43 / 264
5年生 冬休み
救出作戦
しおりを挟む
アクセルを目一杯踏み込んだ。
車は更にスピードを上げ、メーターは見たこともない目盛りを指す。
「栗っち、ワゴン車は?」
「えっとね、いま丁度、スポーツジムの交差点まで来たよ」
こっちに来い! こっちに来い!
「来た! こっちの方向に曲がったよ!」
「よし、そのまま真っすぐ来てくれ!」
『タツヤ、直接素顔を見せるのはマズい。何か顔を隠せるものは無いかな』
そうか……あのマフラー、持ってくればよかったな。
「栗っち、後ろに何か、顔を隠せそうな物ない?」
「ちょっと待ってね。えーっと……何だろう、これ」
栗っちが座席の後ろで見つけたのは〝サンプル〟と書いた紙袋に、いっぱい詰まった女性用のストッキングだった。
「カズヤ少年。良い物を見つけたな。それは顔を隠す物としては定番だ」
本来の使い方としては 逸脱しているけどな。
「ナイス栗っち! それ、使わせてもらおう」
サンプルってことは、あとで被り心地を感想文にして提出すれば大丈夫だろう。僕と栗っちは、ストッキングを頭にスッポリ被った。
「うわ! ちゃんと前が見える。凄いねこれ!」
「そうだろう、カズヤ少年。昔から犯罪者たちは、それを被るか、目出し帽を被るかしたものだ。サングラスなどは、邪道の極みと言える」
……言えねぇよ。何者の視点だよダイ・サーク。
「たっちゃん、白いワゴン車、曲がるよ! この先の銀行の角を、えっと、僕たちから見て、右方向!」
「了解! もうちょっとで追いつけるな」
『向こうは安全運転だからね……それにしても、おかしな格好だな、タツヤ』
ちっちゃい銀行強盗二人と、正義の味方だもんな。このままデパートの屋上に行けば、ヒーローショーが出来る。
「タツヤ少年。犯人の車が見えたら、スピードを落として、少し離れて追跡しよう。下手に追いかけてカーチェイスになれば、少女が危険だ」
なるほど。犯人の車が停まるまでは、少し離れて追いかけよう。
「よし、銀行が見えた。ここを右という事は……」
「海だね、たっちゃん」
そう、真っすぐ行けば、海岸沿いの道に出る。僕は慎重にハンドルを切る。銀行に突っ込んだりしたら大変だ。いまの 風体では似合いすぎる場所だから。悪い方向に。
「居た! あれだよな、白いワゴン車!」
「うん、間違いないよ! 町田さんが後ろに乗ってる。まだ、気絶してるみたい」
そうだろう。鏡華が目を覚ませば、あの運転が蛇行に変わるほど暴れるだろうからな。
「慎重に追いかけよう……あと、ユーリ達は大丈夫かな」
「それなら大丈夫だ、タツヤ少年。さきほど3人が犯人に襲われた時、私が周辺の警察署と交番12箇所、そして警官162人に宛てて、匿名メールで通報しておいた」
「スゴイよ! ダイ・サーク!」
ちょっとしたサイバーテロだな。さすが大ちゃん。
「ネットワークへのアクセスは自由自在だ。時代が追いつけば、日本中の信号機で一斉に3・3・7拍子も出来るだろう」
それは本物のサイバーテロなのでやめて下さい。
「栗っち、あの車のナンバー、見える?」
「えと、横浜○○○、わ○○-○○ だよ」
「レンタカーだ」
僕と大ちゃんが同時に言った。〝わ〟ナンバーは、レンタカーだ。
『ちなみに北海道や沖縄では〝れ〟ナンバーもレンタカーだよタツヤ』
「余談だが北海道や沖縄では〝れ〟ナンバーもレンタカーだ少年」
なんだかダブルで物知り自慢された。
「よし、そのナンバーと犯人の特徴なども、通報しておこう。位置情報は我々の追跡の邪魔になるので伏せておく」
ナイス判断だ。おまわりさんには悪いけど、僕達3人だけの方が安全に鏡華を助け出せるだろう。
「たっちゃん、右に曲がるよ!」
はるか遠くに、左右に伸びる海岸沿いの道が見えた。犯人の車は右方向に曲がろうとしている。
「あっちは確か、別荘地だったよな?」
「その通りだタツヤ少年。冬場は、あまり人が居ないはずだ」
「フフフ、それはこちらにとっても好都合」
『タツヤ、その格好で今のセリフは完全に悪役だぞ?』
「印象悪いなあ。大ちゃん、今度僕らも何か顔を隠せるの作ってよ」
「……」
「あー、もう! ダイ・サーク、お願いします!」
「お安い御用だ、楽しみにしていたまえ、少年達!」
完全になり切ってるなあ。面倒くさいなあ。
「あ! 犯人の車、停まったよ!」
白いワゴン車は、別荘地の中では比較的大きい建物の前に停車した。
かなり奥まった位置にあり、立木の多さで他の家からは見えづらい。
そもそも、先程から人の気配が全く無い。避暑地として使われる場所だ。寒風吹きすさぶ1月に、わざわざ訪れる人も居まい。
「よーし、そこが目的地だな! サクッと助けて早く帰ろう!」
車の時計では、もう11時近い。母さんにはウサギに餌をやると言って出てきたから、急がないと。
「そうだな、さっさと終わらせよう。少女が目を覚ましたら一大事だぞ」
ダイ・サークの言う通りだ。鏡華に見られたら、ストッキングを被ってても、服装と体型でバレる。彼だって、変身していて一見完璧に見えるが、リュックサックでバレる。そうなったら、いろんな意味で終わりだ。
犯人は車から降りて、建物の鍵を開けようとしている。鏡華は車の中だ。
「栗っち、催涙ガスとスタンガン、直接喰らわないように気をつけて」
「うん、ありがとう!」
「ダイ・サークは大丈夫だよね」
「問題ない。私に電撃は通用しない」
犯人が建物の中に入っていった。僕はゆっくりと、少し離れた路上に車を停めた。
「よーし! じゃ、救出作戦、開始!!」
>>>
背の低いおじさんは、こちらに気付くと怪訝そうな顔をした。
そりゃそうだ。小学生3人が、ストッキングを被ったりヒーローの格好をしたり、
「トリック・オア・トリート!」
とか、季節外れなことを叫んだりしていたら、誰でも警戒するだろう。
「な、何なんだお前ら、何しに来た!」
「この格好見てわからないの? ヒーローショーに決まってるじゃない」
僕はそう言うと、一瞬でおじさんとの間合いを詰めた。
「あ、おじさん〝ワルモノ役〟やってよね?」
僕の足払いで、おじさんは勢いよくすっ転んだ。
「ぐおおお! なんどぶってんどらあああっ?! おああああっ!」
よく分からないことを喚き散らすおじさん。
ポケットから催涙スプレーを取り出し、僕に向ける。
「えへへ、それはダメだよ」
スプレーは、おじさんの手を離れて宙を舞い、はるか上空で破裂した。栗っちの念動力だ。
おじさんはわけも分からず逃げ出す。
「おっと。待ちたまえ」
いつの間にか、おじさんの逃げた先にはダイ・サークが仁王立ちしている。かなりのスピードだ。
「ヒィッ! ど、どうなってるんだ?! やめろ! ち、ち、近寄るな!」
おじさんは、上着の内ポケットからスタンガンを取り出し、ダイ・サークに押し当てる。
「ハーッハッハ! やはり改造品か!」
昔聞いた話だが、改造して感電死する位に電圧を上げなければ、スタンガンでは気絶することは無いらしい。
せいぜい、痛みで戦意を喪失させるぐらいだそうだ。
という事は、こいつは感電死する程のスタンガンを、あの3人に使ったという事だ。許せない。
「ふむ。なかなかの高電圧だが、私には無効だ」
「クソ! なんで、き、効かないんだ?!」
ヒーローにスタンガンは効果がないとわかり、こっちに走って逃げて来るおじさん。今度は僕にスタンガンを当ててきた。
……ストッキング男の方がザコっぽいもんな。でも残念ながら、僕にも効かない。
「いい物もってるなあ。ちょっと貸して」
僕は放電中のスタンガンを〝電極側から〟鷲掴みにして奪い取った。
「どれぐらい痛いか、思い知ればいいよ。ちなみに僕は、電気での痛みは一生感じないんだけどね」
おじさんの手首を握り、ゆっくりゆっくり、バチバチとスパークする電極を近付けていく。
「や、や、やめろ! やめてくれ! や、やめて! 嫌だぁーーー!」
少し長めに、電撃を御見舞いする。ビクビクと痙攣するおじさん。やがて、バッタリと倒れて動かなくなった。
「よし、お仕置き完了!」
「ねえ、このおじさん、どうするの?」
「そうだな。とりあえず、何かで拘束しておこう。カズヤ少年、家の中に何か縛るものはないかな」
「えっとー。ビニール紐見っけ! 入って左の棚だよ」
僕はおじさんの手足を、ビニール紐で縛った。
「ふう、これでよし。後はおまわりさんに任せよう」
ワゴン車の中の鏡華を確認した。まだ気絶しているようだが無事だ。安心してほっと一息ついた時、ブルーが警告を発した。
『タツヤ、何かが来る! すごい速度だ。気をつけろ!』
「えっ?! 何が来るんだ? ブルー!?」
次の瞬間、ダイ・サークが宙を舞った。数メートル吹っ飛び、ゴロゴロと転がる。
「大ちゃん?!」
素早く動く影は、次に栗っちを襲う。ダメだ、早すぎて目で追えない。
「たっちゃん、助け……カハッ!?」
今度は栗っちが攻撃を受けた。弾かれたボールのように、一直線に飛ばされ、別荘の壁にぶつかって倒れる。念動力による障壁と〝確率操作〟で致命的なダメージは受けずに済んだようだが、かなりの衝撃だったようだ。うずくまって動けない。
「栗っち! 大丈夫か?!」
何が起きてる? 栗っちも大ちゃんも、守備力300とか500とかだぞ? 普通の攻撃ではビクともしない筈だ。アレは一体何なんだ?!
車は更にスピードを上げ、メーターは見たこともない目盛りを指す。
「栗っち、ワゴン車は?」
「えっとね、いま丁度、スポーツジムの交差点まで来たよ」
こっちに来い! こっちに来い!
「来た! こっちの方向に曲がったよ!」
「よし、そのまま真っすぐ来てくれ!」
『タツヤ、直接素顔を見せるのはマズい。何か顔を隠せるものは無いかな』
そうか……あのマフラー、持ってくればよかったな。
「栗っち、後ろに何か、顔を隠せそうな物ない?」
「ちょっと待ってね。えーっと……何だろう、これ」
栗っちが座席の後ろで見つけたのは〝サンプル〟と書いた紙袋に、いっぱい詰まった女性用のストッキングだった。
「カズヤ少年。良い物を見つけたな。それは顔を隠す物としては定番だ」
本来の使い方としては 逸脱しているけどな。
「ナイス栗っち! それ、使わせてもらおう」
サンプルってことは、あとで被り心地を感想文にして提出すれば大丈夫だろう。僕と栗っちは、ストッキングを頭にスッポリ被った。
「うわ! ちゃんと前が見える。凄いねこれ!」
「そうだろう、カズヤ少年。昔から犯罪者たちは、それを被るか、目出し帽を被るかしたものだ。サングラスなどは、邪道の極みと言える」
……言えねぇよ。何者の視点だよダイ・サーク。
「たっちゃん、白いワゴン車、曲がるよ! この先の銀行の角を、えっと、僕たちから見て、右方向!」
「了解! もうちょっとで追いつけるな」
『向こうは安全運転だからね……それにしても、おかしな格好だな、タツヤ』
ちっちゃい銀行強盗二人と、正義の味方だもんな。このままデパートの屋上に行けば、ヒーローショーが出来る。
「タツヤ少年。犯人の車が見えたら、スピードを落として、少し離れて追跡しよう。下手に追いかけてカーチェイスになれば、少女が危険だ」
なるほど。犯人の車が停まるまでは、少し離れて追いかけよう。
「よし、銀行が見えた。ここを右という事は……」
「海だね、たっちゃん」
そう、真っすぐ行けば、海岸沿いの道に出る。僕は慎重にハンドルを切る。銀行に突っ込んだりしたら大変だ。いまの 風体では似合いすぎる場所だから。悪い方向に。
「居た! あれだよな、白いワゴン車!」
「うん、間違いないよ! 町田さんが後ろに乗ってる。まだ、気絶してるみたい」
そうだろう。鏡華が目を覚ませば、あの運転が蛇行に変わるほど暴れるだろうからな。
「慎重に追いかけよう……あと、ユーリ達は大丈夫かな」
「それなら大丈夫だ、タツヤ少年。さきほど3人が犯人に襲われた時、私が周辺の警察署と交番12箇所、そして警官162人に宛てて、匿名メールで通報しておいた」
「スゴイよ! ダイ・サーク!」
ちょっとしたサイバーテロだな。さすが大ちゃん。
「ネットワークへのアクセスは自由自在だ。時代が追いつけば、日本中の信号機で一斉に3・3・7拍子も出来るだろう」
それは本物のサイバーテロなのでやめて下さい。
「栗っち、あの車のナンバー、見える?」
「えと、横浜○○○、わ○○-○○ だよ」
「レンタカーだ」
僕と大ちゃんが同時に言った。〝わ〟ナンバーは、レンタカーだ。
『ちなみに北海道や沖縄では〝れ〟ナンバーもレンタカーだよタツヤ』
「余談だが北海道や沖縄では〝れ〟ナンバーもレンタカーだ少年」
なんだかダブルで物知り自慢された。
「よし、そのナンバーと犯人の特徴なども、通報しておこう。位置情報は我々の追跡の邪魔になるので伏せておく」
ナイス判断だ。おまわりさんには悪いけど、僕達3人だけの方が安全に鏡華を助け出せるだろう。
「たっちゃん、右に曲がるよ!」
はるか遠くに、左右に伸びる海岸沿いの道が見えた。犯人の車は右方向に曲がろうとしている。
「あっちは確か、別荘地だったよな?」
「その通りだタツヤ少年。冬場は、あまり人が居ないはずだ」
「フフフ、それはこちらにとっても好都合」
『タツヤ、その格好で今のセリフは完全に悪役だぞ?』
「印象悪いなあ。大ちゃん、今度僕らも何か顔を隠せるの作ってよ」
「……」
「あー、もう! ダイ・サーク、お願いします!」
「お安い御用だ、楽しみにしていたまえ、少年達!」
完全になり切ってるなあ。面倒くさいなあ。
「あ! 犯人の車、停まったよ!」
白いワゴン車は、別荘地の中では比較的大きい建物の前に停車した。
かなり奥まった位置にあり、立木の多さで他の家からは見えづらい。
そもそも、先程から人の気配が全く無い。避暑地として使われる場所だ。寒風吹きすさぶ1月に、わざわざ訪れる人も居まい。
「よーし、そこが目的地だな! サクッと助けて早く帰ろう!」
車の時計では、もう11時近い。母さんにはウサギに餌をやると言って出てきたから、急がないと。
「そうだな、さっさと終わらせよう。少女が目を覚ましたら一大事だぞ」
ダイ・サークの言う通りだ。鏡華に見られたら、ストッキングを被ってても、服装と体型でバレる。彼だって、変身していて一見完璧に見えるが、リュックサックでバレる。そうなったら、いろんな意味で終わりだ。
犯人は車から降りて、建物の鍵を開けようとしている。鏡華は車の中だ。
「栗っち、催涙ガスとスタンガン、直接喰らわないように気をつけて」
「うん、ありがとう!」
「ダイ・サークは大丈夫だよね」
「問題ない。私に電撃は通用しない」
犯人が建物の中に入っていった。僕はゆっくりと、少し離れた路上に車を停めた。
「よーし! じゃ、救出作戦、開始!!」
>>>
背の低いおじさんは、こちらに気付くと怪訝そうな顔をした。
そりゃそうだ。小学生3人が、ストッキングを被ったりヒーローの格好をしたり、
「トリック・オア・トリート!」
とか、季節外れなことを叫んだりしていたら、誰でも警戒するだろう。
「な、何なんだお前ら、何しに来た!」
「この格好見てわからないの? ヒーローショーに決まってるじゃない」
僕はそう言うと、一瞬でおじさんとの間合いを詰めた。
「あ、おじさん〝ワルモノ役〟やってよね?」
僕の足払いで、おじさんは勢いよくすっ転んだ。
「ぐおおお! なんどぶってんどらあああっ?! おああああっ!」
よく分からないことを喚き散らすおじさん。
ポケットから催涙スプレーを取り出し、僕に向ける。
「えへへ、それはダメだよ」
スプレーは、おじさんの手を離れて宙を舞い、はるか上空で破裂した。栗っちの念動力だ。
おじさんはわけも分からず逃げ出す。
「おっと。待ちたまえ」
いつの間にか、おじさんの逃げた先にはダイ・サークが仁王立ちしている。かなりのスピードだ。
「ヒィッ! ど、どうなってるんだ?! やめろ! ち、ち、近寄るな!」
おじさんは、上着の内ポケットからスタンガンを取り出し、ダイ・サークに押し当てる。
「ハーッハッハ! やはり改造品か!」
昔聞いた話だが、改造して感電死する位に電圧を上げなければ、スタンガンでは気絶することは無いらしい。
せいぜい、痛みで戦意を喪失させるぐらいだそうだ。
という事は、こいつは感電死する程のスタンガンを、あの3人に使ったという事だ。許せない。
「ふむ。なかなかの高電圧だが、私には無効だ」
「クソ! なんで、き、効かないんだ?!」
ヒーローにスタンガンは効果がないとわかり、こっちに走って逃げて来るおじさん。今度は僕にスタンガンを当ててきた。
……ストッキング男の方がザコっぽいもんな。でも残念ながら、僕にも効かない。
「いい物もってるなあ。ちょっと貸して」
僕は放電中のスタンガンを〝電極側から〟鷲掴みにして奪い取った。
「どれぐらい痛いか、思い知ればいいよ。ちなみに僕は、電気での痛みは一生感じないんだけどね」
おじさんの手首を握り、ゆっくりゆっくり、バチバチとスパークする電極を近付けていく。
「や、や、やめろ! やめてくれ! や、やめて! 嫌だぁーーー!」
少し長めに、電撃を御見舞いする。ビクビクと痙攣するおじさん。やがて、バッタリと倒れて動かなくなった。
「よし、お仕置き完了!」
「ねえ、このおじさん、どうするの?」
「そうだな。とりあえず、何かで拘束しておこう。カズヤ少年、家の中に何か縛るものはないかな」
「えっとー。ビニール紐見っけ! 入って左の棚だよ」
僕はおじさんの手足を、ビニール紐で縛った。
「ふう、これでよし。後はおまわりさんに任せよう」
ワゴン車の中の鏡華を確認した。まだ気絶しているようだが無事だ。安心してほっと一息ついた時、ブルーが警告を発した。
『タツヤ、何かが来る! すごい速度だ。気をつけろ!』
「えっ?! 何が来るんだ? ブルー!?」
次の瞬間、ダイ・サークが宙を舞った。数メートル吹っ飛び、ゴロゴロと転がる。
「大ちゃん?!」
素早く動く影は、次に栗っちを襲う。ダメだ、早すぎて目で追えない。
「たっちゃん、助け……カハッ!?」
今度は栗っちが攻撃を受けた。弾かれたボールのように、一直線に飛ばされ、別荘の壁にぶつかって倒れる。念動力による障壁と〝確率操作〟で致命的なダメージは受けずに済んだようだが、かなりの衝撃だったようだ。うずくまって動けない。
「栗っち! 大丈夫か?!」
何が起きてる? 栗っちも大ちゃんも、守備力300とか500とかだぞ? 普通の攻撃ではビクともしない筈だ。アレは一体何なんだ?!
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる