女神さまの尻ぬぐい

冒険者生活

巻き込まないで

森に降りた異世界人、宰相になる人のために呼ばれた人で間違いないらしい。

噂話を小耳に挟んでから約1週間
俺の住んでる宿舎にやってきたクーランは

「神託が降りまして、、、
リベルタス様を神殿に呼ぶように…
とのことなのですが。」


「俺、行かないよ。」


「いや…、さすがに神託ですしね。
そこを何とか…。」

「無理。」

「どうしてですか!!!」

クーランは半泣き状態で焦ってるけどさ。
よ～く思い出してほしいんだよね。

「あのさぁ、俺がどうしてこんな生活してるのかクーランも知ってるでしょ～？
さらに!!!!
俺だって神託受けて、こうやって生活してるわけだし？
無罪放免の免罪符もらって？
冒険者になって？
1人で生きているわけだ。
それを、今更呼び出して俺に何させようっていうの？」

「それは……」

「本来なら？俺、公爵家の次男だったわけだよね。
今、孤児になってるのはどうしてだろうね～？」

「………。」

「そういうわけだから、俺いかないって伝えといて。」

がっくり肩を落としてクーランは大人しく帰っていった。

「へっぽこ女神も何を考えてんだか知らないけど…
本来お兄様のために使うはずだった力を、見ず知らずの人間に使うわけないじゃん。
お兄様に会う事もできないのに。」

そんな俺の様子を、片目をつむったままのシーグムが見ていたけど、俺は全然気にしないぞ!!


クーランを追い返した後はいつもと同じように採取に出かけ
図書館に出かけ、食材を買い料理を作る。
代り映えのしない、ルーティン

こんな日常が、何よりもうれしいものだっていうのを知っているのは1度死んでしまったからなのか。
前世ではいい大人だったのだが、子どもの身体というか思考に引きずられるのか、今の俺はあまり我慢をしなくなった。
たまには、自分を甘やかすのもいいことだと思うんだ。
頑張りすぎは、精神的によくないからね。