20 / 30
20話 開店2日目
しおりを挟む
初日の売り上げは金貨12枚強だった。最初10日に一度の給料にする予定だったが、お金の管理をする経理担当がいないことに気がついた。ひとまずお金は全額ルーナに預かってもらうとして給料は日払いで記録をつけることとした。
「そのうち経理担当を雇うからそれまで日払いでお金わたすね。…ということで本日分みんな受け取ってね。」
「「「「「ありがとうございますー」」」」」
「ちょっと多いのか少ないのかわからないんだけど…」
「十分すぎるとおもいますよ。」
「部屋と食事、後お風呂もついてこれだけもらえたら…ねえ?」
「ラッキー、です。」
「残りのお金はみんなの食費とこの家の支払いにあてるね。」
店を閉め給料を渡し終えたので各自自由に活動を始めた。食事の時間まではそれほど時間があるわけではないのでほとんどの人が食堂で会話に花をさかせている。
ポチはシルメリアを連れて倉庫へやってきた。
「えーと…?」
「折角錬金術使えるんだし、少し手伝ってもらおうかなと。」
「あーなるほどです!でも私…調合は1なんですが…」
「ポーションと解毒剤後痛み止めが作れるね。じゃあその3つは任せちゃおうかな。僕はそれ以外の調合をやるね。これならシルメリアも調合のレベル上がるしいいんじゃないかな。」
「わかりましたやってみますねっ」
2人はそれぞれ調合を始める。倉庫扉の影からその様子をじっとルーナが見つめていたが気にしない。
へんだな…食事を作ってたはずなんだけどね。あれか、スフィアに任せてサボっているとか?もしそうなら後でしかっておこう。
「こんな感じでいいですか?」
「うん、全然出来てるね。じゃあ次はまとめて作るやり方を…」
それなりに楽しそうにシルメリアは調合をがんばってくれた。
「ところでシルメリアはメインの職業は何なの?」
「え…っえ~と…ちょっとこっちは人に言えない職業なんで…」
人に言えない職業…?そんなもの職業適性調べた時に見たかな…覚えてないな。
「そんなのあるんだね?」
「はい…えーと、家についてきてもらった後なら教えてもいいです。」
「?」
家と関係がある職業…?盗賊とか??いや、まさかそれはないか…盗賊といってもその技能を使えるだけで職に就く必要もないしな。
食事を終え再び各自自由に活動を始める。今日は調合が先に終わったので1番風呂にポチは向かった。
今日は珍しくソーマさんを誘って入ることにした。あれだ、ルーナ対策だ。流石に他の人がいたら入ってこないだろうという狙いだ。
「ソーマさん今日は店どうでした?」
「販売業も悪くないねー。」
「やはり宿とは仕事内容が違いますから、なれないと思いますがしばらくよろしくお願いします。」
「お願いするのはこっちだよ。あんなに給料貰ったら宿の修理費もすぐ溜まるよ。」
どうやらソーマさんは宿の修理費は自分の分から払うそうだ。娘には迷惑をかけられないらしい。いい父親だなーと思う。そんなことを考えていると、
バンッ
扉が勢いよく開きルーナが風呂場に入ってきた。
「主様はあまあまなのです…精霊が他人がいようが恥ずかしがるわけもなく…」
「……」
「…やはり精霊はみんな人形みたいな体だね~」
「ソーマ様は大人なのですっ」
結局そのままつかまりもみくちゃにされた。
「大人しく洗われれば問題ないだろうに…」
「いや、それもちょっと…」
うん、ルーナじゃないけどソーマさんは普通に大人だな…
▽▽▽▽▽
朝、いつものようにみんなが食堂に集まり、今日の予定を食事をしながら話す。
「今日はソーマさんシルメリアは固定の販売を、でエレノアも今日は販売について欲しい。アルタとエルザはダンジョンの地下1階と地下2階で採取作業を。それで俺は商人ギルドで経理担当と販売員、あと採取担当それぞれ各1名の募集に行ってくるね。」
「え、3人も増やすんですか?」
「うん、休み明けから来てもらえる人を増やしておくんだ。ソーマさん、3日の給料で宿の修理費のめどがたつんじゃないですか?」
みんながいっせいにソーマのほうに視線を向けた。なぜかエレノアは少し残念そうな顔をしている。
「はい、そうです。休み明けには修理に入れそうです。」
「修理が終わらない限り宿は再開出来ませんけど、その間に新人を入れて教え込もうと思ってね。で、募集を出し終わったら俺はノームと森へ行ってくるよ。」
「森…?」
「休み明けから新しい薬置けたらいいなーと材料を探しに。」
食事も終わりそれぞれが今日の予定のために動き出す。ポチは商人ギルドへ向かう予定だ。
「あ、そうだチサトに声をかけておくかな。」
隣の宿へ入り従業員に声をかけ、チサトは出かけたかどうかたずねる。話を聞いてみるとまだ今日は起きていないらしい。らしいと言うのは1階に顔を出していないからだそうだ。ポチはどうしようかとその場で少し考え込む。
「あれ~ポチじゃないか。」
「あ、おはようございます。」
丁度そこへチサトが2階から降りてきた。どうやら今から食事のようだ。チサトがついたテーブルに一緒に座り話を持ちかけた。
「へー従業員募集するんだ。」
「うん、それで経理と販売員と採取担当をそれぞれ1名募集しようと思ってね。チサトはどうかなと声かけに来たんだ。」
「従業員だろ?時間とか厳しくないか…朝起きるの遅めだしなぁ~」
「採取担当なら問題ないよ?」
「…その辺もう少し詳しく。」
多少起きるのが遅くてもその人採取の予定に参加してもらい、遅れた分稼いでくれればいいという話をした。
「このくらいなら起きてるんでしょ?」
「まあな。」
「じゃあ大丈夫だよ。ついさっき店を開けてきたんだけど、それを確認してから採取組みも出発したし。それに毎日全部の時間採取するわけじゃないからね。」
「なるほど、じゃあ俺も参加させてもらうかな。いつからがいい?」
「あ、この宿はどうする?こっち住み込みも出来るけど。」
「おっじゃあ世話になるかな!」
「それじゃあ…3日後の夕方からこっちに住んでもらおうかな。で、その次の日から採取に参加をお願い。」
チサトが採取担当に来てくれることになった。これでギルドで募集するのは残り2つになったわけだ。
商人ギルドの中に入りカウンターで募集のお願いを出してくる。
「ある程度店のほうが落ち着きましたら販売状況などの報告をお願いします。」
「それって今募集に出した経理の人が話しに来ればいいですかね?」
「はい、それで大丈夫です。」
さて、ここでの仕事も終わったし今からノームとオリオニスの森へいくぞっ
森に着くとこの間と同じようにノームにエルフの里の入り口を探してもらう。少し待つとノームが目を開いた。
「これは運がいいな。少し西に行ったところにあるな。」
「つまり…西に向かえば取り合えず迷いの森…でいいのかな?」
「そうだね。」
西に進路を向けて2人は歩き出した。それほど歩かないうちにあたりは薄っすらと霧が立ち込めだした。
「迷いの森だな。」
「お…じゃあヌグル草とグルルム草を探そうかな。」
うーん…名前のわからない草が一杯あるな。
一番近くにある草を鑑定してみる。読めない文字が表示された。
「ノームこれは何?鑑定しても読めないんだけど…」
「エルフ言語だな。エルフの扱うハーブだ。我々では理解出来ない代物だ。」
なるほど…しかも鑑定したら当たり一面そのハーブだらけだった。まだところどころ名前がわからないものがあるからそれを鑑定していこう。
「発見。」
名前:グルルム草
レベル:3
属性タイプ:土
アイテム:グルルム草
説明:薬の材料になる。
でも爆弾のほうの材料なんだよね。爆弾は販売するわけにはいかないからな…でもこれで鑑定されていない草のほうが増えたからよしとしよう。爆弾は作ったら後で試してみるかな。まずは誰もいないところで…
小範囲と言うものがどのくらいの範囲なのかわからないからいきなり使うことができないのだ。
「やっぱりハーブが多いな~でも見つかってよかった。」
名前:ヌグル草
レベル:3
属性タイプ:土
アイテム:ヌグル草
説明:薬の材料になる。
これでやっと集められる。
ノームにも採取を頼み2人でヌグル草、グルルム草、プルポム草、の採取をする。それほど多くはないが、ぼちぼち集めれそうだ。
「あ…れ?」
モンスターに遭遇しなかったのをいいことに採取に夢中になりすぎた。気がつくと霧が晴れ、門の前に立っている。
「ここは…もしかしてエルフの里とか?」
ノームは来ていなかった。どうやらポチ1人だけ移動しすぎたようだ。門を見ると何か書かれているが文字は読めない。どことなくさっき鑑定した草と似た文字だ。
「※※※※※※?」
「……」
やばい何いってるかわからない。エレノアやソーマさんとは普通に話せるのに…あれかこっちの言語にあわせてくれてるのか。
門のところにエルフがあわられてさっきから何か話しかけてきているようだが、ポチにはまったくわからなかった。
そうだ、エレノアに借りたペンダントだっ
ストレージからペンダントを取り出し首にかける。たしかエレノアが身に着けてといっていたからだ。
「ねえ、聞いてる?あなたは迷い人なの??」
「あ、そっかこれ通訳してくれるものなのか。」
「あらそれ…なるほど、言葉がわからなかったのね。では、改めましてエルフの里へようこそ。」
彼女はユミリアと名乗った。このエルフの里の住人で、たまに訪れる迷い人を案内したり元の場所へ帰したりしているらしい。
「えーと…ポチ?じゃああなたはここに用があるわけじゃないのね。」
「うん、ヌグル草とグルルム草を迷いの森で採取してたらここについてしまったんだ。」
「あーなるほどね~その2つならこの里にたくさんあるわよ。特にヌグル草とかは育ててるくらいだもの。」
「育ててるの…?」
「ええ、迷いの森にある霧はヌグル草を利用してエルフの里に着きにくくしているのよ。使い方は秘密だけど。」
なるほど、エルフならではの使い道があるんだな~
ポチは感心した。
「えーとそのヌグル草って分けてもらえたりしますか?」
「もちろん…と言いたいところなんだけど…ただじゃないのよ。」
「高いんですか?」
「んー…高くもあり安くもあるというか、お金じゃないんだ。」
「???」
さっぱりわからん…
「簡単にいうとここの長老様と仲良くなればいいのよ。」
なるほど…仲良くなるための手段と言うわけか。たしかにプレゼントとか繰り返したら高くなる。だけどそれじゃあきっとだめなんだろうな…
「じゃあこうします。まずは会ってみます。それでヌグル草はまた迷いの森に取りに来るから、そのときここにたどり着いたらまた顔を出したいと思います。」
「あーつまり土産話ってところね。外のことを教えてもらえるとか長老が少しうらやましいわ。」
「…あれ、エルフって外にいかないんですか?俺の住んでる町ですでに4人見ましたけど…」
「基本理由がないと出て行かないわね…」
つまりあの一家はなにかしら理由があって里の外に出ているってことなのか…
この後長老に軽く挨拶と自己紹介をして、また来たときに顔を出す約束をしてエルフの里から外へ出た。
「あ、お帰り?エルフの里にでもいっちゃたのか?」
「うん、進みすぎちゃったみたいだね。少し里の人と会話してきたよ。さて、もう少し集めたら帰ろうか。」
店が閉まる前に森を出て町まで戻った。早朝からダンジョンに行く人たちが店が閉まる前に買い物に来るのでその手伝いだ。従業員用の出入り口から中に入ると閉店前の駆け込みのお客さんが結構来ていた。ダンジョンから戻ってきていたアルタとエルザも手伝ってくれている。
さて、俺は何しようかな…先に少し調合やっているか。新しい薬を試してみようか。
『調合』で不可視薬、雲集薬、爆弾Sをそれぞれ作る。材料あるだけで出来るだけ作り棚に置いておく。それを数本ストレージにしまった。明日少し効果を試してからさらに数を作るためだ。
もう一度店へ顔を出すと人がひいて店を閉めるところだった。本日の売り上げは昨日よりも多く金貨15枚強で、同じく金貨1枚ずつ給料として渡した。
その後はいつもの流れとさほど変わらず…夜は更けていった。
「そのうち経理担当を雇うからそれまで日払いでお金わたすね。…ということで本日分みんな受け取ってね。」
「「「「「ありがとうございますー」」」」」
「ちょっと多いのか少ないのかわからないんだけど…」
「十分すぎるとおもいますよ。」
「部屋と食事、後お風呂もついてこれだけもらえたら…ねえ?」
「ラッキー、です。」
「残りのお金はみんなの食費とこの家の支払いにあてるね。」
店を閉め給料を渡し終えたので各自自由に活動を始めた。食事の時間まではそれほど時間があるわけではないのでほとんどの人が食堂で会話に花をさかせている。
ポチはシルメリアを連れて倉庫へやってきた。
「えーと…?」
「折角錬金術使えるんだし、少し手伝ってもらおうかなと。」
「あーなるほどです!でも私…調合は1なんですが…」
「ポーションと解毒剤後痛み止めが作れるね。じゃあその3つは任せちゃおうかな。僕はそれ以外の調合をやるね。これならシルメリアも調合のレベル上がるしいいんじゃないかな。」
「わかりましたやってみますねっ」
2人はそれぞれ調合を始める。倉庫扉の影からその様子をじっとルーナが見つめていたが気にしない。
へんだな…食事を作ってたはずなんだけどね。あれか、スフィアに任せてサボっているとか?もしそうなら後でしかっておこう。
「こんな感じでいいですか?」
「うん、全然出来てるね。じゃあ次はまとめて作るやり方を…」
それなりに楽しそうにシルメリアは調合をがんばってくれた。
