上 下
174 / 356
中央の島

158. 考えることが多い

しおりを挟む
 打ち上げも終わり食器類もすべて洗ってそのまま差し上げ…食器は増えても使わないからさ。俺とルーとジエルは一度箱庭の中へ。ルーとジエルはこのまま今晩もこっちで寝るらしく家の中へと入っていった。俺は自転車と取り出し南東の方へと向かった。向かう先は南東にある湖。しばらくバタバタと忙しく顔を出していなかったネコルーの所へ。直接呼び出してもよかったんだがたまには俺から向かうべきかなーとね。それにしてもこの中は相変わらず不思議だ。外と時間が同じなのか空は暗くなり星と月が出ている。そんなことを考えていたら目的地に着いた。

「ネコルー ネコルー?」

 地図を見るとこの辺のはずなんだが姿が見えない。はて…

「ルーーーーッ」

 ザバーーーっと水しぶきを上げ川の中からネコル―が飛び出した。もちろん俺はびしょ濡れだ。

「ル?」

 かわいく首を傾げても濡れた事実は変らないんだからね! まあそれは置いておいてだ。今日打ち上げで作った料理をいくつか並べてみた。折角だからネコルーにも魚料理をあげたくてさ。まあついでに肉料理も置いたが。そして流石ネコルー匂いで嗅ぎ分け真っ先に魚料理から口を付けた! どうしても魚がいいのね…肉だって食べられるだろうに。びしょ濡れになった服の水分を絞りながらその様子を眺めていた。

「明日には外に出してやれるといいな~」
「ル?」
「ああ、気にせず食べてくれ」
「ル~」

 ぼんやりと明日からのことを考えながらネコルーが食べ終わるのを待った。

 箱庭から戻りヨルさんがいるリビングに戻ると、ほとんどの人は別の部屋にいるのか今はヨルさんとアルバトロスしか部屋には残っていなかった。

「戻ったか。リョータはここらの壁に寝室を設置して寝てくれよな」
「わかったよ」
「でだ、ダルシア男爵は今のところ大人しく連れてかれているらしいぞ」

 どうやらジルベスターさんから連絡があったみたいだ。

「このまま何事もなく済むといいんだが…どうもこう…なんだ? 行動が読めないというか、なんかおかしくないか?」

 ヨルさんの言いたいことはわからないでもない。最初にかかわったのはネコルー…何のためにネコルーを欲しがったのか。結局少し前に会った時も気にはしていたのか俺に聞いてきたがそれ以上は何もなかった。次には俺が狙われた。でもこれは実はダルシア男爵だとははっきりしていない。可能性は高そうなんだが…そしてジエル。彼女が狙われたのはエルフだからなのか? 他にも何か理由があったりしないのだろうか。同じエルフであるルーが狙われていないんだからその可能性もあるんだろうね。

「…実はダルシア男爵は下っ端とか。なんてね」

 ふと思いついたことを口にだすと、ヨルさんもアルバトロスも驚いた顔をしていた。

「リョータもそう思うか…あいつは男爵だからな、逆らえない上のやつに従っているだけなのかもしれないんだよな。まあ好きで従っている可能性もあるんだが」

 なるほど。長い物には巻かれろってやつか。

「そろそろおしまいにしましょうか」
「あ! おいっ せめてそれ飲み終わるまで飲ませろよ」

 ヨルさんが手に持っていたワイングラスをアルバトロスが取り上げた。というかまだ飲んでたのかよ…

「なあ返せって」
「いけません」

 …ここにだめな大人の見本がいるよ。さっきまでの真面目な話は何だったのか。

「…俺寝室いきますわ」

 だめな大人を眺めているのはよろしくない。さっさとテントを設置して体を休めることにした。もちろん浴場も設置し軽く汗を流すのは忘れない。というかネコルーのせいで濡れたからね。

「ふぅ…」

 ベッドに転がり体を休めた。はっきり言って寝るのはまだちょっと早いんだよね。昼過ぎから始めた打ち上げは準備もあったせいかほとんどおやつの時間から始まり、そのまま夜まで継続した。なので昼夜兼用の食事だった。なのでまだ普段寝ている時間にはなっていない。というか寝付けないというのが正解か。

「まあある程度危険がなくなったし明日はルーもジエルもあとネコルーも外に出してやれるな」

 あ…それはいいんだが、俺に会わせたい人ってこの島にいるのか? そのことについて聞いてなかったな。明日会うんだろうか? まあ起きたら聞いてみよう。それにしても今日は久々に料理色々作ったよな…ガチャで食料が手に入らなくなって1週間たつが案外何とかなるものだ。だけど食料のように急にガチャが切り替わることを考えるともうちょっと積極的にガチャを引いておいた方がいいのかなー…うーん悩ましい。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

こどくなシード 異世界転移者の帰還道

藤原 司
ファンタジー
 目つきが悪く、口も悪いため高校では周りから誤解を受けやすい優月 輪(ゆうづき りん)。  いつもの学校からの帰り、リンは突如出現した穴に吸い込まれてしまう。 訳もわからないまま、吸い込まれた先の異世界で自分と同じ顔の聖剣の英雄と間違えられてしまい──?  目的は聖剣に魔王討伐。  苦難や葛藤、そして様々な経験をしながら、リンは元の世界への帰還を目指す。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

才能は流星魔法

神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。 そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。 流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。 ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。 井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。 山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。 井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。 二日に一度、18時に更新します。 カクヨムにも同時投稿しています。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです

一色孝太郎
ファンタジー
 前世でとあるソシャゲのガチャに全ツッパして人生が終わった記憶を持つ 13 歳の少年ディーノは、今世でもハズレギフト『ガチャ』を授かる。ガチャなんかもう引くもんか! そう決意するも結局はガチャの誘惑には勝てず……。  これはガチャの妖精と共に運を天に任せて成り上がりを目指す男の物語である。 ※作中のガチャは実際のガチャ同様の確率テーブルを作り、一発勝負でランダムに抽選をさせています。そのため、ガチャの結果によって物語の未来は変化します ※本作品は他サイト様でも同時掲載しております ※2020/12/26 タイトルを変更しました(旧題:ガチャに人生全ツッパ) ※2020/12/26 あらすじをシンプルにしました

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...