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第27話 第一期期末試験①~ペンが俺の救世主ちゃん~
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遂にこの時がやって来てしまった。
そう、学院生活で避けて通れない期末試験の日が。
期末試験当日私は、いつもより1時間程早く目が覚めてしまった。
私は起きると、そのまま机へと向かい、教科書やノートを開き学科試験の見直しを始めた。
期末試験とは、王都メルト魔法学院の各期の締めくくりとして、年に3回行われるものだ。
その試験は基本的に、3日間で行われ、最後には試験点数に応じた順位や成績が判明する。
具体的には、最初の2日間は学科試験が計6科目行われ、2日目の午後には学科試験の成績が判定し、一時的な順位も分かる。
最終日3日目には実力試験が行われ、毎年当日にならないと何が行われるかは不明の為、対策の使用はない。
なので、日々の積み重ねが実力試験の結果として出る場になっている。
そして最終日の結果を含めて、学科試験の点数と実力試験の点数を合計した点数によって、各寮内ごとと全寮合わせた最終順位が発表される。
またこの学院では、ポイント制度がある為期末試験にもそれが適応されており、順位が高い者にはポイント付与されるが、低い者はポイント減少されるのである。
そんな制度がある為か分からないが、皆も毎期の期末試験は真剣に望んでいるらしい。
そして私も、この期末試験には万全の態勢で臨むつもりだ。
理由は2つある。
1つ目は、当初の目的であるルークに期末試験で勝ち、あの伸びきった鼻を折るためだ。
今じゃ少し、私的な感情もあるのであいつに勝って、参ったと一度くらいは言わせてやりたいと思っている。
そして、2つ目はルークと交わした条件だ。
あいつに女性だと知られた時に、黙っている条件として交わしたものだ。
期末試験で負けてしまったら、デートなどと言いやがって、絶対に負けるわけにはいかない。
誰がテメェとなんてデートなんかするか! お前は、私のフリフリした女性服を着ているのを見て、あざけ笑うだけだと言う魂胆は、お見通しなんだよ!
私は一人で、ルークに対して敵対心をむき出し手にしながら、学科試験の復習をしているとトウマが起きてくる。
「んーーっ! よく寝た~。んぁ、何だクリス、起きるの早いな、もしかして期末試験当日に緊張して、寝れなかったとかか?」
「そんな事ないよ、トウマ。俺もさっき起きた所だし、期末試験の準備も完璧だから、今から腕が鳴るんだよ」
「お前凄いな、期末試験への気持ちの入れようが。そんなにポイント貰いたいのか?」
「いや、そう言う訳じゃなくて、ルークに勝って、あのいけ好かない顔を歪めたいんだよ」
「なるほどな~ルークをライバル視してるってわけね。でもお前、何でそんなにルークをライバル視するんだ? 確かに、あいつに少し構って欲しいとは言ったけど、そこまでしなくてもいいんだぞ? なんせあいつはあれでも、去年の最終期末試験で全寮中トップ成績だった奴だぞ」
「それは知ってる。だけど、こっちも色々馬鹿にされたり、いじられたりとかで鬱憤があるんだよ。あと、ちょっとした条件とか」
私は最後の方に、ボソッと小さく呟いた。
トウマには聞こえていなかったらしく、気軽にまぁ頑張れよと言ってくれた。
私はトウマは期末試験の準備はどうなのかと問いかけると、一本の六角形のペンを自慢げに見せつけて来た。
それは何なのかと私が言うと、トウマはそのペンを天に掲げた。
「これは、俺を救ってくれる救世主なんだよ! 前回の最終期末試験もこのペンで、ギリギリポイント減点順位から免れたんだよ!」
「はぁ~」
「おいおい、何だよその気の抜けたはぁ~は! 馬鹿にするなよ、このペンで自己最高までも出してるんだぞ!」
「トウマ、そんな運頼みじゃなくて、普通に勉強すれば点数は取れるんだよ」
「そんな正論を俺は求めないんだ! 運も実力のうちって言うだろ」
「まぁトウマがいいなら、別に俺はいいけどさぁ」
「大丈夫、大丈夫。全く勉強してない訳じゃないし、このペンもあるから準備万端なんだよ、俺は。さあ、今回も頼むよ、俺の救世主ちゃん!」
その後、私の復習が終わると同じ位にトウマも着替え終わり、一緒に食堂に向かい皆と朝食を食べた後、支度を済ませ寮を出た。
学院の教室に到着し入ると、既にルークが座っていた。
「よぉ、クリス。遂に期末試験だな。どうだ、準備の方は完璧か?」
「あぁ、もちろんだ! お前に心配されるいわれはない! お前こそ、自分の心配をしたらどうだ?」
「俺かい? お前にどう見えてるか知らんが、これでも日々の勉学はみっちりしてる方なんだよ。なんせ、前回の最終期末試験では、寮全体でトップだったしな」
ルークが私に自慢するように言い切る表情に、私は心底ムカついた。
何なのこいつは! どんだけ自信満々なんだよ! 絶対に負かしてやる!
ルークの言葉に、私の負けず嫌いの心に更に火が付いた。
「見てろ、絶対にお前より上の成績取ってやるからな、覚悟してろ」
「それは、それは、とても楽しみだ。そのやる気が空回りしない事を祈ってるよ」
そのまま私は、自分の席についた。
全くあいつは、最後まですかしたこと言いやがって! 絶対に目に物見せてやる!
