72 / 564
第71話 第2学年を徹底的に潰したい
しおりを挟む
学院内のとある一室に、各寮長と副寮長が集まっていた。
だが、そんな中で唯一オービン寮の寮長だけがまだ到着していなかった。
「おい、ミカロス。これはどう言う事だ? 俺たちを呼び出しておいて、何でその当人がいないんだ?」
「全くその通りだ。ただ、ダイモンと同意見なのが納得いかないが」
エメルは、自分の手袋をいじりながらそう呟くと、ダイモンは立ち上がり声を荒げるが、副寮長のワイズに止められ鎮められる。
「僕としては、時間が経つにつれ調子が良くなるからいいけどね~」
「それは君だけだよ、イルダ」
「あれ? そうなの?」
イルダの答えにマルロスは、小さくため息をついた。
それぞれ色んな反応をする皆を見て、ミカロスが謝罪の言葉を述べて頭を下げた。
「お前が謝る事じゃねぇよ。と言うか、ミカロスはオービンと一緒に来てたんじゃねぇのか?」
「さっきまでは一緒だったんだが、ここに来る前に一度トイレに行くという事で俺だけ先に来たんだ。全くどこに行ったんだ?」
「オービンの時間にルーズな所は全く治らないね」
「確かにマルロスの言う通りだね。僕も結構寝過ごしたりするけど、オービンの方が遅刻とか多いよね」
「いやいや、君の方が遅刻は多いよ」
すると突然エメルが、口をはさんで来た。
「おいイルダ。前にも言ったよな、覚えてるのか?」
「ん? 何の事? 僕全然覚えてないんだけど」
「それだよ、それ。その僕っていう言葉だよ」
突然のエメルに指を指されて言われた事に、イルダは首を傾げた。
「だからこの中で唯一、僕とお前の一人称が被ってる事だよ。こんだけいて、何でここだけ被るんだ。それが嫌だから前に変える様に言ったろ」
「いや、僕は気にしてないよ。ここの皆が変わってるだけでしょ。てか、オービンとミカロスも一緒じゃん」
「そこはいいんだよ、僕と被ってないし。重要なのは、僕と被ってるってとこなんだ」
「何でそんな変な所にこだわるんだよ、エメル。別に誰も気にしてないよ」
「僕が気にしてるんだ。しかも、お前とは寮長という役割も被ってるから余計だよ」
「はー、そう言うもんなのマルロス?」
「自分に振らないで下さい」
そう言ってマルロスは顔を背けた。
そこからは何故か、エメルがイルダの一人称を変えるようにと言い続ける口論が続いた。
「おい、変なスイッチが入ってんぞお前んとこの寮長。止めろよ、スニーク」
「……」
「俺様の事を無視かよ!?」
「……」
「おい、スニーク! 無視するな!」
するとスニークはダイモンの方を見て、ポケットから紙を取り出しペンで文字を書きだしてダイモンに見せた。
そこに書かれていたのは、「当方に話し掛けるな」だった。
それを見たダイモンは再び頭に来て、立ち上がって声を荒げようとするが、寸前でワイズに止められる。
だが、先程とは違いダイモンの代わりにワイズが口を開いた。
「スニーク、もう少し寮長への言い方と言うものがあるだろ。お前も、自身の寮長に同じような事を言われたらどう思う」
「……」
「我輩も強くは言わないが、相手の事も少し考えた言葉使いをしてくれ」
「……ふん」
スニークはワイズにそう言われると、視線を前に戻してしまった。
その反応にダイモンが耐え切れず、ワイズの静止を振り切りスニークに怒鳴り声を上げた。
徐々にこの空間が、混沌としだしミカロスは頭を抱えた。
「(おいオービン、早く来てくれ。このままじゃ、話し合いすら出来なくなるぞ)」
そんな事をミカロスが思い始めた時だった、扉が突然開きオービンが入って来た。
「いや~ごめんごめん。部屋間違えちゃった……やっぱり、怒ってる?」
「やっと来たか、オービン」
オービンの到着に、ミカロスは小さく安堵の息をついた。
すると先程まで言い合っていたいた、寮長や副寮長たちが急に黙り込んだ。
そしてその中で、先に口を開いたのはダイモンだった。
「そりゃ、この空気を見れば分かるだろ。遅ぇんだよ、お前はいつも来るのがよ」
「本当に申し訳ない。俺が呼び出しておいて、一番最後に到着するのはあり得ないよな。本当に申し訳ない」
オービンはその場で頭を深く下げ、謝罪するとミカロスも同じように謝罪をした。
「もういい、オービン。その頭を上げろ。ダイモンも、そこまでされると思ってなくて、焦ってるぞ」
「ば、ばか! そ、そんなわけないだろ。適当な事言うな、エメル」
「で、何でわざわざ学院に帰って来た日に、招集をしたんだ?」
そう言われるとオービンは、ミカロスの横にある椅子に座り、招集した訳を話した。
「今日集まってもらったわけを単刀直入に言うと、もうすぐ開催される学年対抗戦もといい大運動会についてだ」
「大運動会についてだ?」
「珍しいな、オービンがイベント事で僕たちを呼び出すなんて」
「まぁ僕は、寝れる時間があれば何でもいいよ~」
「俺は、今年の大運動会では、下の代である第2学年を徹底的に潰したいんだよ」
各寮長が各々の意見を口にした後、オービンが放った言葉に各寮長と副寮長の目つきが変わった。
「ほぉ~面白い事いうじゃねぇか、オービン。俺様は乗るぜその案」
「ダイモン、お前は決断が早すぎるんだよ。それでも寮長か。まぁ、僕としても最近の下の代の気の緩みには、目を見張る所があるけども、どうしてそんな事を急に言い出すんだオービン」
「最もな意見だ、エメル。俺が、これを決めたのは最近の出来事が決定打だが、考えていたのは第2学年で前寮長から寮長を託された時だ」
そして、オービンは自身の考えを全て語り始めた。
この学院を卒業した先には、必ず困難な壁が立ち塞がると考えており、生徒である時は教員や先輩や親しい仲間たちの力を借りて乗り越えられる。
しかし、卒業してしまってはその支援の手も借りれない機会が多く、その困難な壁を越えられず諦めてしまう人がいる。
確かに力を借りても難しい時もあるが、何もしないで諦める事はして欲しくないと、オービンは言う。
あの時は仲間がいたから、情熱を持っていたからとか諦める理由を作るのは簡単だけど、そんな物を考える前に1歩でもいいので立ち向かう意思を、下の代またその下の代へと伝えたいと言い切る。
それを聞き、寮長たちからは共感されつつも、所詮はそれがなくても誰もが生きていけるや、自分たちがそれを大運動会で伝えられる訳がないと少し反対気味であった。
「そうだな、皆が言う事も最もだ。だが、俺はもう一方で第3学年として下の代の奴らに、最も強烈な印象を残してやりたいんだ。皆は今までの第3学年だった先輩たちから、思い出や優しさ以外に何か思えている物はあるか?」
「……そう言われると、あんまり覚えてないな。というか俺様、自由気ままにしてたし、興味がなかったな」
「僕も自分で勝手に勉強とかしてたから、関わりがほとんどないね。前寮長と少し話した位かな」
「ん~寝てることが多かったから、あんまりどう言う人か覚えてないな」
「皆俺が思ってたより、先輩との絡みが少ないな……つまり、皆がそうだったように下の代には対して凄い奴だと思われてないって事だ。どんだけ強かろうが、知識があろうが、力を持っていようが、所詮それは第3学年だからという印象で終わってるんだよ」
その言葉に、エメルとイルダは何かピンと来たようだが、ダイモンだけは首を傾けていた。
「ん~、つまり?」
「だから、お前のその武術とかは所詮第3学年になれば、身に付くもんだと下には思われているって事だ」
「何!? そんなわけあるか! 適当に過ごしてる奴に、俺様の武術が身に付く訳ないし、そもそも身に付けられるもんじゃねぇよ!」
エメルは、小さくため息をついて「そう言う事だ、脳筋が」とボソッと呟いた。
「それでどうだろうか、俺のわがままに付き合ってくれるか?」
「俺様は最初からやるって言ってたが、そんな風に思われるのは絶対ぇに嫌だから、付き合うに決まってるだろ! 俺様の凄さ、目に焼き付けさせてやるぞ!」
「ダイモンは置いといて、何かオービンに良い様に使われる感じはするが、僕もそう思われるは嫌だから付き合うよ。それに、オービンが初めて言ったわがままだし、初めて位は付き合ってやるよ」
「僕もいつも寝てるだけの、置物寮長って印象変えるチャンスだしやるよ。後輩たちに、僕の凄さを見せつけてやればいいんでしょ」
