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ふくよかな砂塵

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  君の夢を見る。起きている間に、君をおいかける夢を見る。

  砂糖が少女の体重ほどに詰まった袋を、パティシエーヌが軽軽とかかえる。消防隊の訓練のように。袋に蟻の食い破ったか程度の穴があって、音もなく少しずつ中身がこぼれ落ちている…そんな体力の話。エネルギーが、穴が開いていないのが当たり前と思っている私の目を誤魔化して、いつの間にか抜けていくような錯覚。君がいるときだけ沸き上がる命を、私はどれだけ溜め込めるのか。

  こんなにも毎日泣くのは、赤子の頃ぶりのことであって。
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