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第34話 もしかして俺のこと好きなのか?

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 ルークがフェルトと戻って来た時、私はルークと目が合うとルークがこちらにやって来た。
 私は面倒な奴に目を付けられたと、目を逸らしていると目の前に座って話し掛けて来た。

「クリス、今日の試合は残念だったな。悔しいか?」
「全くお前は、言い方が嫌味ったらしいんだよ! てか、今日は試合の時、全然ちょっかいかけてこないし、怖い表情するし、お前が変で調子が出なかっただけだ!」
「っ、お前、そんなに俺のこと見てたのか」
「っ!!」

 にやついた表情で、私を見つめてくるルークに、私は変な事を言ってしまったと気付き、すぐに顔をそっぽに向けた。
 そこへトウマが、俺も混ぜろと言いながら飲み物片手に、私の隣に座った。

「おいルーク、お前さっき俺のこと見捨てたろ」
「だって、お前が俺に面倒事を押し付けそうだったからだよ」
「そんな事ねぇよ! てか、他の寮の奴らを打ち上げに誘ってたの、フェルトだったわ。あいつ、勝手に色んな所に声掛けやがってよ」

 トウマは愚痴を漏らしつつ、フェルトは打ち上げはやっぱり、人数多い方が面白いし、楽しいだろと笑顔で言っていたらしい。
 私は顔が広いフェルトだから、盛り上げてやろうと思っていたのではと言うと、ルークがどうだかと返してきた。
 ルークは近くにあった飲み物をコップに入れながら、あいつは意外と何考えているか分からない奴だからなと言われた。

 するとルークは飲み物を一口飲むと、私の方を見て、それで例のアレはいつやると聞いて来て、私は飲みかけてた飲み物を噴き出した。
 突然のことにトウマは驚き、私はギロッとルークを睨んで、今それを言うなという念を強く送った。
 だがルークは、それを分かりつつ悪い顔をして話し続けた。

「大丈夫か、クリス? 急にむせるなんてどうしたんだ?」

 その顔は完全に、私が焦る姿を見て楽しんでいると分かった。

「お前が分かってて、俺をからかうからだ!」
「何言ってるんだクリス。俺は別に、からかったつもりはないけど」
「は? お前が急に、デーッ!!」
「?」

 私はそこまで言いかけて、咄嗟に口を抑えた。
 ルークが、分かりながらからかうから、勢いでデートと言いかけてしまい、自分からボロを出す所だと気付いたが、トウマは近くで聞いていたので、疑心の目でじっと見られた。
 私はトウマの視線を気付きながら、目を合わせない様にそっぽを向いていた。
 だが、トウマの疑念の目は私からルークに向いた。

「おいルーク、お前クリスと何かするのか?」
「別に、トウマには関係ないだろ?」
「いいや、関係大ありだね! 同室であるクリスに、変な事させようとしてるんじゃねぇのか? お前は昔から悪戯とかする時、そんな悪い顔してたからな」
「へ~よく見てるな、トウマ」

 何故か私に詰め寄るのではなく、トウマはルークに詰め寄り少し険悪な感じになっていた。
 あれ? これ、今どういう状況なの? 何で2人がそんな感じになるの?
 私は、何故2人がそんな感じになっているのか分からず困っていると、ルークが私の方を見てトウマに言い返した。

「だけど、お前に言えることはないな。なんせ、これは俺とクリスとの問題だからね」
「お前とクリスの問題だと?」

 おいおいルーク、それじゃ余計にトウマが怪しむだろうが! そこは、適当な事言って切り抜けろよ!
 私が表情でルークにそう訴えるが、既に全くこっちを見ていないので、伝わっていなかった。
 そんな状況を傍から見た仲間たちは、あいつら仲いいなとか、ルークはクリスが来てから柔らかくなったよなと、優しい目で見ていた。
 そんな風に見られているとは知らずに、私は目の前の状況を何とかしなければと思い、咄嗟に割って入った。

「ト、トウマ。そのルークとは、ちょっと賭け事をしてそれに私が負けたから、今度ルークの用事に付き合うことになってるだけなんだよ。決して、変な意味があるわけじゃないんだよ!」
「ふ~ん」

 トウマはそれを聞いて、ルークの顔を見て嘘じゃなさそうだなと呟き、その場は何とか収まった。
 直ぐに私はルークの方を見て、勢いよく睨んで訴えると、ルークは何故かすかした笑いを向けて来た。
 何でそんな顔を向けてるんだよ、お前! こっちは、正体がバレという人生が掛かってるんだよ! もう少し真剣に向き合え!
 私は、心の中で叫びながらルークに訴え終えると、ひとまず落ち着こうと座り、右手近くにあったコップを取った。
 ルークの代わりに対応したことで、急に喉が乾いたので、コップの中身を一気に飲み込んだ。
 すると何故か、体中が熱くなりだした。

「にしてもだな、ルーク賭け事でクリスを振り回すのは、よくないだろ?」
「俺からじゃないぞ、トウマ。この賭け事は、クリスからだからな」
「なっ! おい、クリス本当かよ?」

 そうトウマが、勢いよく私の方に視線を向けるが、私はぐったりして下を向いていた。
 突然スイッチが切れたような体勢に、トウマは不思議がっていた。

「ん? おい、クリス? おーい、聞こえてるか?」
「……」

 だが、トウマの呼びかけに私が反応しないため、ルークも気になりだし声を掛けられるも、同じく返答がなく2人が顔を見合わせた。
 暫く2人は私の顔を覗き込むように見ていると、私はいきなり顔を上げた。
 起きてたことに、ほっとしたトウマがもう一度問いかけると、私は少し目つきが悪い感じで、トウマを見つめた。
 トウマは、いきなりまっすぐ目を見られて少し恥ずかしくなったのか、目を逸らした。
 私は徐々にトウマに近付いていき、トウマは何故か両目を瞑った次の瞬間、私はしゃっくりをした。

「ん? 今、しゃっくりしたか?」
「しゃっくりしたか、じゃないんだよトウマ!」

 突然の私の怒った感じの口調に驚く、トウマとルーク。
 いきなりどうしたんだとトウマが聞くも、全く聞く耳を持たずに、私は話し続けた。

「いいかトウマ。こんな機会だか言うが、ちょっと前のお前、少しうざいくらい付きまとってきて、はっきり言って気持ち悪かった!」
「ぶっ!」
「は?」

 私の発言を聞き、ルークが噴き出すと、トウマはとてつもなく困惑した顔を私に向けていた。
 そのまま私は、最近のトウマのうざったさを皆が聞いている中、大声でぶちまけると、トウマは机に突っ伏して完全にKO状態になってしまう。
 そんな状況を笑って見ていたルークに、私は標的を移し目線を向けた。

「おいルーク、ひぅっく。お前にも言いたいことがある。あるんだよ」
「……おい、トウマ。起きろ」
「うぅぅ……何だよ、ルーク。今の俺は、心がボロボロなんだが……」

 私が少し、しどろもどろな口調な時に、ルークはトウマを起こし、クリスがさっき飲み干した飲み物はお前のじゃないかと問いかける。
 するとトウマは、そんな事ないだろと言いつつ、目線を向けると、小さくあっと言う。

「これ、ダンデの奴に並々に入れられて、貰ったやつだ。皆、意外と警戒して飲まないからと言って、俺に入れられたんだよ」
「なるほど。それをクリスは、一気に飲み干したって事か……はぁー、どうすんだよコイツ」
「おい! 聞いてるのか、ルーク。お前はな、いつもいつもからかってきやがって、何がしたいんだ! 初めは無視してた癖によ、急に態度が変わったりしやがって」

 私の言葉にルークの眉が少し動く。
 そのまま私は、日ごろの鬱憤を晴らすように色々と言い始めると、ルークは立ち上がりその場から去ろうとする。
 それを私は逃がさないと言って、少しふらつきながらルークの首元の襟を掴み引っ張った。

「ぐっ、お前な、何すんだよ」
「話はまだ終わってないぞ! と言うか、お前な第二王子と言われるの気にしてたり、一匹狼みたいなの気取ったり、俺にすかした笑顔をしたり、あと、あと……」
「おいクリス。いいから離せよ」
「器がちっせえよ、お前!」
「っ!!」