「皆ありがとう。とりあえず今日はこれでお開きにしよう。細かい事は、学院が始まって早々に話そう。後、くれぐれも今日の事は内密にね。友達とかにも言うなよ」
そうして寮長と副寮長たちは、オービンとミカロスを残して出て行った。
2人だけになると、オービンが机に思いっきりうつ伏せになり、疲れた声を出した。
「何とか他の寮長の賛同も取れたな、オービン。少しお前にしては強引な感じはしたが、彼らも舐めて見られるのが嫌いで良かったな」
「そうだな。あれで反応なかったら、どうしようかと思ったよ。でもまぁ、これで俺がやりたい困難な相手に立ち向かう構造は出来た。だけど、ここからが大変だ、どう下の代を焚き付けるかだ」
「意外とそれは何とかなるんじゃないか? それより、今回のわがままはあいつの為か?」
するとオービンは、起き上がり椅子の背もたれに寄りかかる。
「う~ん、それもあるけど、さっき言った印象も、困難に立ち向かう意思を持ってもらうも本当さ。ここでの経験を、この先心のどこかに置いてあれば、俺の願いは叶うからさ」
「ふっ」
「何でそこで笑うんだよ、ミカ」
オービンは鼻で笑うミカロスに、軽くツッコミを入れるとミカロスは「すまん」と軽く謝った。
「いや、流石次代の王様だなって思ってよ」
「そんなんじゃねぇよ。これは、俺のわがままでやる事で自己満足の為だ。と言うか、そんな事言うならミカ、お前は今も右側に居るから将来は俺の右腕だぞ」
「何を今さら言ってんだ、俺は元からそのつもりだぞオービン。いや、第一王子オービン・クリバンス」
「それは嫌がらせか、ミカ。後フルネームで呼ぶな、気恥ずかしい」
そう言ってオービンは立ち上がり、ミカと共に部屋を出て寮へと戻っていた。
だが、そんな中で唯一オービン寮の寮長だけがまだ到着していなかった。
「おい、ミカロス。これはどう言う事だ? 俺たちを呼び出しておいて、何でその当人がいないんだ?」
「全くその通りだ。ただ、ダイモンと同意見なのが納得いかないが」
エメルは、自分の手袋をいじりながらそう呟くと、ダイモンは立ち上がり声を荒げるが、副寮長のワイズに止められ鎮められる。
「僕としては、時間が経つにつれ調子が良くなるからいいけどね~」
「それは君だけだよ、イルダ」
「あれ? そうなの?」
イルダの答えにマルロスは、小さくため息をついた。
それぞれ色んな反応をする皆を見て、ミカロスが謝罪の言葉を述べて頭を下げた。
「お前が謝る事じゃねぇよ。と言うか、ミカロスはオービンと一緒に来てたんじゃねぇのか?」
「さっきまでは一緒だったんだが、ここに来る前に一度トイレに行くという事で俺だけ先に来たんだ。全くどこに行ったんだ?」
「オービンの時間にルーズな所は全く治らないね」
「確かにマルロスの言う通りだね。僕も結構寝過ごしたりするけど、オービンの方が遅刻とか多いよね」
「いやいや、君の方が遅刻は多いよ」
すると突然エメルが、口をはさんで来た。
「おいイルダ。前にも言ったよな、覚えてるのか?」
「ん? 何の事? 僕全然覚えてないんだけど」
「それだよ、それ。その僕っていう言葉だよ」
突然のエメルに指を指されて言われた事に、イルダは首を傾げた。
「だからこの中で唯一、僕とお前の一人称が被ってる事だよ。こんだけいて、何でここだけ被るんだ。それが嫌だから前に変える様に言ったろ」
「いや、僕は気にしてないよ。ここの皆が変わってるだけでしょ。てか、オービンとミカロスも一緒じゃん」
「そこはいいんだよ、僕と被ってないし。重要なのは、僕と被ってるってとこなんだ」
「何でそんな変な所にこだわるんだよ、エメル。別に誰も気にしてないよ」
「僕が気にしてるんだ。しかも、お前とは寮長という役割も被ってるから余計だよ」
「はー、そう言うもんなのマルロス?」
「自分に振らないで下さい」
そう言ってマルロスは顔を背けた。
そこからは何故か、エメルがイルダの一人称を変えるようにと言い続ける口論が続いた。
「おい、変なスイッチが入ってんぞお前んとこの寮長。止めろよ、スニーク」
「……」
「俺様の事を無視かよ!?」
「……」
「おい、スニーク! 無視するな!」
するとスニークはダイモンの方を見て、ポケットから紙を取り出しペンで文字を書きだしてダイモンに見せた。
そこに書かれていたのは、「当方に話し掛けるな」だった。
それを見たダイモンは再び頭に来て、立ち上がって声を荒げようとするが、寸前でワイズに止められる。
だが、先程とは違いダイモンの代わりにワイズが口を開いた。
「スニーク、もう少し寮長への言い方と言うものがあるだろ。お前も、自身の寮長に同じような事を言われたらどう思う」
「……」
「我輩も強くは言わないが、相手の事も少し考えた言葉使いをしてくれ」
「……ふん」
スニークはワイズにそう言われると、視線を前に戻してしまった。
その反応にダイモンが耐え切れず、ワイズの静止を振り切りスニークに怒鳴り声を上げた。
徐々にこの空間が、混沌としだしミカロスは頭を抱えた。
「(おいオービン、早く来てくれ。このままじゃ、話し合いすら出来なくなるぞ)」
そんな事をミカロスが思い始めた時だった、扉が突然開きオービンが入って来た。
「いや~ごめんごめん。部屋間違えちゃった……やっぱり、怒ってる?」
「やっと来たか、オービン」
オービンの到着に、ミカロスは小さく安堵の息をついた。
すると先程まで言い合っていたいた、寮長や副寮長たちが急に黙り込んだ。
そしてその中で、先に口を開いたのはダイモンだった。
「そりゃ、この空気を見れば分かるだろ。遅ぇんだよ、お前はいつも来るのがよ」
「本当に申し訳ない。俺が呼び出しておいて、一番最後に到着するのはあり得ないよな。本当に申し訳ない」
オービンはその場で頭を深く下げ、謝罪するとミカロスも同じように謝罪をした。
「もういい、オービン。その頭を上げろ。ダイモンも、そこまでされると思ってなくて、焦ってるぞ」
「ば、ばか! そ、そんなわけないだろ。適当な事言うな、エメル」
「で、何でわざわざ学院に帰って来た日に、招集をしたんだ?」
そう言われるとオービンは、ミカロスの横にある椅子に座り、招集した訳を話した。
「今日集まってもらったわけを単刀直入に言うと、もうすぐ開催される学年対抗戦もといい大運動会についてだ」
「大運動会についてだ?」
「珍しいな、オービンがイベント事で僕たちを呼び出すなんて」
「まぁ僕は、寝れる時間があれば何でもいいよ~」
「俺は、今年の大運動会では、下の代である第2学年を徹底的に潰したいんだよ」
各寮長が各々の意見を口にした後、オービンが放った言葉に各寮長と副寮長の目つきが変わった。
「ほぉ~面白い事いうじゃねぇか、オービン。俺様は乗るぜその案」
「ダイモン、お前は決断が早すぎるんだよ。それでも寮長か。まぁ、僕としても最近の下の代の気の緩みには、目を見張る所があるけども、どうしてそんな事を急に言い出すんだオービン」
「最もな意見だ、エメル。俺が、これを決めたのは最近の出来事が決定打だが、考えていたのは第2学年で前寮長から寮長を託された時だ」
そして、オービンは自身の考えを全て語り始めた。
この学院を卒業した先には、必ず困難な壁が立ち塞がると考えており、生徒である時は教員や先輩や親しい仲間たちの力を借りて乗り越えられる。
しかし、卒業してしまってはその支援の手も借りれない機会が多く、その困難な壁を越えられず諦めてしまう人がいる。
確かに力を借りても難しい時もあるが、何もしないで諦める事はして欲しくないと、オービンは言う。
あの時は仲間がいたから、情熱を持っていたからとか諦める理由を作るのは簡単だけど、そんな物を考える前に1歩でもいいので立ち向かう意思を、下の代またその下の代へと伝えたいと言い切る。
それを聞き、寮長たちからは共感されつつも、所詮はそれがなくても誰もが生きていけるや、自分たちがそれを大運動会で伝えられる訳がないと少し反対気味であった。
「そうだな、皆が言う事も最もだ。だが、俺はもう一方で第3学年として下の代の奴らに、最も強烈な印象を残してやりたいんだ。皆は今までの第3学年だった先輩たちから、思い出や優しさ以外に何か思えている物はあるか?」
「……そう言われると、あんまり覚えてないな。というか俺様、自由気ままにしてたし、興味がなかったな」
