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ウサギとオオカミ
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あるところにウサギさんがいました。
ウサギさんはとても困っていました。
「どうしたらいいのだろう…か…」
実は、ウサギさん達が住んでいた近くに一匹のオオカミが住み着き、ウサギさん達の仲間は何匹かそのオオカミさんに食べられてしまったのです。
住み慣れた家を捨てて逃げられればいいのですが、まだ小さい子がいます。そうすぐには逃げられません。
仲間と話し合い、少し離れたところに最近越してきた東の魔女に相談しに行くこととなりました。
代表で一匹のウサギが魔女の元を尋ねることにしたのです。
しかし誰も話したことが無い魔女の為、知らない自分達を助けてくれるか心配です。
「どうしたらいいのだろう…」
ウサギさんは魔女の家の庭の前と森を行ったり来たりと同じ場所をずっと歩いていました。そこへ山の中から籠を持った一人の女の人がやって来ました。
「先程から私の家の庭先で悩んでいるウサギさん、どうしたの?」
ウサギさんは慌てて頭を下げ挨拶をしました。
「あ…、あの!僕はこの先に住むうさぎです!実は最近僕達が住んでいる近くにオオカミが住み着き僕達を食べに来るのです!!助けて貰えないでしょうか!!?」
魔女は二つ返事で了承しました。
魔女は持っていた籠からキノコを一つとり魔法をかけました。
「ウサギさん、このキノコをオオカミさんに食べさせなさい。そうすればオオカミさんはウサギさんを襲わないでしょう。オオカミさんがウサギさんの気持ちが分かった時魔法が解けるでしょう」
ウサギさんは東の魔女にお礼を言い急いでウサギさんが住むところにかけて帰ります。
帰り途中、運悪くあのオオカミさんと遭遇しました。
「グッフッフッ!!こんな所に可愛い可愛いウサギちゃん♪こんにちは」
「こ、こんに、ちは」
ウサギさんはオオカミさんと向かい合いゆっくりと後ろに一歩また一歩と下がりますがオオカミもウサギさんに合わせてゆっくりと近づきます。オオカミさんは鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌。
「悪いけど、ぼく急いでるので!!!!」
そう言ってウサギサンハ後ろを向いて走り出しました。
が、オオカミさんも後を追います。
ウサギさんは頑張って逃げますがオオカミさんの足には勝てません。
オオカミさんはジャンプをして大きい口を開けウサギさんに噛みつこうとしました。
ウサギさんは驚いて持っていたものをオオカミさんの口の中に投げ噛まれないよう横にジャンプをしました。
「ん…?むしゃむしゃ。なんだ?キノコか。では、前菜も終わったしいただき……ま……あれ…?」
オオカミさんの体が見る見る小さく、そして黒っぽい茶色の毛は薄い茶色い毛に段々変わっていきました。
「…?な、なんだこれは?」
自分の手が細長い手に。目線は何故か目の前のウサギと同じ高さに。手で頭を掻こうと頭に足を上げようとしても上がらず何故か前足があがる。そして頭の上には長いものが。オオカミさんはそれを引っ張ってみると…
「イタイ…え?何で俺の頭にこんな長い耳が?何で俺の手はこんな細長い手に?…何でお前と同じ目線なんだウサギ!!」
初めは困惑気味のオオカミさんもだんだんと怒りだしウサギさんに大声で詰め寄ります。
「え…?あ、それは…君が…ウサギになったからだよ…?」
「はぁー!!!????」
オオカミさんは急いで川に走ります。が、上手く走れません。オオカミとウサギでは走り方が異なります。変な走り方をしながらオオカミさんは走りその後をウサギさんがついて行きます。
川につき水面に映った自分の顔を見たオオカミさんは驚きました。
