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境界門

249. アズモアに到着

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 馭者台でルーがいやそうな顔をしていた。それもそのはずで今そこには俺のほかにガルシアさんが座っている。手綱を握るルーが中央なので自然と俺とガルシアさんがその両サイドに座ることになるわけで…

「いやー助かったわ」

 ルーをはさんで俺にガルシアさんが話しかけるからだ。それにルーは以前ガルシアさんに姿を隠して麻痺を起こすものを投げつけているから気まずいんだろうね。まあガルシアさんがその時の相手だって気がついているかどうかはわからないが。そんなわけで目的地も同じだったのでガルシアさん達を受け入れたわけだ。ちなみに荷物は馬車ごと俺のインベントリにしまってある。目の前でしまったら流石にちょっと驚かれた。つまり後ろで引いている荷馬車の中には4人の人と馬が乗るという今までなかったほどの大荷物になっている。

「でもこの荷馬車だと雨があまり防げてないのがあれですよね」
「立ち往生食らうよりはましだから問題ねぇよ」

 よほど雨は嫌われているみたいだな。まだ今の所雨は強くないがこの状態もいつまで持つかわからないらしいし。

「それにしても参ったよな~」
「なにがです?」
「もちろん雨のことだ。もうちょっと待ってくれてもよかったのによ」
「はあ」

 天気に文句言ってもどうしようもないわ。結局もう少し後で降ったとしても同じこと言ったんじゃないかな。例えば町には着いたが雨のせいで宿が確保できなかったとかさ。あ、雨の日は宿やっているんだろうか? まあ俺たちは問題ないが…ガルシアさん達が困りそうだね。

「お、町が見えてきたな」

 ガルシアさんの言葉に前を見ると門が見えてきた。どうやら目的地にそろそろつくようだ。思ったよりこの人数で長く移動することにならなくてよかった。

 たどり着いた町の名前はアズモア。フィレーネより少しだけ小さめな町みたいだ。

「俺たちは依頼人の店に寄ったらギルド行くけどリョータ達は?」
「ひとまずギルドかな? だけどさ、まずはこの門の中には入れてからの話だよな」
「まあな」

 ただ町の中へと入りたい人でごった返していて馬車が数台並び、さらに急いで戻って来たと思われる冒険者たちで門のところが混雑していた。

「だけどこんな雨の中締め出されるってことはないはずだから大人しく待ってればそのうちはいれるぜ」
「ならいいんだが」
「町の中には、だけどな」

 そうだよな~ 雨が何日続くかわからない不安におびえながら引きこもる人も多いらしいし、自然災害も怖いけど食糧問題とか出てきそうだ。町にあるだけの食料で雨が落ち着くまで持つといいんだがな。

 しばらく待ってやっと町に入ることが出来た。そのころには雨もかなり大降りになりはじめ風も強く、荷馬車に乗っていたガルシアさんのパーティメンバーや依頼人がびしょ濡れになっていた。まあ…これは仕方のないことだよね。俺とルーはフードを被っていたのでその服で防げていると思われているみたいだったし。実際はただの結界で雨も入らないように調節しているのだが、そこまでやってあげる必要はないだろうということでやっていなかった。

 ガルシアさん達を依頼人の店の前に下ろした後俺とルーは予定通り冒険者ギルドへと向かった。出来たら情報がほしかったんだけど…なんというか建物の中がすごいたくさんの人がいた。その辺に座り込んでいる人もいることから、多分宿が取れなかった人たちだとわかる。もしくは食料問題で追い出されたか…あまり長くここにいると色々巻き込まれそうなので、軽く情報収集したら一度撤退したほうがよさそうだな。
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