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第三章 追放令嬢リュドミラ

第六十四話 王都炎上

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「うーん……」
「何か気になってるの? さっきからずっと浮かない顔してるけど」

 宿屋のベッドに寝っ転がりながら唸るミナヅキに、アヤメが彼の傍に腰かけながら問いかける。
 するとミナヅキは、天井に視線を向けたまま答えた。

「まぁな。ロディオンのヤツ、絶対何か仕掛けてきそうな気がするんだ。このまま何事もなく明日を迎えられる気がしない」
「……そうね」

 アヤメはため息をつきながら同意を示す。
 ちなみにリュドミラは、隣の一人部屋にいる。彼らがいるここは二人部屋で、夫婦の枠として一晩借りたのだった。
 宿を取る際にアヤメがそう提案し、ミナヅキがアッサリと受け入れた形である。
 事実、ミナヅキとアヤメが宿で同室になるのは、いつものことであった。
 最初は確かに、免罪符の如く『夫婦』という言葉を強調していたが、今はもうすっかり慣れてしまい、それが当たり前となってしまっている。
 お互い特に照れることもない。子持ちのベテラン夫婦顔負けといっても過言ではないほどに。
 ――さ、流石は夫婦だね!
 そう言ってリュドミラが顔を赤くしていたことに対し、ミナヅキとアヤメは、揃って首を傾げていた。
 ――いや、別にこれぐらい普通だろ?
 ――そうよねぇ。
 そんな三人のやり取りを、女将が楽しげに微笑みながら見守っていたのは、ここだけの話である。

「実はな……もう一つ懸念してることがあるんだ」
「何?」
「ここの王宮の地下についてだ」

 ミナヅキはアヤメに、王宮の地下に封印された魔物の話をする。その存在をロディオンも知っているであろうことも。

「つまり、その魔物をロディオン王子が呼び起こすかもしれないってこと?」
「あくまで可能性だがな」

 ミナヅキは小さく笑いながら答えるが、その可能性は高いように思えていた。
 朝の港で最後に見たロディオンは、明らかに怒り心頭していた。大きな権力や秘密を握っている者がそうなれば、普通なら絶対に手を出さないような、おぞましい何かに手を出しかねない。ミナヅキはそう考えていたのだ。

「ロディオンが躍起になってるんだとしたら、ソイツはおあつらえ向きにも程がある存在だ。願いを果たす道具として、利用しようとするかもしれんぞ」
「いや、でもそんなことしたら、この国もただじゃ済まないんじゃないの? 封印しなきゃならないほどの魔物ってことなんでしょ?」
「今のロディオンに、そこまで考えらえるほどの冷静さがあれば良いんだがな」

 寝そべったまま淡々と語るミナヅキに、アヤメは恐れを抱く表情を見せる。そして勢いよく腰かけていたベッドから立ち上がった。

「私、ちょっとリュドミラに声かけてくる。用心に越したことはないし」
「あぁ、頼む」

 そしてミナヅキも、軽く勢いをつけてベッドから起き上がる。
 その時――部屋が大きく揺れた。

「な、なによ、これっ!?」
「地震か?」

 ――どっおおおおぉぉぉーーーーんっ!!
 続けて凄まじい爆発音が響き渡る。流石にただごとではないと二人は思った。
 ミナヅキは慌てて、北むきに設置された窓を開き、外の様子を見る。

「……なんか王宮のほうに、でっかいのが出てきてるな」

 あえて口には出さなかったが、その王宮はしっかりと燃え上がっていた。そこに黒い大きな影がヌッ――と登場している。
 それが一体何を示しているのか。ミナヅキは恐怖を通り越して、ゲンナリとした表情となる。

「とにかく、外に出てみましょう!」
「あぁ!」

 ミナヅキとアヤメは宿屋を飛び出した。リュドミラが既に外に出ており、三人で表通りへと走る。
 そこは既に大パニックと化していた。
 右往左往する大勢の人々。露店の品はその衝撃で散らばってしまい、外に展示していた商品は、慌てて店主によって店の中にしまい込まれる。
 まだ昼間の時間帯だけあって、人が多いというレベルを遥かに超えている。もはや逃げるどころか、移動するだけでも一苦労だ。
 それ故に混乱も生じ、あちこちで人々の争いの類が発生していた。
 止めに入った者は瞬く間に巻き込まれ、それが更なる争いの炎となる。もはや表通りは、殺伐とした混沌と化していた。
 そしてそんな中、ミナヅキたちは広場に来ていた。逃げ道とならないその場所に人は少なく、逆に落ち着いて周囲を観察できる穴場となっていたのだ。
 ミナヅキたちの視線は、揃って一方向に向けられていた。

「うわぁ、こりゃまた凄いな」
「見事なまでに炎上しちゃってるわね」

 ミナヅキとアヤメが見上げているのは、王宮であった。それも豪快に、赤とオレンジの炎で飾られた状態の。
 そしてその中心に、大きな黒い影がうごめいている。
 どんな種類かは分からないが、恐らく魔物の類であるとミナヅキは思った。それが何故あそこに現れたのか――その理由もなんとなく想像がつく。

「はぁ……ロディオンが派手にやらかしたかな?」
「そんな気がするわね」

 ため息をつくミナヅキの隣で、アヤメがどこか呆れたような表情で頷く。するとここで、まだ一言も発していない彼女の存在を思い出す。

「リュドミラ――どうしたの?」

 アヤメが振り向くと、リュドミラは不安と恐怖が入り混じったような、硬い表情を浮かべていた。

「いえ、もしかしたらあそこに……ラスカーがいるのかなぁって……」

 燃え盛る王宮を見上げながら呟くように言うリュドミラ。
 その時――

「その考えは正しいと思うよ」
「――へっ?」

 突如聞こえてきた声に、リュドミラは目を見開く。男性の声だったが、明らかにミナヅキのとは違っていたからだ。

「後ろ後ろ」
「後ろって……うわぁっ!?」

 謎の声に促されるまま三人が後ろを振り向くと、そこにはローブを身に纏った青年が立っていた。
 そしてそれは、つい先日までミナヅキと一緒にいた人物でもあった。

「ラトヴィッジ! お前いつの間に……」
「やぁ、また会ったね」

 驚きながら声を上げるミナヅキに対し、ラトヴィッジはなんてことなさそうな笑みを浮かべ、片手を軽く挙げる。
 全く気配を感じなかったことから、アヤメもリュドミラも、驚きで声が出せないでいた。

(確かラトヴィッジって、ミナヅキの同業者だった……それが何でここに?)

 アヤメは軽く混乱していた。数ヶ月前の一件にあった裏については、ミナヅキからも聞いてはいた。しかしその黒幕的な人物が、まさかいきなり目の前に笑顔で現れるなど、予想外過ぎるにも程がある。
 しかも声をかけてきた彼からは、まるで敵意のての字も感じられない。それが余計に違和感を募らせる。
 なんでこうもフレンドリーに話しかけてくるんだろう――そんな疑問を乗せて、アヤメはミナヅキのほうを向いてみるが、ミナヅキはそれに気づくことなく、ラトヴィッジに話しかけていた。

「まぁ、細かいことはどうでもいいや。今、考えが正しいって言ってたな?」
「言ってたよ。ラスカーって男が、密かに王宮に向かっている。残念ながら、その目的までは分からないけどね」
「そうか……」

 肩をすくめるラトヴィッジと、それに頷くミナヅキ。しかし二人の中では、なんとなくその目的については見えていた。
 もっとも、その前提条件が正しければ、という話ではあるが。

「ついでに言えば、アレはこの国に封印されていた凶悪な魔物だよ。ロディオン王子が気持ちを暴走させちゃった結果っぽいね」
「あー、やっぱりか」

 人差し指を立てながら、サラリと笑顔で言ってのけるラトヴィッジ。ミナヅキはそれに対し、ため息交じりで納得する。
 後ろに控えているアヤメとリュドミラは、呆然としていた。
 二人の会話がどんどん進んでいて、しかも入る余地が全くないように思える。それほどまでに円滑だと感じてならなかった。
 ここはもう、聞き役に徹したほうがいい――リュドミラがそう思った瞬間、ミナヅキが更に深いため息をついた。

「……この際、ロディオンのことはどうでも良いな。それよりもラスカーさんだ」

 そしてミナヅキは、アヤメとリュドミラのほうを振り向く。

「今朝、港で俺が話したこと、覚えてるか?」
「覚えてるわ。恐らくラスカーさんが動いているのも、それに大きく関係しているって言いたいんでしょ?」
「ここまでの騒ぎになっている今、絶好のチャンスとも言えるもんね」

 リュドミラも納得しつつ、拳を固めて表情を引き締める。

「あたし、王宮へ行く。ラスカーがいるなら、もう一度しっかり話したいし」
「だったら、私も一緒に行くわ。後輩を助けるのは、先輩の務めだものね」
「――ありがとう、アヤメさん!」

 アヤメの強い笑顔に、リュドミラは途轍もない頼もしさを感じた。ここまで頼りになる先輩が、今までにいただろうか――本気でそう思えてしまうほどに。

「あ、そう言えば忘れてたわ。ミナヅキ、これ!」

 アヤメがバッグの中から、小さなポーチをミナヅキに投げる。受け取ったその正体を見て、ミナヅキは目を見開いた。

「これは……俺のアイテムボックス!」
「家から持ってきたのよ。それがあれば百人力でしょ?」

 そう言いながら、アヤメはミナヅキに近づき、目の前で顔を近づける。

「アンタも私たちと一緒に来てもらうわよ。折角再会したのに、また離れ離れになるなんて、絶対に嫌なんだからね!」

 笑顔から真剣な表情に切り替わる。ここで茶化すのは絶対に許さない――そんな強い意志が、アヤメの大きな瞳にしっかりと込められていた。
 ミナヅキはそれを汲み取り、大きく頷いた。

「――あぁ、分かった。俺も一緒に行こう」
「うん。それでこそ私の旦那様ね♪」

 そして再び、アヤメに眩しい笑顔が戻ってくる。それを見たミナヅキも、思わず笑みを浮かべてしまった。

「ハハッ。実は俺も、この国で世話になった人がいるからな。このまま放っておきたくない気持ちは一緒なんだよ」
「そうだったのね」

 激しいパニックとなっている町の中で、ミナヅキとアヤメの雰囲気は、いつものようなのんびりさが戻りつつあった。

(相変わらずブレないね。ミナヅキらしいとは思うけど)

 ラトヴィッジは軽く肩をすくめつつ、小さな笑みを浮かべた。

「それじゃあ、僕はこれで失礼させてもらうよ。伝えたいことは伝えたからね」
「あっ、ラトヴィッジ!」

 踵を返して立ち去ろうとした彼に、ミナヅキは慌てて声をかけた。

「今回はお前のおかげで、色々と助かった。ありがとうな」

 ミナヅキは落ち着いた笑みを浮かべる。それに対しラトヴィッジも、振り返りながら嬉しそうに笑う。

「こちらこそ。僕も久々にミナヅキと話せて、結構楽しかったと思ってるよ」

 その穏やかな声に、アヤメもリュドミラも驚いた。これまでの彼の言葉は、どこか人を喰ったようなうさん臭さがあり、どこか素直に頷きがたい部分があると思えていたのだ。
 そんな彼にもこんな声が出せるのか――まさに新しい発見であった。
 しかし、それは本当に一瞬のことだけでしかなかった。

「それにしてもキミ、なんだかんだで僕のこと、分かりすぎじゃない? そちらの奥さんよりも理解しているんじゃないかと、正直思えてくるよ」

 再び人を喰ったような声色で、ラトヴィッジは言う。あからさまにイジリが含まれているように思えたが――

「確かにな……」

 ミナヅキはすんなりと頷き、それを認めるのだった。

「出会ったのはアヤメのほうが先だが……付き合いの深さで言えば、残念ながらお前のほうが圧倒的に上だよ」
「あぁ、そっか。そうなるのか」

 今度はラトヴィッジが、素直に驚く表情を見せる。本当に今、ミナヅキから言われて初めて気づいたような反応であった。
 それに対して、アヤメとリュドミラがまたしても驚きの表情を見せるが、ミナヅキは特にそのようなことはなく、軽く肩をすくめながら続ける。

「ったく、ホント世知辛くて仕方ないよ。分かりたくもないことまで分かっちまうもんだからな」
「そこまで僕のことを――嬉しいとでも言えばいいのかな?」
「言わんでいいよ。お前だってそんなこと本気で思ってなんかないだろ?」
「ピンポーン。やっぱり流石だね」
「嬉しくもなんともないがな」

 流暢に続く会話。長い付き合いだからこそのやり取り。遠慮なく交わし合えるその関係は、傍から見ても羨ましく思えてくる。
 呆けた表情で二人を眺めるアヤメとリュドミラは、そんなことを考えていた。
 ――どおおぉーーん!
 再び爆発が起こり、更に町に広がる騒ぎ声が大きくなる。
 こんなところで呑気に話している場合じゃない――ミナヅキとラトヴィッジは、同時にそう思った。

「手遅れにならないうちに、キミたちも早く行ったほうがいい。僕もさっさと、ここからオサラバさせてもらうよ」
「おぅ、またな」

 そして今度こそ、ラトヴィッジは踵を返して人ごみに消えた。
 パニック状態となっており、人々がぶつかりまくる中、ラトヴィッジはスイスイと人と人の間をすり抜け、あっという間にその姿は完全に見えなくなる。
 ミナヅキはそれを完全に見届け、改めてアヤメたちのほうに向き直った。

「さーて、それじゃあ俺たちも王宮へ……って、あの、アヤメさん?」
「……むぅ!」

 何故かアヤメは頬を膨らませ、怒った表情を浮かべていた。ワケが分からないミナヅキは、理由を尋ねてみようとする。
 しかしその前に、アヤメはそっぽを向いて――

「幼なじみ君と仲良さげで、ホントなによりねっ! ふんだ!」

 完全に拗ねてしまった。一体どうしてこんなことになっているのか、ミナヅキは真剣に分からない。
 助けを求めて、ミナヅキはリュドミラのほうを向いてみるが――

「あはは……」

 苦笑するばかりで何も言ってくれず、ミナヅキは困り果ててしまう。
 しかしここで突然、アヤメは拗ねた表情から笑顔になる。

「――なぁんてね!」

 そして再びいつもの明るい声で、ミナヅキを見上げるのだった。

「流石にこんなことしてる場合じゃないわ。早く王宮へ行きましょう」
「お、おぅ……」

 アヤメの急な表情の変化についていけず、ミナヅキは戸惑いながら頷いた。とりあえず助かったのかと、少しだけ安心していたのだが――

「この件が全て終わったら、ゆっくり聞かせてもらうからね♪」

 そう言ってきたアヤメの笑顔が、妙に怖くて仕方がなかった。それ以上アヤメは何も言わず、王宮へ向かって今度こそ歩き出す。

「……俺が一体、何をしたって言うんだよ」

 ミナヅキもゲンナリとしながら、アヤメの後に続いて歩き出す。そんな二人の姿を見て、リュドミラは微笑まずにはいられなかった。

(あたしもいつか、あーゆー二人みたいになれる人、見つけたいもんだねぇ)

 やはり一人の女として、どうしても願わずにはいられない。リュドミラはひっそりとそう思いつつ、足を踏み出すのだった。


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