幸せにしてもらわなくても、自分で幸せになります

幼馴染の呼び出し

街に着いたバルトが最初にやった事、それは、、、

幼馴染に連絡を取る事だった。

バルトの幼馴染は魔法使い。
この世界で協力な魔法が使えるものは珍しく、魔法使いと呼ばれる。
その立場を利用されない為に殆どその存在を明らかにされていない。

少しの魔力は殆どの人が持っていて、使っているが術式が使えるものが珍しいのだ。

しかし、バルトはとある事件に巻き込まれ、幼馴染が魔法使いであることを知っていた。

「イルヘリオ、至急頼みたい事がある。」

緊急連絡用の回路から連絡を受け取ったイルヘリオはため息をついた。

バルトの至急って言うのは、いつも厄介な事ばかり。
そして、、、

受けるのが当然のように無理難題を押し付けてくる。

「まったく、私はバルトの小間使いじゃ無いっつーの」

愚痴を零しつつも、
「何があった？　どこに行けばいい？」

とりあえず返しておく。
返事か少し遅れるだけで、何日も根に持ってネチネチやられるのだ。
自分の仕事にも差し障るし、とにかく気分が悪くなる。

全く、、、
爵位が上のものは、自分勝手が過ぎて困る。

「今日の夜、人目につかないように木暮亭に来てくれ。」

「時間は」

「・・・19時頃。」

「わかったよ。何か必要なものはあるか？」

「分身を用意して欲しい」

「わかった。」

身代わりがいると言うことは、何かを隠したいんだな。
イルヘリオは身代わりの核として使える人形数体と、認識阻害のメガネ、髪の色を変える薬品、着替えなどをケースに詰めて空間魔法へ収納した。

「はぁ、夜までにこの仕事、終わるのかね、、、」

重い溜息が出るが、仕方のない事だろう。
これが終われば休暇だったはずなのに、、、

久々に領地に帰って好きに魔法の研究をするはずだった週末が遠のいていく。

バルトの奴！
この貸しは高くつくんだからな！！

心の中で雄叫びをあげるイルヘリオ。
しかし、実際にバルトにその言葉を告げることは、これまで１度たりとも出来ないでいるのだった。

残念な男である。