そして席に座り規定時刻まで待っていると、担当の教員が入って来て、試験についての説明が始まる。
15分後、各手元に最初の学科試験問題が配布された。
学院のチャイムの音が試験開始の合図の為、全員が静かにその合図を待っていた。
そして遂に、チャイムの音が鳴り響くと、第一期期末試験の学科試験が開始された。
そう、学院生活で避けて通れない期末試験の日が。
期末試験当日私は、いつもより1時間程早く目が覚めてしまった。
私は起きると、そのまま机へと向かい、教科書やノートを開き学科試験の見直しを始めた。
期末試験とは、王都メルト魔法学院の各期の締めくくりとして、年に3回行われるものだ。
その試験は基本的に、3日間で行われ、最後には試験点数に応じた順位や成績が判明する。
具体的には、最初の2日間は学科試験が計6科目行われ、2日目の午後には学科試験の成績が判定し、一時的な順位も分かる。
最終日3日目には実力試験が行われ、毎年当日にならないと何が行われるかは不明の為、対策の使用はない。
なので、日々の積み重ねが実力試験の結果として出る場になっている。
そして最終日の結果を含めて、学科試験の点数と実力試験の点数を合計した点数によって、各寮内ごとと全寮合わせた最終順位が発表される。
またこの学院では、ポイント制度がある為期末試験にもそれが適応されており、順位が高い者にはポイント付与されるが、低い者はポイント減少されるのである。
そんな制度がある為か分からないが、皆も毎期の期末試験は真剣に望んでいるらしい。
そして私も、この期末試験には万全の態勢で臨むつもりだ。
理由は2つある。
1つ目は、当初の目的であるルークに期末試験で勝ち、あの伸びきった鼻を折るためだ。
今じゃ少し、私的な感情もあるのであいつに勝って、参ったと一度くらいは言わせてやりたいと思っている。
そして、2つ目はルークと交わした条件だ。
あいつに女性だと知られた時に、黙っている条件として交わしたものだ。
期末試験で負けてしまったら、デートなどと言いやがって、絶対に負けるわけにはいかない。
誰がテメェとなんてデートなんかするか! お前は、私のフリフリした女性服を着ているのを見て、あざけ笑うだけだと言う魂胆は、お見通しなんだよ!
私は一人で、ルークに対して敵対心をむき出し手にしながら、学科試験の復習をしているとトウマが起きてくる。
「んーーっ! よく寝た~。んぁ、何だクリス、起きるの早いな、もしかして期末試験当日に緊張して、寝れなかったとかか?」
「そんな事ないよ、トウマ。俺もさっき起きた所だし、期末試験の準備も完璧だから、今から腕が鳴るんだよ」
「お前凄いな、期末試験への気持ちの入れようが。そんなにポイント貰いたいのか?」
「いや、そう言う訳じゃなくて、ルークに勝って、あのいけ好かない顔を歪めたいんだよ」
「なるほどな~ルークをライバル視してるってわけね。でもお前、何でそんなにルークをライバル視するんだ? 確かに、あいつに少し構って欲しいとは言ったけど、そこまでしなくてもいいんだぞ? なんせあいつはあれでも、去年の最終期末試験で全寮中トップ成績だった奴だぞ」
「それは知ってる。だけど、こっちも色々馬鹿にされたり、いじられたりとかで鬱憤があるんだよ。あと、ちょっとした条件とか」
私は最後の方に、ボソッと小さく呟いた。
トウマには聞こえていなかったらしく、気軽にまぁ頑張れよと言ってくれた。
私はトウマは期末試験の準備はどうなのかと問いかけると、一本の六角形のペンを自慢げに見せつけて来た。
それは何なのかと私が言うと、トウマはそのペンを天に掲げた。
「これは、俺を救ってくれる救世主なんだよ! 前回の最終期末試験もこのペンで、ギリギリポイント減点順位から免れたんだよ!」
「はぁ~」
「おいおい、何だよその気の抜けたはぁ~は! 馬鹿にするなよ、このペンで自己最高までも出してるんだぞ!」
「トウマ、そんな運頼みじゃなくて、普通に勉強すれば点数は取れるんだよ」
「そんな正論を俺は求めないんだ! 運も実力のうちって言うだろ」
「まぁトウマがいいなら、別に俺はいいけどさぁ」
「大丈夫、大丈夫。全く勉強してない訳じゃないし、このペンもあるから準備万端なんだよ、俺は。さあ、今回も頼むよ、俺の救世主ちゃん!」
その後、私の復習が終わると同じ位にトウマも着替え終わり、一緒に食堂に向かい皆と朝食を食べた後、支度を済ませ寮を出た。
学院の教室に到着し入ると、既にルークが座っていた。
「よぉ、クリス。遂に期末試験だな。どうだ、準備の方は完璧か?」
「あぁ、もちろんだ! お前に心配されるいわれはない! お前こそ、自分の心配をしたらどうだ?」
「俺かい? お前にどう見えてるか知らんが、これでも日々の勉学はみっちりしてる方なんだよ。なんせ、前回の最終期末試験では、寮全体でトップだったしな」
ルークが私に自慢するように言い切る表情に、私は心底ムカついた。
何なのこいつは! どんだけ自信満々なんだよ! 絶対に負かしてやる!
ルークの言葉に、私の負けず嫌いの心に更に火が付いた。
「見てろ、絶対にお前より上の成績取ってやるからな、覚悟してろ」
「それは、それは、とても楽しみだ。そのやる気が空回りしない事を祈ってるよ」
そのまま私は、自分の席についた。
全くあいつは、最後まですかしたこと言いやがって! 絶対に目に物見せてやる!
そして席に座り規定時刻まで待っていると、担当の教員が入って来て、試験についての説明が始まる。
15分後、各手元に最初の学科試験問題が配布された。
学院のチャイムの音が試験開始の合図の為、全員が静かにその合図を待っていた。
そして遂に、チャイムの音が鳴り響くと、第一期期末試験の学科試験が開始された。
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