1 / 1
プロローグ
しおりを挟む
長い夜は静かに降りしきる雪が音を消しながら連れてくる。
しんしんと降り積もる雪を窓から眺めながら、レティシアはため息をついた。机の上に積まれた書類をチラリと横目で見て、そっと目をそらした。
今日はもう寝てしまおうと、執務に必要なため広げていた本を書棚に戻し、机の上を片付けはじめる。暖炉で暖められていた部屋はいつの間にか火の気がなくなり、パチパチと音を立てていた暖炉には灰だけが残っていた。
忍び寄る寒さに身震いする。肩に掛かっているガウンを胸元に手繰り寄せ、ランプを手に取ると、隣室の仮眠室へと足を運んだ。
ベットとテーブルが置かれただけの簡素な部屋には火はなく、冷え切っていた。いつ眠れるか分からないのもあり、侍女達には先に眠るよう伝えているため、これがいつもの光景だった。
手に持っていたランプをテーブルに置き、冷たい寝具に身を滑り込ませる。
窓越しに途切れることなく降り続ける雪をしばし見つめると、テーブルの上のランプに手を伸ばして火を落とした。
しんしんと降り積もる雪を窓から眺めながら、レティシアはため息をついた。机の上に積まれた書類をチラリと横目で見て、そっと目をそらした。
今日はもう寝てしまおうと、執務に必要なため広げていた本を書棚に戻し、机の上を片付けはじめる。暖炉で暖められていた部屋はいつの間にか火の気がなくなり、パチパチと音を立てていた暖炉には灰だけが残っていた。
忍び寄る寒さに身震いする。肩に掛かっているガウンを胸元に手繰り寄せ、ランプを手に取ると、隣室の仮眠室へと足を運んだ。
ベットとテーブルが置かれただけの簡素な部屋には火はなく、冷え切っていた。いつ眠れるか分からないのもあり、侍女達には先に眠るよう伝えているため、これがいつもの光景だった。
手に持っていたランプをテーブルに置き、冷たい寝具に身を滑り込ませる。
窓越しに途切れることなく降り続ける雪をしばし見つめると、テーブルの上のランプに手を伸ばして火を落とした。
0
お気に入りに追加
6
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる