幸せにしてもらわなくても、自分で幸せになります

自分でなれる幸せって？

結局、1年間の締めくくりである最後の日はお祖父様のお部屋で迎えることになってしまった。

冒険をしていた時の名前を失った為に、貴族に戻るしか方法がなかったから。

あんなに頑張ったのに、何一つ自分の元に残らなかった成果。
虚しさと、自分の無知、そして周りの人達を振り回した後悔。

誰かに幸せにしてもらわなくても、自分1人で幸せになれる。
って思っていた事が、いかに傲慢だったのか、、、

どんなに自分1人だと思ったところで、本当に1人で生きている人なんていないのに。



「お祖父様、私修道院へ行こうと思うのです。ずっと、とは言いません。2年か3年ほどお時間を頂けないでしょうか。」


「そこへ行って、何をする気だ？」

「自分の不甲斐なさを、鍛え直して来たいと思っています。」

「鍛え直すのに、そんなに短期間でよいのか？」

「そうですね、、、
本当はもっと、10年とかそれ以上続けたいですが、これ以上我儘も言っていられないかと、、、
ただ、私も誰かを頼る事、頼られる事、相手のことを信じて、信じて貰えること。
もっともっと、経験しておかなければならない事があったのではないかと思うのです。」

「何故、そう考える？」

「1年間という短い間だけでも、私は沢山の人を振り回しました。
しかも、その事実にさえ気がつけなかった。

私はどこかで、そうしてもらう事が当たり前だと思っていたのです。
それでも、1人で生きている気になっていた。
なんと愚かな事だったのでしょう。」

「そうか、、、」

「今度は自分と向き合って、本当に、心から大切な人達ともきちんと向き合っていける様に勤めて参ります。」

「ならば、1週間後に出発出来るよう準備しておけ。」

「ありがととうございます。お祖父様！！」




そうして、私の自分勝手な1年間は幕を閉じました。

もし、機会が有れば私が修道院で学んでいる間にイルヘリオ様の実験に付き合わされたバルトリッツ様のお話などでも、してみたいと存じます。