上 下
237 / 264
春休み

第233話  番人(上)

しおりを挟む
 あらら。七宮さん、気を失っちゃった。〝案内人〟なのにしょうがないなあ。
 ……じゃあ、先に悪魔さんに聞いてみよう。

「えへへ。悪魔さんは、どうするの?」

「ど、どうすルって……俺ヲ殺さないノか?」

 ガクガクと震えながら、悪魔さんはおびえた目で僕を見ている。かわいそうな事しちゃったかな。

「えっとね。悪魔さんが、二度と人間に悪いことしないって約束してくれるなら、何もしないよ?」

「や、約束スる! 絶対ニ、にんゲんに悪さはシなイ!」

 ひざまずき、手を合わせて拝むように僕に頭を下げる悪魔さん。

「それじゃ、約束だよ? えっと、僕との約束は、普通の人のとは、ぜんぜん違うから、気をつけてね?」

「分かッタ! 約束はマもる!」

 僕と〝約束〟したら、気をつけなきゃだよね。だって、バチが当たるんだもん。

「悪魔さん、僕がこの空間を壊すから、それまでどこかに隠れててくれる?」

「こ、壊すノ? ここヲ?! そレは、いくラなんデも無理ダとおもうゾ?」

 ううん。やろうと思えば、今すぐにでもこんな空間、消しちゃえるけど……

「僕はね、吸血鬼の用意したルール通りに、試練を突破してやるんだ。卑怯なやり方よりも、正しいやり方のほうが、強いって事を、教えてあげなきゃね!」

「……そうカ。分かっタ。俺も、モウ、こンなトコろハ嫌ダ。応援スるゾ!」

「えへへー。ありがとう、悪魔さん!」

 それじゃ、今のうちに〝5の箱〟を見ておこうっと。





 >>>





 ……許せない。
 命をかけて、正々堂々と戦った大ちゃんを、あんな卑劣なやり方で罠にかけるなんて。

「ククク。結局、お前ひとりしか、生き残れなかったな!」

 生き残れなかった……だと?
 まだ死んでなんかいない! 絶対に僕が助け出すんだ。
 七宮……! この下衆ゲスには〝試練〟のあとで、しかるべき報いを受けさせてやる。

「おーおー! にらまないでくれよ、おっかないなあ!」

 この男、わざとやっているな?
 七宮は〝案内者〟だ。コイツに危害を加えると、即、負けとなるらしい。たぶん、眷属に触れた時のように、すべてを〝禁止〟されるのだろう。ブルーの話では、僕の〝星の強度〟や〝不眠不休〟では、この〝禁止〟を防げないようだ。

「ついたぞ。ここが最終試練の部屋だ」

 今までの部屋と、同じデザインのドアが2つ。

「お前が右で、私が左だ。中で、お前の対戦相手〝番人〟が待っている。まあ、せいぜい頑張れ」

 そう言って、七宮は左の扉を開け、入っていった。

あるじよ。お待たせしております』

 ……パズズの声だ。
 実は言葉を〝禁止〟されたあと、パズズにはこの〝禁止〟状態の無効化ができないか、調べてもらっていたんだ。

『この〝禁止〟という状態は、複数の呪いを組み合わせ、条件通り動作するように組み立てた物のようです。解析を進めてはおりますが、まだ解除には時間がかかります』

 そうか。ありがとうパズズ、頼んどくよ!

『かしこまりました』

 僕が禁じられてるのは〝ゴーレムを使った会話〟だけなんだけど、吸血鬼に会ったときしゃべれないと、文句も言えないからな。

『タツヤ、この試練、十分に気を付けてほしい。罠が用意されているだろうからね』

 間違いないな。七宮の事だ。きっと卑怯な手で来るに決まっている。
 ……この扉を開けたとたんに、1000匹の〝眷属けんぞく〟が降ってくるとか、普通にありそうだからなあ。
 警戒しつつ、扉を開けて中に入る。無駄に長い廊下を抜けると、七宮の声が聞こえてきた。

「ククク。ようこそ、最終ステージへ!」

 さっきの競技場より、少し狭い広場。
 見上げると、数メートル高くなった観客席には、七宮が憎たらしい笑みを浮かべて座っている。

「がんばれよ、たーっちゃーん! ククク! アハハハハ!」

 アイツのクズ加減、驚くほどブレないな。
 ……まあいいや。あんなのは放っといて、今は目の前の敵に集中しよう。
 黒光りする甲冑に身を包んだ〝番人〟。コイツが僕の対戦相手か。

『タツヤ、あの〝番人〟から、生物の気配がしない 例の首輪を着けている人間のそれに似ている』

 ……という事は、眷属じゃないのか。心配して損した。

『そのようだね。だが、油断は禁物だよ』

 七宮の事だから、触ったら一発アウトの〝眷属〟を対戦相手にするとか、やりかねないと思ったんだけど。

「勝負は、何でもありの決闘だ。制限時間は無し。どちらかが戦えなくなるか、降参を宣言した時点で、勝敗が決まる」

 七宮はルールの説明を始める。

「お前はしゃべれないから、両手をあげてバンザイをすれば降参という事にしてやろう」

 はいはい、それはご親切に、有難うございます。

「あと〝なんでもあり〟とは言ったが、基本的なルールはそのままだ。外部から持ち込んだ道具などは、使った時点でアウトだぞ」

 ……あの番人は、剣を持ってるけど?

「なんだその顔は……不服そうだな? ああ、そうか。分かってると思うが〝番人〟の装備は闘技場の備品だ」

 分かってねぇよ。備品ならいいのかよ、大人って汚いなあ。

「ククク。お前たちが何の集まりなのかは知らんが、お前がリーダーだと聞いていたのでな。最終ステージに残してやったんだ。がんばって仲間を救ってやれよ?」

 ニヤニヤと締まりのない顔だな。言われなくてもそのつもりだ。

「準備はいいな? ……それでは、試合をはじめろ!」

 目の前の〝番人〟は、静かにこちらを見据えている。重厚で物々しい〝まっ黒な鎧〟が、不気味さに拍車を掛けていた。
 ん、何だ? 見た目に似合わない小さな声で、なにか言ってるぞ? 

「……Thel FiR iL」

 魔法か? という事は、中身は悪魔か魔界人だな。

『それにしても、おかしな声だね、タツヤ』

 本当だ。小さすぎて聞こえにくいけど、妙に高い声だな……ヘリウムガスを吸ったような、とても違和感のある声だ。

『タツヤ、火球が来るよ』

 番人の頭上に、火の玉が浮かぶ。
 彩歌の魔法と比べるのは可哀想だけど、見るからにショボいな。
 ……よーし。そっちが魔法で来るなら、こちらも飛び道具だ。〝使役:土〟!

「おいおい、魔法だって? どういう事だ? お前、しゃべれなかったんじゃないのか?!」

 僕の頭上に巨大な岩が現れ、ゴリゴリと圧縮されていく。
 残念ながら、これは魔法じゃないんでね。呪文は要らないんだ。

『タツヤ、その規模だと、建物が壊れてしまうかもしれないよ?』

 ……いや、何より先に、七宮を撃ち抜いてやりたいところなんだけど。

『それはいけない。彼は〝案内者〟だ』

 わかってるさ、冗談だよブルー。〝案内者〟に危害を加えたら、即、ゲームオーバーらしいからな。
 ……残念だけど、あとにしておいてやろう。





 >>>





「う、うう……」

 あ、七宮さんが目を覚ましたみたいだよ。
 ……この人が〝撃ち抜かれて〟ないという事は、あの後、たっちゃんは負けちゃうんだよね。続きがすっごく気になるよ。

「な、何だ? 私は……いったい?」

 ボーっとした顔で、辺りを見回す七宮さん。
 あまりの出来事に、記憶が飛んじゃってるのかな。

「ナナみヤ、気がツいたノか」

「ん……あ、ああ。悪魔か…って、おいおい! なんで競技場から外に出て来てるんだ? 吸血鬼に知られたら、ヤバいだろ?」

 ……やっぱり混乱してるよ。競技場なんか、もう跡形もないのにね。

「おマエ、大ジョウぶカ?」

「……ん? えーと? ……私は何をしていたんだ?」

 あーあ。これはちょっと重症だよね。
 〝箱〟の続きも気になるし、ほっといて、最後まで見ようっと。

「悪魔さん、一分ぐらいで終わるから、待っててね?」

「なンか知ラんが、分かったゾ」

 悪魔さんが七宮さんを見ててくれるから安心だよ!
 それじゃ、続きを……あれ? ちょっと巻き戻っちゃうんだ。えへへ。テレビ番組のCM明けみたいで、面白いなあ。





 >>>





『それはいけない。彼は〝案内者〟だ』

 冗談だよブルー、わかってるさ。〝案内者〟に危害を加えたら、即、ゲームオーバーらしいからな。
 ……残念だけど、あとにしておいてやろう。

「……オマエラ……イッタイナンナンダ?」

 つぶやくような、不自然に甲高かんだかい声が聞こえてくる。
 直後、番人の頭上にあった火球が、僕に向けて放たれた。当たっても平気だけど、相殺しとくかな。
 圧縮した岩を、飛んできた火球めがけて撃ち出す。
 見事に命中して、火球をかき消した岩は、その軌道のまま、番人の肩をかすめて、はるか向こうの壁に大きな穴を空けた。

「ナンダトオォォ?!」

 悲鳴のような声をあげる番人。
 危ない……! もうちょっと右だったら、アイツの頭、無くなっちゃってたよ。あの〝番人〟には、さすがにそこまでするつもりはない。七宮には……フフフ。この後のお楽しみだ。

「……ッ! 殺シテヤル……! ……殺シテ……ヤルゾ!」

 ボソボソと、怒りに満ちた声が聞こえてくる。
 怒った時ぐらい、もっと大きな声を出せばいいのにな。

「HuLex UmThel FiR iL」

 お、マジか? なかなかやるな!
 ……番人の頭上に、火球が同時に2つ浮かんでいる。あれは高度な技だって、彩歌が言ってたよな。

「ククク。さあどうする? 今度は防ぎ切れんぞ……な、なにぃぃぃ?!」

 周囲に、とりあえず10個の大岩を浮かべてみた。ちょっと作りすぎたかな。

「ど、どうなってるんだ、その数! それに、お前やっぱり、さっきから詠唱もしてないよな?」

 当たり前だろ。喋れないんだから。
 さてさて。それじゃそろそろ、決着をつけさせてもらおうかな。
 ゴリゴリと圧縮されていく岩を見て、後ずさる番人。心配しなくても当てないよ。
 小石サイズにまで圧縮された10個の岩を撃ち出した。
 番人の足元に着弾した岩が、大量の土埃つちぼこりをに巻き上げる。それに紛れて素早く接近する僕。
 ……ヤツが当てずっぽうで放った火球の一つが目の前に現れたので、頭突きで消し飛ばし、拳を振りかぶった。くらえ! アース・インパクト! ……超・手加減バージョン!

「ぐふぅ!」

 極限まで手加減した〝ただのパンチ〟は、ヤツの腹部に命中した。
 片膝をつき、肩で息をする番人。

「な、何だ? どうなったんだ」

 よし、七宮には見えなかったみたいだな。余計な小細工をさせないために、わざわざほこりで隠したんだ。
 番人の鎧には亀裂が入り、兜の隙間から、血がしたたる。
 ちょっとやり過ぎたけど、勝負あったな。さすがにその怪我では、動けないだろ。

「ククク……」

 ん……? 七宮の笑い声?

「ククク……ククク……」

 アイツ、何がおかしいんだ?
 ……っていうか、この笑い声、おかしくないか?

「ククク。どこを見ている?」

 客席の七宮は、ニヤニヤとこちらを見ている。
 けど、今のセリフも、どこか変だ。

「私はここだぞ?」

 そ、そんな……バカな! 口が……口が動いていない!
 この声……明らかに、別の方向から聞こえてくる。

「ククク。やってしまったなあ、たっちゃあぁぁん?」

 間違いない。この声は!  
 ユラリと立ち上がった声の主……番人が、兜をゆっくりと外す。

「そ、そんな……!」

 番人の兜の下から、気持ち悪いニヤけ顔が現れた。
 それはなんと、口もとを血で汚した、七宮だった。

「ずいぶんと驚いたような顔だが?」

 ……突然、今まで味わった事がないような倦怠感が襲ってきた。体中の力が、みるみる抜けていく。何だ? いったい何が起こったんだ? コイツが七宮なら、客席に居る、アレはいったい?

「あっちの七宮は私の代理だ。〝魔法が使えない〟のが難点だが、私の〝三分の一〟程度の仕事はこなしてくれるよ」

 ……しまった! 〝分身魔法〟か?!

「ククク……それにしても〝案内者〟に危害を加えるなんて、おまえは困った乱暴者だなぁ、ん? おっと、私を攻撃しても無駄だぞ?」

 僕は最後の力を振りしぼって、七宮を殴ろうとするが……おかしい。確かに手応えはあるのに、ヤツはダメージを受けない。

『……いや、タツヤ。ダメージは与えている。恐ろしい速度で回復しているんだ』

「ククク、やめてくれよ。痛いだろう?」

 何だよそれ。やっぱり、まともにやり合うつもりなんか無いんじゃないか!

「ククク。この部屋は、万が一、ここまでの〝試練〟を突破してきた者が2人以上いた場合のために〝番人〟のダメージを自動的に回復するようにできている。捨て身の攻撃でノックアウトされたら〝最終試練〟に、突破者が出てしまうからな」

 言い替えれば、万に一人も、突破させるつもりは無いって事だよな。
 なんて事だ……マズいぞ。どんどん力が抜けていく!

「ククク。色々と手を焼かされたが、これで終わりだなぁ?」

 七宮は、僕の髪の毛をつかんで、自分の顔を近づける。
 もう、ブルーのエネルギーが伝わらなくなっているのか……〝星の強度〟は効いていないみたいだ。

「私はもうすぐ、ここを出ていく……もう二度と会う事は無いだろう」

 ここを……出ていく?

「その頃には、お前らはもう〝眷属〟だろうからな! あーっはっはっは!」

 ちくしょう…………ちくしょう!
 ごめんよみんな。結局、助けられなかった……!

「タツヤ、すまない。私も、もうすぐ活動を止められてしまう」

 そう、か。やっぱりブルーも禁じられるのか。
 ダメだ、意識が遠のく。ああ、もう……だめ……

「……タツヤ。カズヤだ。この空間に、カズヤが入ってきた」

 栗っ……ち? そう……か!

「私の能力も、かなり低下している。少し困難なのだが、なんとか今の状況を伝えてみよう」

 ブルー、た、頼んだ……ぞ……
 栗っち……なら。栗っち……の、ちから、な……ら……

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

【短編】冤罪が判明した令嬢は

砂礫レキ
ファンタジー
王太子エルシドの婚約者として有名な公爵令嬢ジュスティーヌ。彼女はある日王太子の姉シルヴィアに冤罪で陥れられた。彼女と二人きりのお茶会、その密室空間の中でシルヴィアは突然フォークで自らを傷つけたのだ。そしてそれをジュスティーヌにやられたと大騒ぎした。ろくな調査もされず自白を強要されたジュスティーヌは実家に幽閉されることになった。彼女を公爵家の恥晒しと憎む父によって地下牢に監禁され暴行を受ける日々。しかしそれは二年後終わりを告げる、第一王女シルヴィアが嘘だと自白したのだ。けれど彼女はジュスティーヌがそれを知る頃には亡くなっていた。王家は醜聞を上書きする為再度ジュスティーヌを王太子の婚約者へ強引に戻す。 そして一年後、王太子とジュスティーヌの結婚式が盛大に行われた。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

処理中です...