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第13話.またケツかぁ、壊れちゃうよぉ?

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 エルーイ家で働く使用人達は夕方になれば皆仕事を終えて各々屋敷や寮へ戻り体を休めていた。
 夕方からは別の使用人が交代して夕食の準備や夜の見回りなどをする。
 三交代制をとっているようで残業は基本的に禁止らしい。
 見ているかブラック企業共!
 夕食は収穫されたものの他に、取引で手に入れた肉や野菜、魚などが使用され、長テーブルに俺とセリシア、そしてミュリオが着席して豪華な食事が振る舞われた。
 街の酒場で提供されている料理とは比べ物にならないな……。
 取引の関係上、調味料や香辛料を手に入れやすいのだろう、ここでの料理はまさに一味違うってやつなのだろう。

「うんまっ」
「料理人の腕がいいの、素材も調理の仕方も絶妙で、一時期はSランクパーティの調理係をやっていたのだけれど、彼には戦闘があまりできないという理由からまともな報酬が払われてなかったからわたくしが引き抜いたのですわ」
「引き抜いて正解だね」
「ここにいる方々は腕があるのにいい扱いを受けなかった者が多くて。何人も引き抜いてきましたが、おかげで悪い噂に拍車が掛かりましたの」
「なるほどね。まあ君が意地悪な悪徳令嬢っていう噂が広まっていたとしても俺は否定しないと思うけど」
「料理の締めは楠生さんのもも肉ですわよ」
「ごめんなさい! 冗談ですぅ!」

 先ほど話に出た料理人がにこやかな笑顔で顔を覗かせていた。
 引っ込んでいてくれ、俺は素材じゃあないよー!
 一通りの食事を終えて、満腹感と満足感に満たされながら俺は使用人から注がれる赤ワインを頂いた。
 ふふんっ、この世界は未成年が酒を飲んじゃいけないっていうルールはないんだ。

「美味いっ……」
「でしょう? 飲みすぎないようにしてくださいませ」

 セリシアは淑やかに飲む。飲み慣れてますな。
 ミュリオは飲まないようだが、もしや飲めないのかな?
 程よくいい気分になって夕食を終えて、入浴前の軽い散歩をするとした。
 外は夜の見回りがおり、ランプを手にした使用人が巡回をしていた。
 この世界のランプは魔力石に炎属性を付与させればいいだけだから便利だ。
 夜の山は本当に暗い。
 彼らは歩きなれているだろうから迷いなく巡回をしているけれど、人外のものが出てきそうでちょいと怖い。
 寮のほうは光が宿っており、中からは陽気な笑い声が聞こえてくる。楽しそうだ。

「……行ってみよっかな」

 通りかかった巡回の方に一言伝えて、俺は寮に突撃した。

「おっ、客人じゃないか! どうしたんだ?」
「酒盛りの気配を感じとりまして」
「おおそうか! じゃあ一杯やるか!」
「是非ともー!」

 陽気なおじさんについていき、寮の広場へ行くと酒とつまみを広げて楽しんでいる方々に歓迎されて輪の中へ。
 屋敷ではお洒落なグラスだったがこっちでは木製ジョッキだ。しゅわーっとしたもんが注がれていき、乾杯の音はガコンッといい響き。それはそのまま喉へ流しこまれていく。

「おっ、こいつ中々飲めるな!」
「さあどんどん飲めー!」
「飲みまーす!」

 ああー、こっちはこっちで楽しい!
 冒険者辞めてここで働こうかなあ~。

「兄ちゃんも拾われた口かい」
「ええ、そうなんですよ~」
「ここはいいぞ~、仕事は楽しいし何より無理をさせようとしねえ。街だと夜まで厳しく働かされるところが多いからなあ」
「あいつらは噂話を信じてここに近寄りたがらねえが、仕事を探してる奴はここに来りゃあいいのになあ。もったいねえもんだ」

 彼らから仕事での愚痴は出てこないあたり、やはり見た感じではなく実際に労働環境はいいようだ。

「そういやお嬢は最近やたら冒険者について聞いて回ってたよなあ」
「俺達はここの仕事があるし歳も歳だから冒険者にはなれないって話はしたけどよぉ」
「兄ちゃんはその辺の話、聞いたかい?」
「ええ、パーティに誘われました」
「パーティに? じゃあ本当にお嬢は冒険者になるつもりなのか……」

 ふーむやらうーむやら、各々が唸るあたりからして反応はあまりよろしくない。
 お勧めはしないが、お嬢がそう決めたのなら――と、どこか仕方なさそうに、反対する意見は上がらなかった。

「兄ちゃんを拾ったのはパーティを組んでもらうためなのかもなあ」
「兄ちゃんに惚れたのかもしれないぜー」
「それはないだろう、こんな可もなく不可もないような奴だぞぉ?」

 悪かったな、可もなく不可もない見た目で。

「でもお嬢の縁談は聞かないしもしかしたら、あるかもしれねえぜ?」

 場が更に盛り上がっていく。
 なんとも、楽しいもんだねえ。話題にあげられて俺も楽しいよまったく。

「お嬢を惚れさせて結婚すれば兄ちゃんは一躍大富豪の仲間入りかー」
「でもあのお嬢を惚れさせるには中々骨だぜ」
「わしもあと十年若かったらのう……」
「あたしも……」

 じいさんは十年若くてもあんまり変わりないんじゃないか。
 お姉さんはなんであと十年若かったらワンチャンあったみたいに残念がってるんだ? あと、寮は男女別と聞いていたんだがいつの間にやってきたんだこのお姉さん。

「もしかしたら魔族の動向が気になって冒険者になろうとしてるんじゃ?」
「なるほど、それも考えられるな」
「魔族の動向、ですか?」

 俺はその辺まだまだ疎い。
 魔族関連については知っておかなくては。
 一応は、魔王を倒すというぼんやりとしてはいるがそんな立派な目的はあったりするのだこれでも。

「魔族の、魔王幹部がこの街周辺に出没したらしいぞ」
「魔族ってどんな奴なんですか?」
「ん~……人間とあまり変わらない奴もいりゃあ、いかにも魔族って感じのさ、翼や角が生えてる奴もいるよな」
「あやつらは全体的に、灰色の肌をしてるのが特徴じゃ~」

 灰色の肌か。
 それなら分かりやすいな。見かけたら注意しておかなければ。

「いい魔族もいるにはいるが、魔王幹部ってのは荒くれ者って聞くよなあ~」
「お嬢や旦那様はどう思ってるんだか。今は一部の魔族といい関係を築けてはいるけど、裏切られたりやしないだろうなあ」
「心配だけど、俺達はついていくしかないさ。旦那様もそうだが、お嬢だって取引や商談のイロハは抜きんでてるしな」

 セリシア自体中々のやり手というわけか。
 エルーイ家、聞けば聞くほどすごい名家だな。
 そうして彼らとわいわい飲んでいたらすっかり深夜になってしまった。
 最後にはみんなで浴場でさっぱりして楽しい時間はあっという間に過ぎていった。もう少し彼らと盛り上がりたいところだが明日も仕事とあって解散となった。
 寮を出た頃には屋敷も真っ暗で、また巡回の人と遭遇したのでついでに案内してもらうとした。

「そういえば、セリシアはいつもどこで寝てるんです?」
「お嬢は三階の奥さ、裏庭が見えるあの中央の部屋で寝ているんだ」

 彼は部屋の位置を指差した。
 ふむ、明かりはついていないのでもう眠っているようだ。

「君の部屋は確か、客室だからこの階段を上がってすぐだったな。もう大丈夫かい?」
「はい、どうもありがとうございました」

 俺は階段を上がり、自分の部屋へと戻る――前に、足を止めた。

「惚れさせれば、か……」

 踵を返しまして、先ほど聞いたセリシアの部屋を目指す。

「ちょっとお酒も入ってるしな、うんうん」

 まあその、あれだよ。
 酔って部屋を間違えて、セリシアの部屋に行って、だ。
 まああれこれ色々しちゃって、セリシアを俺の虜にしちゃって、だ。
 俺はそのままセリシアと結ばれて日中からワイン片手に顎でみんなに指示を送る日々を過ごすわけだ。

「うん、完璧だ!」

 室内でも巡回がいるので注意しながらセリシアの部屋を目指す。
 ふふんっ、この世界に来て一番力を入れていたのは夜這いだからな、忍び慣れているぜ俺は。
 部屋の近くまで行き、物陰から彼女の部屋を確認する。
 扉の前には誰もいない。

「ふっ、不用心だな……」

 さささっと扉の前へ行き、ドアノブに手を伸ばす。
 軽くドアノブを下げて、引いてみると扉は開かなかった。鍵が掛けられているが――問題はない。
 俺はピッキングセットを取り出して鍵穴を弄り始める、こんなもの、ものの数分あれば十分だぜ。
 ピッキングもこの世界に来てから習得した技術だ。我ながら努力家だよね。
 カチンッと音がして開錠を知らせてくれた。流石だよな俺。

「……こんばんわ~」

 小声で、挨拶をしておく。
 挨拶は大事だからね。
 室内はやはり真っ暗で、中央にはまさにお嬢様専用ベッドみたいなものがあった。
 カーテンが掛かっていやがる、豪華だこと。

「さあて、と……」

 扉をちゃんと閉めて、忍び足でベッドへと近づく。
 カーテンをくぐるとセリシアと思しき膨らみがベッドにある。頭から掛け布団を被ってるのか? 息苦しいだろうに。

「お嬢さん、夜の依頼をこなしにきましたよ」

 どうせ世間知らずのお嬢様だ。
 冒険者のようなプライドが高くて意外と狂暴なあの二人とは違うはずさ!
 勢いでいってしまえば意外といけるんじゃないだろうか、ああそうだとも、いけるはずだ!
 身ぐるみを剥がして俺の魔法『最速模写』で全身を描かせてもらうのもありかもな!
 テンション上がってきたぜぇ……!

「さあ、セリシ……あ?」

 布団をめくってみると。
 ……クッションがあった。
 胸かと思ったものは――りんご二つ。コロコロと転がって足元に。

「はて?」

 りんごを両手で拾い上げたその時――部屋に明かりが灯された。
 更には全身に巻き付くロープにより、体が縛られてしまった!

「なぁっ!?」
「やはり仕掛けてきましたわね、ふふっ」

 部屋の隅から現れたのは――セリシアとミュリオだった。
 どういう事なんだ、これは。

「う、動けん~!」
「実は貴方の身元調査をセバスにお願いしてもらってましたの」
「何……? もうやっていたのか……?」

 てっきり俺がここで働く意向を示してからだと思ったが。
 それで途中からセバスさんの姿が見えなかったのか。
 どこまで調べてるんだろう。

「貴方、Sランクパーティの女性二人に度重なるセクハラ行為と夜這いを働いていたんですってね~?」
「くっ! そ、それは……何かの間違いだ! あいつらが俺を陥れるために虚偽の発言をしているにすぎないんだ!
「ご自身の現状をよく見つめなおしてから発言なさったほうがよろしいですわよ」
「…………」

 何も反論の言葉が出てこなかった。
 体を縛るロープは更にきつくなり、俺の体は引っ張り上げられて浮かされてしまった。
 これじゃあ何もできない、どうしよう。
 どうやらロープでつるし上げているのはミュリオの仕業らしい、部屋の隅でロープの束を手に仮面はにこやかな顔の模様を浮かべている。

「そ、その……酔ったせいで、部屋を間違えまして」
「しっかりと盗賊の如く開錠しておいてその言い訳は苦しいですわよ?」
「あれ~? おかしいなあ~? 鍵なんて掛かってなかったと思うけどな~?」
「ふぅん?」

 するとセリシアは俺の傍へと寄っては懐に手を伸ばした。

「あっ、そこはっ」
「変な声を上げないでくださいませ」

 ちっ、駄目か。
 セリシアはピッキングセットを取り出して、俺に見せつけてくる。
 証拠が出ちゃったね、どうしようね。

「これはなんですの?」
「ミュ、ミュリオが俺を嵌めるために懐に忍ばせたんだ!」

 ミュリオの仮面に『!?』が表示されていた。
 セリシア、ミュリオの仮面に騙されりゃ駄目だよ。

「よくそうぽろぽろと嘘が出てきますわね、逆に感心しますわ」
「濡れ衣だ~! 信じてくれよセリシアちゃ~ん!」
「セバスの身辺調査は嘘をつかないんですのよ。貴方のセクハラ行為は確かな事実! そうでしょう!? お゛る゛ぁ゛あ゛!」
「いだぁぁあい!」

 思い切りケツを叩かれた。
 夜の屋敷に響く、パァァァァアン! の音。
 この世界に来てから何かとケツに災難が訪れるんだが、ケツに呪いでも掛けられたのだろうか。
 勢いを増してくるくると吊られたまま回る、ああ、ちょっと、酒が入ってるから回るのは……きついっ。

「よくまあ、助けられて衣食住提供された恩人に夜這いを働こうとしますわね」
「違うんですぅ……! 僕はこれまで愛情を知らずに育ってきたもので、愛に飢えているんですぅ……」
「だからって夜這いをしていい理由にはなりませんけど」
「ですよね」

 冷静に考えると、この言い訳は駄目だな。
 もっと別の言い訳を考えなければ。
 なんかロープは次第に巻き直されて両手が後ろに回されて固定され、俺は蓑虫状態の拘束となった。

「う、まったく動けんッ!」
「ざまあですわ」
「ざまあ言うな! 両親から言われた最後の言葉なんだよ!」
「貴方と違って常識をお持ちの両親でしたのね。恵まれた両親からゴミクズみたいなものがどうして生まれたのやら」
「おいおい、いいのかいそこまで追い込んで」
「追い込むとどうなりますの?」
「号泣します」
「うわっ」
「露骨に引くなよ……」

 この状況、俺にできる手段は限られている。
 号泣してこの場の雰囲気をぐちゃぐちゃにしてしまうというのは有力な手だ。

「わたくし、考えましたの」
「俺との結婚を?」
「しばきますわよ?」
「ごめんなさい」

 素直に謝っておく。
 謝罪を繰り返して、早いとこ拘束から解放されたい。
 そしたら、逆襲開始といこう。

「貴方の評価はゴミクズも同然、一週間でSランクパーティをクビになるのですからそれは当然の事なのですけれど……恩人にはこのような行為を働くとなると、ねえ?」
「若気の至りというものだね。反省しているよ」
「そう簡単に反省できる性格であるならば、夜這いを働いてクビになったのに、ここでも夜這いを働こうとしないはずなのです」
「ところがどっこい! 俺は夜這いをします!」
「……ミュリオ」

 ふとセリシアはミュリオに視線を送った。
 ミュリオは何やら頷いて妙なものを取り出した、隅のほうは薄暗くてよく見えないが……なんだあれは。

「罰を与えるには、やはりケツバットが一番ですわね」
「またケツかぁ、壊れちゃうよぉ?」
「そのための回復魔法ですわ」
「助からないけど助かる」

 耐えてくれ、俺のケツ。
 しかし俺もやれる事はやっておこう。

「まあ待ちなよ。ほら、俺達ってさ、意外にうまく付き合えると思わないかい?」
「いえ? 全然」
「……」
「どこからそんな自信が湧いてくるのかまったく分かりませんが。わたくしは既に貴方の身辺調査で大体の事は理解しておりますのよ? 身分証を手にする前については分かりませんでしたが、なんと表現していいのやら……そう、Sランクパーティに寄生したゴミクズ虫ってところですわよね貴方」
「くぅーん……」
「セヴィンさんはよく一週間も貴方をパーティに置きましたわよね。流石Sランクパーティのリーダーを務めるまでありますわ」
「うん、彼は本当にいい奴だよ」
「そんな彼の優しさにも応えられずに、依頼では足を引っ張るだけ引っ張った挙句、女子二人にセクハラを重ねたわけですが」
「……ま、まだ駆け出しだから……」
「セクハラも許されると?」
「許されませんかね?」
「もし許されるとお思いでしたら、今夜は長い夜になりますわよ。ああ――もちろん、悪い意味で」

 まいったね。
 本当にまいった。
 逃げられないし、バットで方向転換させられて彼女にケツを向ける形となっているわけだけどこれからケツに悲劇が訪れるのはもはや逃れられないのかもしれない。

「でもわたくしは貴方を見捨てませんわ。こんなゴミクズ、他に渡らせたらおそらく災難しか招かないでしょう。わたくしが貴方を更生させてみせますわ、これも貴方を拾ったわたくしの責任ですもの」
「そんなに責任を感じなくていいんだよ?」
「ちなみに、逃げたら地の果てまで追いかけますので、逃げようなどと考えないほうがよろしいですわ」
「なんてこったい」
「それでは……先ずはそうですね、ケツバットの刑を百回、いきましょうか」
「ちょ、ちょっと! 待ってよ!」
 後ろをなんとか振り向いて懇願するも、セリシアは満面の笑みを浮かべており、ミュリオもバットを振りたいのか、準備体操をしていた。
「ごめんなさいごめんなさい! 謝るから! ねえ許してくださいよ! お願いしますよ! ちょっと、話聞いてます!? 素振りしないでよ怖いから! おーい! セリシアさーん! ミュリオさーん!」

 方向転換されてケツの位置が調整される。
 それはとても、叩きやすい位置だ。

「じゃあ一発め――お゛る゛ぁ゛あ゛!」
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁあ――――!!」

 長い夜が始まった。
 もちろん、悪い意味でね。
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