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王城にて【王様とお父様と私】

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王城へと向かう馬車の中。
お父様から一言

「余計なことは言わぬように」

と、くぎを刺される私。
はて?余計なこととは一体何のことでしょう?
全く心当たりがなくて首を傾げてしまいますわ。

そんな私にお父様は胡乱な視線で

「とにかく、黙っていればいいのだ。」

「しかし、王様に話を聞かれた場合、お答えしないわけにはまいりませんわ。」

「確かにそうだが、余計なことは極力言わぬように。はいか、いいえと答えていなさい。」

「…… わかりました。」

それってどうなのよ?と心の中では悪態をつきながら、馬車の中では大人しくお父様に従っておくけれど、私の我慢がどこまで持つかは、私にもわかりかねます。
だって…
相手は理由も言わず婚約解消を言い出すような人ですよ?
黙って「ハイ、ハイ」なんてしおらしいことができるとは思えませんが…。

==================

王城に到着した私たちは、謁見の間…ではなく、王様の私室に通されました。
私室といっても、執務室のように使われている部屋だそうですが、公務とはまた違う用向きに使われるのだそうです。
いわゆる、プライベート空間だけど親しい友人とそれ以外に分けたいよね。的な…?

「サミュエル・ドナ・ラールリード 参りました。」

「入れ。」

ノックの後にお父様が声を掛けます。
入室の許可が下りましたので、2人でお部屋に入りますと国王様と王妃様がいらっしゃいました。

「国王陛下におかれましては…」

と挨拶するお父様を遮って、王様から声がかかります。

「堅苦しい挨拶は良い。此度は、ヴァーミリアンがやらかしてしまったようだの。」

「その件に関しまして、本当にヴァーミリアン様と私の娘との婚約は解消されたのでしょうか?」

「それについてだが… ブランシュ嬢は、ヴァーミリアンが婚約の解消を言い出した際、理由も聞かなかったと聞いたが、どうしてだ?」

「……」

困りましたね…
お父様から、「ハイ」と返事をしておけと言われておりますのに。。。
ちらちらとヨコ目でお父様を見上げておりましたら

「発言を許す。素直な気持ちを聞きたいのだ。」

国王様にこう言われてしまっては、「はい」だけで済ませることは難しそうです。
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