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公爵邸にて【父と私】

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しばらく考えた後、お兄様は

「そこは、父上に確認したほうがいいと思う。僕の口からは、なんとも…」

「そうですわね。でも、今の公爵家に政略結婚は必要ですか?」

「う~ん… 特になくてもいいと思うけど。
 まぁ、詳しくは父上に確認したほうがいい。
 今ここで憶測で話しても仕方がないからね。」

「それもそうですわね。お兄様、ありがとうございます。」

「それにしても… ブランシュ、婚約解消は本当なのかい?
 そんなに嬉しそうに、婚約解消されました。と言われても、困るんだけどね…」

「婚約者として、そこまで親しくしていたわけではありませんから…」

「まぁ、そうかもしれないね。僕としても、落ち込まれるよりはいいのかもしれないし。」

柔らかく笑ってお兄様はテラスを出ていかれました。
しばらくお茶を楽しんでいると
ジェムが呼びに来ました。

「お嬢様、旦那様がお戻りになられましたよ。お会いになるそうです。」

「ありがとう、ジェム。」


==============
「お父様、ブランシュです。」

扉をノックして声を掛けます。

「入りなさい。」

「失礼いたします。お父様、お時間を取っていただきありがとうございます。」

「ああ、話は先ほど聞いた。ヴァーミリアン様とのことだろう。」


「そうです。本日ヴァーミリアン様より婚約解消を申し渡されました。」

「お前は、理由も聞かずに受け入れたそうだな。」

「はい、ですがここ数か月お会いすることもなく… 」

「そうだったな。明日、一緒に王宮へ行くぞ。陛下からの呼び出しだ。」

「わかりました。お父様、最後に一つだけお聞きしたことが…。」

「なんだ?」

「私はこの先、政略結婚に必要ですか?」

「なぜそのようなことを…」

「今回のヴァーミリアン様との事で、私は一欠けらの愛情を持っていないことに気が付いてしまったのです。
 誰かを愛することができない、愛しようとも、寄り添おうともしない私ではお相手の方に申し訳ないかと思いまして…。」

「そうか。だかブランシュはまだ15歳、成人もしていない。そのうち、相手のことを思いやれる日も来るだろう。
 気にすることはない。 もう、下がれ。」

「…はい。では、失礼いたします。」

お父様には、そんな風に言われましたが私には、誰かを愛しいとか大切にしたいとか、支えていきたいなどど思う日が来るなんて、信じられませんでした。
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