半熟卵とメリーゴーランド

別れた理由2

別れたからと言って陰口を言うのは申し訳ないけれど、カルチャーショックだった。

なにしろ私の価値観の一部としての、性の対象が男性だということを理解できない彼女。

私は、女性のなかでは子供の頃から男性アイドルやバンドにそこまではまらずに、時代劇などの渋いオジサン(明らかに「そういう意味の好き」ではないと分かる相手)のことしか好きと言わないできた…

それは今でも変わらないし、相手が男性でも女性でも同じように(むしろ主に女性を)良いと思った部分はなんでも誉める。

彼女は、レズビアンが私のあるべき姿と思ってたから、男性を誉めるのが理解できないそうだ。

レズビアンでないなら、女だけど女に。
レズビアンなら、男を。
誉めると言うのは同じことだから、やっぱり…理屈は通じないよな。

それで、映画なんかで「あの芝居はとってもゴージャスでセクシーだ！」みたいな称賛にまで。私は、性別や受賞なども何も関係なくそのシーンを切り抜いて俳優を褒め称えたいだけなのに、
まずは、○○賞は男尊女卑だとか○人差別だからこの俳優も同罪だとか、そういう思想の話になってしまう。
それから、その俳優が男性だったらもう何から何までの否定が始まる。

私は作品を好きなのだから、お手柔らかに頼むよと、なんどか笑ってお願いをしたことがある。

最近もあったな。

「○○さんの普段のしゃべりかたも素敵だけど、○○役の時の笑いかたはギャップがあるよね」

もうそこには言葉に出していない「ギャップ萌え(とても良い)」が隠れてるわけだけど、敢えて言わなかった。

○○さんは男性だからだ。
○○役は、実は殺人鬼の役。

「え、あなた、殺されたいってことよね、そういう願望があるの？過去に暴力を受けて洗脳されたのね？可愛そう！」

頭を抱えた。

私は映画やドラマが好きだから、この悩みをずっとかかえていくの？

愛情はありがたいが、私が窒息してしまう。
この手の愛情が、爆発するのが正直こわかった。

だから別れたのだけど、正直、ちょっと怖い。