桜色に染まる

ルイ

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最善

君と2人で笑えるように

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あれ?俺は何をしていたんだ?。そうだ、人を、殺したんだ。殺しただけじゃない。何度も何度も殴ったんだ。それも、もう良いんだ。俺は死んだんだから。
そう考えると、声が聞こえる。それはどこか安心するような、聞いたことのある声だった。
「それはあなたの意思じゃないよね?」
その言葉に俺は、
「何いってるんだこれは俺の本心だ」
そう答える。
「じゃあなんであなたは泣いてるの?」
そうだ、気づくと僕は泣いていた。自分を責めているんだ。あのとき、彼女を守ればよかったと、あの時、彼女を選ばなかったらと。もっとできることがあったはずなんだ。もっと良い、最善の選択肢が。
そう考えると、その考えを読み取ったかのように言われる。
「そのために君にあげた力があるんだよ」
「どういうことだ?」
そう聞くと予想どうりの答えが返ってくる。
「君は1度目死んだ。でも告白された時間に戻ったでしょ?」
確かにそうだ。俺は一度沙羅に殺されている。
「でもそれじゃあ俺は何にして欲しいんだ?」
面倒になった俺は単刀直入に言う。
「別に。」
「別に?」じゃあなんでそんな力を俺に渡されたんだ?そう考えていると、彼女は
「ただ、面白そうだったから。私の目の前で2人から告白されているんだから。」
(あのとき、誰もいなかったはずだ)そう考えると、ある結論が出た。それは突拍子もなく、かなりぶっ飛んでいると自分でも思う。それでも謎の確信があった。
「お前は桜、なのか?」
そう聞いた。
「いや、すまん変なことを言って、」
そう言いかける俺に彼女は言葉を遮って話した。
「正解だよ。それにしても君って意外と頭がいいんだね?」
そう煽られる。
「あんなにバカみたいな選択をしたくせにそういう勘だけは良いんだね?」
そう言われ俺は、
「じゃあどうすればよかったんだよ!」
そういきなり声を荒げてしまう。
「俺は心優が好きだった!だから心優を選んだ!じゃあ、あいつが夜!家に来て、刺して!俺を殺したんだ!。その上で、いきなり戻って、冷静な判断ができるわけないだろ!」そう言い切ると、自分の言ったことが、ただの八つ当たりだということに気づく。
「はぁ君は八つ当たりするのか。」
そう呆れた表情で言う。「じゃあ良いよ、助言しようと思ったけど、君がそういう態度を取るんだったら、自分で、答えを探すといい。」
その言葉の後、俺は意識が遠のいていく。


そして、そして目を開ける。告白の場所だ。その瞬間、体が勝手に動いて、心優の手を取る。
「えっ!?」彼女は驚いたような表情をとるが、
「良いから走ってくれ!」そういって2人で手を繋いで走る。
振り返ると、彼女が何かを言ったような気がしたが、それを気にせず家に向かって走る。
そして、2人で家に帰り、妹が出迎えてくる。
「おかえりーお兄、え、ええええ!お、お母さん!ちょちょっと!」と大声を出す。
「ちょっとなにー?お兄ちゃんがどうか、し、た、」
俺たちが手を繋いでいることに気づいて、
「お、お、お、、、お父さん!」
「ん?なんだ?2人しておおごえ、だし、て」




あの後は酷かった。すごく問い詰められた。
「いやぁ、すまんすまん。つい気分が舞い上がってなぁ」そう笑いながら言われる。
「良いんだ。それより、今すぐ旅行に行きたいんだ心優と2人で。」そういうと家族、心優から「えぇ!?」
といわれる。
「どうしたの蒼輝くん!?い、いいい、いきなりそんなこと言い出して。」「そ、そうだぞ、いきなり新婚旅行なんて早いぞ!」
「頼む何も、聞かないでくれ、別に俺は許可がもらえなくても行くつもりだ。」そう真剣な表情で話す俺に、何かを察したのか親父は「わかった。でも、絶対に無事で帰れよ。それと、通帳も持っていけ、」
「良いのか?」
「ああ、いいんだ」
と、そう言われるのだった。
準備が終わると、駅に向かい、新幹線に乗って、おばあちゃんが住んでいる場所、和歌山を目指すのだった。


数時間後、おばあちゃんの家がある県に着いた俺たちは夜が遅かったこともあり、ホテルに向かった。
「申し訳ございません、本日残り一部屋となっておりまして、」そう言われた。
俺と心優の間に気まずい空気が流れる。
少し経って
「大丈夫です。」そう、心優が言う。
「大丈夫なのか?俺と2人で一部屋で、」そう聞くと彼女は、「大丈夫だよ、それに私たち付き合ってる、てことで良いの?」
完全に忘れていた。返事をいってなかった、
そのことに気づいて、
「あぁもちろん」と彼女を抱きしめながら言った。
そのことで、受付の女性から生暖かい目で見られるのだった。
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