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プロローグ

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 長い夜は静かに降りしきる雪が音を消しながら連れてくる。
 しんしんと降り積もる雪を窓から眺めながら、レティシアはため息をついた。机の上に積まれた書類をチラリと横目で見て、そっと目をそらした。
 今日はもう寝てしまおうと、執務に必要なため広げていた本を書棚に戻し、机の上を片付けはじめる。暖炉で暖められていた部屋はいつの間にか火の気がなくなり、パチパチと音を立てていた暖炉には灰だけが残っていた。
 忍び寄る寒さに身震いする。肩に掛かっているガウンを胸元に手繰り寄せ、ランプを手に取ると、隣室の仮眠室へと足を運んだ。
 ベットとテーブルが置かれただけの簡素な部屋には火はなく、冷え切っていた。いつ眠れるか分からないのもあり、侍女達には先に眠るよう伝えているため、これがいつもの光景だった。
 手に持っていたランプをテーブルに置き、冷たい寝具に身を滑り込ませる。
 窓越しに途切れることなく降り続ける雪をしばし見つめると、テーブルの上のランプに手を伸ばして火を落とした。
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