半熟卵とメリーゴーランド

猫避け

  お食事中のかたは数時間後に会いましょう。

  野良猫の糞は、日常生活の中に非日常を感じさせるぐらいには刺激的で強烈な悪臭を放つ。例えば道すがらにそれがあることに気づかず歩いていたとして、思わず肩を震わせ周囲を見渡しながらこの先にそれがあると現況を感じるや否や道順を変える人がいたとして驚かない。

  外でタバコを吸う際の灰皿がわりは、犬用の肉缶の空き缶だった。それは私が喫煙してない時代の話で、家猫もいなければ愛らしく通う猫がいるわけでなく、ただ庭をあらす野良猫だけはいた。実際は外飼いより野良よりの半野良で、誰かの、家を汚さずして飼育したい欲望の結果のようだった。

それで。

当時は、タバコの吸い殻いれに水いれて出た茶色い水を、猫避けに撒く人がよくいたなという、おもいでばなし。猫も馬鹿ではないので、タバコを食したりその水を舐めて中毒死なんてことはない。むしろ、口にしてはならないにおいを感じさせることにより、彼等はそこを避けるわけで。

  近づかせないという防衛方法。

  ところで、バカはどこにでもいる。家飼い、外飼い、半野良、野良。野生。

  駆除するという防衛方法しかしらず、だれしもが根絶やしを目指していると思う人間。つまりは、つまりは、思い込みだけで相手を断罪しやたらと詰ってくる。駆除しようなんて野蛮だわ彼らが何をしたというのナニヲシタトイウノ。

  駆除と言う発想、確認なしの断罪、そういうとろが怖いのよ。麦茶をぐびぐびのみながら、そんな茶色の液体の記憶。