「お前!!!何をしたんだ!!!!!!」
振り向いたオオカミさんはウサギさんに向かって飛びかかろうとします。が、まだウサギになりたてのオオカミさん。ウサギさんが避けるのもたやすく、ひょいっとジャンプをして逃げます。
「東の魔女に貰ったんだ。君が僕達ウサギの気持ちが分かれば元に戻るそうだよ」
そう言ってウサギさんは何処かに行ってしまいました。
オオカミさんは絶望し、少し離れたところに住む友達のオオカミの元を訪れることにしました。
オオカミの足ではそこまで遠いと感じなかったのがウサギとなると時間がかかりオオカミさんはずっと怒っていました。
なんとか友達のオオカミの家に着き「おーい」っと呼びかけます。
するとオオカミが一匹現れました。
「ちょっと聞いてくれよ!!おれさ、ウサギに変なキノコ食べさせられたこんな姿になっちまったんだよ!!それで、元の姿に戻るにはウサギの気持を理解しないと……どうしたんだ?」
「ふっハッハッハッ!!食いもんからやってくるとわな!!」
「なっ!!何言ってるんだ!俺だよ俺!!」
「ん?ウサギだろ?フッハ!!」
笑うオオカミに怖くなる元オオカミさん。元オオカミさんは友達のオオカミを見ながら後ろに一歩、また一歩ゆっくりと進みます。
「違う!ウサギにこんな姿にされた!魔法だ!俺だよ!お前の友達の…!」
そう言いかけたとき友達のオオカミに噛まれました。
元オオカミは友達だったオオカミに噛まれたショックとオオカミがこんなに怖いんだという恐怖、そして噛まれたときの痛みに、元オオカミは「キーッ」と泣いてパタリと倒れました。
するとウサギの姿が見る見るオオカミの姿に変わっていったのです。しかしオオカミさんの目は開くことは二度とありません。
友達のオオカミは今思い切り噛んだウサギが、自分の友だと知り嘆き悲しみました。そしてオオカミは遠い地へと行ってしまいました。
そしてウサギさん達はオオカミさんが現れないので魔女に感謝し、採れた木の実などを毎日届け皆と幸せに暮らしましたとさ
おしまい
めでたしめでたし
ウサギさんはとても困っていました。
「どうしたらいいのだろう…か…」
実は、ウサギさん達が住んでいた近くに一匹のオオカミが住み着き、ウサギさん達の仲間は何匹かそのオオカミさんに食べられてしまったのです。
住み慣れた家を捨てて逃げられればいいのですが、まだ小さい子がいます。そうすぐには逃げられません。
仲間と話し合い、少し離れたところに最近越してきた東の魔女に相談しに行くこととなりました。
代表で一匹のウサギが魔女の元を尋ねることにしたのです。
しかし誰も話したことが無い魔女の為、知らない自分達を助けてくれるか心配です。
「どうしたらいいのだろう…」
ウサギさんは魔女の家の庭の前と森を行ったり来たりと同じ場所をずっと歩いていました。そこへ山の中から籠を持った一人の女の人がやって来ました。
「先程から私の家の庭先で悩んでいるウサギさん、どうしたの?」
ウサギさんは慌てて頭を下げ挨拶をしました。
「あ…、あの!僕はこの先に住むうさぎです!実は最近僕達が住んでいる近くにオオカミが住み着き僕達を食べに来るのです!!助けて貰えないでしょうか!!?」
魔女は二つ返事で了承しました。
魔女は持っていた籠からキノコを一つとり魔法をかけました。
「ウサギさん、このキノコをオオカミさんに食べさせなさい。そうすればオオカミさんはウサギさんを襲わないでしょう。オオカミさんがウサギさんの気持ちが分かった時魔法が解けるでしょう」
ウサギさんは東の魔女にお礼を言い急いでウサギさんが住むところにかけて帰ります。
帰り途中、運悪くあのオオカミさんと遭遇しました。
「グッフッフッ!!こんな所に可愛い可愛いウサギちゃん♪こんにちは」
「こ、こんに、ちは」
ウサギさんはオオカミさんと向かい合いゆっくりと後ろに一歩また一歩と下がりますがオオカミもウサギさんに合わせてゆっくりと近づきます。オオカミさんは鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌。
「悪いけど、ぼく急いでるので!!!!」
そう言ってウサギサンハ後ろを向いて走り出しました。
が、オオカミさんも後を追います。
ウサギさんは頑張って逃げますがオオカミさんの足には勝てません。
オオカミさんはジャンプをして大きい口を開けウサギさんに噛みつこうとしました。
ウサギさんは驚いて持っていたものをオオカミさんの口の中に投げ噛まれないよう横にジャンプをしました。
「ん…?むしゃむしゃ。なんだ?キノコか。では、前菜も終わったしいただき……ま……あれ…?」
オオカミさんの体が見る見る小さく、そして黒っぽい茶色の毛は薄い茶色い毛に段々変わっていきました。
「…?な、なんだこれは?」
自分の手が細長い手に。目線は何故か目の前のウサギと同じ高さに。手で頭を掻こうと頭に足を上げようとしても上がらず何故か前足があがる。そして頭の上には長いものが。オオカミさんはそれを引っ張ってみると…
「イタイ…え?何で俺の頭にこんな長い耳が?何で俺の手はこんな細長い手に?…何でお前と同じ目線なんだウサギ!!」
初めは困惑気味のオオカミさんもだんだんと怒りだしウサギさんに大声で詰め寄ります。
「え…?あ、それは…君が…ウサギになったからだよ…?」
「はぁー!!!????」
オオカミさんは急いで川に走ります。が、上手く走れません。オオカミとウサギでは走り方が異なります。変な走り方をしながらオオカミさんは走りその後をウサギさんがついて行きます。
川につき水面に映った自分の顔を見たオオカミさんは驚きました。
「お前!!!何をしたんだ!!!!!!」
振り向いたオオカミさんはウサギさんに向かって飛びかかろうとします。が、まだウサギになりたてのオオカミさん。ウサギさんが避けるのもたやすく、ひょいっとジャンプをして逃げます。
「東の魔女に貰ったんだ。君が僕達ウサギの気持ちが分かれば元に戻るそうだよ」
そう言ってウサギさんは何処かに行ってしまいました。
オオカミさんは絶望し、少し離れたところに住む友達のオオカミの元を訪れることにしました。
オオカミの足ではそこまで遠いと感じなかったのがウサギとなると時間がかかりオオカミさんはずっと怒っていました。
なんとか友達のオオカミの家に着き「おーい」っと呼びかけます。
するとオオカミが一匹現れました。
「ちょっと聞いてくれよ!!おれさ、ウサギに変なキノコ食べさせられたこんな姿になっちまったんだよ!!それで、元の姿に戻るにはウサギの気持を理解しないと……どうしたんだ?」
「ふっハッハッハッ!!食いもんからやってくるとわな!!」
「なっ!!何言ってるんだ!俺だよ俺!!」
「ん?ウサギだろ?フッハ!!」
笑うオオカミに怖くなる元オオカミさん。元オオカミさんは友達のオオカミを見ながら後ろに一歩、また一歩ゆっくりと進みます。
「違う!ウサギにこんな姿にされた!魔法だ!俺だよ!お前の友達の…!」
そう言いかけたとき友達のオオカミに噛まれました。
元オオカミは友達だったオオカミに噛まれたショックとオオカミがこんなに怖いんだという恐怖、そして噛まれたときの痛みに、元オオカミは「キーッ」と泣いてパタリと倒れました。
するとウサギの姿が見る見るオオカミの姿に変わっていったのです。しかしオオカミさんの目は開くことは二度とありません。
友達のオオカミは今思い切り噛んだウサギが、自分の友だと知り嘆き悲しみました。そしてオオカミは遠い地へと行ってしまいました。
そしてウサギさん達はオオカミさんが現れないので魔女に感謝し、採れた木の実などを毎日届け皆と幸せに暮らしましたとさ
おしまい
めでたしめでたし
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