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掘っといた!
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眼球を抉る軌道。
大太刀による突き攻撃だ。
俺はそれをすんでのところで避けると、再び態勢を整えた。
遅れて聞こえた風切り音が、怖気をもたらす。
崩れ森に響く美しい音は、魔物たちにとっては脅威でしかないだろう。
「気を抜かないでくださいね」
鈴の音のような美しい声は、すぐ横で聞こえた。
俺の敵だ。
半ば無意識に、俺は剣を横薙ぎに振るう。
だが何の手ごたえもなく、視界から敵が消えた。
嫌な予感が全身を駆け巡る中、俺は必死に後方へ跳躍。
「遅いです」
敵は俺の動きに合わせ、加速した。
移動する俺にピッタリとくっつき、吐息の感触が伝わってくる。
視界の隅に映る大太刀の動きを俺は見逃さなかった。
僅かにブレた大太刀に合わせるように俺は剣を身構える。
だが、巨大な鉄塊はいつまでたっても落ちてこない。
「うぐっ!?」
代わりに俺の鳩尾に強烈な一撃がお見舞いされる。
敵の拳が突き刺さっていることはすぐにわかった。
俺は後方へ吹き飛ばされ、もんどりを打ちながら地面を転がった。
だが俺は剣を手放さなかった。
鋭い痛みを感じながらも、必死で態勢を整えながら、左手にダガーを、右手に剣を構える。
眼前に現れたのは大太刀。
振り上げるのだとわかった時、俺は咄嗟に両手の武器を交差させて防御の姿勢をとった。
ガギィと重くも軽くもある金属音が響くと、俺の身体は宙に舞う。
瞬間、俺はダガーを敵に投げた。
「無駄です」
敵は俺のダガーを簡単に大太刀で弾き飛ばす。
投擲など効くとも思っていない。
だが、その敵の対応は俺にとって僥倖だった。
ダガーを難なく避けるでもなく、掴んで投げ返すでもなく、唯一の武器である大太刀で弾き飛ばしてくれたのだ。
隙だ。
俺は空中にいる。ここからすぐに攻撃には移れない。
だが布石は張っていた。
今やるしかない!
俺は今度は剣を放り投げた。
「愚かな」
呆れたように敵が嘆息しながら、再び大太刀で剣を弾き飛ばした。
その瞬間、俺は空手で地面着地する。
武器はなく、戦う術は素手しかない。
だが。
「っ!?」
敵の足元がずぶっと埋もれた。
「掘っといた!」
いわゆる落とし穴という奴だ。
僅か数十センチの穴だが、体勢を崩させるには十分。
大太刀のような重量を持つ武器を扱う敵相手ならばなおさらだ。
俺は気勢を発しつつ、地を蹴る。
拳を振りかぶり敵に一直線。
「この程度」
敵はすぐにバランスを整え、大太刀を振るう。
だが先ほどまでと違い鋭さが半減している。
このまま行けば、一撃を与えることはできるかもしれない。
だが俺は振りかぶった拳を収め、姿勢を低くした。
そして地面に落ちていたダガーを拾うと同時に、大太刀の攻撃を避ける。
ぐるんと前回りして、地面に足が着いたと同時にぐいっと伸ばす。
ばねのように勢いを乗せて、俺は手を伸ばす。
すべての力をダガーの先端に乗せる動き。
完璧なローリング攻撃だった。
が。
「惜しいですね」
敵は俺の攻撃をギリギリで避けた。
敵の顔の横、数ミリ辺りを俺のダガーが通り抜ける。
敵の頬に薄い傷が生まれるだけだった。
ガゴッと鈍い音と共に鼻っ柱に何かがぶつかった。
それは大太刀の柄による攻撃だと気づいた時には、もう身体が言うことを聞かなかった。
あまりの威力に脳が揺さぶられてしまったようだ。
俺はふらふらとしながら地面に倒れてしまう。
「あなたの負けですね」
「ぐっ……くそっ……」
強すぎる。
勝てる未来が見えない。
敵は……オリヴィアさんは最強の剣士だ。
それもそのはず、彼女はカオスソード内でも上位に入るほどの強さを誇るキャラなのだ。
この世界では、まだまだ初心者の俺が勝てる相手ではない。
だが悔しかった。
いくら相手が強くても、カオスソードでは勝てるようになっている。
一撃受ければ即死する相手でも、ちまちま攻撃し、すべてを躱せば勝てるのだ。
もちろん中には特殊な攻撃をしてくる敵もいるため、対処する必要はあるのだが。
それでも基本的にはどんな敵にも勝てる。
しかし俺は負けた。
