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魔界への扉 急
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レミナはが合い言葉を高らかに唱えた後、大地から地響きが鳴り、三人の足元に隙間が生じた。
「……!」
砂埃を上げ、やがてぽっかりと口を開けた入口から、気圧されそうな波動を感じつつ、三人はゆっくりと階段を下っていく。
ほの暗い階段を下りきれば、すぐそこに赤金色に塗られた扉がそこにあった。
「……これが、魔界への扉か」
見上げる程に大きく、縁に古代文字がびっしりと刻まれている。
元はさぞかし立派だったのだろうが、結界の効力が弱まっているせいで、だいぶみすぼらしく見える。
「レミナ」
カオスが呼び掛けると、先頭に立つレミナが緊張した面持ちでこちらに振り返った。
「頼む」
「……うん」
力強く頷き、レミナは一歩扉に近付いて呼吸を整える。
そしてゆっくりと顔を上げて扉に刻まれた古代文字を読み上げ始めた。
古代文字など、この時までただの一度も見た事が無いだろうに、それでもレミナは最初から読むべき言葉を知っていたかのように、何の躊躇いもなく詠うように紡いでいく。
そのレミナの言葉に呼応するように、扉に刻まれた古代文字が金色に輝き始める。
レミナの小さな手が、水を掬うような仕草をすれば何もないはずの宙から一振りの水晶の剣が現れる。
その剣を手に取り、レミナはそっと左腕に刃を当てた。
一筋の赤い血筋が腕を伝い、刃先に流れる。
そのまま詠唱が終わるのと同時に水晶の剣は消え、レミナの体内から溢れた血が扉へと吸い込まれていく。
唱えるべき物が全て唱えられ、必要な物が注がれた瞬間、目も眩むような光が発し、古い扉特有の軋みをあげながら、魔界への扉がゆっくりと開かれていく。
扉が完全に開かれると、眩い光が徐々に揺らぎ、再びほの暗さが戻ってきた。
扉の向こう側には、もう一つの世界、魔界が広がっている。
魔界には、光という光を失ったかのような、禍々しい闇が広がっていた。
「ここが魔界か。静かな所だ」
「うん。……ここが、カオスがいるべき場所、なんだよね」
「レミナ?」
レミナは切ない表情を見せたかと思うと、不意に笑ってみせた。
「カオス。絶対に良い王様になってね」
「……」
思わず、言葉を失ってしまった。
その表情は、笑顔とは裏腹にとても深い悲しみに満ちていたのだ。
「お前、は……これからどうするんだ?」
意図せず口に出た言葉。
レミナはそれに、魔界を見つめながら答える。
「そうだね。とりあえず、このまま世界を回ってみようと思ってる。ネティックスみたいな所があったら嫌だし、私の夢を叶える為にも動かなくちゃ」
「そうか……」
一緒に来いとは言えない。
レミナは、ここに残るべき人物だ。
「うん、だからね。私もこの世界で頑張るから、カオスも必ず良い王様になってね」
その言葉は最後の約束であり、決別の言葉でもあった。
「……ああ、約束する」
カオスもそれに微笑んで頷く。
そしてカオスは、ポケットにしまい込んでいたハチマキを取り出した。
「悪い、これ。千切れた」
と苦笑気味に謝ると、
「ううん。ちょうどいいよ、これ」
と言ってレミナは片方だけ受け取った。
「そっちはカオスが持っていて。そうすれば私達、ずっと繋がっていられるでしょ?」
「……そうだな。分かった」
カオスはそのまま残った方を右手首にしっかりと巻き付ける。
「これでとれないだろ?」
「うん、すごく似合ってるよ」
懐かしいような、つい最近聞いたような台詞だ。
「カオス様!扉が……!」
ハザードが指差し見ると、扉が閉まり始めていた。
「行ってカオス!あの扉が閉まったら、もう二度と魔界へは帰れなくなる」
そうレミナが急かすが、カオスはすぐには動かない。
本当に、これが最後なのか?
そう思うと、レミナを抱きしめずにはいられなかった。
「か、おす……?」
「俺、最初は人間なんて誰一人信用なんてしていなかった。魔族だってだけで普段は全く相手しないくせに、自分が危うくなった時だけ頼って……。けど、お前は違った。馬鹿みたいに真っ直ぐで、俺が誰かを知っても変わらずにいて。……お前のおかげで、世界が違って見えた。お前と旅が出来て、本当に良かった」
そして、カオスは最後の言葉を強く、はっきりと囁く。
「俺は、お前を愛している」
「カオス様!」
扉の向こうからハザードが呼ぶ。
カオスは無言で駆け出し、扉の隙間へと身体をねじ込ませた。
「カオス!」
振り返ると、レミナが扉に駆け寄りながら叫んでいた。
「私も……!」
扉が閉まる音で声こそ届かなかったが、その唇は、カオスと同じ言葉を口にしたいた。
直後、扉は完全に閉まり、カオスはその扉にそっと手を当て呟く。
「いつか、必ず会いに行くからな」
そのまま、扉は光の残滓となって消えて行った……。
扉な完全に消え去った後、カオスは遥か遠くに聳え立つ居城を見つめる。
「さて、争奪戦といくか?ハザード」
「ええ。久し振りに本気が出せそうですね」
不適な笑みを浮かべて、二人は歩きだす。
最後の約束を、果たす為に……。
†
空の最も低い部分から薄い光が差し込み、ロルカ村の外れにある墓地の石碑が一時朝焼けに照らされた。
どのはかさにも鮮やかな色合いの花が手向けられ、果物や菓子、酒類が供えられている。
可愛らしい桃色の花をびっしりと咲かせた杏の樹の下に、一人の女性がいる。
跪いて熱心に祈りを捧げる背中、若草色の長いまとめ髪が、青年の目を引いた。
「やっぱりここか」
全身黒ずくめの青年がそっと草を踏んで墓地に入ると、女性は祈りを止めてこちらを振り向いた。
「早いんだな。まだ明星が見えてるぞ」
「うん。何だか目が冴えちゃって」
一つの星が遠慮がちに瞬いている中、暖かい日光が一段と強くなる。
「チビ達にまたあの話聞かせたのか?」
「だって、ディーがそれ聞かないんだもん」
「頑固なところは、お前に似たな」
「それはあなたでしょ?」
互いに軽く笑って、明星を見る。
少し経ってから、女性が呟く。
「ハザードさん、元気にしてるかな?」
「あいつの事だ。上手くやってるさ」
「まったく、王様なのに、そんなんじゃダメじゃない。自覚が足りない証拠だぞ?」
「いいだろ別に。これはいわゆる里帰りなんだ。これから戻るんだから、文句無いだろ」
「ちちうえー!ははうえー!」
丘の上に建つ家から、同じ顔を持つ男女の子供が、こちらに向かって手を振りながら走ってくる。
「起きたか。そろそろ行くか?」
「うん」
青年の言葉に女性が頷き、二人で子供の元へ向かう。
数年前、二つの世界は完全に隔離された。
魔界では元の王が玉座に就き、人間界では残された最後の賢者によって、人と魔族が共存する時代が始まりつつあった。
魔王の名前はカオス・ブラック。
賢者の名前はレミナ・グローバル。
二人の時の歯車は、今一度噛み合い、再び廻り始める……。
「……!」
砂埃を上げ、やがてぽっかりと口を開けた入口から、気圧されそうな波動を感じつつ、三人はゆっくりと階段を下っていく。
ほの暗い階段を下りきれば、すぐそこに赤金色に塗られた扉がそこにあった。
「……これが、魔界への扉か」
見上げる程に大きく、縁に古代文字がびっしりと刻まれている。
元はさぞかし立派だったのだろうが、結界の効力が弱まっているせいで、だいぶみすぼらしく見える。
「レミナ」
カオスが呼び掛けると、先頭に立つレミナが緊張した面持ちでこちらに振り返った。
「頼む」
「……うん」
力強く頷き、レミナは一歩扉に近付いて呼吸を整える。
そしてゆっくりと顔を上げて扉に刻まれた古代文字を読み上げ始めた。
古代文字など、この時までただの一度も見た事が無いだろうに、それでもレミナは最初から読むべき言葉を知っていたかのように、何の躊躇いもなく詠うように紡いでいく。
そのレミナの言葉に呼応するように、扉に刻まれた古代文字が金色に輝き始める。
レミナの小さな手が、水を掬うような仕草をすれば何もないはずの宙から一振りの水晶の剣が現れる。
その剣を手に取り、レミナはそっと左腕に刃を当てた。
一筋の赤い血筋が腕を伝い、刃先に流れる。
そのまま詠唱が終わるのと同時に水晶の剣は消え、レミナの体内から溢れた血が扉へと吸い込まれていく。
唱えるべき物が全て唱えられ、必要な物が注がれた瞬間、目も眩むような光が発し、古い扉特有の軋みをあげながら、魔界への扉がゆっくりと開かれていく。
扉が完全に開かれると、眩い光が徐々に揺らぎ、再びほの暗さが戻ってきた。
扉の向こう側には、もう一つの世界、魔界が広がっている。
魔界には、光という光を失ったかのような、禍々しい闇が広がっていた。
「ここが魔界か。静かな所だ」
「うん。……ここが、カオスがいるべき場所、なんだよね」
「レミナ?」
レミナは切ない表情を見せたかと思うと、不意に笑ってみせた。
「カオス。絶対に良い王様になってね」
「……」
思わず、言葉を失ってしまった。
その表情は、笑顔とは裏腹にとても深い悲しみに満ちていたのだ。
「お前、は……これからどうするんだ?」
意図せず口に出た言葉。
レミナはそれに、魔界を見つめながら答える。
「そうだね。とりあえず、このまま世界を回ってみようと思ってる。ネティックスみたいな所があったら嫌だし、私の夢を叶える為にも動かなくちゃ」
「そうか……」
一緒に来いとは言えない。
レミナは、ここに残るべき人物だ。
「うん、だからね。私もこの世界で頑張るから、カオスも必ず良い王様になってね」
その言葉は最後の約束であり、決別の言葉でもあった。
「……ああ、約束する」
カオスもそれに微笑んで頷く。
そしてカオスは、ポケットにしまい込んでいたハチマキを取り出した。
「悪い、これ。千切れた」
と苦笑気味に謝ると、
「ううん。ちょうどいいよ、これ」
と言ってレミナは片方だけ受け取った。
「そっちはカオスが持っていて。そうすれば私達、ずっと繋がっていられるでしょ?」
「……そうだな。分かった」
カオスはそのまま残った方を右手首にしっかりと巻き付ける。
「これでとれないだろ?」
「うん、すごく似合ってるよ」
懐かしいような、つい最近聞いたような台詞だ。
「カオス様!扉が……!」
ハザードが指差し見ると、扉が閉まり始めていた。
「行ってカオス!あの扉が閉まったら、もう二度と魔界へは帰れなくなる」
そうレミナが急かすが、カオスはすぐには動かない。
本当に、これが最後なのか?
そう思うと、レミナを抱きしめずにはいられなかった。
「か、おす……?」
「俺、最初は人間なんて誰一人信用なんてしていなかった。魔族だってだけで普段は全く相手しないくせに、自分が危うくなった時だけ頼って……。けど、お前は違った。馬鹿みたいに真っ直ぐで、俺が誰かを知っても変わらずにいて。……お前のおかげで、世界が違って見えた。お前と旅が出来て、本当に良かった」
そして、カオスは最後の言葉を強く、はっきりと囁く。
「俺は、お前を愛している」
「カオス様!」
扉の向こうからハザードが呼ぶ。
カオスは無言で駆け出し、扉の隙間へと身体をねじ込ませた。
「カオス!」
振り返ると、レミナが扉に駆け寄りながら叫んでいた。
「私も……!」
扉が閉まる音で声こそ届かなかったが、その唇は、カオスと同じ言葉を口にしたいた。
直後、扉は完全に閉まり、カオスはその扉にそっと手を当て呟く。
「いつか、必ず会いに行くからな」
そのまま、扉は光の残滓となって消えて行った……。
扉な完全に消え去った後、カオスは遥か遠くに聳え立つ居城を見つめる。
「さて、争奪戦といくか?ハザード」
「ええ。久し振りに本気が出せそうですね」
不適な笑みを浮かべて、二人は歩きだす。
最後の約束を、果たす為に……。
†
空の最も低い部分から薄い光が差し込み、ロルカ村の外れにある墓地の石碑が一時朝焼けに照らされた。
どのはかさにも鮮やかな色合いの花が手向けられ、果物や菓子、酒類が供えられている。
可愛らしい桃色の花をびっしりと咲かせた杏の樹の下に、一人の女性がいる。
跪いて熱心に祈りを捧げる背中、若草色の長いまとめ髪が、青年の目を引いた。
「やっぱりここか」
全身黒ずくめの青年がそっと草を踏んで墓地に入ると、女性は祈りを止めてこちらを振り向いた。
「早いんだな。まだ明星が見えてるぞ」
「うん。何だか目が冴えちゃって」
一つの星が遠慮がちに瞬いている中、暖かい日光が一段と強くなる。
「チビ達にまたあの話聞かせたのか?」
「だって、ディーがそれ聞かないんだもん」
「頑固なところは、お前に似たな」
「それはあなたでしょ?」
互いに軽く笑って、明星を見る。
少し経ってから、女性が呟く。
「ハザードさん、元気にしてるかな?」
「あいつの事だ。上手くやってるさ」
「まったく、王様なのに、そんなんじゃダメじゃない。自覚が足りない証拠だぞ?」
「いいだろ別に。これはいわゆる里帰りなんだ。これから戻るんだから、文句無いだろ」
「ちちうえー!ははうえー!」
丘の上に建つ家から、同じ顔を持つ男女の子供が、こちらに向かって手を振りながら走ってくる。
「起きたか。そろそろ行くか?」
「うん」
青年の言葉に女性が頷き、二人で子供の元へ向かう。
数年前、二つの世界は完全に隔離された。
魔界では元の王が玉座に就き、人間界では残された最後の賢者によって、人と魔族が共存する時代が始まりつつあった。
魔王の名前はカオス・ブラック。
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