284 / 356
御神木様
268. 撤退
しおりを挟む
御神木様の話が終わると雪乃は驚いた顔のままゆっくりとたけの方を見た。流石御神木様といったところか2人の御神木様の情報は共有されていたみたいだ。たけが何度もこの世界へと召喚された勇者だという話も含まれていた。
「武に巻き込まれてたんだ私達…」
いや事実だけども問題はそこじゃない。
「御神木様を使った召喚魔法というのは?」
「そのままの意味じゃ。勝手に人の体を材料にしよってからにっ」
そう御神木様が話した内容には御神木様を材料とした召喚魔法を作ったやつらがいるという話があった。つまり召喚魔法が完成しているということだ。
「まあそれも完全じゃないようだが」
「完全じゃない?」
「生贄…そうじゃ生贄がいるといっておった」
ということはその生贄が手に入らなければ召喚魔法は完成しないし、御神木様を元の場所に植え直し成長させれば召喚自体が出来なくなるということか。
「ちなみに生贄は何を?」
「獣の血じゃ。それも真っ白な毛色をしたやつのな。大体が色んな毛色が混ざった獣が多いじゃろうから簡単には手に入らんのが救いかの」
「なるほど…」
「そういえばおぬしが連れておる獣は真っ白じゃのう…気をつけよ?」
その言葉に俺はどきりとした。気を付けてと以前ジエルに言われたことを思い出す。気のせいじゃなければ色んな事が繋がっているような気がするな…奪われてしまった御神木様、召喚されてしまったたけ、狙われたネコルー、ネコルーを狙ったダルシア男爵、そして巻き込まれた俺たち。無事御神木様を成長させられればもう2度と召喚されることはなくなる。いやそれは言いすぎだ。ひとまず俺たちが生きている間の平和が守られるっていったところか。また誰かが御神木様を引っこ抜いて同じことをしないとも限らない。まあそんなことが起きないための巫女なんだし。
「俺…」
おっとずっと喋らないのでたけのことを忘れていた。色々聞かされて一番驚いているのはたけだろう。
「え? 何も覚えていないのに3人の子持ちなのか??」
…驚くとこそこなんだ。まあ記憶がないんだからいろいろ言われたって実感わかないからそんなもんなのかな。だけど子供だけは存在するので避けて通ることができない事実だ。
「まあそうなんだけどさ、子供達も父親の顔は覚えていないと思うぞ」
「だがここはやはり責任を取らないといけないんじゃないかっ」
「そうかもな。だがその子供達もすでに俺たちと一緒に行動しているからすぐに会えるぞ? だからまずはここから出ようか」
たけと雪乃が頷いたのでテントを片付けてもらい俺たちはテレポートを繰り返し地上まで向かうのだった。階層を無視できないので48回テレポートを繰り返すのは魔力がたくさんあるとはいえ結構疲れる作業だったよ!
地上へと戻って来た俺たちはダンジョンの外でテントを設置し一度休憩をとることにした。これからのことをお互いちゃんと話し合わないといけないからな。
「俺たちは予定通り御神木様を植える作業に戻るがたけたちはどうするんだ? 大人しく城へもどるのならここでお別れだが」
「…いや、俺は良太たちについて行こうと思う。勇者の仕事なんてもうごめんだな」
「えっ 武がそうするなら私もそうするに決まってるじゃない! 賢者だけ残ったって相手だって困るもの。それにやっぱり知り合いがいるのが一番よ!」
「なら俺たちと同じ行動指針でいいってことだな」
「すまん良太よろしく頼む」
ということならまずは顔合わせか…
「御神木様、少しの間ならここで一人でも大丈夫か?」
「うむ、魔力が無くならなければ大丈夫じゃ。ちとさみしいが大人しく…というかそもそも一人で出歩けんのじゃよ」
そういえばそうだったな。響子にちょっとお祈りしてもらっておけば大丈夫そうだ。
「武に巻き込まれてたんだ私達…」
いや事実だけども問題はそこじゃない。
「御神木様を使った召喚魔法というのは?」
「そのままの意味じゃ。勝手に人の体を材料にしよってからにっ」
そう御神木様が話した内容には御神木様を材料とした召喚魔法を作ったやつらがいるという話があった。つまり召喚魔法が完成しているということだ。
「まあそれも完全じゃないようだが」
「完全じゃない?」
「生贄…そうじゃ生贄がいるといっておった」
ということはその生贄が手に入らなければ召喚魔法は完成しないし、御神木様を元の場所に植え直し成長させれば召喚自体が出来なくなるということか。
「ちなみに生贄は何を?」
「獣の血じゃ。それも真っ白な毛色をしたやつのな。大体が色んな毛色が混ざった獣が多いじゃろうから簡単には手に入らんのが救いかの」
「なるほど…」
「そういえばおぬしが連れておる獣は真っ白じゃのう…気をつけよ?」