悔しい。これほどに悔しいことがあるだろうか。
だがこうも思った。
楽しいと。
やっぱり強敵相手に戦うのは楽しい。
「へへへ……つ、強すぎですね。オリヴィアさんは」
「負けて嬉しそうにするのは、あなたくらいですよ」
自然と笑みが浮かぶ俺に対して、オリヴィアさんは呆れたように言い放った。
彼女に手を貸されて、何とか立ち上がる俺。
脳震盪から数秒で回復している自分に驚く。
この身体も中々に異常だ。
オリヴィアさんと修行を始めて約三か月。
最初は霊気兵と戦い、その後、崩れ森の主と戦った。
倒した主は復活しないが、しばらくすると別のトロールが主になっている。
そのため、復活を見計らって戦いを挑むということが多くなっていた。
ちなみに主を倒すと、崩れ森の魔物たちは弱体化し、やや温厚になる。
つまり崩れ森の主の存在が魔物を活性化させているというわけだ。
原理はよくわからないんだけど、ゲームでもそうだったし、そういうものなのかもしれない。
まあ、現実でも将軍とかがいるだけで鼓舞されて、兵士たちが強くなったりするらしいし、そういうことなのだろう。
とにかく、戦いを挑み続けた結果、主には簡単に勝てるようになった。
それを機に、オリヴィアさんに直接指導してもらうようになった。
そして今。
俺はぼっこぼこにやられているというわけだ。
うーん、強い。
「動きは良し。ですが筋力と経験、技術が足りませんね。剣術を学びつつ、実戦でより効率的に、そして相手の動きを読むことが肝要です。まあ、あなたは私の動きを非常に良く把握しているようですのでそこは心配ないでしょうが」
オリヴィアさんと共闘するシーンは多くないが、彼女のモーションを俺はすべて知っている。
だが、それでもすべて対応することは難しい。
なんせ早すぎるし、重すぎるのだ。
すべて頭ではわかっていても、身体がついていかない。
この差を埋めるには俺がレベルアップする必要があるのだろう。
悔しいな。ゲームなら初期レベルで全ボスを倒せたのに。
現実だと身体能力の差で、何もできなくなるなんて。
まあでも最初に比べると対応できてきているのは間違いない。
それに楽しいからこれはこれでありだ!
「さて、今日はこの辺にして猪鹿亭に行きましょうか。あなたもそうしたいでしょう?」
「……オリヴィアさんが行きたいだけじゃ」
「行きますよ」
俺の言葉を無視してさっさと移動を始めるオリヴィアさん。
俺は小さく笑い、彼女の後ろをついていくのだった。
大太刀による突き攻撃だ。
俺はそれをすんでのところで避けると、再び態勢を整えた。
遅れて聞こえた風切り音が、怖気をもたらす。
崩れ森に響く美しい音は、魔物たちにとっては脅威でしかないだろう。
「気を抜かないでくださいね」
鈴の音のような美しい声は、すぐ横で聞こえた。
俺の敵だ。
半ば無意識に、俺は剣を横薙ぎに振るう。
だが何の手ごたえもなく、視界から敵が消えた。
嫌な予感が全身を駆け巡る中、俺は必死に後方へ跳躍。
「遅いです」
敵は俺の動きに合わせ、加速した。
移動する俺にピッタリとくっつき、吐息の感触が伝わってくる。
視界の隅に映る大太刀の動きを俺は見逃さなかった。
僅かにブレた大太刀に合わせるように俺は剣を身構える。
だが、巨大な鉄塊はいつまでたっても落ちてこない。
「うぐっ!?」
代わりに俺の鳩尾に強烈な一撃がお見舞いされる。
敵の拳が突き刺さっていることはすぐにわかった。
俺は後方へ吹き飛ばされ、もんどりを打ちながら地面を転がった。
だが俺は剣を手放さなかった。
鋭い痛みを感じながらも、必死で態勢を整えながら、左手にダガーを、右手に剣を構える。
眼前に現れたのは大太刀。
振り上げるのだとわかった時、俺は咄嗟に両手の武器を交差させて防御の姿勢をとった。
ガギィと重くも軽くもある金属音が響くと、俺の身体は宙に舞う。
瞬間、俺はダガーを敵に投げた。
「無駄です」
敵は俺のダガーを簡単に大太刀で弾き飛ばす。
投擲など効くとも思っていない。
だが、その敵の対応は俺にとって僥倖だった。
ダガーを難なく避けるでもなく、掴んで投げ返すでもなく、唯一の武器である大太刀で弾き飛ばしてくれたのだ。
隙だ。
俺は空中にいる。ここからすぐに攻撃には移れない。
だが布石は張っていた。
今やるしかない!
俺は今度は剣を放り投げた。
「愚かな」
呆れたように敵が嘆息しながら、再び大太刀で剣を弾き飛ばした。
その瞬間、俺は空手で地面着地する。
武器はなく、戦う術は素手しかない。
だが。
「っ!?」
敵の足元がずぶっと埋もれた。
「掘っといた!」
いわゆる落とし穴という奴だ。
僅か数十センチの穴だが、体勢を崩させるには十分。
大太刀のような重量を持つ武器を扱う敵相手ならばなおさらだ。
俺は気勢を発しつつ、地を蹴る。
拳を振りかぶり敵に一直線。
「この程度」
敵はすぐにバランスを整え、大太刀を振るう。
だが先ほどまでと違い鋭さが半減している。
このまま行けば、一撃を与えることはできるかもしれない。
だが俺は振りかぶった拳を収め、姿勢を低くした。
そして地面に落ちていたダガーを拾うと同時に、大太刀の攻撃を避ける。
ぐるんと前回りして、地面に足が着いたと同時にぐいっと伸ばす。
ばねのように勢いを乗せて、俺は手を伸ばす。
すべての力をダガーの先端に乗せる動き。
完璧なローリング攻撃だった。
が。
「惜しいですね」
敵は俺の攻撃をギリギリで避けた。
敵の顔の横、数ミリ辺りを俺のダガーが通り抜ける。
敵の頬に薄い傷が生まれるだけだった。
ガゴッと鈍い音と共に鼻っ柱に何かがぶつかった。
それは大太刀の柄による攻撃だと気づいた時には、もう身体が言うことを聞かなかった。
あまりの威力に脳が揺さぶられてしまったようだ。
俺はふらふらとしながら地面に倒れてしまう。
「あなたの負けですね」
「ぐっ……くそっ……」
強すぎる。
勝てる未来が見えない。
敵は……オリヴィアさんは最強の剣士だ。
それもそのはず、彼女はカオスソード内でも上位に入るほどの強さを誇るキャラなのだ。
この世界では、まだまだ初心者の俺が勝てる相手ではない。
だが悔しかった。
いくら相手が強くても、カオスソードでは勝てるようになっている。
一撃受ければ即死する相手でも、ちまちま攻撃し、すべてを躱せば勝てるのだ。
もちろん中には特殊な攻撃をしてくる敵もいるため、対処する必要はあるのだが。
それでも基本的にはどんな敵にも勝てる。
しかし俺は負けた。
悔しい。これほどに悔しいことがあるだろうか。
だがこうも思った。
楽しいと。
やっぱり強敵相手に戦うのは楽しい。
「へへへ……つ、強すぎですね。オリヴィアさんは」
「負けて嬉しそうにするのは、あなたくらいですよ」
自然と笑みが浮かぶ俺に対して、オリヴィアさんは呆れたように言い放った。
彼女に手を貸されて、何とか立ち上がる俺。
脳震盪から数秒で回復している自分に驚く。
この身体も中々に異常だ。
オリヴィアさんと修行を始めて約三か月。
最初は霊気兵と戦い、その後、崩れ森の主と戦った。
倒した主は復活しないが、しばらくすると別のトロールが主になっている。
そのため、復活を見計らって戦いを挑むということが多くなっていた。
ちなみに主を倒すと、崩れ森の魔物たちは弱体化し、やや温厚になる。
つまり崩れ森の主の存在が魔物を活性化させているというわけだ。
原理はよくわからないんだけど、ゲームでもそうだったし、そういうものなのかもしれない。
まあ、現実でも将軍とかがいるだけで鼓舞されて、兵士たちが強くなったりするらしいし、そういうことなのだろう。
とにかく、戦いを挑み続けた結果、主には簡単に勝てるようになった。
それを機に、オリヴィアさんに直接指導してもらうようになった。
そして今。
俺はぼっこぼこにやられているというわけだ。
うーん、強い。
「動きは良し。ですが筋力と経験、技術が足りませんね。剣術を学びつつ、実戦でより効率的に、そして相手の動きを読むことが肝要です。まあ、あなたは私の動きを非常に良く把握しているようですのでそこは心配ないでしょうが」
オリヴィアさんと共闘するシーンは多くないが、彼女のモーションを俺はすべて知っている。
だが、それでもすべて対応することは難しい。
なんせ早すぎるし、重すぎるのだ。
すべて頭ではわかっていても、身体がついていかない。
この差を埋めるには俺がレベルアップする必要があるのだろう。
悔しいな。ゲームなら初期レベルで全ボスを倒せたのに。
現実だと身体能力の差で、何もできなくなるなんて。
まあでも最初に比べると対応できてきているのは間違いない。
それに楽しいからこれはこれでありだ!
「さて、今日はこの辺にして猪鹿亭に行きましょうか。あなたもそうしたいでしょう?」
「……オリヴィアさんが行きたいだけじゃ」
「行きますよ」
俺の言葉を無視してさっさと移動を始めるオリヴィアさん。
俺は小さく笑い、彼女の後ろをついていくのだった。
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