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1人立ちの大切さ

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バルトは次の街についたら絶対にくそ爺に文句を言ってやる!!
と1人息巻いていた。

ブランシュを預かるのは1年間と決まっていたし、完全に平民の身分になったわけではないことも知っていた。
しかし…
自分で自分の道を決め、歩き出したものを邪魔する権利はないし、たとえ身内といえども、その道を勝手に曲げることは違うと思うのだ。

バルトリッツは侯爵家の次男で、家督は継がない。
その為、騎士団にはいり力を付けていた。
そのため、子爵位が贈られることは決まっていたのだが…
いまだ爵位を貰わぬうちにブランシュの祖父により、騎士団から離れ特別任務に就くことになったのだ。

「なんで俺が、子守なんか…。」

当時14歳のブランシュに剣術や体術を教えることになったバルトリッツは、正直仕事を辞めようかとさえ思っていた。
しかし、ブランシュが力をつけたい理由を語った時、バルトリッツは素直に協力したい、とそう思ったのだった。

覚悟を決めた1人の人間として、できる限りのことをしてやりたい。
それを邪魔する奴は、強制的に排除してやる。

そんなバルトリッツの覚悟を、影の報告で聞いたブランシュの祖父 マーモットはほくそ笑む。

「しかし、大きな声で独り言とは… 気が緩みすぎではないのかの。」

それでも、意地悪くニヤリと笑うマーモットは1年後に会うブランシュの姿を楽しみにしていた。


バルトはブランシュに攻撃魔法を積極的に教えては来なかった。
しかし、それは優しさではないと、そう思うようになった。

自分も、彼女の1人立ちを邪魔していたのではないか?
そう考えを改めたのだ。

知らないで使えないことと、知っって使わないこととは違う。
知ったうえで、自分が判断することも必要なことだ。

もっと、たくさんの知識と経験を積むことで、これからの彼女の未来ももっと違ったものになってくるだろう。
何か困難なことが起こった時、持てる知識のなかから最善を選んでほしい。

その為の知識と経験を、たくさん積んでほし。

バルトリッツはブランシュのために一緒に旅をする決意を、改めて固めたのであった。
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