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さながら探偵

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  その場面は、あたかも名探偵が純朴なる相棒に事件のあらましを説明するがごとく。

  君は私にとっての美である。
  それ以上であるが、それ以下になることはない。

  夢を見る。

「まず、」

  シンボルマーク、ロゴ。淀みなく印字されたペーパーにタバコを一本おく。

「君の話をすればいいのか?」
「そうね、私じゃなくて、あんたがキミっていってる人のこと」

昔のように根拠のない浮気疑惑でなじるでなし、純水に私の絵を見た感想として、心の在り処としての偶像に興味をもった。という申告は本当なのだと思う。

一本並べては、説明する。それが五本になったところで、私は深々と息を吸い込む。ため息ではなく長い深呼吸として息を吐き出す。

  君の事はふわりと、なるべく語らず、宝なのだ。安易に振りかざすと氷解してしまうようななにか。

「概念レベルの君なんだ。ここまでくるとぼくは病気だ」

それで終了、テーブルの上には何種類かの君をいいあらわす白いもの。煙突ならんで、鉛筆ならんで、演じてどこ行く。
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