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挨拶

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 今日はセオドールが両親に挨拶にくる日だ。

 僕の家族は、両親と妹2人の5人兄弟だ。

 父はフィンリー・マルコヴィック(サバトラ種)元冒険者テイマーで、今はきこりをやっている、性格は温厚で優しい。

 母はライラ・マルコヴィック(三毛猫種)元騎士団所属の女騎士、今は専業主婦、思ったことはズバズバ言う肝っ玉母さんだ、若い頃は毛並みの珍しさで、モテたそうだ。

 上の妹はエリザ・マルコヴィック14歳(三毛猫種)生意気でお転婆な性格。身体能力の良さは母さん似だと思う。

 下の妹はロッティ・マルコヴィック4歳(茶トラ種)人懐っこくん甘えん坊だ。

 実は妹2人の間に、もう2人妹が産まれたが、10歳までに人型になれず、弱体化して亡くなった、この世界では珍しい事ではない。多頭妊娠も多いので、5人家族は標準的な人数だと思う。

 母はお茶の準備をしていると、ロッティが泣き出してあやしたりしていると、
 
 カーン、カーンと玄関ベルが鳴る。

「いらっしゃい、どうぞ~」と言い母はドアを開ける。

 セオドールを見た母は、直ぐに皇族の証の耳のマークを見つけて、理解が追いつかないのか10秒程口をあんぐり開けたままでいたが、正気に戻って、カーテシーで挨拶する。

「殿下、お初にお目にかかれて恐悦至極でございます」

「此方こそ、お招き頂きありがとうございます」

 さぁ、さぁどうぞと案内する母は小さい声で「(どんなお方か)ちゃんと前もって言っといてよね!」と僕を突つく。

 リビングに着くと、父はテーブルでお茶を飲みながら「いらっしゃい」と言った後、耳のマークを見つけ口をあんぐり開けてから、正気に戻り立ち上がる。 

「失礼しました……コホッ、殿下におかれましてはご機嫌ようございます。」右足を引いて挨拶する。

「気楽にして下さい、お父様」

 突然のお父様呼びーー。

 母はエリザにロッティを遊びに連れて行ってくれるようお願いする。4人でテーブルに着く。

「此方は第15王子セオドール・ブリュイエール殿下であらせられます」と僕が言うと両親がもう一度お辞儀をする。

「父フィンリーと母ライラです」

「それで今日はどんなお話で?」と父が聞く。

「息子さんを私に下さい」

 僕は慌てて、「そ、それはまだ早い!」と言い宥める。

「僕から説明するね、今、殿下とお付き合いをさせて貰っています。学院が部活とかで忙しくなって来て、寮に入ろうかと思ったんだけど、殿下が心配して家を建てると言って……、完成したらその家から通学をしようと思ってて、どうかな?」

 母は暫く思慮した後「殿下、失礼を承知で申し上げます。我が帝都は治安が良いのは存じ上げておりますが、周りに知らない人ばかりの土地で息子がやっていけるのか正直不安です……、建築費をお返しする余裕もごさいませんし……」母は言う。

「お母様!安心して下さい。私が足繁く息子さんの安否は確認致しますし、建築費は安心料として払ってますので、返金して頂く必要はございません!」

 母の手を取って、イケメン顔の圧で押し切ろうとしている。

「まあまあ、殿下もそう言って下さるんだから」父は苦笑いで諭す。

 母も渋々了解する。毎週日曜日には実家に帰って、近況報告をする様言われる。

「通学については了承しました、番については……。皇族の妃になると言う事をこの子はまだ理解出来ていない様ですし……。お互いまだ若いし、良く考えてから答えを出しては如何でしょうか?」

 2人ともそれで良いと了承した。

「お父様、お母様お話しを聞いて下さりありがとうございます」

「息子を宜しくお願いします」

「このセオドールにお任せ下さい!」

 自信たっぷりの笑顔だ。

 取り敢えず、両親相手に魔王口調じゃなくて良かった…………。ほっと緊張が解けた。

 セオドールを馬車まで見送ると、僕の手の甲にキスを落として。

「ルカまたな」

 馬車のドアが閉まると、馬の嘶きが高く響いて出発した。

 
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