 私が大声でルークに放った言葉で、周囲の動きが一瞬止まり、私たちの方に視線を向けた。

「あっ、それとお前、もしかして俺のこと好きなのか?」
「うっ、お前な……酔ってるかしらねぇが、言っていい事と悪い事くらい判断できねぇのか?」

 私が屈託のない笑顔をルークに向けていると、目元が少しピクピクしながら、私の方を振り向いた。

「うっせぇ、ばーーか」
「あははは……お前くらいだよ、俺に向かってそんな事言う奴は。何でそんなに真っすぐ、俺にそんな事が言えるんだ、お前は」

 乾いた笑いが出た後ルークは、ぐっと私に近付いて来た。
 するとそこにフェルトがルークの肩を組むように現れた。

「はいはい、そこ喧嘩しない。ほら、ルークもグイッと飲んで落ち着けって」
「おいっ、フェルト、お前まさかそれっ」

 ルークの言葉を無視して、フェルト持ってきた飲み物をルークの口に一気に流し込んだ。
 流し込まれた飲み物を、ルークは飲み込んでしまい、徐々に体が熱くなり始める。
 すると正面にいた私が前後に揺れ始めた直後、勢いよくルークに向かって頭突きをして、私はその反動で後ろへと倒れるが床と当たる前に、近くにいたアルジュが抱えてくれた。
 私はその時点で、眠りについてしまう。
 一方、私の頭突きをくらったルークは、頭を抱えていた。

「いってぇー……なんつう、硬い頭してるんだお前……いてぇ……」
「そんな時は、もう一口いくと、よくなるらしいぞ」

 そこにフェルトが飲み物を再び手にして、ルークに迫り口元に飲み物を当てた。

「フェルトお前、やっぱりその変な絡み方、もう酔ってるな」
「さぁ~どうだろうね~。それより、ルークももう一口いくと痛みもなくなるぞ!」
「っう!」

 フェルトに強引に飲み物を押し込まれ、ルークは抵抗できず反動で飲み込んでしまう。
 直後ルークも、徐々に普通に立っていられず、机に手を付いた。
 それを見たトウマが、大丈夫かと近寄ると、突然ルークは熱い! と言いながら上半身の服を脱いだ。

「っ!?」

 まさかのルークの行動に、一同は目が点になる。
 するとルークは椅子に座り、片腕を机に立てた。

「おい、トウマ腕相撲勝負だ。もし俺に勝ったら、100いや、1000ポイントやるよ」
「ルーク、しっかりしろ。お前、大丈夫か?」
「大丈夫かだと? そんなの大丈夫に決まってるだろ! いいから、腕だぜ。早くやるぞ」

 トウマは勢いに言われるまま、腕をだし手を握った直後、勢いよくルーク腕を倒される。

「いって!」
「弱いなトウマ。俺の勝ちだ。さぁ、早く服脱げ」
「はぁ? お前、何言ってるんだよ」
「まぁいいや。おい、他に俺と勝負する奴いないか? 勝ったら1000ポイントやるぞ!」

 その声に、周囲の奴がぞろぞろと集まりだし、腕相撲勝負が始まって行った。
 それからだった、徐々にダンデが持ってきた飲み物に、皆が飲まれ始め暴走し始めたのだ。
 服を脱ぐ奴、壁に絵を描き始めて笑う奴、筋トレをする集団、ただ飲み物を飲みまくる奴が増えて行き、空間がカオス状態になるのをトウマは見ていたのだった。
 そして時間が経つにつれ、その場で寝るように倒れる奴が増えて行く中、ルークに再び目を付けられ勝負させられたのだった。

 そこからはトウマも記憶がないらしく、状況からルーク負けて服を脱がされて、誰かにダンデが持ってきた飲み物を飲まされたのだと言っていた。
 こうして、悲劇の打ち上げ会場が出来上がったのだと、私は理解した。
 そして私は、ルーク向けて発言した事は、忘れようと決めた。
 どうせあいつも、覚えてないだろうという事にしたのだった。

「それで、この後どうするんだ、これ?」
「そんなの決まってるだろ。片っ端から起こして、片付けだ」
「だよね~」
「「はぁ~」」

 私とトウマは大きなため息をついた後、寝ている奴を起こして、片付けを始めた。
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