「僕も自分で勝手に勉強とかしてたから、関わりがほとんどないね。前寮長と少し話した位かな」
「ん~寝てることが多かったから、あんまりどう言う人か覚えてないな」
「皆俺が思ってたより、先輩との絡みが少ないな……つまり、皆がそうだったように下の代には対して凄い奴だと思われてないって事だ。どんだけ強かろうが、知識があろうが、力を持っていようが、所詮それは第3学年だからという印象で終わってるんだよ」
その言葉に、エメルとイルダは何かピンと来たようだが、ダイモンだけは首を傾けていた。
「ん~、つまり?」
「だから、お前のその武術とかは所詮第3学年になれば、身に付くもんだと下には思われているって事だ」
「何!? そんなわけあるか! 適当に過ごしてる奴に、俺様の武術が身に付く訳ないし、そもそも身に付けられるもんじゃねぇよ!」
エメルは、小さくため息をついて「そう言う事だ、脳筋が」とボソッと呟いた。
「それでどうだろうか、俺のわがままに付き合ってくれるか?」
「俺様は最初からやるって言ってたが、そんな風に思われるのは絶対ぇに嫌だから、付き合うに決まってるだろ! 俺様の凄さ、目に焼き付けさせてやるぞ!」
「ダイモンは置いといて、何かオービンに良い様に使われる感じはするが、僕もそう思われるは嫌だから付き合うよ。それに、オービンが初めて言ったわがままだし、初めて位は付き合ってやるよ」
「僕もいつも寝てるだけの、置物寮長って印象変えるチャンスだしやるよ。後輩たちに、僕の凄さを見せつけてやればいいんでしょ」
「皆ありがとう。とりあえず今日はこれでお開きにしよう。細かい事は、学院が始まって早々に話そう。後、くれぐれも今日の事は内密にね。友達とかにも言うなよ」
そうして寮長と副寮長たちは、オービンとミカロスを残して出て行った。
2人だけになると、オービンが机に思いっきりうつ伏せになり、疲れた声を出した。
「何とか他の寮長の賛同も取れたな、オービン。少しお前にしては強引な感じはしたが、彼らも舐めて見られるのが嫌いで良かったな」
「そうだな。あれで反応なかったら、どうしようかと思ったよ。でもまぁ、これで俺がやりたい困難な相手に立ち向かう構造は出来た。だけど、ここからが大変だ、どう下の代を焚き付けるかだ」
「意外とそれは何とかなるんじゃないか? それより、今回のわがままはあいつの為か?」
するとオービンは、起き上がり椅子の背もたれに寄りかかる。
「う~ん、それもあるけど、さっき言った印象も、困難に立ち向かう意思を持ってもらうも本当さ。ここでの経験を、この先心のどこかに置いてあれば、俺の願いは叶うからさ」
「ふっ」
「何でそこで笑うんだよ、ミカ」
オービンは鼻で笑うミカロスに、軽くツッコミを入れるとミカロスは「すまん」と軽く謝った。
「いや、流石次代の王様だなって思ってよ」
「そんなんじゃねぇよ。これは、俺のわがままでやる事で自己満足の為だ。と言うか、そんな事言うならミカ、お前は今も右側に居るから将来は俺の右腕だぞ」
「何を今さら言ってんだ、俺は元からそのつもりだぞオービン。いや、第一王子オービン・クリバンス」
「それは嫌がらせか、ミカ。後フルネームで呼ぶな、気恥ずかしい」
そう言ってオービンは立ち上がり、ミカと共に部屋を出て寮へと戻っていた。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~
薄味メロン
恋愛
HOTランキング 1位 (2019.9.18)
お気に入り4000人突破しました。
次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。
だが、誰も知らなかった。
「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」
「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」
メアリが、追放の準備を整えていたことに。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる