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孫、どうするんだ孫。

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  そのまえに相手だろ、と言わなくてはならないのだけれど、これからぼちぼち生んでも孫のかおをみるまでが遠い。ということは、養子でしょうかねと。

  実は唐突な話ではなく、定期的に周りの未婚の職人達が言っていた。ただ、養子が「継がないと追い出される、そのための養子」みたいなプレッシャーを感じるのではと躊躇しているそうだ。当人達は、そんなつもりはまったくなく、むしろ自分一代が最期の瞬間まで職人であるために家族がほしいだけなのだと。そういう話題がちらほら数年前からあり、つい先日それをなんとなく思い出した。フェイスブックで誰か示した記事を遡ると、地元の里子関係のページだったので「何かの縁だろう」とそっとイイネとボタンを押した。

さてさて。

これだから運命は困る。

  身近に、里子に関する脅迫状がきたのだった。今後争う可能性を踏まえて、なにも言えない。まいっている。疲れると口に出しそうだから、発言事態を極力減らしている。

「近頃、口数減ったじゃない。暗くて、うつむいて、かんじわるいわ」
「つかれてます」
「いつもそうだったじゃない、それでもいつもニッコニコだったのに、へんなの」
「おめんのゴム紐が切れたんです」
「軟弱ね、女は肉付きの面、はがれない仮面を使い分けられないと女じゃないわ」
「女じゃないですから」

仮面ではなく、ヒーローに似せた版権料をぎりぎり払わない偽物のおめんが関の山。

あぁ、愛することができる孫の顔をみる幸せを味わいたい人生だった。
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