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CHAPTER Ⅴ
第214話 威力偵察任務④
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「アイちゃん!」
ナナもアイコの出現に喜んでいる。
「スカイベースの簡易転移装置が役に立ったわね。司くん、武蔵野くんたちを助けにいって。私は人型グールを押さえる」
アイコは並みいる特級グールに焦りも見せずに指示を飛ばした。
「承知しました! ですがこの場もまだ危険そうですがどうしますか!?」
「大丈夫、少し敵を減らしてから行くわ。そうね、司くんはちょっと待っていて」
(へ、減らす? って……)
アイコはすうっと空中に浮かぶと手のひらを前に掲げた。
ドオオオオンンン!!!
突然、目の前にいたSS級が大きく吹き飛んだ。
「うおお!? 何だ!?」
ガアアアアア!!!
仲間が吹き飛ばされて怒ったのか、周りにいたS級とSS級が一斉にアイコに飛び掛かった。
スバババババンンン!!!
アイコが手を払うように動かすと、飛び掛かった特級グールが全て弾かれたように吹き飛んだ。S級数体はそれだけで体がバラバラになっていた。
「な、何なんだ? 何をしてるんだアイちゃんは!??」
「佐々木くん。もしかして知らないのか? 宝条マスターの能力を」
「司さん!」
「周囲一帯を取り巻く万象をグールを裁く刃と化する宝条マスターだけの能力。あれが錬金術だよ」
「な、なんですかそれ!」
「宝条マスターは空気、水分、大地、太陽光などあらゆる自然現象を収束、変換し敵を攻撃することができる。そしてその特殊能力はほぼ無詠唱で行使可能であり、一発の威力は究極級以上だ。彼女こそが新オオサカ都市の美しき最高戦力。それが錬金術師宝条アイコマスターだ」
「は、反則だろ……」
オレはやや過剰に誇張してアイコの紹介をする司には気付かず呆然としている間に、近くにいた特級グールは全て倒されていた。オレたちがあれだけ苦戦していたグールたちを数は減っていたとはいえたった1人で全滅させてしまった。
「ふう、とりあえず片付いたわ。佐々木班のみんな、体勢を取り直して敵の増援に備えて。司くんも頼んだわね。じゃあ私は行くわ」
「りょ、了解!」
「了解です、マスター!」
オレは焦って、司は大声で返事をするとアイコはニコリと笑い、姿が消えた。
「じゃあオレも行く。宝条マスターの期待に答えて見せる! ここは頼んだぞ!」
「は、はい!」
ドン!
司も高速機動で武蔵野班の元へと向かっていった。
「は、はああ……、何とか助かった……」
「バカ! 兄ちゃん、まだ敵はいるから! 天王寺さんたちも欄島さんたちもまだ戦闘中だよ、気を抜かないで!」
「そーだぞ佐々木! 空襲術士型と潜水術士型はまだ生きてる!」
「セイさん! 狙撃をお願いします! A級の群れもすぐにここに来る!」
「わ、分かった!!」
ひとまずの危機は去ったが、まだまだ戦闘は継続している。3万ものグールがもう直ぐそばまで迫っているのはオレも感知していた。
「よし、じゃあ残りの敵を片付けて天王寺さんたちのところへ行こう! あっちは欄島さんたちとも位置が近い! まとまって敵の援軍に対応する! いいな!」
「「了解!」」
オレたちは回復を図りつつも、空襲術士タイプ、潜水術士タイプを討伐した。
数の上では7対4で不利だったが、今のオレたちであればなんとかその脅威を排除出来た。
オレたちはすぐに天王寺たちのところへと走り出したが、もうグールの援軍の大群は目で見える所まで来ていた。
「くそ! あんなにいるのか!」
「兄ちゃん、いた! 天王寺さん! あそこ!」
ナナの声に目を向けると、天王寺、虎影、欄島、千城がひとかたまりになって特級グール数体と戦いを続けているところだった。
「あ、あれは!?」
オレが驚いたのは、天王寺のそばに伊達と美作が倒れ伏していることだった。
「と、とにかく援護を! 二重神級風嵐散弾!!」
「ああ! 二重神級飛斬散弾剣!!」
ドドオオオオ!!!
ユウナとアオイの攻撃で何体かのグールに深いダメージを与えた。その隙にオレたちは天王寺たちの元にたどり着き、即座にナナが強固な結界を展開した。
「ナナ……、助かったぞ。あんな遠方からオレたちを援護してくれるとはな……」
「うむ! さすがは佐々木の妹だ!」
「千城さんは傷だらけなのに元気だなー」
天王寺のねぎらいに千城と欄島が感想を漏らすが、とてもオレたちは言葉が出なかった。
どうやら伊達と美作は気を失っているだけのようだ。だがもう、天王寺たちはその2人を守りながらの戦いを続けたようで3人とも重傷だ。
「大丈夫よ。ナナたちの頑張りは無駄にしないから」
「り、リカさん……」
そう言って笑顔を見せる虎影もかなりの傷だ。とても笑顔を出せるような状態ではないことはオレにも分かった。
(み、みんなここまで……、オレたちが1番楽だったのかも知れない……!!)
「ナナ! みんなを回復させてくれ! もうA級の群れがくる!!」
「分かってる! 兄ちゃんは!?」
「敵を減らす! 四重天輪弾!!」
ドギャアウウウ!!
オレの銃弾が1体のSS級の背光陣を砕いた。
「二連!!!」
ズギャアアアンンンン!!!
オレの連撃によってSS級は胸に大穴を開けて倒れた。
「まだまだだ! 全兵能装甲最速! 全兵能装甲最重!! 超新星弾!!!」
ズギャァアアン!!!!
「もう一発だあ!! 超新星弾!!!」
ズギャャァアアアアン!!!!!
「はあ、はあ、はあ。よ、よし! 特級グールを倒した! SS級もだ!! もう少し……」
オレはさらに銃弾を乱射してグールを牽制した。しばらくすると何体か残っていた特級グールは援軍の群れの方へと姿を消した。
「無理しすぎだ、佐々木!」
天王寺がオレの肩を掴んで言った。
「し、しかし! 伊達さんも美作さんも倒れた今は、少しは無理しないと! オレたちはまだやれますよ!」
「……全く、意外と暑苦しいやつだなお前は」
(え……?)
「少しは肩の力を抜け。そして周りに目を向けてみろ」
オレは天王寺の言葉に従い、周りにいる仲間たちを見た。
ユウナもアオイもナナも疲労困憊で、虎影や欄島たちは傷だらけだ。
だけど、誰一人としてその瞳に絶望を写していないことに気が付いた。
「あんた、やっぱり口だけじゃなかったわね。だけど、私だって負けないから」
そう言って虎影は迫りくるA級の群れに槍を構えた。
「いやー、こんなに強くなってたんだ。でもまだオレの方が少しだけ上かな。でも頼りになるよ」
欄島もオレに一言掛けると銃に魔素を込めていた。
「うむ! よくぞ特級を追い払ってくれた! お前は消耗が激しいだろう! しばらくはオレたちに任せておけ!」
千城も力強く両手の拳を合わせて敵を見ている。
(これは……)
「分かったか? お前は1人で気負いすぎだ。伊達マスターも美作マスターも人型グールにやられはしたが死んではいない。すぐ立ち上がってくれる。宝条さんが人型グールどもを押さえてくれている以上、オレたちの役目はあの大群をここに押し止めることにある。いいな?」
「はい、そうですね……」
オレは訳も分からず目頭が熱くなるのを感じた。
(なんでだろう……)
「佐々木は無茶する癖みてーなのがあるからな。まあ、今に始まったわけじゃねーけど」
「そうですねえ、兄ちゃんがいつも苦労を掛けます」
アオイとナナが笑い合っている。こんな状況だと言うのに。
「セイさん。1人で抱え込まないで、仲間を信じてみんなで戦おうね。そして、勝とう!」
ユウナが微笑みながら励ましをくれた。
「ああ、そうだな!!」
みんな強い気持ちでここにいる。
オレはどこか1人でも戦い抜かなければいけないという気持ちに囚われていたようだ。
しかし、ここにいる全員が同じ気持ちだし、肩を並べる仲間だと言うことに改めて気付いた。
「司! 武蔵野班! 早くこっちへ来い! もう大群が来てるぞ!!」
オレが感傷を感じていると、天王寺が通信装置に大声で指示を飛ばした。
すると同時に、オレたちの近くに1人の隊員が着地した。
ドン!!
「はあ、はあ! わ、分かってます! 天王寺さん、天候操作は全部討伐しました!」
(司さん!!)
「よくやってくれた! だが、武蔵野たちはどこだ?」
「あそこです!」
司の指す方向に、空中を駆け回る武蔵野たち3人の姿が見えた。どうやらA級グールの群れを交わしたり攻撃を加えたりしながらこちらへ向かっているようだ。
(武蔵野くん! 良かった!)
まだ少し離れているが、このペースなら武蔵野たちが結界に入り込んだと同時にグールとの戦闘開始と言ったところだろう。
オレたちの頭上にはビルで言うと10階位の高さにスカイベースが滞空しており、すでに強固なバリアを展開していた。
さっきまでは美作がスカイベースを遠隔で操っていたようだが、すでに天王寺がその役割を引き継いでおり、砲撃や各種機能をすでに展開させている。
「よし。オレたちも少しは回復出来た! みんな踏ん張るぞ!」
「「了解!!」」
オレがユウナたちに激励をかけた瞬間。
ゾオオオオ
背筋に強い悪寒が走った。
(え……?)
この反応は人型グールだ。
だが、今はアイコがさっきの女性型のグールと戦っている最中のはずだ。感知でもそれは明らかだった。
ドオオオオオンンン!!!
突然、結界の外で激しい爆発が起こった。
「む、武蔵野くん!!!」
「武蔵野おお!!」
オレと天王寺が思わず叫びを上げる。
爆撃を受けて地上へと落下する武蔵野班が見えた。そして地上にはすでにA級グールの群れが牙を剥き出しにして待っていた。
(た、助けに行かないと!!)
「害虫どもが。全く目障りだ」
ふと、オレの耳に何度か聞いたおぞましい声が届いた。
オレが目をやった先には、空中に1体のグールが浮かんでいた。
そこにいたのは人型グール、ディリップだった。
ナナもアイコの出現に喜んでいる。
「スカイベースの簡易転移装置が役に立ったわね。司くん、武蔵野くんたちを助けにいって。私は人型グールを押さえる」
アイコは並みいる特級グールに焦りも見せずに指示を飛ばした。
「承知しました! ですがこの場もまだ危険そうですがどうしますか!?」
「大丈夫、少し敵を減らしてから行くわ。そうね、司くんはちょっと待っていて」
(へ、減らす? って……)
アイコはすうっと空中に浮かぶと手のひらを前に掲げた。
ドオオオオンンン!!!
突然、目の前にいたSS級が大きく吹き飛んだ。
「うおお!? 何だ!?」
ガアアアアア!!!
仲間が吹き飛ばされて怒ったのか、周りにいたS級とSS級が一斉にアイコに飛び掛かった。
スバババババンンン!!!
アイコが手を払うように動かすと、飛び掛かった特級グールが全て弾かれたように吹き飛んだ。S級数体はそれだけで体がバラバラになっていた。
「な、何なんだ? 何をしてるんだアイちゃんは!??」
「佐々木くん。もしかして知らないのか? 宝条マスターの能力を」
「司さん!」
「周囲一帯を取り巻く万象をグールを裁く刃と化する宝条マスターだけの能力。あれが錬金術だよ」
「な、なんですかそれ!」
「宝条マスターは空気、水分、大地、太陽光などあらゆる自然現象を収束、変換し敵を攻撃することができる。そしてその特殊能力はほぼ無詠唱で行使可能であり、一発の威力は究極級以上だ。彼女こそが新オオサカ都市の美しき最高戦力。それが錬金術師宝条アイコマスターだ」
「は、反則だろ……」
オレはやや過剰に誇張してアイコの紹介をする司には気付かず呆然としている間に、近くにいた特級グールは全て倒されていた。オレたちがあれだけ苦戦していたグールたちを数は減っていたとはいえたった1人で全滅させてしまった。
「ふう、とりあえず片付いたわ。佐々木班のみんな、体勢を取り直して敵の増援に備えて。司くんも頼んだわね。じゃあ私は行くわ」
「りょ、了解!」
「了解です、マスター!」
オレは焦って、司は大声で返事をするとアイコはニコリと笑い、姿が消えた。
「じゃあオレも行く。宝条マスターの期待に答えて見せる! ここは頼んだぞ!」
「は、はい!」
ドン!
司も高速機動で武蔵野班の元へと向かっていった。
「は、はああ……、何とか助かった……」
「バカ! 兄ちゃん、まだ敵はいるから! 天王寺さんたちも欄島さんたちもまだ戦闘中だよ、気を抜かないで!」
「そーだぞ佐々木! 空襲術士型と潜水術士型はまだ生きてる!」
「セイさん! 狙撃をお願いします! A級の群れもすぐにここに来る!」
「わ、分かった!!」
ひとまずの危機は去ったが、まだまだ戦闘は継続している。3万ものグールがもう直ぐそばまで迫っているのはオレも感知していた。
「よし、じゃあ残りの敵を片付けて天王寺さんたちのところへ行こう! あっちは欄島さんたちとも位置が近い! まとまって敵の援軍に対応する! いいな!」
「「了解!」」
オレたちは回復を図りつつも、空襲術士タイプ、潜水術士タイプを討伐した。
数の上では7対4で不利だったが、今のオレたちであればなんとかその脅威を排除出来た。
オレたちはすぐに天王寺たちのところへと走り出したが、もうグールの援軍の大群は目で見える所まで来ていた。
「くそ! あんなにいるのか!」
「兄ちゃん、いた! 天王寺さん! あそこ!」
ナナの声に目を向けると、天王寺、虎影、欄島、千城がひとかたまりになって特級グール数体と戦いを続けているところだった。
「あ、あれは!?」
オレが驚いたのは、天王寺のそばに伊達と美作が倒れ伏していることだった。
「と、とにかく援護を! 二重神級風嵐散弾!!」
「ああ! 二重神級飛斬散弾剣!!」
ドドオオオオ!!!
ユウナとアオイの攻撃で何体かのグールに深いダメージを与えた。その隙にオレたちは天王寺たちの元にたどり着き、即座にナナが強固な結界を展開した。
「ナナ……、助かったぞ。あんな遠方からオレたちを援護してくれるとはな……」
「うむ! さすがは佐々木の妹だ!」
「千城さんは傷だらけなのに元気だなー」
天王寺のねぎらいに千城と欄島が感想を漏らすが、とてもオレたちは言葉が出なかった。
どうやら伊達と美作は気を失っているだけのようだ。だがもう、天王寺たちはその2人を守りながらの戦いを続けたようで3人とも重傷だ。
「大丈夫よ。ナナたちの頑張りは無駄にしないから」
「り、リカさん……」
そう言って笑顔を見せる虎影もかなりの傷だ。とても笑顔を出せるような状態ではないことはオレにも分かった。
(み、みんなここまで……、オレたちが1番楽だったのかも知れない……!!)
「ナナ! みんなを回復させてくれ! もうA級の群れがくる!!」
「分かってる! 兄ちゃんは!?」
「敵を減らす! 四重天輪弾!!」
ドギャアウウウ!!
オレの銃弾が1体のSS級の背光陣を砕いた。
「二連!!!」
ズギャアアアンンンン!!!
オレの連撃によってSS級は胸に大穴を開けて倒れた。
「まだまだだ! 全兵能装甲最速! 全兵能装甲最重!! 超新星弾!!!」
ズギャァアアン!!!!
「もう一発だあ!! 超新星弾!!!」
ズギャャァアアアアン!!!!!
「はあ、はあ、はあ。よ、よし! 特級グールを倒した! SS級もだ!! もう少し……」
オレはさらに銃弾を乱射してグールを牽制した。しばらくすると何体か残っていた特級グールは援軍の群れの方へと姿を消した。
「無理しすぎだ、佐々木!」
天王寺がオレの肩を掴んで言った。
「し、しかし! 伊達さんも美作さんも倒れた今は、少しは無理しないと! オレたちはまだやれますよ!」
「……全く、意外と暑苦しいやつだなお前は」
(え……?)
「少しは肩の力を抜け。そして周りに目を向けてみろ」
オレは天王寺の言葉に従い、周りにいる仲間たちを見た。
ユウナもアオイもナナも疲労困憊で、虎影や欄島たちは傷だらけだ。
だけど、誰一人としてその瞳に絶望を写していないことに気が付いた。
「あんた、やっぱり口だけじゃなかったわね。だけど、私だって負けないから」
そう言って虎影は迫りくるA級の群れに槍を構えた。
「いやー、こんなに強くなってたんだ。でもまだオレの方が少しだけ上かな。でも頼りになるよ」
欄島もオレに一言掛けると銃に魔素を込めていた。
「うむ! よくぞ特級を追い払ってくれた! お前は消耗が激しいだろう! しばらくはオレたちに任せておけ!」
千城も力強く両手の拳を合わせて敵を見ている。
(これは……)
「分かったか? お前は1人で気負いすぎだ。伊達マスターも美作マスターも人型グールにやられはしたが死んではいない。すぐ立ち上がってくれる。宝条さんが人型グールどもを押さえてくれている以上、オレたちの役目はあの大群をここに押し止めることにある。いいな?」
「はい、そうですね……」
オレは訳も分からず目頭が熱くなるのを感じた。
(なんでだろう……)
「佐々木は無茶する癖みてーなのがあるからな。まあ、今に始まったわけじゃねーけど」
「そうですねえ、兄ちゃんがいつも苦労を掛けます」
アオイとナナが笑い合っている。こんな状況だと言うのに。
「セイさん。1人で抱え込まないで、仲間を信じてみんなで戦おうね。そして、勝とう!」
ユウナが微笑みながら励ましをくれた。
「ああ、そうだな!!」
みんな強い気持ちでここにいる。
オレはどこか1人でも戦い抜かなければいけないという気持ちに囚われていたようだ。
しかし、ここにいる全員が同じ気持ちだし、肩を並べる仲間だと言うことに改めて気付いた。
「司! 武蔵野班! 早くこっちへ来い! もう大群が来てるぞ!!」
オレが感傷を感じていると、天王寺が通信装置に大声で指示を飛ばした。
すると同時に、オレたちの近くに1人の隊員が着地した。
ドン!!
「はあ、はあ! わ、分かってます! 天王寺さん、天候操作は全部討伐しました!」
(司さん!!)
「よくやってくれた! だが、武蔵野たちはどこだ?」
「あそこです!」
司の指す方向に、空中を駆け回る武蔵野たち3人の姿が見えた。どうやらA級グールの群れを交わしたり攻撃を加えたりしながらこちらへ向かっているようだ。
(武蔵野くん! 良かった!)
まだ少し離れているが、このペースなら武蔵野たちが結界に入り込んだと同時にグールとの戦闘開始と言ったところだろう。
オレたちの頭上にはビルで言うと10階位の高さにスカイベースが滞空しており、すでに強固なバリアを展開していた。
さっきまでは美作がスカイベースを遠隔で操っていたようだが、すでに天王寺がその役割を引き継いでおり、砲撃や各種機能をすでに展開させている。
「よし。オレたちも少しは回復出来た! みんな踏ん張るぞ!」
「「了解!!」」
オレがユウナたちに激励をかけた瞬間。
ゾオオオオ
背筋に強い悪寒が走った。
(え……?)
この反応は人型グールだ。
だが、今はアイコがさっきの女性型のグールと戦っている最中のはずだ。感知でもそれは明らかだった。
ドオオオオオンンン!!!
突然、結界の外で激しい爆発が起こった。
「む、武蔵野くん!!!」
「武蔵野おお!!」
オレと天王寺が思わず叫びを上げる。
爆撃を受けて地上へと落下する武蔵野班が見えた。そして地上にはすでにA級グールの群れが牙を剥き出しにして待っていた。
(た、助けに行かないと!!)
「害虫どもが。全く目障りだ」
ふと、オレの耳に何度か聞いたおぞましい声が届いた。
オレが目をやった先には、空中に1体のグールが浮かんでいた。
そこにいたのは人型グール、ディリップだった。
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