ?」
「聞いちゃうか、クリス。あれはな、正しく地獄だ。制限時間内にフィールド上から自分以外を落とす、完全戦闘競技だ。俺はああいうのが一番ダメなんだよ」
「完全戦闘競技……」
「言葉だけだと怖い感じするけど、例年ルールが変わるから今年はどうなるか分からないんだよね。でも、戦闘をするのは変わりないけど……」
「なるほど」
それを聞いた私は、絶対その競技だけには出ないと心に決めた。
そして大運動会の競技の話も一段落したが、未だに言い合いは続いており、これはいつまで続くんだと改めてため息をついた時だった。
「おいおい、たまたま通りかかったから見に来たら、言い合いの喧嘩とは余裕だね~後輩たちは」
とグラウンド外からエメルが声を掛けて来たのだった。
エメルの横には、副寮長のスニークが立っており、エメルがグラウンドの方に歩き出すとスニークは一歩後ろを歩いて付いて来た。
「確か第2学年は、今日から同学年合同授業だったよな。なのに、何もせずに喧嘩とは呆れちゃうね。まさか、昨日のオービンの宣戦布告を見てなかった? それとも、本当に冗談だと思ってるとか?」
まさかの寮長登場に皆が少しざわつく。
私は小声でアルジュに話し掛けた。
「何でこんな所に先輩がいるの? 先輩も今の時間は授業とかじゃないの?」
「第3学年になると、授業とかも人それぞれなんだよ。特に寮長とか副寮長は、ちょっと特別らしいよ。詳しく知らないけど」
「そうなのか……」
エメルの言葉に誰も返さずいると、エメルも何か言葉を返せと呆れたように言った。
だが、それでも誰も言葉を返す人はいなかった。
皆にとってエメルはただの先輩ではなく、寮長というこの学院でも凄いとされるたった4人の内の1人である為、軽々しく変な事を言えないと思っていたので誰も何も発さなかったのだ。
私は近くでオービン以外の寮長を見て、全く雰囲気が違うと感じ、オービンは寮長の中では接しやすい方なのではと思っていた。
「まぁいいけど。オービンかの言葉を、お前らがどう受け取ったとしても僕には関係ないからね。でも、よ~く分かったよ今の後輩が、全く大した事ない集団だってことがさ」
その言葉にその場にいた全員が反応すると、エメルは鼻で笑った。
「何も間違った事は言ってないだろ。だってよ、こんな状態見れば誰でもそう思うだろ。ただでさえ時間がないのによ、喧嘩してるし誰1人として勝ってやろうと言う奴がいないんだからよ。舐められたもんだよ、先輩ってのも」
「そ、それは」
「何だ、スバン。言い訳を言ってみろ」
「……い、いえ……」
「何も言えないか。まぁ、それもそうか。いきなり先輩から潰す宣言受けても、向き合えないよな。僕もあんまり乗り気じゃなかったけど……でもここで、やって来た奴とやってこなかった奴の差が出ると思ったから賛同したんだよね」
エメルは今まで3年間同じ生活をして来た奴らに、勝手に下に見られたりしたことがあるらしく、基本的には期末試験位しか上下をはっきりと示すものはなかったと急に話し出す。
試験ならたまたま良かったりすれば上位になり、ダメでも次があったりと所詮は同級生同士の物差しだと言い捨てた。
だが、この先も同級生とずっと勝負をしていくわけじゃなく、いずれは上とも下とも争う事になり、自分の実力を知って今まで見下していた奴が勝手に絶望するんだよと、少し笑いながら言った。
でも今年の大運動会では、第3学年が第2学年に宣戦布告した事で、先輩と言う立場で後輩に負けたら自分の立場も失い、周りからも馬鹿にされるという絶対的な状況に立たされた事で、今まで以上に第3学年は結束し成長していると言われる。
「ぺらぺらとここまで話したが、何が言いたいか分かったかな?」
エメルの問いかけに、数名は生唾を飲んだ。
「つまり、今の君らに僕たち第3学年が負けるわけないし、ぼこぼこにされて後輩や世間に醜態晒すのはそっちって事」
「世間?」
「あれ、まだ聞いてない? 今年は学院があるここ、ジェルバンスの街中で大運動会を中継するんだよ」
「!?」
まさかの情報に皆が驚きざわつく。
するとエメルはその場で背を向けて、グラウンドの外へと歩いて行く。
「まぁ、いまさらそんな事を知って焦ったとしても遅いけど。って、スニークからも何か言ってやれよ」
「いえ当方は寮長から何も言われないので、勝手に発言するわけには」
「あっそ。いいけどさ」
そしてそのまま立ち去って行くかと思われたが、暫くした所で止まりこちらを向いた。
「そうだ、1つアドバイスするの忘れてた。全力で立ち向かって、負けた雰囲気だせる練習した方がいいぞ。そうじゃないと、見苦しいからさ」
「なっ」
見下した言い方をしたエメルは、スニークと共にグラウンドから完全に立ち去って行った。
完全に馬鹿にされた言葉を言われ、さすがに皆も目の色が変わっていた。
ここまでコケにされた事はなかったのか、立ち去ったエメルの方を強く見ている人が多かった。
私もここまで言われるとは思わず、さすがにそこまで言われるいわれはないとムッとした。
普通に私たちの代も、遊んでいる訳じゃないし皆相応の力を持っている人ばかりだと言える。
だが、私を含め誰一人として言葉を発する者がいなかったのだ。
誰もがエメルの言われた通り、先程まで言い合いの喧嘩をしていたり、関心を持たない人がいたりと自分の事だけで完全にバラバラで、心の底では先輩からの宣戦布告が本気だと真に受けていないと見抜かれてしまい、言い返す言葉が無かったためだ。
「それで、あそこまで言われて、ただ黙ってるだけでいいの?」
そう口を開いたのは、レオンだった。
「なわけあるか! たとえ寮長でも、あそこまで言われる筋合いはない!」
「さすがに俺も頭に来たね! うちの寝てるだけ寮長も、あんな風に思ってるだと思うとさ」
「そうね。あの人に良い様に言われて終わるのだけはごめんだわ!」
「何にも言い返せなかった。くっそ! 先輩たちにあんな風に思われぱなっしなのは、ごめんだぜ!」
レオンの言葉を機に、次期寮長候補たちとトウマを筆頭に言葉を発すると、皆が一気に団結し始めた。
そこにタイミングよく担当教員たちもやって来て、目を疑うようなやる気と団結に驚いていた。
話し合いの結果、次期寮長候補であるダンデ・スバン・ロムロスと何故かトウマが各寮代表者として選ばれ、出場競技決めが行われた。
そしてこの日を機に、第2学年全体が初めて団結し、打倒第3学年を掲げて各出場競技ごとの連携や特訓が行われ、数日が経過するのだった。
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