その言葉に俺はどきりとした。気を付けてと以前ジエルに言われたことを思い出す。気のせいじゃなければ色んな事が繋がっているような気がするな…奪われてしまった御神木様、召喚されてしまったたけ、狙われたネコルー、ネコルーを狙ったダルシア男爵、そして巻き込まれた俺たち。無事御神木様を成長させられればもう2度と召喚されることはなくなる。いやそれは言いすぎだ。ひとまず俺たちが生きている間の平和が守られるっていったところか。また誰かが御神木様を引っこ抜いて同じことをしないとも限らない。まあそんなことが起きないための巫女なんだし。
「俺…」
おっとずっと喋らないのでたけのことを忘れていた。色々聞かされて一番驚いているのはたけだろう。
「え? 何も覚えていないのに3人の子持ちなのか??」
…驚くとこそこなんだ。まあ記憶がないんだからいろいろ言われたって実感わかないからそんなもんなのかな。だけど子供だけは存在するので避けて通ることができない事実だ。
「まあそうなんだけどさ、子供達も父親の顔は覚えていないと思うぞ」
「だがここはやはり責任を取らないといけないんじゃないかっ」
「そうかもな。だがその子供達もすでに俺たちと一緒に行動しているからすぐに会えるぞ? だからまずはここから出ようか」
たけと雪乃が頷いたのでテントを片付けてもらい俺たちはテレポートを繰り返し地上まで向かうのだった。階層を無視できないので48回テレポートを繰り返すのは魔力がたくさんあるとはいえ結構疲れる作業だったよ!
地上へと戻って来た俺たちはダンジョンの外でテントを設置し一度休憩をとることにした。これからのことをお互いちゃんと話し合わないといけないからな。
「俺たちは予定通り御神木様を植える作業に戻るがたけたちはどうするんだ? 大人しく城へもどるのならここでお別れだが」
「…いや、俺は良太たちについて行こうと思う。勇者の仕事なんてもうごめんだな」
「えっ 武がそうするなら私もそうするに決まってるじゃない! 賢者だけ残ったって相手だって困るもの。それにやっぱり知り合いがいるのが一番よ!」
「なら俺たちと同じ行動指針でいいってことだな」
「すまん良太よろしく頼む」
ということならまずは顔合わせか…
「御神木様、少しの間ならここで一人でも大丈夫か?」
「うむ、魔力が無くならなければ大丈夫じゃ。ちとさみしいが大人しく…というかそもそも一人で出歩けんのじゃよ」
そういえばそうだったな。響子にちょっとお祈りしてもらっておけば大丈夫そうだ。
3
お気に入りに追加
303
あなたにおすすめの小説
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
才能は流星魔法
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。
そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。
流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。
ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。
井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。
山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。
井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。
二日に一度、18時に更新します。
カクヨムにも同時投稿しています。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです
一色孝太郎
ファンタジー
前世でとあるソシャゲのガチャに全ツッパして人生が終わった記憶を持つ 13 歳の少年ディーノは、今世でもハズレギフト『ガチャ』を授かる。ガチャなんかもう引くもんか! そう決意するも結局はガチャの誘惑には勝てず……。
これはガチャの妖精と共に運を天に任せて成り上がりを目指す男の物語である。
※作中のガチャは実際のガチャ同様の確率テーブルを作り、一発勝負でランダムに抽選をさせています。そのため、ガチャの結果によって物語の未来は変化します
※本作品は他サイト様でも同時掲載しております
※2020/12/26 タイトルを変更しました(旧題:ガチャに人生全ツッパ)
※2020/12/26 あらすじをシンプルにしました
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
転移術士の成り上がり
名無し
ファンタジー
ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる