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4.冒険者って何でも屋なの?
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「すみませーん。」
冒険者ギルドに到着した私はとりあえず空いていたカウンター、そこにいた女の人に声を掛けて見ることにした。そもそも冒険者ギルドと言うところでは情報とお金稼ぎが出来るという話しか聞いていなかったので、何が出来る場所なのかもわからないのだ。昨日アスカルードが軽く説明をしてくれたがそれだけで理解できるはずもなく…私はここの人にも聞いてみることにした。
「はい、依頼の報告ですか?」
「いえ、ほぼ初めてなんですけど…昨日登録?だけしかしなかったので少し話を聞いてみたくてきました。」
「ああなるほど新人さんなんですね。ではまずはなにから説明しましょうか?」
この女性はアスカルードより全然丁寧に説明をしてくれた。仕事…というか依頼?の受け方やランクによって受けられる依頼があること、報酬の説明。情報については少しいいにくそうにしていたが、その辺でお酒飲んでいる同じ冒険者が勝手に口を滑らす内容なら聞き放題だし、色々教えてくれる人もいるにはいるんだって。ただお金がいるかもしれないとか。
「つまり駆け出しの私は9級と10級って書かれている依頼なら受けていいっていうことね。」
「はいがんばってくださいね。」
うん、がんばるよーとりあえず生活かかっているもんねっ寝る場所は手に入ったけどお金がないとご飯たべられないもん。一応あるにはあるが借り物だしさっさと稼いで返しにいかなくっちゃ。
さて…依頼依頼。私が受けられるものは何があるかな……?
「ゴブリンの討伐…なんかどっかで聞いた名前ね。薬草採取…うん、薬草なんてどれがどれだかわからないっあとは…ゴミ捨て場の回収作業…ないわ。」
これは困った。10級にあるものはどうやら弱そうなモンスター?の討伐と薬草採取がいくつか。後はゴミ捨て場…どれも微妙よね。しかたない9級のほうをみたほうがいいわね。
「えーと…モンスターの討伐、調査?ダンジョンのポーター?子守…うん。子守は無理だどう見ても私向きじゃない。」
9級もろくなものがない…というか討伐とか無理でしょう私素手でどうやって戦えと。調査も論外ね襲われたら何も出来ないもの。ということは消去法でこのポーターってやつになるけど…そもそも何をするものなのかわからない。それにダンジョンっていうのも不明…うんわからないから聞いてみよう。
「あのーポーターってなんですか?」
「はいっポーターというのは荷物運びをする人のことですね。」
「荷物運びですか…じゃあ依頼にあったダンジョンのポーターっていうのは?」
「一緒にダンジョンについていって渡された荷物を運んで管理したり、モンスターのドロップアイテムなどを回収して持ち運ぶことですね。他にも色々出来ると重宝されますがとりあずそれだけ出来れば問題ないと思います。」
「ダンジョンってのはなんです??」
「迷宮のことですね。今あなたが受けられる9級の依頼だと…南西の森にあるトーカダンジョンになります。」
「なるほど…わからん。」
だってダンジョンがなんなのか聞いたのにその場所だけ言われてもわかるわけないでしょうに!
「あー…えーと迷路みたいになっていてこのトーカは地下へ潜っていくタイプなんですけど、モンスターがいたり宝があったりするんです。」
「つまり…なんか地下に下りていく建物みたいな空間の中にモンスターがいるのね?」
「まあそんな感じですかね??」
「ポーターはそこで荷物運びをする…と。モンスター?を倒さなくていいってことね。」
「自己防衛くらいはしたほうがいいですが基本そうですね。」
荷物を運んでいるだけでお金がもらえるのか…これやってみようかな。なんか鞄は部屋と繋がっててたくさんはいりそうだしね。
「ところでそこの生き物はあなたの従魔ですか?」
「あーこれ?」
銀太を持ち上げ女性に見せる。ちょっともふもふしていて気持ちがいい。後で撫で回してやろう。
「はい、もし従魔でしたらギルドで登録をお願いします。」
「へ~登録がいるんだ。」
「登録していただいてもし従魔が何かしでかしたときに契約者に責任を取ってもらうためですよ。ですので登録をしないのであれば契約を解除していただいて町の外へ出していただかないといけません。」
「そうなんだ…どうしよう登録ってお金掛かります?」
「お金は掛かりませんよ。」
「じゃあお願い。」
どうやら従魔の登録も腕輪の時と同じパネルでやるらしい。私の左手を置いてもう1個なんか腕輪みたいなのを乗せて女性が操作している。
「はいできましたよ。これを首に付けてください。」
腕輪とほぼ同じ様なものを渡された。まあ付けろと言うから銀太の首につけるけど、どうやってつけるんだ…?
「あーそれはですね、ボタンがあるでしょ。それを押しながら従魔のほうに向けて名前を呼んであげてください。」
「こうして…銀太。」
「わぅん…?『なに~?』」
おーーっ勝手にサイズが変わって首にはまったよ!
「後はそのボタン押すとその子の名前と契約者の名前が出るから悪いことは出来ないわよ~それと首輪ははめた人しか外せないから気をつけてね?」
「何をです??」
「契約者が死んでしまったら外せなくなるってことよ。つまり責任者がいない従魔として処分されるってこと。」
「き、気をつけます…」
こわ…自分が死ぬとかもいやだけどそのせいで銀太まで巻き添えとかやばいでしょっ
「それで依頼は何か受けますか?」
「あーじゃあそのポーターのやつやってみます。」
「わかりました依頼書をはがしてきてくださいね。」
ポーターの依頼書をはがして女性に渡すとなにやら操作を始めた。何をしているのかわからないけどまあ何かしてる。
「はい、じゃあ手を置いて。」
パネルの上に左手を置くと腕輪が薄っすらと光る。
「これで依頼内容が登録されたからね。依頼が終わったらまた受付に来てください。それと詳しいことも依頼内容を確認してみてください。」
ふむ…依頼内容の確認か。腕輪に聞けって事かな。
女性にお礼を言った後適当にその辺の椅子に座ってまずは依頼を確認しよう。
「えーと…依頼内容?」
《ゲンザイウケテイルイライナイヨウヲヒョウジシマス》
☆
☆
☆
表示されている地図を確認しながら来たから間違っていない。ということはこの宿に私の受けた依頼の人?がいるということだろう。依頼書の内容によるとまずはこの依頼主ってのに会って打ち合わせをしなければいけないそうだ。そのために依頼主が泊まっている宿にやってきた。
「…月明かりの雫亭?」
宿の名前なんだけどまあ…気にしたらいけないきがするね。きっと深い意味とかないんだろうな~…とそんなことはいいや。とりあえず中に入って宿の人にでも声かけてみよう。
「いらっしゃいませ~~っ」
おおっと扉を開けたらすぐ大きな声が帰ってきた。軽くびびってしまった。入ってすぐテーブルや椅子がいくつもならんでいるのが目に入る。
「お泊りですか?食事ですか??」
へ~宿って泊まらないでもご飯食べることが出来るんだ…自炊できる環境ないしこれから食事はどっか宿とかで食べようかな。あ、いけないいけない。ここのお店の女性だと思うんだけど私が何も言わないから困っている。
「あの…銀狼?のリックって人に用があるんですが。」
「ああ、リックさんのお客さんなのね。たしかリックさんは…」
「おーリックの客ならこっちであずかるぞっ」
銀狼がなんなのかわからないけどなんかお酒飲んでるおっさんに声掛けられた。あれ…まだ朝だよね?
「もールシアさん朝からお酒飲んで…」
「いいじゃないか別に…ポーターが見つかるまでまだダンジョン行けないんだ。」
「あ、それです。私そのポーターの依頼受けてきました。」
そうか銀狼ってのはグループ名みたいなものなのかな。で、このおっさんもリックさんと同じグループなんだねきっと。それにしてもこのおっさんの名前ルシアって…女の人みたい。無精ひげを生やし放題にして髪の毛はボサボサ…折角の金髪が泣いているわ。
「ほう…おじょうちゃんが依頼を受けてくれたのか。俺は銀狼のルシアっていうんだよろしくな!今ちょっとリックは出かけててまあ…ここで座って待ってくれや。姉ちゃんこのじょうちゃんに果実水頼むわ。」
「姉ちゃんじゃ…まあ果実水ね。」
姉ちゃんって呼ばれてたお店の人は奥に行ってしまう。つまりこのおっさ…ルシアさんと2人にされてしまった。少しすると果実水?を持って戻ってきたけどその後仕事に戻っていってしまった。
「まあ飲みねえ。ただの果実水だがな。」
目の前に置かれた木で出来たコップを眺める。どうやら果実水というのが入っているらしい。名前からしてジュースだと思う…恐る恐る飲んでみる。すっきりとした甘みがありおいしかった。
「で、おじょうちゃんはポーターはどんくらいやってんだ?」
「今回が初めてですね。」
もちろん初めてなのはポーターだけじゃないんだけど聞かれてないことは答える必要ないよね?
「ほ…初めてかい。ダンジョンについてくるとか怖くないのか?」
「はあ…」
怖いと言うかわからないって言うほうが正解かも。行ったこともない場所に恐怖を感じるとかどんだけ慎重なのよって話。それともそのほうがいいのかな?
「ま、そんな奥までいくわけでもねーし大丈夫か。…と、おーいリック。ポーター来たぞ~」
どうやらリックという人が戻ってきたようだ。おっさんが手を振って合図をしている。冒険者ギルドに入ってきた男の人はルシアさんより若く見え、赤い髪の毛が目立つ。ルシアさんの声に気がつき私達が座っている場所へやってきた。
「ほんとか!よかったーっこのままこなかったら金なくなるところだったわっそれでポーターは??」
何言ってるのこの人…ルシアさんと一緒のテーブルにいる私が目に入らないとでも言いたいの?
「ほれ、目の前にいるだろうが。」
「…この子がポーター?いやいやいや…どうみても荷物なんて持てそうもないだろう…」
「そういうなって、まずは話聞いてみたらどうだ?」
見た目はあれだけどルシアさんは対応が大人だ。いや、このリックって人のが子供過ぎるだけなのかな?
「はぁ~まあいいわ。で、名前は。」
「ナナミ。」
「ポーターって何する仕事がわかってる?」
「簡単にいうと荷物もちでしょ?」
「まあそうだな。で、その荷物なんだが持てるのか?」
持てるでしょ…?鞄に入るし、まあ量がどのくらい入るかわからないけど。あの部屋と繋がってるみたいだから案外扉開けておけば教会のほうにも入るかもだし、結構持てそうよね。
「えーとマジックバック?に入れられるので持てますよ。」
「マジックバック持ちか…それなら納得だな。」
「まじか…」
「はい、借り物なので私の目的達成するまでには返しに行きますけど。」
そうなのよね~お金稼ぎしながら情報集めないと家に帰れないもん。
「なんだその目的って。」
「あー家に帰ることですね…そのために情報とお金がいるんです。」
「ふむ…まあなんとかやれそうか…」
「まあ荷物運んだり管理するくらいなら…」
モンスター?と戦えとか言われたら無理だけどね。
「で…そこにいる従魔がナナミの戦力ってところか。」
なんですって…?銀太戦えるの??
『ん~狩り~??その目の前の倒せばいい?』
それはだめでしょう…そんなことしたらお仕事できなくなっちゃう。でも銀太が戦えるならもしかして討伐依頼とかも受けることが出来たってことかな。まあわざわざ危険なことはしたくないからこっちのがいいんだけどね!
「うっし。細かく打ち合わせといこうか。」
「よろしくお願いします。」
「んじゃちょっと他のメンバー呼んでくるわ。」
行動がすばやいわ…私がポーターやることが決まったらすごい勢いで走って行っちゃった…そこまで急がなくてもいいと思うんだけどね。そしてさっきから「よかったなー」って顔でニコニコとルシアさんがこっち見てる。気になるからじっと見ないでください。
少しするとリックが女の人を2人連れて来た。どうやら残りのメンバーの人達のようだ。全員そろったところで自己紹介をしてくれた。
女性の1人がアーシャさん。髪の毛が長く金髪でうらやましい…今度触らせてもらおう。弓を得意とするそうで彼女の荷物は矢を主に持つことになるそうだ。
もう1人の女性はパメラさん。こちらはウェーブがかかった銀髪が眩しい!どうやら回復をメインとする魔法職のようだ。彼女の荷物は回復剤関係になるみたい。
そしてルシアさん。見た目はおっさん。どうやらこのパーティのメイン火力で少し大振りの剣を扱うみたい。荷物は自分で少し持つだけの回復剤くらいらしく私が持つものはなさそう。
で、リック。このパーティのリーダーで斥候というやつらしい。何をする人なのかさっぱりだ。とりあえずなんか荷物がこまごまとあるらしくよくわからない。それとみんなの食事も持たされた。これには私の分も含まれているらしい。ただ…硬そうなパンとか干した肉…あと飲み水が思ったより少ない。どのくらい出かけるのかわからないけど、これはちょっと食事はきたいできそうもない。
まあそんな感じでパーティ『銀狼』のメンバーと一緒にダンジョンへ行くことが決定した。
冒険者ギルドに到着した私はとりあえず空いていたカウンター、そこにいた女の人に声を掛けて見ることにした。そもそも冒険者ギルドと言うところでは情報とお金稼ぎが出来るという話しか聞いていなかったので、何が出来る場所なのかもわからないのだ。昨日アスカルードが軽く説明をしてくれたがそれだけで理解できるはずもなく…私はここの人にも聞いてみることにした。
「はい、依頼の報告ですか?」
「いえ、ほぼ初めてなんですけど…昨日登録?だけしかしなかったので少し話を聞いてみたくてきました。」
「ああなるほど新人さんなんですね。ではまずはなにから説明しましょうか?」
この女性はアスカルードより全然丁寧に説明をしてくれた。仕事…というか依頼?の受け方やランクによって受けられる依頼があること、報酬の説明。情報については少しいいにくそうにしていたが、その辺でお酒飲んでいる同じ冒険者が勝手に口を滑らす内容なら聞き放題だし、色々教えてくれる人もいるにはいるんだって。ただお金がいるかもしれないとか。
「つまり駆け出しの私は9級と10級って書かれている依頼なら受けていいっていうことね。」
「はいがんばってくださいね。」
うん、がんばるよーとりあえず生活かかっているもんねっ寝る場所は手に入ったけどお金がないとご飯たべられないもん。一応あるにはあるが借り物だしさっさと稼いで返しにいかなくっちゃ。
さて…依頼依頼。私が受けられるものは何があるかな……?
「ゴブリンの討伐…なんかどっかで聞いた名前ね。薬草採取…うん、薬草なんてどれがどれだかわからないっあとは…ゴミ捨て場の回収作業…ないわ。」
これは困った。10級にあるものはどうやら弱そうなモンスター?の討伐と薬草採取がいくつか。後はゴミ捨て場…どれも微妙よね。しかたない9級のほうをみたほうがいいわね。
「えーと…モンスターの討伐、調査?ダンジョンのポーター?子守…うん。子守は無理だどう見ても私向きじゃない。」
9級もろくなものがない…というか討伐とか無理でしょう私素手でどうやって戦えと。調査も論外ね襲われたら何も出来ないもの。ということは消去法でこのポーターってやつになるけど…そもそも何をするものなのかわからない。それにダンジョンっていうのも不明…うんわからないから聞いてみよう。
「あのーポーターってなんですか?」
「はいっポーターというのは荷物運びをする人のことですね。」
「荷物運びですか…じゃあ依頼にあったダンジョンのポーターっていうのは?」
「一緒にダンジョンについていって渡された荷物を運んで管理したり、モンスターのドロップアイテムなどを回収して持ち運ぶことですね。他にも色々出来ると重宝されますがとりあずそれだけ出来れば問題ないと思います。」
「ダンジョンってのはなんです??」
「迷宮のことですね。今あなたが受けられる9級の依頼だと…南西の森にあるトーカダンジョンになります。」
「なるほど…わからん。」
だってダンジョンがなんなのか聞いたのにその場所だけ言われてもわかるわけないでしょうに!
「あー…えーと迷路みたいになっていてこのトーカは地下へ潜っていくタイプなんですけど、モンスターがいたり宝があったりするんです。」
「つまり…なんか地下に下りていく建物みたいな空間の中にモンスターがいるのね?」
「まあそんな感じですかね??」
「ポーターはそこで荷物運びをする…と。モンスター?を倒さなくていいってことね。」
「自己防衛くらいはしたほうがいいですが基本そうですね。」
荷物を運んでいるだけでお金がもらえるのか…これやってみようかな。なんか鞄は部屋と繋がっててたくさんはいりそうだしね。
「ところでそこの生き物はあなたの従魔ですか?」
「あーこれ?」
銀太を持ち上げ女性に見せる。ちょっともふもふしていて気持ちがいい。後で撫で回してやろう。
「はい、もし従魔でしたらギルドで登録をお願いします。」
「へ~登録がいるんだ。」
「登録していただいてもし従魔が何かしでかしたときに契約者に責任を取ってもらうためですよ。ですので登録をしないのであれば契約を解除していただいて町の外へ出していただかないといけません。」
「そうなんだ…どうしよう登録ってお金掛かります?」
「お金は掛かりませんよ。」
「じゃあお願い。」
どうやら従魔の登録も腕輪の時と同じパネルでやるらしい。私の左手を置いてもう1個なんか腕輪みたいなのを乗せて女性が操作している。
「はいできましたよ。これを首に付けてください。」
腕輪とほぼ同じ様なものを渡された。まあ付けろと言うから銀太の首につけるけど、どうやってつけるんだ…?
「あーそれはですね、ボタンがあるでしょ。それを押しながら従魔のほうに向けて名前を呼んであげてください。」
「こうして…銀太。」
「わぅん…?『なに~?』」
おーーっ勝手にサイズが変わって首にはまったよ!
「後はそのボタン押すとその子の名前と契約者の名前が出るから悪いことは出来ないわよ~それと首輪ははめた人しか外せないから気をつけてね?」
「何をです??」
「契約者が死んでしまったら外せなくなるってことよ。つまり責任者がいない従魔として処分されるってこと。」
「き、気をつけます…」
こわ…自分が死ぬとかもいやだけどそのせいで銀太まで巻き添えとかやばいでしょっ
「それで依頼は何か受けますか?」
「あーじゃあそのポーターのやつやってみます。」
「わかりました依頼書をはがしてきてくださいね。」
ポーターの依頼書をはがして女性に渡すとなにやら操作を始めた。何をしているのかわからないけどまあ何かしてる。
「はい、じゃあ手を置いて。」
パネルの上に左手を置くと腕輪が薄っすらと光る。
「これで依頼内容が登録されたからね。依頼が終わったらまた受付に来てください。それと詳しいことも依頼内容を確認してみてください。」
ふむ…依頼内容の確認か。腕輪に聞けって事かな。
女性にお礼を言った後適当にその辺の椅子に座ってまずは依頼を確認しよう。
「えーと…依頼内容?」
《ゲンザイウケテイルイライナイヨウヲヒョウジシマス》
☆
☆
☆
表示されている地図を確認しながら来たから間違っていない。ということはこの宿に私の受けた依頼の人?がいるということだろう。依頼書の内容によるとまずはこの依頼主ってのに会って打ち合わせをしなければいけないそうだ。そのために依頼主が泊まっている宿にやってきた。
「…月明かりの雫亭?」
宿の名前なんだけどまあ…気にしたらいけないきがするね。きっと深い意味とかないんだろうな~…とそんなことはいいや。とりあえず中に入って宿の人にでも声かけてみよう。
「いらっしゃいませ~~っ」
おおっと扉を開けたらすぐ大きな声が帰ってきた。軽くびびってしまった。入ってすぐテーブルや椅子がいくつもならんでいるのが目に入る。
「お泊りですか?食事ですか??」
へ~宿って泊まらないでもご飯食べることが出来るんだ…自炊できる環境ないしこれから食事はどっか宿とかで食べようかな。あ、いけないいけない。ここのお店の女性だと思うんだけど私が何も言わないから困っている。
「あの…銀狼?のリックって人に用があるんですが。」
「ああ、リックさんのお客さんなのね。たしかリックさんは…」
「おーリックの客ならこっちであずかるぞっ」
銀狼がなんなのかわからないけどなんかお酒飲んでるおっさんに声掛けられた。あれ…まだ朝だよね?
「もールシアさん朝からお酒飲んで…」
「いいじゃないか別に…ポーターが見つかるまでまだダンジョン行けないんだ。」
「あ、それです。私そのポーターの依頼受けてきました。」
そうか銀狼ってのはグループ名みたいなものなのかな。で、このおっさんもリックさんと同じグループなんだねきっと。それにしてもこのおっさんの名前ルシアって…女の人みたい。無精ひげを生やし放題にして髪の毛はボサボサ…折角の金髪が泣いているわ。
「ほう…おじょうちゃんが依頼を受けてくれたのか。俺は銀狼のルシアっていうんだよろしくな!今ちょっとリックは出かけててまあ…ここで座って待ってくれや。姉ちゃんこのじょうちゃんに果実水頼むわ。」
「姉ちゃんじゃ…まあ果実水ね。」
姉ちゃんって呼ばれてたお店の人は奥に行ってしまう。つまりこのおっさ…ルシアさんと2人にされてしまった。少しすると果実水?を持って戻ってきたけどその後仕事に戻っていってしまった。
「まあ飲みねえ。ただの果実水だがな。」
目の前に置かれた木で出来たコップを眺める。どうやら果実水というのが入っているらしい。名前からしてジュースだと思う…恐る恐る飲んでみる。すっきりとした甘みがありおいしかった。
「で、おじょうちゃんはポーターはどんくらいやってんだ?」
「今回が初めてですね。」
もちろん初めてなのはポーターだけじゃないんだけど聞かれてないことは答える必要ないよね?
「ほ…初めてかい。ダンジョンについてくるとか怖くないのか?」
「はあ…」
怖いと言うかわからないって言うほうが正解かも。行ったこともない場所に恐怖を感じるとかどんだけ慎重なのよって話。それともそのほうがいいのかな?
「ま、そんな奥までいくわけでもねーし大丈夫か。…と、おーいリック。ポーター来たぞ~」
どうやらリックという人が戻ってきたようだ。おっさんが手を振って合図をしている。冒険者ギルドに入ってきた男の人はルシアさんより若く見え、赤い髪の毛が目立つ。ルシアさんの声に気がつき私達が座っている場所へやってきた。
「ほんとか!よかったーっこのままこなかったら金なくなるところだったわっそれでポーターは??」
何言ってるのこの人…ルシアさんと一緒のテーブルにいる私が目に入らないとでも言いたいの?
「ほれ、目の前にいるだろうが。」
「…この子がポーター?いやいやいや…どうみても荷物なんて持てそうもないだろう…」
「そういうなって、まずは話聞いてみたらどうだ?」
見た目はあれだけどルシアさんは対応が大人だ。いや、このリックって人のが子供過ぎるだけなのかな?
「はぁ~まあいいわ。で、名前は。」
「ナナミ。」
「ポーターって何する仕事がわかってる?」
「簡単にいうと荷物もちでしょ?」
「まあそうだな。で、その荷物なんだが持てるのか?」
持てるでしょ…?鞄に入るし、まあ量がどのくらい入るかわからないけど。あの部屋と繋がってるみたいだから案外扉開けておけば教会のほうにも入るかもだし、結構持てそうよね。
「えーとマジックバック?に入れられるので持てますよ。」
「マジックバック持ちか…それなら納得だな。」
「まじか…」
「はい、借り物なので私の目的達成するまでには返しに行きますけど。」
そうなのよね~お金稼ぎしながら情報集めないと家に帰れないもん。
「なんだその目的って。」
「あー家に帰ることですね…そのために情報とお金がいるんです。」
「ふむ…まあなんとかやれそうか…」
「まあ荷物運んだり管理するくらいなら…」
モンスター?と戦えとか言われたら無理だけどね。
「で…そこにいる従魔がナナミの戦力ってところか。」
なんですって…?銀太戦えるの??
『ん~狩り~??その目の前の倒せばいい?』
それはだめでしょう…そんなことしたらお仕事できなくなっちゃう。でも銀太が戦えるならもしかして討伐依頼とかも受けることが出来たってことかな。まあわざわざ危険なことはしたくないからこっちのがいいんだけどね!
「うっし。細かく打ち合わせといこうか。」
「よろしくお願いします。」
「んじゃちょっと他のメンバー呼んでくるわ。」
行動がすばやいわ…私がポーターやることが決まったらすごい勢いで走って行っちゃった…そこまで急がなくてもいいと思うんだけどね。そしてさっきから「よかったなー」って顔でニコニコとルシアさんがこっち見てる。気になるからじっと見ないでください。
少しするとリックが女の人を2人連れて来た。どうやら残りのメンバーの人達のようだ。全員そろったところで自己紹介をしてくれた。
女性の1人がアーシャさん。髪の毛が長く金髪でうらやましい…今度触らせてもらおう。弓を得意とするそうで彼女の荷物は矢を主に持つことになるそうだ。
もう1人の女性はパメラさん。こちらはウェーブがかかった銀髪が眩しい!どうやら回復をメインとする魔法職のようだ。彼女の荷物は回復剤関係になるみたい。
そしてルシアさん。見た目はおっさん。どうやらこのパーティのメイン火力で少し大振りの剣を扱うみたい。荷物は自分で少し持つだけの回復剤くらいらしく私が持つものはなさそう。
で、リック。このパーティのリーダーで斥候というやつらしい。何をする人なのかさっぱりだ。とりあえずなんか荷物がこまごまとあるらしくよくわからない。それとみんなの食事も持たされた。これには私の分も含まれているらしい。ただ…硬そうなパンとか干した肉…あと飲み水が思ったより少ない。どのくらい出かけるのかわからないけど、これはちょっと食事はきたいできそうもない。
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