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序章

0-4 インタビュー その3

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 城塞都市ダナンの中央地区にある噴水の前に、あまり周囲の景観に似つかわしくない風体の男が周囲をキョロキョロと見回しながら立っていた。
 薄汚れた革製の鎧と肘や膝に付けられたプロテクターから、恐らく男は傭兵なのであろうという予想は出来た。

「こんにちは。あなたがアイルさんの事を知っているという方ですか?」

 噴水の前に佇んでいた男は、後ろから急に高く透き通る涼やかな声で話しかけられて思わずビクっと肩を震わせた。

「うわ!っと、急に背後から声をかけないでくれよ」

 男はそう言いながら後ろを振り返り、小柄なローブ姿の人物を視界に入れた。

 かけられた声と見た目の小柄さから今日の交渉相手は若い女性であると判断した男の顔はにやにやといやらしい表情を浮かべる。

「驚かすなよお嬢さん。ああ、そうだ。俺はマイクっていう傭兵さ。元、傭兵だけどな」

 マイクと名乗った男は、油断のない目つきでローブの少女をしげしげと見つめる。

「で、どこで話をするんだ? 出来ればこの辺は勘弁して欲しいんだが……」

 顔はにやついたままだが、目だけはキョロキョロと周囲の様子を窺っている。

「おまかせします」

 少女の言葉に、マイクはいやらしい笑みを一段といやらしくした。

「良かった。実はこういうお上品な場所に長居するとムズムズしてくるんだ。もし嫌じゃなかったら南西地区に行きつけの酒場があるんだが、あー、お嬢さんみたいな子はあの地区は避けたいかな?」

 フードをすっぽりと被っているために少女の表情までは窺い知れなかったが、唯一見える口元は微笑んでいるようにも見える。

「いいえ、先日も南西地区の酒場で傭兵さんにお話を聞いたばかりですから大丈夫ですよ。さすがに夜ともなると怖いですけどね」

「んじゃあ、ついてきてくれ。なあに、危ないことにならないようにちゃんと気をつけるさ」

 意外にも少女が素直に南西地区への同行を了承したために、マイクは内心では驚いたがさすがに顔には出さずに歩き出した。

「情報をいただいた者の話ではアイルさんがこの街に来たときからご存知ということですが、どういったご縁だったのですか?」

 マイクのやや斜め後ろを歩きながら、少女は質問をする。

「ああ、もう10年以上も前の話で俺がまだ現役で駆け出しの傭兵だった頃にふらりとギルドに現れたんだよ。なんでもギルド長の知り合いらしいということで、すぐに依頼を受け始めてたな。俺も何度か組んで巡回任務を一緒にこなしたりしてたのさ」

「ふむふむ、非常に無口という話ですけど、その頃から喋らない方だったんですか?」

 マイクはどう答えたものかと思案する仕草をしつつ、やや間をおいて答える。

「あー、いや、ギルドに来た頃はそうでもなかったぞ。いつからか全く喋らなくなったみたいだけどな」

「そうですか。なるほど『だいたいわかりました』」

 その後は特に話すことも無く、二人は沈黙を守ったまま南西地区に入る。


 中央地区から南西地区に向かうには、一度傭兵ギルドのある西地区に入ったあとで南に移動する必要があるのだがその間なにも会話がないというのも中々にきついものがあるのだが、少女は別段気にする様子もなく辺りを見回しては楽しそうな足取りで歩いている。
 マイクも別の考え事に気を取られているのか、少女から話しかけられないのをいいことに無言でやや早足に歩みを進める。

 そんな二人の姿を見かけた若い傭兵が、隣を歩く男に声をかけた。

「リーダー、あれってこないだの子じゃないですか?」
「あん?」

 言われた男も、若い傭兵が指差す方向に視線を動かす。
 
「見なかったことにしろ。あの子を連れている野郎は例の組織の構成員だ。こないだも言ったが関わると碌なことにならん」
「は、はい」

 若い傭兵はそれでも、路地を曲がって消えていく二人の後ろ姿を心配そうに見つめていたが、本当に何も見ていないかのようにとっとと先を行くリーダーの後を慌てて追いかけていった。


 マイクに案内された少女がやってきたのは、まだ午後の早めの時間だと言うのに薄暗い雰囲気をたたえた裏路地だった。

「こんなところに酒場があるんですか?」

 少女は周囲を見回しながら問いかける。

「ああ、穴場みたいな酒場だからな。それにまだこの時間は仕事から戻ってくる傭兵も少ないから寂しい感じがするだけさ。まあ今日は仕事を受けてない奴なら、こんな時間から飲んでるかも知れないけどな」

 言葉とは裏腹に男がそわそわし始めてるのは、少女が特別観察力が高くなくとも分かるほどである。

 やがて二人は細い小道に入る。

 両脇には木造の粗末な建物が並んでいるが、とてもではないが人が住んでいる、ましてや酒場を営んでいるとは思えない廃屋のようなものばかりである。

 その小道の中間地点あたりまで来たところで男が歩みを止めた。


「さて、先程から私たちを尾行していらっしゃる方がいらっしゃいますね、この辺りなら誰もいないみたいですし、そろそろ出てきていただいてもよろしいですかね」

 少女がそう声をかけると、陽が当たらずに暗がりになっていた路地から二人の男が現れた。二人とも顔には黒い布を巻いて目だけを出していて、その手には短剣が握られていた。

「ほう、尾けられているのがわかっていて、ここまでそいつについてきたってか」

 男の片割れが低い声で話しながら少女の正面に回る間に、もう一人は無言で少女の背後に回る。これで小道のどちらへも逃げることはできなくなった。

 マイクもそのまま振り返って、ニヤニヤ笑いながら短剣を抜く。

「ふむふむ、あなた達が出てきた路地にも待ち伏せがニ人。どうやら屋根の上にも三人ほど。完璧に囲まれてしまったようですね。こんないたいけな少女一人にまた随分と大げさな布陣ですね」

 伏せておいた人数を言い当てられ正面の男の眉がピクリと動いたが、こういう事には慣れているようで不必要な動揺は見せなかった。背後の男も同様である。
 
「凄いなお嬢さん、相当なやり手ということか。ならくだらないやり取りは無しにして単刀直入に聞くが、何を嗅ぎ回っている? あの無口な傭兵のことを聞いて回ってどうしようと言うんだ?」

 正面の男の言葉を聞いているのかいないのか、少女は顔をじっと正面の男に向け、若干首を傾げていた。

「アイルさんの事を嗅ぎ回っていることを問い詰めるフリをしながら、その実あなた達はアイルさんとは縁もゆかりも無い。この小娘を拐って自分たちで楽しむか、はたまた奴隷商人にでも売り払って一儲けするか。なるほど、傭兵崩れの悪徳集団の下っ端というところでしょうか。私がアイルさんの事を聞かれて、あわわ、と弁解しようとしている間に後ろの方が私を拘束、後は野となれ山となれ」

 少女は歌うようにスラスラと喋り始めた。

 今度こそ男達は動揺せずにはいられない。

「周囲二百メード以内に他の気配なし。合計で八人、と。うーん、まあこれほどに可憐な少女ですし、どうとでもなると思われても仕方ないですけど」

 聞くものにある種の心地よさを感じさせる少女の透き通る声は軽やかさを増していき、廃屋に囲まれた薄暗い裏路地という周囲の様相とは余りにもミスマッチで、不思議な空間を演出する。

「さっきから可憐だのいたいけだのと、随分と高評価な自己紹介をするもんだ。フードとローブでその言葉が正しいのかどうか、こっちにはさっぱりわからねえけどな」

 少女を案内してきたマイクも、仲間の下まで無事に標的を案内できたことで緊張が解けたのか軽口を叩き始める。

「大丈夫です、いまお見せしますから。恐らくこの城塞都市で私の素顔を見ることが出来た最初の人たちということになりますよ。光栄に思ってくださいね」

 そう言いながら少女はフードを取る。

 現れたのは濃い緑色の髪。窮屈なフードから解放されたその宝石のような煌きは少女の肩甲骨の辺りまでフワリと垂れ下がる。
 まるで髪そのものが自ら発光しているように、辺りが一瞬明るくなったような錯覚を覚える。
 その両の瞳は閉じられていて瞳の色は窺い知ることは出来ないが、まるで人形のように整った顔立ちと薄暗い中でもわかるほどの透き通った白い肌に思わず男たちも数瞬見惚れてしまった。

「どうです、中々に可憐でしょう。目だけは残念ながらお見せ出来ない事情があるのですが、私、そもそも目が見えないので開く必要もありませんから」

 少女が盲目である、という宣言に三人の男たちは一斉に訝しげになる。

 それもそうである。
 
 ここまでの足取りを見ても、先日こっそりと監視していた様子からしても、少女が盲目であるという気配は一切なかった。

「驚きましたね。ふふ、計算通りです。なぜ普通に歩き回れるのかというとですね、視力を失う代わりに別の力を得たからなのです。それが何かはお教えできませんが、どのみち皆さんにはその力が何なのかは今から味わっていただきますので。それと、私の素顔を見た最初の人たちと言いましたが、残念ながらそれを誰かに伝えることは出来ません」

 相変わらず歌うように、弾むように心地よく響く少女の声。

「なぜなら、皆さんは死んでしまうのですから」

 少女の顔が、実に愛らしい微笑みに変わった。

「可愛い顔して物騒な事を言うじゃねえか」

 男達は、少女が顔に浮かべた美しい微笑みとは全く釣り合わない得体の知れない威圧を感じ、何とは無しに短剣の柄を握り直す。
 
 少女は微笑みを浮かべたまま、自分をここまで案内してきたマイクに顔を向ける。
 
 目は閉じたままだというのに何故か射抜かれるような視線を感じ、マイクはゴクリと唾を飲み込む。

「マイクさん、でしたか。まあ偽名なのは存じておりますけれども、私ね、嘘を吐かれるのがこの世で何よりも嫌いなんです」

 少女から発せられる威圧が激しさを増す。
 心なしか、少女を中心に風が吹き始めているような気さえしてきた。

「人間というものは誰でも多少の嘘は吐く生き物なので、ささいな嘘まですべて許さない、とは申しませんけれども。あなたが私に吐いた嘘は、ご自分のお名前、アイルさんとの馴れ初め、アイルさんについての情報、そしてこの罠に私を誘い込むために酒場があると言った、すべてが嘘です。これはもう許される範疇を超えてしまいました。私の個人的な基準において、ですが」

 そう言って、少女は滑らかな動作でスッと右手を上げた。



 突如街路に響き渡った絶叫を聞きつけた近所の傭兵たちが何事かと駆けつけた時には、薄暗い路地に八つの遺体が綺麗に並べられていた。
 
 死因はいずれも喉を切り裂かれての恐らくは即死。
 
 周囲の建物は尽く倒壊していたが、元より既に住む者もいない廃屋であったので路上の遺体以外の犠牲者はいないようだった。

 不思議な事に周囲にはそれほど多くの血が飛び散ってはいない。

 遺体が綺麗に並べられているところから、犯人は男たちを殺害したあとでわざわざここに運んで並べたのだろうと思われたが、悲鳴を聞きつけた傭兵たちが駆けつけるまでに十分ほどの時間しか経っていない。

 となると、大の男の遺体を素早く運べる怪力の持ち主が複数いるという推測が立つ。

 集まった傭兵たちがあれこれと犯人について推論を述べあう中にあって、犯人は誰なのか何となく見当がついた人物が二人ほどいた。
 
「あれってやっぱり、あの子がやったんですかね……」
「馬鹿、あの子一人であんな真似できるわけないだろう」

 二人とて自分たちが思い浮かべた人物がこれほど鮮やかな切り口で傭兵崩れの荒くれ者八人を殺した後で、素早く遺体を並べることが出来るとは想像できなかったために黙っていた。

 後から王国正規兵もやってきたが、殺されたのが元々評判の悪い一味だと知ると、おざなりな調査をして帰っていった。

 この南西地区では荒くれ者同士の刃傷沙汰は後を絶たないので、いちいち個々の事件に構っていられないというのが衛兵たちの本音であったであろう。


 この事件のことは一ヶ月もしないうちに、迷宮入りとして捜査も打ち切られ、傭兵たちの間で不気味な噂話として語り継がれるだけとなってしまった。
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