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とあるギルド職員視点①

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 今日の仕事は久々に草取りの監視だ。ギルド職員になってたまーにやる時がある内容になる。ただぼんやりとどの範囲が終わったか眺めるだけの楽な仕事なので、監視の仕事の中では人気があり、手が空いた職員で取り合いになることもしばしば…

 その割に進んで仕事をするものがいないので、主に罰則でやるものが多数。だけど今回は違う。自ら進んでこの仕事をするものが現れたのだ。一体どんな人物がこの仕事を受けたのだろうか…

 そんなことを気にしながら私は西門へと足を運んだ。どうやらその人物はまだ来ていないようで、私は門のそばで時刻みを確認する。まあ仕方がない…初めから時間の指定がない仕事なのだ。楽なのだからと割り切ろう。

 少しするとその人物がやってきた。思ったよりも幼い容姿に、私はお小遣い稼ぎにでも来たんだろうと内心頷く。この後驚くことになるとは知らずに…

 真面目なのか彼は色々質問してきた。私はその質問に対しちゃんと返してやる。こういうところはしっかりとしておかないとのちに面倒になるからな。

 そして話を終えると彼は突然走り出した。

「ちょっ どこへ…は? な、なんだー!?」

 おもむろに走り出した彼の足元を見ると草がなくなっているではないかっ 確かに彼はスキルを使うと事前に言っていたか、これは一体どんなスキルなんだ、まったくわからない。

 どう見てもただ楽しそうに走っているだけにしか見えないのだ…

 それにもかかわらず彼が走った場所からは草が無くなり地面が見えている。私は何を見せられているのかわからなくて困惑するだけだ。ただ一言これだけは言っておきたい。

「あの…どうせでしたら街道に沿ってとって貰えると報酬の計算が楽だったんですけど…」

と。そんな私の言葉に彼は困った顔をした。どう見ても困るのは私の方だろう。計算もしにくくなるし、視覚的にも整っているとは思えない。まだ綺麗に並んで草が生えていた状態の方がましに感じてしまうくらいに。

 座って休憩をしていた彼は再び走り始めるとたまに歩いたりしつつも今度は街道に沿って草を回収してくれるようになった。中々早くてきれいになくなっていく状態を眺めているとどんなスキルなのか気になってくる。まさか草取り専用のスキルでもあると言うのか? …いや、そんなものは今まで聞いたことがない。

 彼はそのまま昼前まで続けかなりの範囲の草を取ることを成功させた。これははっきり言って前代未聞の所業であると報告をしなければいけないだろう。罰で草取りをやらされていた者たちはこれだけの時間を使っても、そうだな…同じくらいこなすのに10人ほどはいるのではないだろうか。

 だが、出来ることなら次は彼の仕事に当たらないことを願いたい。この距離の報酬を計算するのが思ったよりも大変だったからな。
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