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第二章 幽霊少女ミリィ
第三十九話 賽は投げられた
しおりを挟む真夜中の路地裏は、明かりも殆どなく真っ暗も同然。したがって密会にはうってつけの場所とも言えている。
それでも聞かれる可能性はあり得るが、場所を選べば問題はない。特に町の様子を知り尽くしている人間であれば、どこなら多少話したところで聞かれる心配はないかを割り出すのは、造作もないことなのだった。
ギルドマスターであるヴィンフリートは、その代表例と言える。
事実上の町のトップとして、秘密裏に会話をすることは決して少なくない。ギルドの執務室以外の場所を選ぶことも含めて。
そして今夜も――彼はその場所に赴く。
周囲を見渡す素振りを全く見せず、暗い路地裏を堂々と歩く。まるで周囲に人がいないことも、聞かれている心配も全くないと思っているかのようだ。
事実、そのとおりではあった。
根回しを念入りに――それでいて不自然ではない程度に済ませ、より確実な密会を成功させる。ヴィンフリートからすれば、いつものことの一つに過ぎない。
そしてその裏には、優秀な側近の存在があることは言うまでもない。
「ゼラ」
ヴィンフリートが前を向いたまま声をかけると、暗闇から人影が登場する。
「彼はもう来ております」
「そうか」
そしてそのまま歩いていくヴィンフリートの背中を、ゼラが見送る。その無表情の中にどんな気持ちがあるのか、それは誰にも分からない。
やがてヴィンフリートは、とある場所で立ち止まる。
そこには――
「来てくれたようだな」
「えぇ、突然連絡をいただいたときは、少しばかり驚きましたが」
フードを深く被ったローブの人物が笑いかける。辛うじて口元が分かる以外の表情や顔立ちは判別できず、背が高い以外の身体的特徴も読み取れない。
低い声からして男に思えるが、果たしてそれも本当かどうか。しかしヴィンフリートにとって、それらは実にどうでもいいことであった。
「単刀直入に言おう――」
ヴィンフリートはローブの人物に対し、歪んだ笑みを浮かべた。
「召喚魔術を使って、あるターゲットを討ち取ってほしい」
特定の魔物を召喚する魔法――それが召喚魔術である。
召喚した魔物が召喚者に従うかどうかは、召喚者の実力に左右される。ローブの人物の場合は、大型の魔物を呼び出し、それを無理なく従えさせることが可能とされていた。
その腕前を資料で知ったヴィンフリートは、この人物を大層気に入っていた。いつか必ず、自分の役に立ってくれる存在になるだろうと。
それでも謎多き人物であることは確かであり、こうして連絡を取る手段があるのが不思議なほどだった。
ヴィンフリート自身も、今回ローブの人物が連絡に応じるかどうかは、正直半信半疑であった。
しかしこうしてお目当ての人物は現れた。ヴィンフリートは内心、盛大に笑いたくなるほどの嬉しさを味わっていた。やはり自分は、選ばれし存在であることに違いはなかったのだと、改めて自画自賛しながら。
「私が合図したら強力な魔物を召喚し、指定したターゲット二名を仕留める。至ってシンプルな内容だろう?」
「えぇ。実に分かりやすいかと。しかし……よろしいのですか? 町を魔物で騒がせることになりますが」
ローブの人物の問いかけに、ヴィンフリートは目を閉じながらフッと笑う。
「私の目論見では、場所は町外れの丘の上の屋敷だ。目立つかもしれんが、少なくとも中心街に被害は起こらん。あとでいくらでも言い訳できる。お前は細かいことなど気にせず、私の依頼に従えばいい」
「……分かりました」
少々の無言の後、ローブの人物は頷いた。
「ちなみにこれは立派なビジネス――分かっていただけますよね?」
「フッ、無論だ」
ニヤッとしながら問いかけるローブの人物に、ヴィンフリートも同じく笑みを浮かべつつ、懐から書類を取り出す。
「依頼書だ。確認したまえ」
それを受け取ったローブの人物は、金額の部分に注目する。
「……今回の依頼だけで、これだけいただけるのですか?」
「不満か?」
「いえ、逆ですよ。あまりにも破格に思えたので」
この場に現れてから、始めて驚いた表情をするローブの人物。それを見たヴィンフリートは、してやったりと言わんばかりに笑い声を零す。
「ギルドマスターに二言はない。その依頼書には朱印も押されている。あとはお前がそこにサインをすれば、この契約は成立だ」
「いいでしょう。この依頼、確かに引き受けさせていただきます」
ローブの人物は、依頼書の署名欄にサインをする。それを受け取ったヴィンフリートは満足そうに頷いた。
「では、また後ほど連絡する」
「了解」
短い返事とともに、ローブの人物は闇に消えた。そこにゼラが、ヴィンフリートの後ろからゆっくりと姿を見せる。
「あの人物は、本当に大丈夫なのでしょうか?」
ゼラは珍しく心配そうな表情を浮かべ、ローブの人物が消えた場所を見る。
「恐れながら私は、あの得体の知れない人物がどうにも……」
「ゼラ」
しかしその進言は、ヴィンフリートによって一刀両断されてしまう。
「お前は私の言うことを聞いていればそれで良いのだ。たとえお前が長年私に仕えた側近であろうと、歯向かえば容赦なく切り落とすことも厭わない」
――それをゆめゆめ忘れるな。
ヴィンフリートの淡々とした冷たい言葉が、ゼラにそう告げてきた。その威圧感に押されてしまい、もはやゼラにこれ以上の進言はできなかった。
「……申し訳ございません。過ぎたマネをお許しください」
「分かれば良い」
サラリと告げつつ、ヴィンフリートは踵を返す。
「お前は引き続き調査を続けろ。これ以上の付き添いは不要だ」
「はっ!」
頭を下げるゼラを残し、ヴィンフリートはそのまま路地裏の闇に消えた。一人残されたゼラは、ゆっくりと頭をあげながら思う。
(私は……とんでもない過ちを犯してしまったのでは……?)
まるで最後のチャンスを逃したような――そんな気がしてならない。
フレッド王都から返事の手紙が届いて以来、ヴィンフリートは明らかに冷静さを欠いている。そしてそれは、歩くべきではない道に足を踏み入れ、今ここでその道は確定してしまった。
ゼラは心の中が、何かで締め付けられるような感じがした。
後悔――その二文字をゼラは実感した。しかし、賽は投げられてしまった。もはや道を正すことはできない。
(――それでも、動くしかありませんね)
歩き出したゼラの目は、確かな強い意志が宿っていた。
◇ ◇ ◇
「ペンダントはもうすぐ完成します。今日の夜には仕上がるでしょう」
朝食の席にて、モーゼスがそう切り出した。それを聞いたミナヅキとアヤメは、嬉しそうな反応を示す。
「やった! ありがとう、モーゼスさん」
「いよいよ今夜ってところね」
もうすぐミリィとの約束を果たせる。特にアヤメはワクワクする気持ちが募って仕方がなかった。
モーゼスは席を立ち、そして表情を引き締めながら告げる。
「私はこれから最後の追い込みに入ります。必ずや責任をもって、最高のペンダントをお届けいたしますぞ」
その言葉に、ミナヅキとアヤメも強い笑顔で頷く。その時、ドアをノックする音が聞こえた。
どうやら来客のようである。
「あ、私が出ます」
率先してアヤメが立ち上がり、ドアを開けながら声をかける。
「はーい、どちらさまで……」
「あ……」
来客の正体に、アヤメもその相手もポカンと呆けた。
「どしたー、アヤメ? あっ……」
ミナヅキも後ろから様子を伺おうと顔を覗かせる。そこにいたのは――
「ティーダじゃないか。皆揃って、どうしたんだ?」
そう、ティーダたちのパーティメンバーが勢揃いだったのだ。イルトウヘアの洞窟ですれ違って以来のミナヅキたちは、まさかの来訪に驚きを隠せない。
一方、ミナヅキとアヤメの登場に硬直していたティーダは――
「ミ、ミナヅキぃーーっ! お前たち無事だったのかあぁーーーっ!!」
「うわっ!?」
涙目で叫びながらミナヅキに抱き着くのだった。当然、ミナヅキは受け止めながらもワケが分からず、戸惑うばかりである。
「アヤメぇーっ! 良かった、無事でよがっだよおぉーっ!!」
「いや、あの、その……」
アヤメもアヤメで、大泣きするマヤに抱き着かれている。その後ろに控えるハンジもニコレットも、揃って良かった良かったと微笑ましそうに頷いていた。
当然、ミナヅキとアヤメの二人は、何がなんだか全く分からない。
「ふぅむ、どうやらワケアリのようですな」
そしてそんな彼らの様子を、モーゼスは冷静な表情で観察していた。
「皆さん、もしよろしければ中へ入って、話を聞かせてはもらえませんか?」
「あ、そうですね。人様の家の前で失礼しました」
「ほらリーダー、そしてマヤさん。いつまで抱き着いてるのよ?」
ハンジが慌ててモーゼスに頭を下げる傍ら、ニコレットが未だ大泣きしているティーダとマヤをミナヅキたち二人から引きはがす。
泣いている二人は、涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃとなっていたが、抱き着かれたミナヅキとアヤメの服に、その跡が残らなかったのは、せめてもの救いだと言えるだろうか。
程なくして、ティーだとマヤもようやく我に返り、モーゼスに騒いだことを謝罪しつつ、家の中へ入る。
そして彼らは、何故ミナヅキたちを見て泣き出したのか――それに至る経緯を、全て話したのだった。
「なるほど……あのヴィンフリートがそのようなことを……」
モーゼスは重々しい表情で唸るように言う。
ミナヅキとアヤメを完膚なきまでに葬り去ろうと、ヴィンフリートが冒険者たちを動かしていた。同時に、イルトウヘアの洞窟で起こった爆発の謎も解かれ、ミナヅキとアヤメも苦い顔をさせる。
ちなみにファイアーウルフとスライムは、モーゼスの作業場でのんびりと待機している。つまりこの場にはいないのだ。
(今ここにスライムがいなくて良かったかもな)
ずっと暮らしていた洞窟で、突如怖い目にあわされた。もうすっかり落ち着いているとはいえ、その張本人たちを見たら、果たしてどんな反応をするか。
どう考えてもいい結果が生まれるとは思えず、結果的に今はこれで良かったと、ミナヅキは思う。
その時、ティーダが椅子に座ったまま、土下座をするような勢いで、テーブルに手と顔を同時に着けた。
「本当に申し訳ない! 二人を洞窟に閉じ込めて葬り去ろうとしちまった!」
「いや、そもそも仕掛けたのは、ヴィンフリートのオッサンだろ。ティーダたちはあのオッサンの指示に従っただけじゃないか」
「話を聞く限り、殆ど脅されて仕方なくって感じだもんね」
ミナヅキとアヤメが気にしていないという意味を込めて述べると、ニコレットが厳しい表情で首を左右に振る。
「そんなの、言い訳にもならないわ。たとえどんな事情があったとしても、それを引き受けた時点で、私たちも立派な同罪よ」
その言葉にティーダとマヤも強く頷く。そしてハンジが、それからのことを語り出した。
「せめてもの償いをしようと思っていた矢先に、あのギルドマスターが、また何かしでかそうとしていると聞いたんです。詳しいことはちょっと分からなかったんですけど、町外れに暮らしている隠居鍛冶師さんとの間に、何か大きな秘密があるという情報を得まして……」
「そして私たちは、とりあえずここに来てみたというワケなの。まさかミナヅキさんたちがここにいるだなんて、思ってもみなかったけどね」
ニコレットは苦笑する。要するに単なる情報収集で訪れたら、いきなりお目当ての人物に会えてしまったということだ。それならば、あんなに驚くのも無理はないと言えるだろう。
ハンジも確かにと頷きながら、不安そうな表情をミナヅキに向ける。
「あのギルドマスターも、いよいよもってきな臭さ全開って感じですよ。怪しげな人物と取引してたというウワサもありますし……」
「いや、あのオッサンの場合、なんかそれが普通にも思えてくるんだがな」
ミナヅキがため息交じりに言う。これまで散々仕掛けられた身からすれば、今更言われても驚くことはない。
その時――
「今回ばかりは、あの方もかなり本気ですよ」
どこからか聞こえてきた声に、その場にいた全員が緊張を走らせる。すると物陰から、なんと一人の男がスッと出てきた。
まさかの人物の登場に、ティーダが勢いよく立ち上がりながら叫ぶ。
「ゼラ! テメェ、何でこんなところにいやがる!?」
「いつの間に……」
驚きを隠せないモーゼス。実際、全くと言って良いほど気配を感じなかった。
ゼラはいつものように落ち着いた様子でクスッと笑う。
「最初からいましたよ。ティーダさんたちとともに、普通に入ってきたんです」
「……全然気づかなかったぞ」
「気配を消すのは、得意中の得意なので」
呆然としながら言うミナヅキに、ゼラは淡々と答える。
「どうか落ち着いてください。私は皆さんと争うつもりはありません」
「なんだと? 一体どの口がそんなことを――」
「待ってください」
今にも掴みかかろうとする勢いのティーダを、モーゼスが止める。
「ゼラさん。話してくださいますか? あなたがここに現れたということは、何かとんでもないことが起きようとしているように思えますが」
「えぇ。そのとおりです」
モーゼスはゼラと話し始めてしまい、もはやそれを受け入れるしかなくなっている空気となった。ティーダは納得できなかったが、なんとか抑え込んで、そのまま着席する。
「まず最初に――ミナヅキ殿、アヤメ殿。この度は危険な目にさらしてしまい、本当に申し訳なく思っております」
ゼラは深々と頭を下げる。その行動にミナヅキとアヤメは勿論のこと、ティーダたち四人も目を丸くしていた。
しかしティーダは、すぐさま表情を怒りで歪ませる。
「白々しいぜ! この期に及んで、詫びて済まそうってことかよ?」
「……そう受け取られるのも致し方ありません」
重々しく頷くゼラに、ティーダは思わず言葉を詰まらせる。てっきり何か言い訳の一つでもしてくると思っていたために、予想外の反応だったのだ。
「あの爆発は、御二方が奥の泉へ入り込んだところで発生させるよう、私のほうで独自に仕組みました。幸いあそこであれば、逃げ道から地上に脱出することも可能ですからね」
そう言いながらゼラは、モーゼスのほうを向く。するとモーゼスは、やられたと言わんばかりの苦笑を浮かべた。
「参りましたな。やはりご存知でしたか」
「私たちの調査能力と情報網を、侮ってもらっては困ります。ですが、特に害は見られないと判断し、様子見という形を取っておりました。あれほどの立派に造られた逃げ道を、わざわざ潰してしまうのももったいないと思いましてね」
「それはそれは。ゼラさんのお心遣いに感謝いたしますよ」
どこか白々しさを乗せたやり取りの上、モーゼスとゼラは笑みを浮かべ合う。そして互いに小さく頷いた。この話はここまでという意味を乗せて。
「さて、話を元に戻させてもらいますが――」
ゼラは表情を引き締めつつ、改めて切り出した。
「ヴィンフリート様はもう、完全に冷静さを欠いています。魔物を召喚する魔導師を雇い、強い魔物を呼び出してあなた方を倒そうとしているのです」
「なるほど。確かに一大事ですね」
モーゼスがしみじみと頷いた。
「魔物を害としか見なしていないヴィンフリートが、魔物の力を借りる……これだけでもかなりの異常事態だと言えるでしょうな」
「えぇ……同感です」
ゼラは重々しい表情を浮かべる。ここでミナヅキの中に、ある疑問が浮かぶ。
「アンタ、ヴィンフリートの側近なんだろ? 今まではずっと、あのオッサンに忠実だったじゃないか。またどういう風の吹き回しだ?」
その疑問は他の皆とて同じであった。それこそミナヅキが尋ねなければ、自分が尋ねようと誰もが思っていたほどに。
ゼラもその質問を予想していたらしく、すぐさま頷きながら答えた。
「私はヴィンフリート様に、長年仕えてきました。今でもその気持ちは、決して変わりません。だからこそ今回に限っては、あの方を止めなければなりません。いささか手遅れなのが、痛恨の極みではありますがね」
ゼラは自虐的な笑みを見せる。この男もこんな表情をするのかと、ミナヅキは内心で驚いていた。
「既に賽は投げられました。ティーダさんたちのパーティは、まだターゲットには含まれておりません。厄介なことが始まる前に、この町を出るべきでしょう」
そう告げられたティーダたちだったが、四人揃って従うつもりはないと言わんばかりにゼラを睨みつける。
やがてティーダが半目のまま、低い声で尋ねる。
「……それは何か? 俺たちに対する警告ってことで良いのか?」
「いいえ、個人的な忠告ですよ」
相変わらずゼラは冷静な様子を崩さず、首を左右に振る。
「私にも立場があります。ギルドマスターを裏切ることはできません。しかし、無暗に冒険者の方々を傷つけたくない気持ちもあるのです」
どうにも胡散くささは拭えないが、全くのウソでもなさそうであることは、その場にいる全員が感じてはいた。
しかしそれでも、ティーダはどうしても言いたいことがあった。
「もし本当にそう思ってるなら、ミナヅキたちに対しても、なんとかできたんじゃないのか?」
「……耳が痛いですね」
返す言葉もない――そう言わんばかりに、ゼラは苦笑する。
もうこれ以上言いたいことがなくなったのか、ティーダは両手で机を叩き、その勢いで立ち上がった。
「まぁ、いいさ。俺たちは俺たちで勝手に動くまでだ。行くぞ、皆!」
『おぉっ!』
リーダーの声に、他の三人も立ち上がる。そしてティーダが外へのドアを開けながら、モーゼスのほうに振り返った。
「それじゃモーゼスさん、俺たちはこれで」
「お邪魔しました」
「いつかまた、遊びに来ますねー♪」
ハンジ、マヤが次々と言葉を告げ、そしてニコレットがペコリとお辞儀をする。あっという間に四人が出ていき、急に家の中が広くなった感じとなった。
「では、私もそろそろお暇いたします。皆さんも用心しておいてください」
ゼラもそう告げて、モーゼスの家を後にした。改めてガランとした家の中で、ミナヅキは空を仰ぎながらため息をつく。
「なーんか面倒なことになってきちまったな」
「今更でしょ。何が来ようと、私たちがすることに変わりはないわ」
ハッキリと言い切るアヤメを、ミナヅキはマジマジと見る。そして軽く呆けたような声を出した。
「……お前、ホントたくましいよな」
「それこそ今更でしょ?」
「確かに」
苦笑するアヤメにつられて、ミナヅキも笑みを浮かべる。そんな二人に微笑ましさを感じながら、モーゼスは作業場へ赴くべく、静かに席を立つのだった。
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