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【清掃日誌29】 屎尿処理場

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数十年前。   
自由都市で行われた大規模な宅地整備に伴い《地上げ屋》という悪辣な商売が発生・流行した。
取得を目論む土地の住民に嫌がらせをして追い出し、捨て値で押し買いをするのだ。 

標的にされたのは、富裕層向けのニュータウン計画地に住んでいた貧困層である。
かなり苛烈な地上げ行為が、法改正まで延々と繰り返された。
少なくない数の住民が暴行を受け、幾件か生じた殺人事件は闇から闇に葬り去られた。
その蛮行は暗黙の国策であり、持たざる者に抗う術はなかった。
以上が貴族区·富裕区というアッパークラス向けの住宅地がこんなにも広大な理由である。

この開発のかなりの部分を請け負ったのが、新参新興の不動産屋トッド·キーンである。
帝国からの亡命者で、かつ大工の息子に過ぎなかった男が、この功績で一躍財界入りを果たした。
その威光はかなりのものであったらしく、本人のみならず子分達まで我がもの顔で往来を練り歩いていたと聞く。
その子分には当然、地上げを担当する狂暴なゴロツキ集団も含まれていた。
集団の頭目は酷い男で、自身も貧民窟の出身でありながら同じ貧民に血も涙も無い圧迫を加え蛇蝎の如く憎まれていた。





名をジャック·ポールソンという。




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「ポール坊ちゃん、ごはんですよー。

今日は坊ちゃんの好物の羊の炙り焼きですよー。」




階下から乳母のマーサの声が聞こえる。




『はーい。 (ドタドタドタ)』




食卓には、父・母・妹が揃っている。




「ポール、最近はどうだ?」



『いつも通りだよ父さん。』




「ポール、最近アナタを探し回ってる孤児がいるそうなの。
あの女の差し金かも知れない…

駄目よ、あんな女と連絡を取っては。
もうアレは嫁でもなんでもないんだから。」



『取ってないよ母さん。』




「兄さん。

兄さんの同期のウェスカーさん。
息子さんがソドム中学に入学したの。
それも次席で!

ワタクシ、そのことで昨日もあの女に自慢をされてしまいましたわ!
…兄さんもちゃんと身を固めて、ちゃんと子育てをして、ちゃんと公職に就いて下さい!

兄さんだけですよ!
その歳でブラブラしてるのは!」




『ゴメンな、ポーラ。
愛してるよ、オマエだけだ。


あ、マーサ。
ケチャップ掛けて。
卵の部分にプチュっと。』



「畏まりました、坊ちゃん。」



『あははは。
人の笑顔みたいになったねw

いやぁ、懐かしいなぁ。
子供の頃はマーサがいつもケチャップで皿に絵を描いてくれた。』



「兄さん!!!
真面目に聞きなさい!!!

マーサも!!!

ワタクシいつも言ってるわよねぇ!
兄さんを甘やかすなって!!!

いっつもいっつもいっつもいっつも!!!」



「も、申し訳御座いませんポーラお嬢様。」




『まあまあ、ポーラ。
落ち着いて。
俺が愛しているのはオマエだけだ。
ついついマーサに甘えてるだけなんだよ、ゴメンな。』




「兄さんはいつもいつもいつも!!!
マーサマーサマーサマーサ!!!!
ワタクシの事なんか全然見てくれない癖に!!!!」



父さんが静かにポーラと母さんを下がらせる。


妹のポーラ。
伴侶のロベール君の派兵期間が無期限延長されてからは、精神状態が更に悪化した。
政治になどまるで興味が無い筈だったのに、最近では過激な反帝国的言動を口にするようになった。

当局は《平和維持軍の撤収も近い》とアナウンスを繰り返しているが、首長国と帝国の交戦規模がここまで拡大してしまった状態で撤兵出来る訳が無い。

何が何でも我が国を対帝国戦に引き摺り込みたい首長国は、あの手この手で我が国の首脳部に工作を行っている。
一部の評議員が首長国側のハニートラップに掛けられたという疑惑も噴出している。

みんな、生き残るために必死だ。




「マーサ。
一旦、食事を下げたら今日は休憩を取りなさい。

テオドラやポーラ…  
まあ女には分からんのだろう。

ポール、オマエはよくやっている。」



『?』



「属州の奴らを上手く手懐けているようじゃないか。
最近のオマエは中々良い手を打っている。」



地方州の件はキーン不動産から伝わったのだろうか?
どこまで…
いや、経緯は全て把握されている気もするな。



「ディーン伯爵。
あの御老人が随分オマエを買って下さっている。

最近、オマエの独り身が世間に知られ始めたようでな。
伯爵をはじめとした幾人かが縁談を仲介したがっている様子なのだ。」



『父さん。
何かの間違いじゃないかな。

縁談仲介も何も、ディーン伯爵とは一度しか会っていないんだ。
それも債券市場で少し話しただけだよ?』



「その一回で気に入られたのだ。
伯爵はオマエの論文・エッセイ、その全てに目を通して下さっている。」



『…買い被りだよ。』



「今、オマエの商品価値は劇的に高騰している。
理由はわかるか?」



『…ドナルド・キーン。』



「そうだ。
当然オマエも聞かされている筈だが。

キーン社長の理事会入りが正式決定した。
それに伴いだが。
来年の王国出張から戻られ次第、産団連選出の代表として評議会執行部の一員に加わる。

言うまでもなく最年少記録だ。
40代で執行部入りだぞ!?
50代でも相当異例なのに!

キーン社長は少年の頃から卓越した資質をお持ちだったが…
いやはや、ここまでとは。」



『…。』



「当然、このニュースはセレブ層のトピックとなっている。
みな、キーン社長にどうやって取り入ろうかと血眼になって模索しているのだ。」



『ドナルド・キーンは…
そうやって擦り寄って来るタイプの人間を毛嫌いするから。』



「うむ。
私の口から申し上げにくい事だが
社長には天才特有の気難しさはあるな。

皆もかなり苦戦しているらしい。
本来なら奥方に口利きを依頼する場面なのだが…

エルデフリダ様は…
その…
少し繊細な方だから。」



セレブ界では【キチガイ】という単語は《少し繊細》と翻訳される。
ちなみに俺はセレブ語で《ユニーク》と評されてるらしい。



「そこでオマエだ、ポール。
世間はオマエをキーン社長の懐刀であると認識し始めている。」



…どちらかと言えば、それを突き付けられているのだがな。



「各サロンがオマエを味方につけようと模索中だ。
まあ、こういう場合婚姻だよなぁ。

笑えるぞ?
色々な貴族サロンがこの私に頭を下げて、オマエの招待を懇願して来るのだからな。

はっはっは!」



『…。』



「そこで最初に話したディーン伯爵だ。

次の大舞踏会。
実質的には国際貴族サロンの構築作業だが…
彼の邸宅で開かれる。

ほら、招待状だ。

開けてみなさい。」



『…はい。』



「気は進まないか?」



『…まあ。
柄ではないというか。』



「家長としての命令だ。
出席しろ。」



『…はい。』




「なんだ?
気に掛けている女でも居るのか?」



『は!?』



「いや、そういう顔をしていたから。

オマエもその歳だ。
情婦の1人や2人は居るだろう?」



《居ない》と言い掛けて口をつぐむ。
流石に情婦は居ないが…

気になってる子。
縁のある子。
仲の良い子。

まあ、俺も歳が歳だからな。



「今、オマエが思い浮かべた女。
家柄は良いか?」



『いや、そういう高貴な女性は…
居ないというか…』



「良家なら正室。
私がテオドラを迎えたようにな。

そうでないなら側室。
オマエにも、近く妾宅の使い方を教えておかなければな。

但し卑賤は駄目だ。
私が手切れ金を払ってやるから捨てろ。」



『あ、いや。
何も捨てるとか、卑賤とか…』



「ポール。
清掃の現場に出ているオマエなら解る筈だ。

世の中は身分が全てだよ。
中身なんて誰も見てくれない。
どんな職業に就いてるか?
爵位や勲功。

他人が見るのはそれだけだ。」



否定しようにも出来ない。
何故なら俺も清掃の現場に出ているから。
現実を嫌と言う程見せつけられて来たから。



「近く清掃業はバイアウトする。
来年か再来年辺りが目途かな。」



『え!?
か、家業を畳むの?』



「清掃なんて好きで始めた事ではないよ。
…誰がこんな賤業。」



『…従業員はどうなるの?』



「それは買い手が決める事だ。」



『リストラ、されるの?』


「さあ。
事業なんて売り終わったら口出し出来ないからな。
従業員の処遇は買い手が決める。
それだけの話だ。」


『…。』


「優しいな、オマエは。」


『あ、いえ。
それほどでも。』


「…半分は叱責だ。」


『あ、そういう。』


「大舞踏会。
ブラウン家も出席する。
あそこも独身だからな。」


…ジミーなぁ。
アイツ、つい最近まで俺が背負ってやってた気もするけど
もうそういう歳なんだなぁ。


「もう現場には出るな。

オマエ、昔から言ってたよな?

~家業を継ぎたくないから皆には内緒~

問題はないだろう?」


『…。』



==========================



翌日。
商業区の清掃現場に顔を出すとベーカー課長にこっぴどく怒られる。


「坊ちゃん!!
旦那様から禁止されたばかりでしょう!!!」


『あ、ゴメン。』


「こんな所に出入りしていたら来る縁談も来なくなっちゃいますよ!!!」


『そ、そんなに怒らなくても。』



ベーカーは物陰に俺を引っ張り込むと、声を押し殺す。



「ねえ、坊ちゃん。
いい加減大人になって下さいよ。

我々清掃人夫が世間からどんな扱いを受けているか
坊ちゃんが一番御存知でしょう?」



『…まあ、あんまりいい顔はされないよね。』



「いいですか?

《旦那様は清掃会社をオーナーとして保有されておられるだけ。
坊ちゃんは名ばかり役員なので経営の事はよくわからない。》

この線で行きますよ。
宜しいですね?」


『あ、あの。
差し入れにジュース…』


「坊ちゃん!

…我々のことなんてどうでもいんです!」


『いや、どうでもは…』


「どうでもいいんですよ!
掃除屋は賤業!!
こんな仕事に関わっては駄目です!

投資とか! 学術とか! 芸術とか!
そういう手の汚れない仕事が偉い仕事なんです!

いい加減現実を見ましょうよ!!!」


『…ベーカーさん、俺にはわかりません。
貴方が何を言っているのか、本当によく分からないんです。』


ベーカー課長は力なく肩を落とすと何も言わずに去ってしまった。

…子供の頃。
担任の教師によくそういう態度取られたよなあ。

みんな、ゴメン。
俺にはよくわからない。


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「で?

その話の流れでさあ。
何で兄貴はこんなトコに来たの?」


『いや、前から約束してたじゃない?
ニックも困ってるって言ってたじゃない?』


「ああ、困った兄貴分を持つと本当に苦労するよな。」


『言いたいことはわかるよ?』


「わかってる奴が、こんなトコ来ねーよ!!
アンタ、頭がおかしいんじゃないのか!?」


『俺を担任した教師全員からそう言われ続けて来た。
ちなみに学会発表でも殆どのお偉いさんから言われた。』


「…帰れ。」


『スキルだけでも使わせてくれないか?
この状況なら俺のスキルを…』


「帰れよ!!!!」


ここは屎尿処理場。
先週から大規模な不具合を起こしている。
原因はメイン配管の老朽化である。
政府のお偉いさんは自由都市の行き届いたインフラを諸外国に自慢しているのだが、きっと彼らはウンコをした事が無いのだろう。
下水周りに投じられる予算はあまりに少ない。

何より、差別。
それが全ての理由だ。

港湾区の外れに位置する巨大な屎尿処理場。
従業員やその子弟に対する差別は深刻で、人手は慢性的に不足している。


若いながらも労働者を集める才覚のあるニックは、修繕工の引率を半ば強引に押し付けられていた。
その愚痴を聞いた俺は助太刀を申し出ていたのだが、返答を保留されていたのだ。
そしてつい先日に不具合騒動を人づてに聞いたので、様子を見に来たのだが…
また怒られてしまった。


俺は石ころを蹴り転がしながらトボトボと来た道を帰る。
道中、芋菓子が売られていたのでナナリーさんへの手土産にする。


30分後。


泣きながら怒るナナリーさんから慌てて逃げ出す。
聞かれたから答えたのに、経緯なんか話さなきゃ良かった。



==========================


「いやはや、何とも
困った御仁でゴザルな。」


テイラーの待合室でジミーが心底呆れたという表情を作る。
前からタキシードを一緒に新調する約束をしていたのだ。


『怒る気持ちは分かる。』


「いや、怒ってはおりませぬが…」


『処理場の件。
ブラウン商会にケアをお願いできないか?』



「まあ、発注があれば…
品出しはしますが。
状況が分からない以上は…」


『メイン配管が老朽化している。
型番は《ドミニク式鋼管・大径50NN》だ。』


「ッ!?

1人でそれを把握した?
この短時間で? 民政局ですら…」


 『ん? どうした?』


「…あ、いや。 失敬。

それ、随分昔の型番ではゴザラぬか?
資料が無いとこの場では判断が付きませんぞ?」



『ああ、あらましは調べておいた。

施工は71年前。
ドミニク製管が倒産する前年に製造したものなんだ。
本来なされるべき防食加工がなされてない箇所がある。

詳細はこのメモに纏めておいた。』


「…!?」


『腐食断裂は確認出来ている箇所だけで全長6メートル。
パイプライン全体を交換する時期にあると思う。
特に湾曲部。
この箇所を直線部と同じ様に扱っているのは直ちに改めるべきだ。』


「…。」


『現在、現場では非常弁を閉めて予備処分場に回しているんだが…
現場にとっても想定外だったらしく、予備処分場のキャパがもう限界なんだ。
楽観的な見積もりでも10日持たない。
ブラウン商会で取り扱っている軍用の…』


「…ポール殿、ポール殿!」


『あ、うん?』


「…ポール殿は世界にとって必要不可欠な英傑でゴザル。」


『あ、いや。
そんな大したものでは…』


「…故にこそアナタは一生、世間化出来ないかも知れないでゴザルなぁ。」



『…俺、そんなにダメかな。』



「悪いのは世の中でゴザルよ。」



『…。』



「ただ、ポール殿以外の人間は全員世の中で暮らしているのでゴザル。
流石に、それくらいは分かりますよな?」



『…はい。』



「拙者。
怒ってないでゴザルよ?
それどころか、ポール殿への敬意をいっそう深めました。」



『…。』



「舞踏会の招待は受けなかった方が…
お互いの為だったかも知れませんなあ。」



『…はい。』



「だから怒ってないでゴザルって。」



『…ゴメン。』



「大舞踏会は国中の…
いや、世界中の貴賓が集まる…
まあ一種のお見合いパーティーでゴザルな。」


『うん。』


「妙齢の御婦人たちが着飾って…
少しでも好ましい良縁を獲得する為の催しでゴザル。
それは御父上から聞いているでゴザルな?」


『うん。』


「そこで男性陣に投げ掛けられる質問はわかるでゴザルか?」


『…仕事の話。』


「そうでゴザルな。

現在、どんな公職に就いているのか?
もしも公職に就いてないのなら、これまでの軍歴・公務経験。

そして何より、現在携わっているプロジェクト。
普通はそういう話題になりますな。」


『ゴメン。』


「謝るくらいなら取り繕う術を覚えたらどうでゴザルか?
今時、幼童ですら己を飾りますぞ?」


『…うん。』


「ポール殿。
絶対に屎尿処理の話を隠せないでしょう?
近況を聞かれたら馬鹿正直に答えてしまいますよな?」


『うん。』


「貴族というのは…
いや、人間という生き物は手を汚す事を極度に嫌います。
それが必要であればあるほど差別します。
自分がやらされる事が怖いから。

御婦人にはその傾向が顕著ですな。」


『…はい。』


「せめて一時。
大人になるのは難しいでゴザルか?」


…難しい。



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家にも職場にも居場所が無くなったので、行きつけのカフェを泊まり歩いている。
大舞踏会まで日も無いが…
タキシードは自室にあるし、当日帰ればいいか。

衝動的に家を出た所為か手持ちが減って来た。
自室に幾らか貯金があるが、今は家族と顔を合せたくないな。


「やあ、お兄さん。
昨日の今日だね。
アタシを恋しく想って来てくれたのかな?」


『やあ店番屋さん。
何か仕事を紹介して貰えればと思ってね。
ジュース配りと掃除なら人並み以上にこなす自信はある。』


「あはは。
店番屋は廃業さ。
誰かさんに潰されてしまった。

最近は個人的に仲のいい社長さんとしか取引してない。」


『そっか。』


「家出?」


『な、なんでわかったの!?』


「叱られたガキみたいな顔をしてたからねw」


図星なので反論はしない。


「厩の掃除。
またお願い出来る?
厩舎番の爺さんも、随分お兄さんの事を気に入っていてね。」


『引き受けるよ。
すぐに行かせてくれ。』


「何?
急に勤労意欲が湧いたの?」


『金貨が最低5枚欲しい。
急いでるんだ。
ワンオペの掃除でそれくらい稼げる仕事はない?』


「今なら下水関連かな。
実は最近、大きな事故があってね。」


『そこの纏め役に追い出されたんだよ。』


「…何?
ニック君と喧嘩でもしたの?」


『俺が一方的に怒られただけだよ。』


「あっそ、愛されてるね。」


『そうなら嬉しい。』


「冒険者ギルドの合同厩舎。
あそこなら紹介出来るよ。」


『俺にやらせて欲しい。』


「みんな嫌がってるんだよ?
かなり汚れてるし、規模がデカすぎる。
カネに困った冒険者連中でも請けないんだから。」


『成果を出してみせる。
多少の規模なら俺1人で十分。
お客様を満足させる自信がある。
是非、俺にやらせてくれ。』


「…お兄さん、カネ持ちだろ?
まるで勘当でも…

まあ、いいや。
それじゃあ、この案件はお兄さんに一任するよ。」


==========================



喜び勇んで冒険者ギルドまで向かうも、あっさりとワンオペ清掃を拒否されてしまう。


『やる気はあります! 結果も出します!
実務経験も豊富です!
せめて着手させて頂けませんか!?』


「うーーん、規則だからね。

昔の冒険者ギルドってさ?
イジメとかパワハラが横行していてね?
厩舎掃除を1人でやらせるとかいう嫌がらせが定番だったんだよ。

で、それが原因で刃傷沙汰に発展した事件が何度かあったのね?
それで、ゴミ捨てとか厩舎掃除みたいに皆が嫌がる仕事のワンオペは禁止になったんだ。

いや、お兄さんが強要されてここに来たとは思わないよ?
多分、意欲も能力もあるんだろう?

でもね?
こういう細々とした規則が、トラブルを防いでいるのも事実だ。
協力して欲しいな。」


『…そうですか。』


「パーティーを組んでくれないか?」


『ぱ、パーティー?』


「ああ、要するに頭数を揃えて欲しいってこと。
この厩舎掃除案件は3人から。
数合わせでいいから2人連れて来てくれないかな?」


『…わ、わかりました。』


くっそ。
冒険者ギルドなんてチンピラの巣窟みたいに思ってたのに
結構キッチリしてやがる。

知り合い…
こんな馬鹿な案件に付き合ってくれる奴なんているのかよ…


==========================



「ははは、それでアタシなんだ。」


『御婦人に対して失礼な事を申し上げてる自覚はあります。』


「いやいや、皿洗い名人さんに御指名されて光栄に思ってるよ。

ここから先は耳より情報なんだけどね?
なんと、女を誘う時は厩舎掃除よりも舞踏会の方が喜ばれるんだってさ。」


『貴重な情報に感謝します。』


眼前の女冒険者は以前リゾートハーバーでウェイトレスをしていた人物だ。
男装している訳でも無いのだが、鮮烈な凛々しさがある。
或いは姿勢が美しいからそう見えるのだろうか。


一度だけ客としての俺を接客し、それ以来は何の遣り取りもなかった。
全くの他人である。
その際の別れ際に「冒険者になる」と言っていたのを思い出して藁にでも縋るつもりで女子冒険者のリーダーに繋いで貰ったのだ。


今、知った事だが名をエミリーというらしい。


『作業は全て俺がやります。
日当も割増しで支払います。
勝手な申し出で恐縮なのですが、1日だけ付き合って下さい。』


「…ふっ
いいよ。
幾らでも付き合おう。

1日だけ、という条件以外は大して勝手でもないしね。」



==========================



『おっマザコン委員じゃないっスか。
お母さん元気ッスか?』


「やあ、衣装係さん。
会いたかったよ。
母を気に掛けてくれてありがとう。」


『衣装係?

チッチッチ。
情報が古いですなぁ。

今のアタシはリゾートハーバーのアパレルブランド店員ッス!
夢を叶えたッス!!』


「お、おお。
き、キミがブランド?」


『あーーーーー!!
その目は信じてないッスね。

アタシ! 今! あの!
ラグジュアリーストリートで働いてるッス!!』


…ラグジュアリーストリートは世界最高のブランドショップ地区を標榜していた筈だ。
当然、店員採用のルックス審査も相当厳しいと聞いていた。
こんな子でも採用されたという事は…
運営者である(株)プラチナム地所の経営が苦しいという噂は本当なのかも知れない。
一応父さんやジミーに報告のメッセンジャーを送っておくか。


「じゃーーーーーん!!
見て下さいッス!

この店員割引で購入したお洒落Tシャツを!!!」


『あ、うん。
イケてるね。』


「あっはっはっは!!
驚いて声も出ないようッスね!!

これは!
マルセル・ヴァルダンの没後2周年記念企画!」
《限定モデル・71FX・ソドムver》のレプリカッスよお!!!!

店員割引を適用しても19000ウェンもしたッスよおおお!!!!!

もう誰にもアタシを田舎者なんて呼ばせないッス!!
アタシはイケてるシティガールになったッスよおおお!!!!」


『…あ、うん。』


マジかー。
こんな糞ダサTシャツをそんな暴値で買わされる奴とかマジで居るんだな。
何も知らない田舎の人に高価な物を売りつけるビジネスモデルって良くないよなあ。
こんな阿漕な商売してるからアパレル業界は衰退するんだよ。


「で?
何の用事っスか?」


『その、少し付き合って欲しい所があって。』


「ハア!?

マザコンの分際でナンパッスかwww
アタシ、シティレディッスよ?
ナウでイケてるハイカースト港区女子ッスよ?
身の程プーwww」


『あ、駄目なら諦め…』


「仕方ないッスねえ。
やれやれッス♪
モテる女は大変ッス。

本当はデートの誘いがあり過ぎてそんな暇はないんッスけどね?
お母さんからも委員の事は頼まれてますし。

ま、顔を立ててあげても…  いいかな~ッス♪」


『…正直、嬉しい。』


「おひょひょひょ!!
アタシの魅力にメロメロメリングじゃないッスかwww

仕方ないなー
いい女の宿命って奴?
いやー、つれー、マジつれーわー♪」


…おもしれー女。



==========================



「オイイイイイ!!
ちょっと待って下さいよおおォ!!!」


『ん?』


「ん? じゃないッスよ!!!
デートの誘いじゃなかったんッスかぁ!?」


『ああ、ゴメン。
厩舎掃除…
どうもワンオペが禁止されてるみたいでさ。』


「オイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

ハアハア!
フ――――――――――。
落ち着けアタシ、落ち着け―
素数を数えるッス 1・2・5・8・11・16・29。

…で?
こっちのイケてるお姉さんは何者っスか?
最初男の人かと思って一瞬ドキドキしたのは内緒ッス。
ロストバージンが3Pとかマジでアーバンミラクルっスよ!

あ、でもこの人が女でもヤッた場合は3Pになるのか。」


「はじめまして。
エミリーです。

被害者の会2号でーす。
レニーちゃんだっけ?
これからは悪い男に騙されないようにお互い気を付けようね。」


「ホントッスよ!
エミリー姐さん、宜しくッス!」


「じゃあ、皿洗い名人さん。
厩舎、掃除しちゃおっか?」


「皿洗い名人ッスか?」


「そうよー。
この人、皿洗いの天才なの。」


「マジっすかー。
じゃあ、バーテンのバイトし放題じゃないッスか!」


『あ、うん。
いつかbarでも開きたいなって…』


「え、マジ!!
じゃあ、アタシ店員になるッス!!
店員割引で毎日タダ酒タダ飯っスよ!!!」


『あ、うん。
いつか本当にbarを開いたらね。』


「ふふふ。
じゃあ私も立候補♪
ウェイトレスの御用命は如何ですかな?」


『あ、じゃあ。
店を開いたら是非。

もしもの話だよ!?
もしも!』


女共はケラケラ笑って俺に続いて厩舎に入って来る。


『あ、作業は俺が1人でやるよ?
そういう約束だし。
さっきの日当はそのまま取って貰って構わないから
好きな所に遊びに行ってきなよ。』


「あははは。
なら、お兄さんの側かな?」


「異議なしッスー♪」


『…あのね。
こんな事、言いにくいけど。
女の子が厩舎掃除なんてするもんじゃないよ。』


「どうしてっスか?」


『いや、どうしてって。
汚くて臭い仕事だろ。
皆が嫌がってる。

これは恥ずかしいとされる仕事なんだ。
掃除会社に勤めているってだけで…
相手の親から反対されて結婚出来なかった者もいっぱいいるんだ。』


「何をゴチャゴチャ言ってるのかよくわからないッスけど
臭いから早く終わらせるッスよ?」


「じゃあ、私は洗い終わった飼い葉桶を倉庫に戻して行きますね?
どうせ、お皿以外も洗えるんでしょ?」


『…。』


「どうしたっスか?
早く始めるッスよ?」


「じゃあ、私は用具箱の方に居るから。
何かあったら呼んで頂戴。」


…俺、何をゴチャゴチャ言ってたんだろうな。



『セット!』



==========================



「ほええええ!!!
よく分かんないっスけど!
一瞬で綺麗になっちゃったッス!!」


「くすくす
相変わらず一隅を照らしておられるようで。」



『2人ともありがとう。
おかげで目標額を得ることが出来た。』



「委員!
アタシ、すっごいアイデア思いついたッス!」



『アイデア?』


「委員は清掃会社を起ち上げるべきっッス!
すぐに大儲けっスよ!!
その時はアタシも入れて欲しいッス!!」


『ははは。
それは素晴らしいアイデアだ。

でも、今は儲けにならない仕事をするって決めてるんだ。』



俺が得た報酬は5万5千ウェン。
残った手持ちと合わせれば…
イケるな。



==========================



『やあニック。』


「…兄貴か。

帰れって言っただろ。」


『…ヤダ!!』


「ヤダってアンタ。
ガキじゃないんだから。

ジミーさんから聞いたぜ?
今度貴族の主催する舞踏会に行くんだろ。

じゃあちゃんとしなきゃ!
アンタはこんなトコに居ていい人じゃないんだよ。
頼むからチャンスを大切にしてくれよ。
姉さんも、兄貴の栄達だけを生き甲斐にしてるんだ。

わかるよなぁ!?」



『…わからない!

俺は掃除屋だ、この街の市民だ。  
ニックの友達だ。
だから、この場面には俺が居なきゃ駄目なんだよ!』



「なあ、アンタ大人になれよ。
ここは屎尿処理場だ。
昔は罪人が懲罰として働かされていた。
今は貧民への懲罰になっちまったがな。

こんな所に出入りしてるって知られたら
アンタのキャリアが終わるぞ!
もうちゃんとした社会でやって行けなくなるぞ!!」


『…そんな社会なんて俺の方からお断りさ。』


「アンタ、頭がおかしいんじゃないか?」


『違う!
俺はマトモだ。
マトモだからここに来た。
市民として街の問題を解決しに来た!
男として友達の仕事を手伝いに来た!

笑いたい奴が居れば、勝手に笑えばいい。
軽蔑したい奴は勝手に軽蔑してくれればいいさ。
俺はそんな連中からどう思われても構わない。』


「…。」


『ニック。
今からスキルを使う。
全員を地上に上げるように誘導してくれ。』


「…。」


『俺1人ではこの大規模現場を捌けない。
オマエに協力して欲しいんだ。
オマエの協力が必要なんだ。』



「…兄貴。

任せろ。」



実は貴族的な社会への道は先程断たれている。
港湾区の区役所で修理人志願書を提出して来たからだ。
ついでに略式ながら改善提案書も俺の名義で提出した。 
これを後日論文にも落とし込む。

臨時雇いとは言え公務なので、俺が屎尿処理場案件に携わった事実は公的記録に残る。
(これが作業員不足の原因である。)
そして貴族社会は瑕瑾を許す様には出来ていない。
そんなに甘い社会なら彼らはあそこまで苦労しないのである。


『ニック、大規模に術式を発動する!
西側の作業員も下がらせてくれ!』


「わかった!
一旦、作業小屋の前に集合させる!」


『…セット。  【清掃(クリーンアップ)】!』



人の集まりが悪い現場だったのだが。
「臭いも汚れも無い案件だから騙されたと思って来てみろ。」
とのニックの誘い文句に多くの労働者が集まり、パイプラインの交換までもが完了した。
費用は掛かったが、拍子抜けするほど迅速に屎尿処理場は復旧した。


そう。
インフラストラクチャーは適切に人員さえ投入すれば、保守修繕が可能なのである。



==========================


全て解決。
ソドムタウンの下水危機はエンドユーザーの間で顕在化する前に解決した。
良かったなぁ、オマエラ。
これからも普通にウンコして構わないぞ。



『見積もり、後で俺にくれよ。

腐食対応の88式鋼管。
あれ、本当は来年度の神聖教団案件用だろ?
選挙の後に総本山の近代化工事を行う予定だったか?』


「何もかもお見通しでゴザル、か。
88式は大規模公共事業用でゴザル。
到底、個人で支払える代物ではゴザラヌよ。」


『見積書、待ってるから。』


「屎尿処理場修繕費用を出すという事がどういう事かは理解しているのでゴザルよな?」



『ああ、父さんの夢が終わる。』


父さんは、俺が政治家になる事を夢見ていた。
閣僚か何かになって世界の貴賓達と交わる…
そんな下らない妄想を俺が生まれた時からずっと…
本当に馬鹿馬鹿しい…
今回の件が無かったとしても、俺なんかが要職に就ける訳ないじゃないか。
愚かな愚かな愚かな…
世の父親ってそういうモンらしいけどな。


「不孝の自覚があるなら何よりでゴザル。
ポール殿を晴れ舞台に送り込むという、御父上の長年の夢。
貴方が顕官になる事だけを望んでおられたのに。

今回の件で… もう絶対に… 

こんな事をしでかして…
今、社交界は大騒ぎでゴザルよ?

一体この先、どうするつもりでゴザルか?」


『…夢か。
じゃあ、次は俺の夢でも追ってみようかな。』


「ポール殿の夢?」


『barを開きたいって気持ちがどんどん大きくなって来てな。』


「下らないでゴザル。
御父上に申し訳ないと思わないでゴザルか?」


『港湾区で開きたい。
そこでさあ。
リゾートハーバーで出されるような豪華なカクテルを提供するんだ。』


「…。」


『値段は思いっきり安く。
俺が泊まり込んでカウンターに立ったら、原価率は抑えられるだろう。』


「…。」


『その店は。
誰でも入れるんだ。
ドレスコードも何もない、敷居の低い店。
ダサい奴とか老人とかでも気軽に来てくれていい。』


「…。」


『職業制限は設けない。
馬丁でも、下水工事員でも、気にせず遊びに来て欲しい。
何なら魔族でもいいんだぞ?
俺は歓迎する。

勿論、掃除屋もだ。』


「…貴方は。」


『もう店員を集め始めてるんだ。
今度、オマエに正式に紹介させて欲しい。』


ジミーが目を閉じたまま天を仰いだ。
きっとオマエにはオマエの構想があって…
今回の俺がそれを崩してしまったのだろう。


俺の名前はポール・ポールソン。
39歳バツ1。

家業は掃除屋だ。

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