「ところでシルメリアはメインの職業は何なの?」
「え…っえ~と…ちょっとこっちは人に言えない職業なんで…」
人に言えない職業…?そんなもの職業適性調べた時に見たかな…覚えてないな。
「そんなのあるんだね?」
「はい…えーと、家についてきてもらった後なら教えてもいいです。」
「?」
家と関係がある職業…?盗賊とか??いや、まさかそれはないか…盗賊といってもその技能を使えるだけで職に就く必要もないしな。
食事を終え再び各自自由に活動を始める。今日は調合が先に終わったので1番風呂にポチは向かった。
今日は珍しくソーマさんを誘って入ることにした。あれだ、ルーナ対策だ。流石に他の人がいたら入ってこないだろうという狙いだ。
「ソーマさん今日は店どうでした?」
「販売業も悪くないねー。」
「やはり宿とは仕事内容が違いますから、なれないと思いますがしばらくよろしくお願いします。」
「お願いするのはこっちだよ。あんなに給料貰ったら宿の修理費もすぐ溜まるよ。」
どうやらソーマさんは宿の修理費は自分の分から払うそうだ。娘には迷惑をかけられないらしい。いい父親だなーと思う。そんなことを考えていると、
バンッ
扉が勢いよく開きルーナが風呂場に入ってきた。
「主様はあまあまなのです…精霊が他人がいようが恥ずかしがるわけもなく…」
「……」
「…やはり精霊はみんな人形みたいな体だね~」
「ソーマ様は大人なのですっ」
結局そのままつかまりもみくちゃにされた。
「大人しく洗われれば問題ないだろうに…」
「いや、それもちょっと…」
うん、ルーナじゃないけどソーマさんは普通に大人だな…
▽▽▽▽▽
朝、いつものようにみんなが食堂に集まり、今日の予定を食事をしながら話す。
「今日はソーマさんシルメリアは固定の販売を、でエレノアも今日は販売について欲しい。アルタとエルザはダンジョンの地下1階と地下2階で採取作業を。それで俺は商人ギルドで経理担当と販売員、あと採取担当それぞれ各1名の募集に行ってくるね。」
「え、3人も増やすんですか?」
「うん、休み明けから来てもらえる人を増やしておくんだ。ソーマさん、3日の給料で宿の修理費のめどがたつんじゃないですか?」
みんながいっせいにソーマのほうに視線を向けた。なぜかエレノアは少し残念そうな顔をしている。
「はい、そうです。休み明けには修理に入れそうです。」
「修理が終わらない限り宿は再開出来ませんけど、その間に新人を入れて教え込もうと思ってね。で、募集を出し終わったら俺はノームと森へ行ってくるよ。」
「森…?」
「休み明けから新しい薬置けたらいいなーと材料を探しに。」
食事も終わりそれぞれが今日の予定のために動き出す。ポチは商人ギルドへ向かう予定だ。
「あ、そうだチサトに声をかけておくかな。」
隣の宿へ入り従業員に声をかけ、チサトは出かけたかどうかたずねる。話を聞いてみるとまだ今日は起きていないらしい。らしいと言うのは1階に顔を出していないからだそうだ。ポチはどうしようかとその場で少し考え込む。
「あれ~ポチじゃないか。」
「あ、おはようございます。」
丁度そこへチサトが2階から降りてきた。どうやら今から食事のようだ。チサトがついたテーブルに一緒に座り話を持ちかけた。
「へー従業員募集するんだ。」
「うん、それで経理と販売員と採取担当をそれぞれ1名募集しようと思ってね。チサトはどうかなと声かけに来たんだ。」
「従業員だろ?時間とか厳しくないか…朝起きるの遅めだしなぁ~」
「採取担当なら問題ないよ?」
「…その辺もう少し詳しく。」
多少起きるのが遅くてもその人採取の予定に参加してもらい、遅れた分稼いでくれればいいという話をした。
「このくらいなら起きてるんでしょ?」
「まあな。」
「じゃあ大丈夫だよ。ついさっき店を開けてきたんだけど、それを確認してから採取組みも出発したし。それに毎日全部の時間採取するわけじゃないからね。」
「なるほど、じゃあ俺も参加させてもらうかな。いつからがいい?」
「あ、この宿はどうする?こっち住み込みも出来るけど。」
「おっじゃあ世話になるかな!」
「それじゃあ…3日後の夕方からこっちに住んでもらおうかな。で、その次の日から採取に参加をお願い。」
チサトが採取担当に来てくれることになった。これでギルドで募集するのは残り2つになったわけだ。
商人ギルドの中に入りカウンターで募集のお願いを出してくる。
「ある程度店のほうが落ち着きましたら販売状況などの報告をお願いします。」
「それって今募集に出した経理の人が話しに来ればいいですかね?」
「はい、それで大丈夫です。」
さて、ここでの仕事も終わったし今からノームとオリオニスの森へいくぞっ
森に着くとこの間と同じようにノームにエルフの里の入り口を探してもらう。少し待つとノームが目を開いた。
「これは運がいいな。少し西に行ったところにあるな。」
「つまり…西に向かえば取り合えず迷いの森…でいいのかな?」
「そうだね。」
西に進路を向けて2人は歩き出した。それほど歩かないうちにあたりは薄っすらと霧が立ち込めだした。
「迷いの森だな。」
「お…じゃあヌグル草とグルルム草を探そうかな。」
うーん…名前のわからない草が一杯あるな。
一番近くにある草を鑑定してみる。読めない文字が表示された。
「ノームこれは何?鑑定しても読めないんだけど…」
「エルフ言語だな。エルフの扱うハーブだ。我々では理解出来ない代物だ。」
なるほど…しかも鑑定したら当たり一面そのハーブだらけだった。まだところどころ名前がわからないものがあるからそれを鑑定していこう。
「発見。」
名前:グルルム草
レベル:3
属性タイプ:土
アイテム:グルルム草
説明:薬の材料になる。
でも爆弾のほうの材料なんだよね。爆弾は販売するわけにはいかないからな…でもこれで鑑定されていない草のほうが増えたからよしとしよう。爆弾は作ったら後で試してみるかな。まずは誰もいないところで…
小範囲と言うものがどのくらいの範囲なのかわからないからいきなり使うことができないのだ。
「やっぱりハーブが多いな~でも見つかってよかった。」
名前:ヌグル草
レベル:3
属性タイプ:土
アイテム:ヌグル草
説明:薬の材料になる。
これでやっと集められる。
ノームにも採取を頼み2人でヌグル草、グルルム草、プルポム草、の採取をする。それほど多くはないが、ぼちぼち集めれそうだ。
「あ…れ?」
モンスターに遭遇しなかったのをいいことに採取に夢中になりすぎた。気がつくと霧が晴れ、門の前に立っている。
「ここは…もしかしてエルフの里とか?」
ノームは来ていなかった。どうやらポチ1人だけ移動しすぎたようだ。門を見ると何か書かれているが文字は読めない。どことなくさっき鑑定した草と似た文字だ。
「※※※※※※?」
「……」
やばい何いってるかわからない。エレノアやソーマさんとは普通に話せるのに…あれかこっちの言語にあわせてくれてるのか。
門のところにエルフがあわられてさっきから何か話しかけてきているようだが、ポチにはまったくわからなかった。
そうだ、エレノアに借りたペンダントだっ
ストレージからペンダントを取り出し首にかける。たしかエレノアが身に着けてといっていたからだ。
「ねえ、聞いてる?あなたは迷い人なの??」
「あ、そっかこれ通訳してくれるものなのか。」
「あらそれ…なるほど、言葉がわからなかったのね。では、改めましてエルフの里へようこそ。」
彼女はユミリアと名乗った。このエルフの里の住人で、たまに訪れる迷い人を案内したり元の場所へ帰したりしているらしい。
「えーと…ポチ?じゃああなたはここに用があるわけじゃないのね。」
「うん、ヌグル草とグルルム草を迷いの森で採取してたらここについてしまったんだ。」
「あーなるほどね~その2つならこの里にたくさんあるわよ。特にヌグル草とかは育ててるくらいだもの。」
「育ててるの…?」
「ええ、迷いの森にある霧はヌグル草を利用してエルフの里に着きにくくしているのよ。使い方は秘密だけど。」
なるほど、エルフならではの使い道があるんだな~
ポチは感心した。
「えーとそのヌグル草って分けてもらえたりしますか?」
「もちろん…と言いたいところなんだけど…ただじゃないのよ。」
「高いんですか?」
「んー…高くもあり安くもあるというか、お金じゃないんだ。」
「???」
さっぱりわからん…
「簡単にいうとここの長老様と仲良くなればいいのよ。」
なるほど…仲良くなるための手段と言うわけか。たしかにプレゼントとか繰り返したら高くなる。だけどそれじゃあきっとだめなんだろうな…
「じゃあこうします。まずは会ってみます。それでヌグル草はまた迷いの森に取りに来るから、そのときここにたどり着いたらまた顔を出したいと思います。」
「あーつまり土産話ってところね。外のことを教えてもらえるとか長老が少しうらやましいわ。」
「…あれ、エルフって外にいかないんですか?俺の住んでる町ですでに4人見ましたけど…」
「基本理由がないと出て行かないわね…」
つまりあの一家はなにかしら理由があって里の外に出ているってことなのか…
この後長老に軽く挨拶と自己紹介をして、また来たときに顔を出す約束をしてエルフの里から外へ出た。
「あ、お帰り?エルフの里にでもいっちゃたのか?」
「うん、進みすぎちゃったみたいだね。少し里の人と会話してきたよ。さて、もう少し集めたら帰ろうか。」
店が閉まる前に森を出て町まで戻った。早朝からダンジョンに行く人たちが店が閉まる前に買い物に来るのでその手伝いだ。従業員用の出入り口から中に入ると閉店前の駆け込みのお客さんが結構来ていた。ダンジョンから戻ってきていたアルタとエルザも手伝ってくれている。
さて、俺は何しようかな…先に少し調合やっているか。新しい薬を試してみようか。
『調合』で不可視薬、雲集薬、爆弾Sをそれぞれ作る。材料あるだけで出来るだけ作り棚に置いておく。それを数本ストレージにしまった。明日少し効果を試してからさらに数を作るためだ。
もう一度店へ顔を出すと人がひいて店を閉めるところだった。本日の売り上げは昨日よりも多く金貨15枚強で、同じく金貨1枚ずつ給料として渡した。
その後はいつもの流れとさほど変わらず…夜は更けていった。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~
椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。
しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。
タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。
数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。
すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう!
手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。
そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。
無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。
和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!
つくも
ファンタジー
錬金術士学院を首席で卒業し、念願であった宮廷錬金術師になったエルクはコストカットで王国を追放されてしまう。
しかし国王は知らなかった。王国に代々伝わる聖剣が偽物で、エルクがこっそりと本物の聖剣を錬成してすり替えていたという事に。
宮廷から追放され、途方に暮れていたエルクに声を掛けてきたのは、冒険者学校で講師をしていた時のかつての教え子達であった。
「————先生。私達と一緒に冒険者になりませんか?」
悩んでいたエルクは教え子である彼女等の手を取り、冒険者になった。
————これは、不当な評価を受けていた世界最強錬金術師の冒険譚。錬金術師として規格外の力を持つ彼の実力は次第に世界中に轟く事になる————。
【完結】知らない間に《女神様のお気に入り》だったようです
Debby
ファンタジー
この世界に『魔法』そのものはない。《ギフト》と呼ばれる力が存在するのみだ。しかし人々は《ギフト》を知る術を持っていない。
《ギフト》とはその名の通り女神から与えられる「贈り物」。それは生まれながらのものであったり、後天的に授かったりもし、貴族平民なども関係がない。もちろん《ギフト》持ちから《ギフト》持ちが生まれる訳でもない。それこそ神のみぞ知る、というヤツである。
何故そんなことをクレア・オリーブ伯爵令嬢が知っているのかというと、彼女が《他人のギフトが何か分かる》という一見使えそうで全く使えないギフトの持ち主だからである。
そんな彼女の通う学園で、前代未聞の大問題が起こってしまった。
その中心人物が、アリス・キャロットという美しい男爵令嬢らしいのだが、話してみると意外と良い子で──
★予約投稿済みで、全13話11/28に完結します
★12/12におまけを追加しました
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる