7 / 23
第7話 報告をするぞ
しおりを挟む
宿屋での仕事を終えた私は彼女を連れてまた冒険者ギルドへと足を運んだ。先ほど終わらせたばかりである依頼の報告のためだ。
「あら早かったですね。その様子だと依頼は終わりましたか?」
「はい」
私は首から提げていた登録時に貰ったギルドカードを受け付けの女性へと手渡す。何をしているのかはわからないが女性がカードを受け取り、少しすると返却された。
「はい、マノンちゃんのも貸してね?」
「私は何もし…ぐむぅ」
「はいどうぞ」
彼女は掃除に参加せず座っていただけだったけれども、ここで正直に答えてしまうとペナルティが発生してしまう。私はこれを避けるために彼女の口を塞ぎ彼女のカードを受け付けの女性へと渡す。
「あらあら…大丈夫ですよ。仮登録のペナルティはありませんから。それに黙っていても依頼者から報告もされていますので無駄ですよ?」
「あー…そうなんですね」
「ぷはっ …こらアルクウェイ苦しいではないかっ」
「はい、マノンちゃんのカードも返しますね」
どうやら私の行動は無駄だったみたいです。彼女に苦しい思いをさせてしまうだけなんて後で謝ることにしましょうか。
「それで報酬なんですけど、こちら銀貨5枚になります」
ふむ…あの程度の掃除で銀貨5枚ですか。とりあえず宿と食事はしばらくなんとかなりますし、このお金は私がちゃんとしまっておきましょうかね。
「それがお金か~ 初めて見たな」
「そういえばマノン様はお金を使う機会がありませんでしたからね」
「そうなのじゃ。だからちょっと使ってみたいんだがのう…ほれ、腹も空いただじゃろう?」
お腹が空いているのは彼女だと思われます。私は忙しい時には一食くらい抜くこともありましたからまだ平気ではありますが…
「宿で夜までは流石に待てないのですか?」
「ぬ…っ それだとお金が使えないではないか!」
無一文だったんですけどね私達。増やすまで無駄に使うべきではないと思うんですけども。
「では少しだけですよ?」
「わかってるのじゃっ」
私と彼女は冒険者ギルドを後にすると、町の中を歩き食べ物を買うために店を探すことにした。簡単な町の地図のようなものはすでに歩きながら記入してみているのだけど、今まで歩いた場所には食材は売っていても飲食店はまだ見かけていなかった。
「アルクウェイよ…わらわはあれが食べたいのじゃっ」
彼女の指が向いている先にあるのは一つの屋台。どうやら肉を木の棒に刺して焼いたもののようです。なるほど…あたりに匂いをまき散らし客を誘い込む寸法ですか。彼女もすっかりとその罠にはまっています。
「えーと…座って食べられませんけどいいのですか?」
「構わぬのじゃっ さあお金をよこすのじゃ」
どうやら彼女は肉が焼ける匂いに刺激されもう我慢が出来ないようです。仕方がないので私は彼女の手に銀貨を一枚握らせます。
「では一つ私の分もお願いしますね」
「任せるのだ!」
屋台へと走り寄っていく彼女を少しだけ離れた場所から眺めます。初めての買い物に浮かれている様子はどう見ても普通の子供です。ちょっと微笑ましいですね。
「んっ ふぉふふふぇいふぉふぁふぇふふぉふぁっ」
「………」
肉にかぶりついて口の周りをべたべたにして私に串を一本差し出している彼女。もう一方の手には紙に包まれてはいるけれどもやはり同じものが見えている。
「マノン様…まさか全部お金を使われたのですか?」
「んぐぐっ 丁度5本買えたぞ」
「銀貨一枚で5本ですか…それ、誰が食べるのですか?」
「なんじゃ、アルクウェイもまだ欲しいのか?」
「結構です…」
どうやら私が甘かったようです。初めて買い物をする子供はしっかりと見ていないといけなかったようです。まさか買えるだけ買ってこられるとは思わないじゃないですか…無駄遣いもそうですけれど、そんなに食べたら夜の食事が喉を通らないと思うのですが…まあ終わったことは仕方がありませんね。
「あら早かったですね。その様子だと依頼は終わりましたか?」
「はい」
私は首から提げていた登録時に貰ったギルドカードを受け付けの女性へと手渡す。何をしているのかはわからないが女性がカードを受け取り、少しすると返却された。
「はい、マノンちゃんのも貸してね?」
「私は何もし…ぐむぅ」
「はいどうぞ」
彼女は掃除に参加せず座っていただけだったけれども、ここで正直に答えてしまうとペナルティが発生してしまう。私はこれを避けるために彼女の口を塞ぎ彼女のカードを受け付けの女性へと渡す。
「あらあら…大丈夫ですよ。仮登録のペナルティはありませんから。それに黙っていても依頼者から報告もされていますので無駄ですよ?」
「あー…そうなんですね」
「ぷはっ …こらアルクウェイ苦しいではないかっ」
「はい、マノンちゃんのカードも返しますね」
どうやら私の行動は無駄だったみたいです。彼女に苦しい思いをさせてしまうだけなんて後で謝ることにしましょうか。
「それで報酬なんですけど、こちら銀貨5枚になります」
ふむ…あの程度の掃除で銀貨5枚ですか。とりあえず宿と食事はしばらくなんとかなりますし、このお金は私がちゃんとしまっておきましょうかね。
「それがお金か~ 初めて見たな」
「そういえばマノン様はお金を使う機会がありませんでしたからね」
「そうなのじゃ。だからちょっと使ってみたいんだがのう…ほれ、腹も空いただじゃろう?」
お腹が空いているのは彼女だと思われます。私は忙しい時には一食くらい抜くこともありましたからまだ平気ではありますが…
「宿で夜までは流石に待てないのですか?」
「ぬ…っ それだとお金が使えないではないか!」
無一文だったんですけどね私達。増やすまで無駄に使うべきではないと思うんですけども。
「では少しだけですよ?」
「わかってるのじゃっ」
私と彼女は冒険者ギルドを後にすると、町の中を歩き食べ物を買うために店を探すことにした。簡単な町の地図のようなものはすでに歩きながら記入してみているのだけど、今まで歩いた場所には食材は売っていても飲食店はまだ見かけていなかった。
「アルクウェイよ…わらわはあれが食べたいのじゃっ」
彼女の指が向いている先にあるのは一つの屋台。どうやら肉を木の棒に刺して焼いたもののようです。なるほど…あたりに匂いをまき散らし客を誘い込む寸法ですか。彼女もすっかりとその罠にはまっています。
「えーと…座って食べられませんけどいいのですか?」
「構わぬのじゃっ さあお金をよこすのじゃ」
どうやら彼女は肉が焼ける匂いに刺激されもう我慢が出来ないようです。仕方がないので私は彼女の手に銀貨を一枚握らせます。
「では一つ私の分もお願いしますね」
「任せるのだ!」
屋台へと走り寄っていく彼女を少しだけ離れた場所から眺めます。初めての買い物に浮かれている様子はどう見ても普通の子供です。ちょっと微笑ましいですね。
「んっ ふぉふふふぇいふぉふぁふぇふふぉふぁっ」
「………」
肉にかぶりついて口の周りをべたべたにして私に串を一本差し出している彼女。もう一方の手には紙に包まれてはいるけれどもやはり同じものが見えている。
「マノン様…まさか全部お金を使われたのですか?」
「んぐぐっ 丁度5本買えたぞ」
「銀貨一枚で5本ですか…それ、誰が食べるのですか?」
「なんじゃ、アルクウェイもまだ欲しいのか?」
「結構です…」
どうやら私が甘かったようです。初めて買い物をする子供はしっかりと見ていないといけなかったようです。まさか買えるだけ買ってこられるとは思わないじゃないですか…無駄遣いもそうですけれど、そんなに食べたら夜の食事が喉を通らないと思うのですが…まあ終わったことは仕方がありませんね。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
当たりスキルのメカケバラ
3333(トリささみ)
ファンタジー
強大な異種族たちに対抗するため、神様から与えられると言われている、所持者以外は誰にも真似できない特殊な技能や性質全般【スキル】。
15歳になった人間の少年少女たちは、儀式によりスキルを賜り、神官により鑑定してもらうのがならわしとなっている、とある異世界。
【黄金の剣聖】というスキルを得たことによって、妾の子である主人公の恵まれなかった人生は一転した。
公爵である父親からは後継ぎに認定されて可愛がられ、かつて可愛がられていた異母兄は勘当されて実家から追放され、有名な組織からスカウトが押し寄せてくる。
そんな輝かしい未来が確定したも同然の状況だったが、これまで散々に排斥されてきた彼は幸せを感じられなかった。
しかしそんなある日、住居である館の異変に気付き…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる