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【転移96日目】 所持金3京0685兆4340億9218万ウェン 「とってつけたような異世界ラッシュやめーや。」
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老人の朝は早い。
付き合う義理は無いのだが、圧に負けて早朝に起こされる。
ゲルの隙間からカインがこちらに「我々は無事。」とブロックサインを送ってくる。
流石にここは殺される場面ではないだろう。
軽いモーニングを取ると、そのまま高速運河で首都へ戻ることになった。
「先輩、私がソドムタウンに訪問するつもりでしたのに。」
『陛下は戦時でしょう。
ちゃんと本国で指揮を取って下さい。』
確かに帝国四諸侯は死に体だが、国際社会はその事実を知らない。
国王陛下が単身で自由都市に入国してしまうと、亡命と捉えられかねない。
なので高齢のピット会長にお越しいただく事になった。
==========================
船上。
俺から湧いたミスリル貨を確認しながら、ピット会長が淡々と語り始める。
「結論から言いますね。
コリンズさんの出現によって、人類の諸問題の大半が解決しました。
そのミスリル、まだ出現するんですか?」
『あ、はい。
今日も数えきれない量のミスリル貨が噴き出すと思います。』
「…もう一度言いますね。
人類が抱えていた最大の悩みである資源枯渇問題は解決しました。
ハッピーエンドという言葉を使ってしまっても差し支えないでしょう。」
『…いや、王国でも帝国でも内乱が勃発してますし。
ハッピーエンドではないでしょう。』
「…封建政体がソフトランディングしている。
私にはそう見えます。」
『…この内乱劇ってピット会長が仕掛けてるんですか?』
「??
いや、コリンズさんの仕掛けでしょう?」
『お、俺は何も仕掛けてませんよ!』
「え?
私は、てっきりコリンズ社長が王国に報復しているのだと…
その、かなり遠方から強制的に軍事徴発されたのですよね?」
『あ、はい。
突然、呼び出されて。
無能の烙印を押されて追放されました。
同時に呼ばれた友人達の多くが戦死しております。』
「ええ、そこまでは多少聞き及んでおります。
現在の王国の内乱は…
その仕打ちに対するコリンズ社長の意趣返しかと思っておりました。」
『いやいやいや!!
報復なんてそんな物騒な真似をする訳ないでしょう!!』
「ああ、失礼しました。
私の認識不足でした。
ではコンラッド子爵領の件はコリンズ社長とは無関係なのですな?
いやあ、安心しました。
私はてっきり…」
『…あ、それ俺です。』
「!?
やっぱり貴方じゃないですか!」
『す、スミマセン!
やっぱりマズかったですかね?』
「…好ましくないに決まってるでしょう。
そもそも王国は農耕民族が遊牧民族に対抗する為に建国された国家ですよ?
その中枢に遊牧民の支配地なんて作ったら…
混乱して当たり前ですよね?」
『あ、はい。』
「後、魔界に莫大な資本投下を行ったのも貴方ですよね?」
『あ、はい。』
「その所為で王国側の侵攻軍が大敗。
権威が地に落ちました。
私もシミュレーション結果に目を通しましたが
貴方の資金供与が無ければ王国は負けてないですよ?
そもそも魔界側には軍を維持するだけの兵糧がありませんでしたから。」
『あ、はい。』
「連邦内戦でミュラー派を支援して三公七民政策を後押ししたのも貴方ですね?」
『あ、はい。』
「あの税率は露骨に封建国家潰しですよ。
首長国のみならず、帝国や王国の農民も完全に煽動されてしまっています。
貴方、わかっててやってますよね?」
『あ、はい。』
「コリンズさん。
王国の内乱の原因は誰ですか?」
『…お、俺です。』
「まさかとは思いますが、自覚してませんでした?」
『…ちょっぴり困らせてやれ。
くらいの気持ちはありました。』
「ちょっぴり? ちょっぴり?」
『も、猛省しております。』
「コリンズさん。
大きな力を持つ者には、相応の義務が伴うのです。
もっとちゃんと自覚して下さい。」
『は、はい。』
いやあ。
何か王国が騒がしくて大変だなぁ。
とか他人事の様に思ってたのだが…
言われてもみれば、原因は俺だよなぁ…
王国には使ったとしても、せいぜい数兆ウェンだけだと思うんだがなあ。
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ご高齢のピット会長を気遣ってか、そこまで船速は出ていない。
出されたシャンパンにはさざ波一つ立っていない。
まあ当然だろう。
今、会長に万が一の事があれば、事態を収拾出来る者が居なくなる。
「では本題に戻ります。」
俺を静かに滾々と説教したピット会長が姿勢を正した。
背後から陛下が「叱ってくれる存在ってありがたいものですよー。」と囁いてくる。
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スキルと呼ばれる超常的(地球人の俺から見れば)な技術によって、この異世界文明は支えられている。
そのスキルを最も効率的に発動させる為の触媒こそがミスリルであった為、かつて人類はミスリルを浪費濫用した。
その用途が主に戦争だった為、貴重な人命と稀少なミスリルの両方が失われ続けるという時期があった。
誰もが打開策を検討しながらも苦悩する中、妙手は現場から生まれた。
ある造幣所において行われた職人達の飲み会でこんな発言があったのだ。
「いっそのこと、ミスリルを貨幣にしてしまえばいい!
そうすれば勿体なくて、こんなバカげた戦争も少しは鎮静化するだろう!」
「いや、王侯貴族というのはその貨幣を湯水の様に浪費する生き物だ。
ちょっとやそっとの出費で戦争はやめてくれんだろう。」
「なら、うっかり使えない位に高額にしてしまえばいいさ!
1億ウェンとかどうだ!」
「折角なら景気よく10億ウェンにしてしまえ!」
この飲み会での冗談が徐々に広まり。
王侯貴族や、当時勃興中だった資本家階級の耳にも入った。
そして、その飲み会から11か月後。
10億ウェン貨幣はミスリルを用いて鋳造される事になったのである。
==========================
『え? じゃあ、ミスリル貨に10億ウェンもの価値があるのって…』
「ええ。
ミスリルの浪費を防ぐ為の措置です。
これが思いのほか効力を発揮しまして。
以降、我々世界金融機関連盟が使用量を概ねコントロール出来ております。」
イマイチ俺には実感が無かったのだが、どうやらミスリルは本当に重要な触媒らしい。
特に道路工事や船舶航行に必須らしく、これが枯渇してしまうと物流が本当に滞ってしまうとのことだ。
「物流は経済の血液ですよ。
これが滞ったら、どれだけ多くの人々が被害を被ることか。」
スキル文明であるこの異世界ではスキル保持者を利用した産業秩序があるらしい。
その人材集めを担っていたのが神聖教団であり、評価に是非が分かれるものの、社会的重要性は高かった。
ただ近年、ミスリルを独占しようとする動きがあり、世界の首脳部は頭を悩ませていたとのこと。
今回の落雷事故は不幸だったが…
世界にとっては吉事だったらしい。
『どうして教団はミスリルを独占しようとしたのでしょう?』
「うーーん。
今となっては推測ですが。
神を降臨させようとしていたのではないでしょうか?」
『神?』
「現に異なる世界から魔獣や人間を呼び出せていた訳じゃないですか?
じゃあ、宗教家が最後に何を呼び出すかと言えば?」
『まあ神様でしょうね。』
実際は俺という悪魔を呼び出してしまった訳だが…
「王国に神聖教団の自治区があるのですがご存じでしたか?」
『ええ、免罪符を買わされました。
未だに腸が煮えくり返っております。』
「なら話は早い。
あの一帯で神聖教団は召喚技術を研究し続けておりました。
召喚関係の資料は王国内自治区が一番充実している筈です。
一応確認しますが。
コリンズさんは召喚技術によって、別世界から王国に呼び出されたのですよね?」
『地球という世界から呼ばれました。
勿論、我々の同意無しにです。』
「この世界とは全くの別世界なんですよね?」
『はい。
全くの異世界です。』
「そう。
彼らは数ある異世界の中から、神を呼び出そうとしていたのでしょう。」
…イランことをする連中だ。
まあ、どうせ地球にも似たような連中がいるに違いないが。
「私としてはコリンズさんには
こちらの世界で次世代の指導者として活躍して欲しいのですが…
エヴァーソンさんや、クーパーさんも貴方を非常に高く評価しておられます。
残っては下さらないのですよね?」
『…帰ります。
俺が正すべき世界は地球です。
この世界の事は、この世界の皆さんが何とかすれば宜しい。
…ミスリル、寄付しますよ。
それでいいでしょう?』
「…それは寂しいです。」
『今、ピット会長は帰還方法の話をして下さっているのですよね?
例えどんな困難があろうとも俺は帰りますよ!』
「…困難などはありませんよ。
コリンズさんなら容易く帰れます。」
『そ、そうなんですか!?』
「例えば、召喚術に関する重要書籍は教団以外ではエルフ族が独占しております。」
え、エルフ!!
異世界名物エルフ!?
この異世界にもやはり存在したのか!?
「大規模召喚プロジェクトを行う場合、アドバイザーとして彼らの存在は必須です。
ですが。
彼らは偏屈で閉鎖的、厳重な鎖国を続けており、国境を隣接する合衆国ですら持て余している存在です。」
『な、なるほど。
じゃあやっぱり容易くは帰れませんね。
協力をお願いするのは難しそうだ。』
「?
貴方1京ウェン持ってるんでしょう?」
『ええ、まあ。
陛下の読みではこれから毎日1京ウェン以上増え続けるらしいですけど。』
「彼らが販売に苦慮しているエルフ債は総額で500億ウェン程度ですよ?」
『え?』
「いや、鎖国ですから。
経済基盤が脆弱なんですよ。
でも彼らだって近代国家と渡り合う為の予算を組んでいく為には、国際社会に国債を売って行かなくてはならない。
だから苦手な異民族交流を彼らなりに必死に行ってるのです。
あまり成果は出ていないらしいですが。」
『エルフの国債って売れないんですか?』
「だって鎖国してて、アナリストが入国出来ないんですもの。
内情も明かさない相手に投資出来る訳ないでしょう。」
『いや、まあ。
彼らが困ってるなら500億ウェン程度でしたら
あげたと思ってプレゼントしますけど。』
「はい。
問題解決。」
『いやいや!
召喚術はエルフの奥義なんでしょ?
流石にたったの500億で教えてくれる訳ないですよ!』
「まあ、駄目元で提案して下さい。
多分100億でも十分歓迎されると思いますが。」
『よ、要はエルフさえ協力してくれたら地球に帰れるんですね!』
「いや、大規模召喚には特殊な軌道計算が必要ですから。
学術界の協力は不可避ですよ。
特に自由都市大学の理学部の協力は必須です。」
『じゃ、じゃあ大学側にも協力をお願いしないと!』
「私が理事会の会長を務めておりますので、皆に号令を掛けておきます。」
『あ、そうなんですか。
なんか色々すみません。
じゃあ、エルフと学術界の協力さえあれば地球に!』
「そしてドラゴンの牙が触媒として必要になって来るでしょう。」
…とってつけたような異世界ラッシュやめーや。
「魔界の奥に住む伝わる巨大なドラゴン。
空を自在に飛翔し、吐き出される火炎は一個師団を軽々焼き尽くすとされてます。」
『そんな化け物倒せませんよ!』
「いや、あなた1京ウェン持ってるじゃないですか。
10億ほど賞金を掛ければ誰かが討伐してくれると思いますよ?」
『いやいや!
竜退治の報酬が10億とか!
そんな少額で人が動く訳ないじゃないですか!』
「…私の読みでは、1億ウェンでもみんな喜ぶと思いますけどね。」
『…。』
「…コリンズさん。
1京ウェンあったら何でも出来ますよ?
でも一気に使わないで下さいね?
普通に世界が滅びますから。
御自覚の有無は存じませんが、この世界の命運はコリンズさんの財布紐と直結してますから。」
…随分脆弱な世界だな。
「あの、こんな事言いたくないですけど。
貴方がばら撒いている莫大な工作資金。
それを市中から回収して経済バランスを保っているのが私なんですからね?」
『あああ!!
そ、そうでしたか。
ご迷惑をお掛けします。
でも、言って下されば良かったのに!』
「ですから。
その話を穏便にするためにランチのお約束をしたのですよ。
まさか戦争に行ってしまうなんて思わないじゃないですか。
人を遣ればいいでしょうに、どうしてご自身が前線に?」
『…嫁が、何となく嫌で。
顔を合わせるとしんどいというか。』
「まあそこはお若いのですから、ご自分で解決して下さい。」
…そこに助け船を出して下さいよ。
『じゃあ、追加で資金を出しますんで。
エルフ・学術界・ドラゴンの仲裁をお願いさせて下さい。』
「?
貴方、もうとっくに出費してるでしょう?」
『??』
「いや、ソドムタウンで奥様経由で、かなりがっつり工作されておられるじゃないですか。
もうアカデミーなんか完全にコリンズ派ですよ?
あ、そうそう。
冒険者ギルドの名誉理事就任おめでとうございます。
今度からそういう大事な事はちゃんと教えて下さいね。」
…俺も初耳だ。
アイツら勝手に工作しやがって。
ヒルダにはせいぜい2兆ウェンくらいしか渡してないぞ?
どこにそんな工作費用があるんだ?
どうやら学術界と冒険者ギルドは完全に俺(の名義を使ったヒルダ)が買収済みらしい。
にわかには信じ難いことだが、大抵の命令は通るらしい。
…いや、そうか。
俺だって1京ウェンの資産家から命令されたら喜んで遂行するわ。
だって礼金が期待出来そうじゃない。
合衆国に(株)南洋海運の支社があるそうなので、そこに伝書鷹を飛ばしてエルフ債の購入意思と召喚プロジェクトへの参画を伝達させる、とのこと。
でもエルフって気難しいイメージあるけどなあ。
流石に500億では動かんだろう。
逆に反発されるんじゃなかろうか?
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
ミスリル貨やエナドリが噴きこぼれ、あやうくピット会長が転倒しそうになる。
「先輩!
お怪我は御座いませんか!?
…コリンズ社長。
気を付けて下さいよ!
若い貴方には分からないかも知れませんが
我々の歳で怪我をしたら治らないんですからね?」
《地面のエナドリ啜って飲め。》
と喉まで出掛かったが我慢する。
話に夢中で利息のこと忘れてた俺が悪いからな。
『あの、このお金…
首長国に寄付していいですか?』
「駄目です!
国際的な通貨流通バランスが崩れてしまいます!」
『あ、じゃあピット会長の方で…』
「なりません。
これ以上ピット家が資本を独占してしまうと、産業が育たなくなってしまいます。」
『あ、じゃあ
どうしましょう。』
「どのみち、召喚には膨大なミスリルが必要なのですから
ストックしておいて下さい。
念を押しときますけど
首長国内でミスリル貨を捨てたり熔かしたりしないで下さいね。
我が国では貨幣損傷罪を制定してますからね。
これは独り言ですが、王国や連邦にはそんな法律はありません。」
『それはご丁寧に。』
==========================
何か。
世界の謎があっさり解けてしまった。
皆の話を総合する限り、地球への帰還も1兆ウェン程度で叶うようである。
実に拍子抜けである。
何でもカネで片付いてしまう。
やっぱり世の中ってカネが全てなのかなあ。
陛下や会長のお側に居ると、克明な情報が色々伝わってくる。
とうとう王国では国王が叛乱に耐え兼ね故郷に逃亡したらしい。
給与遅配が災いして全師団と全騎士団に護衛命令を拒絶されてしまったとのこと。
またソドムタウンでは皇帝の娘が滞在中のホテルで死亡したようだ。
まさしく、封建国家の終焉である。
==========================
「え? ソドムタウンに帰らないんですか?」
『…あ、いや。
連邦の港で受け取ろうかな、と。』
召喚に必要な諸物資はどこかの港湾で受け取ることになる、そう聞いたので連邦を選んだ。
前に港湾整備基金に出資したような気がしないでもない。
「帰りたくないんですか?
奥様?」
『いや、まあ。
そんなに急いで帰る必要もないかな、と。
あ!
俺、連邦の閣僚じゃないですか。
だから復命の為にも連邦に戻らなくちゃならないんです!』
今夜は首長国で一泊。
俺の用は終わったので、連邦に帰る。
==========================
【コリンズ朝 建国戦争】
〇ヒルダ・コリンズ (元宿泊業経営)
VS
●アレクサンドラ・チェルネンコ (帝国第二皇女)
※決まり手 心不全
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
(株)エナドリ 創業オーナー
駐自由都市同盟 連邦大使
連邦政府財政顧問
世界冒険者ギルド 永世名誉理事
【称号】
ロイヤルトリプルクラウン・ファウンダーズ・エグゼクティブ・プラチナム・ゴールドエメラルドダイアモンディッド・スペシャルアンバサダー信徒
【ステータス】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
《LV》 43
《HP》 (6/6)
《MP》 (5/5)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 3
《魔力》 2
《知性》 5
《精神》 9
《幸運》 1
《経験》44兆4215億2408万7612ポイント
次のレベルまで残り10兆9319億3939万9163ポイント
【スキル】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
「複利」
※日利43%
下12桁切上
【所持金】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
3京0685兆4340億9218万ウェン
※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。
【試供品在庫】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
エナドリ 388605ℓ
※今回発生分の253100ℓは全て垂れ流し。
(ピット会長転倒未遂事件を引き起こしてしまった為、公式謝罪。)
※リン・コリンズの指示により原液200000ℓをドルト・エヴァーソン自由食品ホールディングス会長に譲渡。
付き合う義理は無いのだが、圧に負けて早朝に起こされる。
ゲルの隙間からカインがこちらに「我々は無事。」とブロックサインを送ってくる。
流石にここは殺される場面ではないだろう。
軽いモーニングを取ると、そのまま高速運河で首都へ戻ることになった。
「先輩、私がソドムタウンに訪問するつもりでしたのに。」
『陛下は戦時でしょう。
ちゃんと本国で指揮を取って下さい。』
確かに帝国四諸侯は死に体だが、国際社会はその事実を知らない。
国王陛下が単身で自由都市に入国してしまうと、亡命と捉えられかねない。
なので高齢のピット会長にお越しいただく事になった。
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船上。
俺から湧いたミスリル貨を確認しながら、ピット会長が淡々と語り始める。
「結論から言いますね。
コリンズさんの出現によって、人類の諸問題の大半が解決しました。
そのミスリル、まだ出現するんですか?」
『あ、はい。
今日も数えきれない量のミスリル貨が噴き出すと思います。』
「…もう一度言いますね。
人類が抱えていた最大の悩みである資源枯渇問題は解決しました。
ハッピーエンドという言葉を使ってしまっても差し支えないでしょう。」
『…いや、王国でも帝国でも内乱が勃発してますし。
ハッピーエンドではないでしょう。』
「…封建政体がソフトランディングしている。
私にはそう見えます。」
『…この内乱劇ってピット会長が仕掛けてるんですか?』
「??
いや、コリンズさんの仕掛けでしょう?」
『お、俺は何も仕掛けてませんよ!』
「え?
私は、てっきりコリンズ社長が王国に報復しているのだと…
その、かなり遠方から強制的に軍事徴発されたのですよね?」
『あ、はい。
突然、呼び出されて。
無能の烙印を押されて追放されました。
同時に呼ばれた友人達の多くが戦死しております。』
「ええ、そこまでは多少聞き及んでおります。
現在の王国の内乱は…
その仕打ちに対するコリンズ社長の意趣返しかと思っておりました。」
『いやいやいや!!
報復なんてそんな物騒な真似をする訳ないでしょう!!』
「ああ、失礼しました。
私の認識不足でした。
ではコンラッド子爵領の件はコリンズ社長とは無関係なのですな?
いやあ、安心しました。
私はてっきり…」
『…あ、それ俺です。』
「!?
やっぱり貴方じゃないですか!」
『す、スミマセン!
やっぱりマズかったですかね?』
「…好ましくないに決まってるでしょう。
そもそも王国は農耕民族が遊牧民族に対抗する為に建国された国家ですよ?
その中枢に遊牧民の支配地なんて作ったら…
混乱して当たり前ですよね?」
『あ、はい。』
「後、魔界に莫大な資本投下を行ったのも貴方ですよね?」
『あ、はい。』
「その所為で王国側の侵攻軍が大敗。
権威が地に落ちました。
私もシミュレーション結果に目を通しましたが
貴方の資金供与が無ければ王国は負けてないですよ?
そもそも魔界側には軍を維持するだけの兵糧がありませんでしたから。」
『あ、はい。』
「連邦内戦でミュラー派を支援して三公七民政策を後押ししたのも貴方ですね?」
『あ、はい。』
「あの税率は露骨に封建国家潰しですよ。
首長国のみならず、帝国や王国の農民も完全に煽動されてしまっています。
貴方、わかっててやってますよね?」
『あ、はい。』
「コリンズさん。
王国の内乱の原因は誰ですか?」
『…お、俺です。』
「まさかとは思いますが、自覚してませんでした?」
『…ちょっぴり困らせてやれ。
くらいの気持ちはありました。』
「ちょっぴり? ちょっぴり?」
『も、猛省しております。』
「コリンズさん。
大きな力を持つ者には、相応の義務が伴うのです。
もっとちゃんと自覚して下さい。」
『は、はい。』
いやあ。
何か王国が騒がしくて大変だなぁ。
とか他人事の様に思ってたのだが…
言われてもみれば、原因は俺だよなぁ…
王国には使ったとしても、せいぜい数兆ウェンだけだと思うんだがなあ。
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ご高齢のピット会長を気遣ってか、そこまで船速は出ていない。
出されたシャンパンにはさざ波一つ立っていない。
まあ当然だろう。
今、会長に万が一の事があれば、事態を収拾出来る者が居なくなる。
「では本題に戻ります。」
俺を静かに滾々と説教したピット会長が姿勢を正した。
背後から陛下が「叱ってくれる存在ってありがたいものですよー。」と囁いてくる。
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スキルと呼ばれる超常的(地球人の俺から見れば)な技術によって、この異世界文明は支えられている。
そのスキルを最も効率的に発動させる為の触媒こそがミスリルであった為、かつて人類はミスリルを浪費濫用した。
その用途が主に戦争だった為、貴重な人命と稀少なミスリルの両方が失われ続けるという時期があった。
誰もが打開策を検討しながらも苦悩する中、妙手は現場から生まれた。
ある造幣所において行われた職人達の飲み会でこんな発言があったのだ。
「いっそのこと、ミスリルを貨幣にしてしまえばいい!
そうすれば勿体なくて、こんなバカげた戦争も少しは鎮静化するだろう!」
「いや、王侯貴族というのはその貨幣を湯水の様に浪費する生き物だ。
ちょっとやそっとの出費で戦争はやめてくれんだろう。」
「なら、うっかり使えない位に高額にしてしまえばいいさ!
1億ウェンとかどうだ!」
「折角なら景気よく10億ウェンにしてしまえ!」
この飲み会での冗談が徐々に広まり。
王侯貴族や、当時勃興中だった資本家階級の耳にも入った。
そして、その飲み会から11か月後。
10億ウェン貨幣はミスリルを用いて鋳造される事になったのである。
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『え? じゃあ、ミスリル貨に10億ウェンもの価値があるのって…』
「ええ。
ミスリルの浪費を防ぐ為の措置です。
これが思いのほか効力を発揮しまして。
以降、我々世界金融機関連盟が使用量を概ねコントロール出来ております。」
イマイチ俺には実感が無かったのだが、どうやらミスリルは本当に重要な触媒らしい。
特に道路工事や船舶航行に必須らしく、これが枯渇してしまうと物流が本当に滞ってしまうとのことだ。
「物流は経済の血液ですよ。
これが滞ったら、どれだけ多くの人々が被害を被ることか。」
スキル文明であるこの異世界ではスキル保持者を利用した産業秩序があるらしい。
その人材集めを担っていたのが神聖教団であり、評価に是非が分かれるものの、社会的重要性は高かった。
ただ近年、ミスリルを独占しようとする動きがあり、世界の首脳部は頭を悩ませていたとのこと。
今回の落雷事故は不幸だったが…
世界にとっては吉事だったらしい。
『どうして教団はミスリルを独占しようとしたのでしょう?』
「うーーん。
今となっては推測ですが。
神を降臨させようとしていたのではないでしょうか?」
『神?』
「現に異なる世界から魔獣や人間を呼び出せていた訳じゃないですか?
じゃあ、宗教家が最後に何を呼び出すかと言えば?」
『まあ神様でしょうね。』
実際は俺という悪魔を呼び出してしまった訳だが…
「王国に神聖教団の自治区があるのですがご存じでしたか?」
『ええ、免罪符を買わされました。
未だに腸が煮えくり返っております。』
「なら話は早い。
あの一帯で神聖教団は召喚技術を研究し続けておりました。
召喚関係の資料は王国内自治区が一番充実している筈です。
一応確認しますが。
コリンズさんは召喚技術によって、別世界から王国に呼び出されたのですよね?」
『地球という世界から呼ばれました。
勿論、我々の同意無しにです。』
「この世界とは全くの別世界なんですよね?」
『はい。
全くの異世界です。』
「そう。
彼らは数ある異世界の中から、神を呼び出そうとしていたのでしょう。」
…イランことをする連中だ。
まあ、どうせ地球にも似たような連中がいるに違いないが。
「私としてはコリンズさんには
こちらの世界で次世代の指導者として活躍して欲しいのですが…
エヴァーソンさんや、クーパーさんも貴方を非常に高く評価しておられます。
残っては下さらないのですよね?」
『…帰ります。
俺が正すべき世界は地球です。
この世界の事は、この世界の皆さんが何とかすれば宜しい。
…ミスリル、寄付しますよ。
それでいいでしょう?』
「…それは寂しいです。」
『今、ピット会長は帰還方法の話をして下さっているのですよね?
例えどんな困難があろうとも俺は帰りますよ!』
「…困難などはありませんよ。
コリンズさんなら容易く帰れます。」
『そ、そうなんですか!?』
「例えば、召喚術に関する重要書籍は教団以外ではエルフ族が独占しております。」
え、エルフ!!
異世界名物エルフ!?
この異世界にもやはり存在したのか!?
「大規模召喚プロジェクトを行う場合、アドバイザーとして彼らの存在は必須です。
ですが。
彼らは偏屈で閉鎖的、厳重な鎖国を続けており、国境を隣接する合衆国ですら持て余している存在です。」
『な、なるほど。
じゃあやっぱり容易くは帰れませんね。
協力をお願いするのは難しそうだ。』
「?
貴方1京ウェン持ってるんでしょう?」
『ええ、まあ。
陛下の読みではこれから毎日1京ウェン以上増え続けるらしいですけど。』
「彼らが販売に苦慮しているエルフ債は総額で500億ウェン程度ですよ?」
『え?』
「いや、鎖国ですから。
経済基盤が脆弱なんですよ。
でも彼らだって近代国家と渡り合う為の予算を組んでいく為には、国際社会に国債を売って行かなくてはならない。
だから苦手な異民族交流を彼らなりに必死に行ってるのです。
あまり成果は出ていないらしいですが。」
『エルフの国債って売れないんですか?』
「だって鎖国してて、アナリストが入国出来ないんですもの。
内情も明かさない相手に投資出来る訳ないでしょう。」
『いや、まあ。
彼らが困ってるなら500億ウェン程度でしたら
あげたと思ってプレゼントしますけど。』
「はい。
問題解決。」
『いやいや!
召喚術はエルフの奥義なんでしょ?
流石にたったの500億で教えてくれる訳ないですよ!』
「まあ、駄目元で提案して下さい。
多分100億でも十分歓迎されると思いますが。」
『よ、要はエルフさえ協力してくれたら地球に帰れるんですね!』
「いや、大規模召喚には特殊な軌道計算が必要ですから。
学術界の協力は不可避ですよ。
特に自由都市大学の理学部の協力は必須です。」
『じゃ、じゃあ大学側にも協力をお願いしないと!』
「私が理事会の会長を務めておりますので、皆に号令を掛けておきます。」
『あ、そうなんですか。
なんか色々すみません。
じゃあ、エルフと学術界の協力さえあれば地球に!』
「そしてドラゴンの牙が触媒として必要になって来るでしょう。」
…とってつけたような異世界ラッシュやめーや。
「魔界の奥に住む伝わる巨大なドラゴン。
空を自在に飛翔し、吐き出される火炎は一個師団を軽々焼き尽くすとされてます。」
『そんな化け物倒せませんよ!』
「いや、あなた1京ウェン持ってるじゃないですか。
10億ほど賞金を掛ければ誰かが討伐してくれると思いますよ?」
『いやいや!
竜退治の報酬が10億とか!
そんな少額で人が動く訳ないじゃないですか!』
「…私の読みでは、1億ウェンでもみんな喜ぶと思いますけどね。」
『…。』
「…コリンズさん。
1京ウェンあったら何でも出来ますよ?
でも一気に使わないで下さいね?
普通に世界が滅びますから。
御自覚の有無は存じませんが、この世界の命運はコリンズさんの財布紐と直結してますから。」
…随分脆弱な世界だな。
「あの、こんな事言いたくないですけど。
貴方がばら撒いている莫大な工作資金。
それを市中から回収して経済バランスを保っているのが私なんですからね?」
『あああ!!
そ、そうでしたか。
ご迷惑をお掛けします。
でも、言って下されば良かったのに!』
「ですから。
その話を穏便にするためにランチのお約束をしたのですよ。
まさか戦争に行ってしまうなんて思わないじゃないですか。
人を遣ればいいでしょうに、どうしてご自身が前線に?」
『…嫁が、何となく嫌で。
顔を合わせるとしんどいというか。』
「まあそこはお若いのですから、ご自分で解決して下さい。」
…そこに助け船を出して下さいよ。
『じゃあ、追加で資金を出しますんで。
エルフ・学術界・ドラゴンの仲裁をお願いさせて下さい。』
「?
貴方、もうとっくに出費してるでしょう?」
『??』
「いや、ソドムタウンで奥様経由で、かなりがっつり工作されておられるじゃないですか。
もうアカデミーなんか完全にコリンズ派ですよ?
あ、そうそう。
冒険者ギルドの名誉理事就任おめでとうございます。
今度からそういう大事な事はちゃんと教えて下さいね。」
…俺も初耳だ。
アイツら勝手に工作しやがって。
ヒルダにはせいぜい2兆ウェンくらいしか渡してないぞ?
どこにそんな工作費用があるんだ?
どうやら学術界と冒険者ギルドは完全に俺(の名義を使ったヒルダ)が買収済みらしい。
にわかには信じ難いことだが、大抵の命令は通るらしい。
…いや、そうか。
俺だって1京ウェンの資産家から命令されたら喜んで遂行するわ。
だって礼金が期待出来そうじゃない。
合衆国に(株)南洋海運の支社があるそうなので、そこに伝書鷹を飛ばしてエルフ債の購入意思と召喚プロジェクトへの参画を伝達させる、とのこと。
でもエルフって気難しいイメージあるけどなあ。
流石に500億では動かんだろう。
逆に反発されるんじゃなかろうか?
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
ミスリル貨やエナドリが噴きこぼれ、あやうくピット会長が転倒しそうになる。
「先輩!
お怪我は御座いませんか!?
…コリンズ社長。
気を付けて下さいよ!
若い貴方には分からないかも知れませんが
我々の歳で怪我をしたら治らないんですからね?」
《地面のエナドリ啜って飲め。》
と喉まで出掛かったが我慢する。
話に夢中で利息のこと忘れてた俺が悪いからな。
『あの、このお金…
首長国に寄付していいですか?』
「駄目です!
国際的な通貨流通バランスが崩れてしまいます!」
『あ、じゃあピット会長の方で…』
「なりません。
これ以上ピット家が資本を独占してしまうと、産業が育たなくなってしまいます。」
『あ、じゃあ
どうしましょう。』
「どのみち、召喚には膨大なミスリルが必要なのですから
ストックしておいて下さい。
念を押しときますけど
首長国内でミスリル貨を捨てたり熔かしたりしないで下さいね。
我が国では貨幣損傷罪を制定してますからね。
これは独り言ですが、王国や連邦にはそんな法律はありません。」
『それはご丁寧に。』
==========================
何か。
世界の謎があっさり解けてしまった。
皆の話を総合する限り、地球への帰還も1兆ウェン程度で叶うようである。
実に拍子抜けである。
何でもカネで片付いてしまう。
やっぱり世の中ってカネが全てなのかなあ。
陛下や会長のお側に居ると、克明な情報が色々伝わってくる。
とうとう王国では国王が叛乱に耐え兼ね故郷に逃亡したらしい。
給与遅配が災いして全師団と全騎士団に護衛命令を拒絶されてしまったとのこと。
またソドムタウンでは皇帝の娘が滞在中のホテルで死亡したようだ。
まさしく、封建国家の終焉である。
==========================
「え? ソドムタウンに帰らないんですか?」
『…あ、いや。
連邦の港で受け取ろうかな、と。』
召喚に必要な諸物資はどこかの港湾で受け取ることになる、そう聞いたので連邦を選んだ。
前に港湾整備基金に出資したような気がしないでもない。
「帰りたくないんですか?
奥様?」
『いや、まあ。
そんなに急いで帰る必要もないかな、と。
あ!
俺、連邦の閣僚じゃないですか。
だから復命の為にも連邦に戻らなくちゃならないんです!』
今夜は首長国で一泊。
俺の用は終わったので、連邦に帰る。
==========================
【コリンズ朝 建国戦争】
〇ヒルダ・コリンズ (元宿泊業経営)
VS
●アレクサンドラ・チェルネンコ (帝国第二皇女)
※決まり手 心不全
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
(株)エナドリ 創業オーナー
駐自由都市同盟 連邦大使
連邦政府財政顧問
世界冒険者ギルド 永世名誉理事
【称号】
ロイヤルトリプルクラウン・ファウンダーズ・エグゼクティブ・プラチナム・ゴールドエメラルドダイアモンディッド・スペシャルアンバサダー信徒
【ステータス】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
《LV》 43
《HP》 (6/6)
《MP》 (5/5)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 3
《魔力》 2
《知性》 5
《精神》 9
《幸運》 1
《経験》44兆4215億2408万7612ポイント
次のレベルまで残り10兆9319億3939万9163ポイント
【スキル】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
「複利」
※日利43%
下12桁切上
【所持金】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
3京0685兆4340億9218万ウェン
※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。
【試供品在庫】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
エナドリ 388605ℓ
※今回発生分の253100ℓは全て垂れ流し。
(ピット会長転倒未遂事件を引き起こしてしまった為、公式謝罪。)
※リン・コリンズの指示により原液200000ℓをドルト・エヴァーソン自由食品ホールディングス会長に譲渡。
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