女神さまの尻ぬぐい

冒険者生活

穏やかな日々

神殿に丸投げしたへっぽこ女神は、魔力封じを外してもらうことが出来たらしい。
大神様に追放されて、森に堕ちた後俺が見に行かなかったものだから奴隷商に売られたんだって。

女神の魔力は、人間界に堕とされたから以前のようにはいかなくて。
シーグムとの会話は頭の中でだけになった。
それでも、意思の疎通が図れるなら問題ないだろう。

と、女神のことは放置。

シルヴァンたちもここでの生活に慣れてきたみたいで、冒険者として頑張ってくれてる。
しっかり老後の生活に向けて、順調に資産が増えている。
何よりだ。


そうやって穏やかな日々が過ぎ、気が付けば俺も12歳。
学校へ行くのか？
冒険者として本格的に活動を始めるのか？
そろそろ決断を迫られる時期に来ていた。

「なぁ、シルヴァン。
シルヴァンのいた国では、学校制度とかどうなってたんだ？
何か知ってる？」

「俺の国の学校のことか？
王立学校があって、それぞれの領地に学校がある感じになっている。
領主が優秀でなければ、学校の規模も小さく、優秀な教師も集まらない。」

「何歳から通えるの？」

「通うのは10歳からでも行ける。大体が12歳からになるが。
平民でも貴族でも通えるが…
ただ…規定の試験をクリアできなければ、卒業はできない。」

「ふぅん… そこは他国から入学することはできるの？」

「全くゼロではないが… 編入は難しと聞いている。」

「そう…。」

「お前はこの国の学校へはいかないのか？」

「行かないんじゃなくて、多分”行けない”方かな。
みんな学校は卒業してるのか？」

「あぁ、そのはずだが…
侍従だったイエルだけは卒業できたかどうか…
ちょっと記憶にないな。」

「イエルは元々の身分が低いとか？」

「まぁ、それもあるが俺たちの中で一番年下なんだ。
年齢的に、卒業の単位が間に合っていたかどうか…。」

「まぁ、そこは本人に聞いてみるよ。」

「それがいいだろう。
それで…？ 学校にいくつもりなのか？」

「嫌… 正直ちょっと迷っている。
お兄様に会うっていう事をかなえようと思えば、学校に行くという選択肢は外せないだろうから…。」

「そうか。 迷う時間が取れるなら、心行くまで迷えばよい。
ただ…俺たちが元住んでいた国へ行くなら俺たちは一緒に行くことは難しいだろう。」

「あぁ、その辺は気にしなくていいよ。
いくらでもやりようはあるからさ。」

ニヤリと笑う俺に、シルヴァンは苦笑いしていた。