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第2章 Ω
11 見えないモノ
しおりを挟む二人が隠れる保健室のドアがノックされた。
話し込んでいた二人はびくりと反応したが、賢木の言いつけ通り開けなかった。
幸い引き戸だったので、つっかい棒をしてある。
だが無理に入って来ようとする気配はなく、ドアの外に数人の人影が集まっただけだった。
微かな話し声もする。
それだけでは相手が教師か生徒か区別がつかない。
澪たちはベッドで大人しく賢木からの連絡を待った。
緊張に落ち着かないのか、福田は澪と悠真の日常を聞きたがった。
二人の関係も。
「玖珂くんとセックスした?」
あからさまな質問に澪は赤面して俯いた。
「あー、したんだ」
ちょっとからかうような福田の声に澪は慌てて言い訳する。
「い、一回だけだよっ」
「ふうーん」
やっぱりからかう声。
「どうだった?」
「え、そんなことまで聞く?」
「うん。知りたい」
じっと福田を見つめて、彼が強要されたことしかない、と思い当たって、真っ赤になって俯きながら小さく答えた。
「気持ち、良かった」
不意に記憶が蘇って、澪はますます赤くなる。
「へえ、そうか…。あ、それって発情期?」
普通に聞かれ、澪は硬直した。
「福田は、ある?発情期」
「あるよ」
当たり前のように答えられて、澪は俯いた。
「…僕、ない…」
「え」
「来てないんだ、発情期」
「え、でも、ええっ?」
なんだか福田と話してると驚かれるばかりで、澪はずん、と気持ちが落ち込んだ。
「あ、でも個人差、ってあるはずだし」
澪の様子に気付いたのか、福田が慌てて付け加える。
「…抑制器、つけすぎちゃったんだ」
「え、あ、そういえばピアス、最近つけてないね」
澪の横顔を確認しながら福田が呟く。
そのまま話の流れから抑制器に頼りすぎていたこととか、悠真との将来の不安などを話してしまった。
賢木とはまた違う、同じ年頃のΩとこんな話をするのは初めてで。
Ωにしかわからない不安も分かり合える気がした。
「愛人、かあ」
「………」
「僕もやだなあ、それ」
「うん」
「発情期の不安て、どうしてもあるよね」
「…だよね…」
「うん、だって僕、最初にあいつに捕まったの発情期だったもん」
「え!?そうなの?!」
「うん、抑制剤飲んでたんだけど、ちょうど切れるかなって時だった。あいつに発情期だろって捕まって、そのまま…」
「あ、ごめん、嫌な記憶なのに…」
福田は無理してる笑顔で首を静かに振った。
「いいんだ」
福田は澪を覗き込んで、急に微笑んだ。
「なに?急に」
「さっきね、賢木さんと話した時」
「え」
「澪さんともっと話してあげてください、って頼まれちゃったんだ」
「ええ!?」
福田は膝を抱えて、照れ臭そうに体を揺らした。
「澪さんもΩとして悩みを抱えているから、お互いに悩みを打ち明けあってみてくださいって」
「………」
「Ωにしか理解できないからって」
「………」
「本当だったね」
「うん」
澪がはにかみながら微笑むと、福田もへへ、っと笑った。
賢木から連絡があったのは授業の終わりを告げるチャイムと、始まりのチャイムを聞いた後だった。
『澪さん、お待たせしましたね。今外にいます、二人で出て来てもらえますか』
「はい、今行きます」
福田を気遣いながらドアを開けると、途端に賢木に抱きしめられた。
「え、あ、賢木さん!?」
「…澪さんが無事で良かった…」
小さな呟きを聞いて、澪はぎゅっと賢木のスーツを掴んだ。
途端にそれまで押し殺して来た恐怖とか不安が蘇って、泣きそうになるのをぐっと堪えた。
「…賢木さん…」
賢木はゆっくりと澪を離すとふわりと微笑む。
その瞳がなんだか潤んでいて、澪も微笑んで見せた。
それから賢木は福田に向かう。
「福田くん、ですね。電話でお話しした賢木です」
「あ、初めまして」
福田が慌てていうと、賢木がふふ、と笑う。
それから福田の頭をそっと撫でた。
「怖かったでしょう?辛かったですね…」
髪を梳くように撫でながら賢木に優しく声をかけられ、福田の瞳にじわりと涙が浮かぶ。
それを見た賢木がぎゅっとその頭を抱きしめた。
「…もう、大丈夫ですからね」
ぽんぽん、とその背中を叩いてくれる。
その様子を見て、澪もじわりと涙が浮かんだ。
賢木がいて、良かった。
賢木は福田の頭を片手で抱きしめたまま、澪の背を押す。
「さあ、病院に行きましょう」
二人が頷いて歩き出すと、その背中を慌てて教員が追いかけてくた。
「あ、あの!」
賢木は見たこともないほど冷ややかな表情でそれを振り向いた。
「弁解や謝罪の言葉なら、後ほどやってくる福田くんのご両親と玖珂におっしゃってください。今、玖珂が直接迎えに行っておりますので、時期到着するはずです」
それからきゅっと二人にかける手に力を入れる。
「今、この二人に話しかけることは私が許しません」
賢木の気迫に押され黙り込んだ教員達を尻目に、賢木は再び二人を優しく包みながら歩き出した。
澪がいつも連れて来られる病院で診察を受け、待合室で福田を待っている間に賢木のスマホが震えた。
取り出して画面を見た賢木が眉を寄せる。
澪が首を傾げると苦笑いした。
「…出たくありませんねぇ…」
「え」
驚く澪の前で賢木がスマホを耳に当てた。
「はい、賢木です」
『何があったんだよっ!外にうちの車が止まってるじゃんかっ!』
隣にいる澪にも聞こえる悠真の怒鳴り声。
『澪もいないし…。澪はどこだよっ!?』
「悠真さん、静かにしてください、今、病院なんですから」
『はあ!?病院?!て、澪に何があったんだよっ?!』
賢木は呆れ顔で耳からスマホを遠ざけた。
「…ったく、澪さんのことしか頭にないんですか…」
『澪がなんだって?!』
「ご心配なく。あなたの大切な澪さんは軽い打撲と内出血で済みましたよ」
『打撲!?怪我したのか、澪!』
相変わらず悠真の声が澪にも聞こえる。
相当大きな声で話しているらしい。
澪も思わず苦笑いした。
「だから軽い怪我だと言ったでしょ。連れがまだ診察中なのとその後も心細いだろうと一緒に待っていて貰ってるだけです」
『…なんのことかさっぱりわからないぞ…』
「そうでしょうね」
『もういい!俺帰る!そっちに行くから外の車使うぞ!』
「え」
澪が驚いていると、賢木は冷静に対応する。
「何言ってるんですか、ダメに決まってるでしょう?それに外の車は旦那様がお使いになってるんです。勝手に使わないでください」
『はあ!?親父?!なんで親父が!?』
「その呼び方は品がないからやめなさい、と何度言ったらわかるんですか」
『そんなん、どうでも』
「よくありませんよ!玖珂家の跡取りが品のない言葉遣いなどみっともない!お父様、もしくは父上、百歩譲ってお父さんと…」
『うるさいっ!澪と代われよ!』
賢木はふうっと息を吐き出すと、口をへの字に曲げ肩を竦めて澪にスマホを手渡した。
「あ、悠真?」
『澪!?大丈夫か、澪!』
こんな余裕のない悠真の声なんか初めて聞いた気がする。
それに賢木の声を聞いた時とはまた違う安心感がこみ上げてきて。
澪は思わず口元が緩んだ。
「澪さんもこんな時にデレないでください」
見咎めた賢木に呆れたように言われ、苦笑いした。
『澪?』
「うん、僕は大丈夫。もともとそんな大したことないんだけど、友達が重傷だからついてきただけ」
賢木は目を閉じ腕と足を組んでいる。
『何があったんだよ』
「え、っと」
賢木を伺い見ると、静かに首を振られる。
「今は言えない、かな」
『賢木に口止めされたのか』
「だって病院だし」
『校内がざわついてる、関係あるのか?』
「え!?」
澪が驚くと、賢木が目を開けた。
「ど、んな風に?!」
『え?いや、なんもわかんないけど、なんか騒ぎになってるよ。誰か更衣室に閉じ込められたとか』
「ああ、そっちか」
澪がふうっと溜息を吐くと、賢木は再び目を閉じた。
『澪?』
「うん、関係あるけど、やっぱり今は言えない」
『………』
「ごめんね悠真。心配してくれてありがとう」
『………』
「なんか最近、心配かけてばっかりだね」
『いいよ、そんなの』
「うん、ありがとう」
『賢木に代わってくれよ』
「うん」
澪が賢木にスマホを差し出すと、片目を開けた賢木がふううーっと長い息を吐いた。
「少し冷静になりましたか?」
今度は悠真の声は聞こえない。
澪は椅子に深く座って、ちょっと思い出し笑いをする。
自分のことでこんなに悠真が取り乱して。
それが嬉しかった。
「はい、帰ったらちゃんと話しますよ。大人しく最後まで授業受けてください」
余裕のない声も。
別の余裕のない声は聞いたことがあったけど。
再び思い出すと、澪は赤面して俯く。
「はいはい、では」
賢木が電話を切ったことに気付いて澪が振り向くと、賢木が変な顔をしていた。
「賢木さん?」
澪を見ると大きな溜息を吐く。
「…母親の心境ってこういうものなんですかね…」
「え?」
「ほんのちょっと前まで賢木、賢木、ってうるさいぐらいだったのに」
「え?え?」
「女の子の父親も複雑らしいですけど、男の子の母親も複雑ですねぇ…」
もう一度賢木に長い溜息を吐かれて、澪は戸惑うばかりだった。
診察が終わった福田は数日入院することが決まった。
すぐに賢木が手配して、病室に移っていく福田に澪は付き添った。
「大丈夫?」
「うん。痛み止めくれたから、今は平気」
福田は割と元気そうだった。
でも、心の傷までは見えない。
「…怪我は?」
聞いていいものか迷ったけれど、澪は聞いてみた。
「うん、中が傷だらけだって」
「ええ!?」
澪が青くなると、福田は微かに笑う。
「あ、でも治らなくはないって」
「ほんと?」
「うん。幸い感染症も妊娠もしてないって」
「…良かった、のかわからないけど、良かったね…」
「うん、良かった」
福田はベッドの中で布団を胸まで上げ、外に出した手を組む。
合わせた指が所在無げに蠢いてた。
視線を天井に移したまま黙り込む福田のベッド脇に、澪は椅子を移動させて座る。
しばらくの沈黙の後、福田が口にした。
「…僕もう、学校行けないかも…」
「え」
「…きっともう、学校中に知れ渡ってるよ…」
「………」
そう言われると、澪には何も言えない。
「…悠真は、あいつらが閉じ込められてたことが騒ぎになってるって…」
「なんで閉じ込められてたか、すぐに知れ渡っちゃうよね」
「………」
学校側も詳細は隠そうとしてくれるはず。
でも彼らの処分が決まれば、理由を噂されるだろう。
誰がどんな被害者なのか。
それもいつか知れ渡ってしまうのかも。
そうしたら。
その時の福田の心境を思うと、学校へ行くことすら困難になるのは仕方ない。
何か、励まそうと澪は必死で言葉を探す。
けれども、どれも上辺だけで真に励ますことなど不可能だとも思えて。
不意に布団で顔を覆うように引き上げた福田から小さな嗚咽が聞こえ始めた。
福田の苦しみや痛みが本当にわかるかと言われたら、結局その場には居たものの未遂で終わった澪には計り知れない。
澪は唇を噛み膝の上に置いた手をぎゅっとを握り締め、小さな嗚咽を黙って聞いていた。
澪は福田の両親が現れるまで、そっと福田と共にいた。
一人にして欲しかったのかもしれない。
でも福田が何も言わないので、ただただ黙ってそこにいた。
重い空気と小さな嗚咽に包まれた個室の中は決して居心地は良くなかったが、澪は出て行きたいとは不思議と思わなかった。
何も出来ないけれど、ただ一緒に居てあげたかった。
許されるのならばそのまま泊まり込んでも良かったのだが、賢木に「ここからは家族の時間ですよ」と促され後ろ髪を引かれながら病室を後にした。
澪と賢木に深く頭を下げて挨拶する福田の両親の顔色が悪く、お互いに言葉少なく別れて来た。
福田が心配していたように、彼の父親が暴力を甘んじて受けていれば良かったなどと言わなければいい。
それを帰宅の道すがら、澪は祈っていた。
「澪!」
玄関ホールに入った途端、澪は悠真に抱きしめられた。
ぶつかってくる勢いに思わずよろけながら、澪も抱きしめる。
「悠真、ここで待ってたの?」
「何があったのかわからないし、気になって」
「ごめんね、心配かけて」
「無事ならそれでいい」
「うん」
悠真の匂いに包まれて、澪は本当の意味で安心できた。
「悠真さん、旦那様は?」
「こっちには来てないぞ?」
「…会社に戻られたんですかね…」
賢木はそう言いながらスマホを取り出す。
「私も会社に戻ります」
踵を返しかけた賢木を澪は呼び止めた。
「賢木さん!」
賢木は急いでいるのか肩越しに振り返る。
「来てくれて、ありがとうございました」
深く頭を下げた澪に賢木は向き直ってにっこり笑った。
「これぐらいお安いご用ですよ。それに私も悠真さんと同じ気持ちです。澪さんが無事で良かったです」
それからまた踵を返し歩き出す。
「あとはお願いしますね、悠真さん」
玄関のドアを閉める前に一言言い残して、賢木は消えた。
「ひでぇ奴!」
澪から事件を聞いた悠真は怒りを露わにした。
「そんなαがいるからΩが不当な扱いに合うんだ!」
賢木のように怒る悠真が嬉しくて澪は思わず口元を緩めた。
こんな風に怒ってくれる悠真で良かった。
自分はこんな悠真に出会えて本当に幸運だ。
「なんで笑ってるんだよ」
「嬉しいから」
澪が素直に答えると悠真は頬を染める。
「澪が無事で良かった」
きゅっと抱きしめられると、じんと胸が熱くなった。
「うん、僕もそう思う」
もしあいつらに穢されていたら、こんな風に悠真と抱き合えなかったかもしれない。
会えなかったかもしれない。
一緒に、居られなくなってたかもしれない。
そう思うと、悠真の側に戻ってこられたことに感謝した。
同時に不安になった。
悠真とはあれ以来関係が停滞している。
このまま何か事件が起きて、引き離されたとしたら?
一生会えなくなったら?
「澪の友達が学校に来れるようになるといいな」
「…うん、そうだね」
澪の不安にも気付かず悠真はそう言った。
澪はいつも通りベッドに横になって、読書する悠真を見上げていた。
先ほど浮かんだ不安が胸を支配している。
今まで何度か遠回しに悠真を誘おうとしたけれど、上手くかなかった。
悠真が鈍いのか、自分が遠回しすぎるのか。
今日、他の男達に囲まれて身の危険を感じながら、真っ先に浮かんだのは悠真だった。
他の男になんか触れられたくない。
悠真にしか。
じっと澪に見つめられても悠真は動じない。
いつもだから。
でも今日は澪の中で悠真を求める欲求が強く。
また何度も失敗したので遠回しにする気にもなれず。
意を決して澪は悠真に声を掛けた。
「ねえ、悠真」
「ん?」
悠真は本から顔を上げない。
その悠真に澪は小さく声をかける。
「…しないの?…」
「え?」
振り向いた悠真に、澪は赤くなりながらベッドの上の棚をそっと指差す。
悠真はその指先を追いかけて真っ赤になって視線を反らせた。
「…賢木さんに何か言われてるの?…」
「賢木とは澪の反動の事とか体調の話しかしてない」
「…じゃあ、僕とは、もう、したく、ない?」
「そんなわけないだろ!したいよ、ずっごく!」
急に声を荒げた悠真に澪はびっくりした。
悠真はぼっと赤くなって口元を覆う。
それからゆっくりその手で目元を隠し、それから額に当てた。
「…俺が、澪とはまだしないって決めた」
「どうして」
「………」
澪が聞き返すと悠真は顔を赤くしたまま黙り込む。
「賢木さんは、してもいい、って言ってた」
澪も引き下がらなかった。
悠真と触れ合いたい。
その欲求が強かったから。
身体より心の欲求が。
その澪に悠真は小さく答えた。
「あの時と状況変わっただろ」
「え?」
「あの時は抑制器外した反動が発情期に似た症状を起こす、って話だった」
「…あ…」
そういえばそうだった。
「でも、全然そういうのないだろ、澪」
「…うん…」
今もあるのは心の欲求だけ。
それに身体が微妙についてくるだけだ。
「それってきっと澪のΩ器官が想像よりずっと発達してない、って事だと思うんだ」
「………」
「だから俺は澪に発情期が来るまで我慢するって決めた」
ふん、と鼻を鳴らす悠真に澪は口を噤む。
いつくるかわからない発情期を待つのは途方も無い。
簡単では無い。
それは悠真もわかってるはず。
でも。
「……でも刺激になるって賢木さん言ってたよ…」
澪は小さく反論した。
「わかってる!でも俺はどうだろうって思う!」
再び急に声を荒げた悠真に澪は目を剥く。
その澪を見て、悠真は一呼吸置いて話し始めた。
「俺はさ、澪はどうか知らないけど、俺は澪に俺の嫁になってほしい」
「え」
急に話が随分と先を見据えた話になって澪は少々戸惑った。
澪はそこまで深く考えて、悠真を誘惑しようとしてたわけじゃなかったので。
悠真が深く考えていたことに驚いた。
「賢木にもそう言ってある。そしたらその為には反対する人たちに立ち向かう必要があるって言われたんだ」
澪が思うよりもずっと真剣に悠真は自分とのことを考えてくれている。
「それって…悠真のお父さん?」
「いや。親父は反対しないだろうって。反対するとしたらそれは親父の意思じゃなくさせられてるからだって」
「え、誰に?」
「詳しくは聞いてないけど、多分、親父と母さんを結婚させた人達」
一瞬、澪は戸惑って黙り込む。
その澪に悠真は問いかける。
「俺達でもわかるだろ?親父が母さんと好きで結婚したんじゃないってこと」
本館と別館で別れて暮らす家族。
一緒に住めない理由があるとしたらまずは感情、それから環境。
一番考えやすいのは感情。
澪も最初に聞いた時から頭にはあったけれど、口にはしなかった。
悠真達のことを考えると、それはあまりにも悲しい現実だから。
「無理矢理結婚させられたんだよ」
それは悠真達兄弟を否定されるのと同意味。
望まれて生まれてきた子供では無いということ。
だから育児放棄にあった。
彼らがまともに育ったのは代わりに愛情を注いでくれる人がいたから。
そうでなければ彼らは別の歪んだ存在になっていただろう。
そうすれば澪は悠真に出会ってもこんなに幸福感を得られることもなかった。
つくづく賢木の偉大さを思い知る。
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