179 / 215
蒼い約束
10
しおりを挟む
そう言って隆哉は秀行の後ろへと回ると秀行の左肩に右手で触れ、その上に左手で持ったカードを重ねた。三回深呼吸をした後、ゆっくりと瞼を閉じる。
「幽世の大神、憐れみ給い恵み給え、幸魂奇魂、守り給い幸い給え」
低い声で唱え、ググッと手に力を入れる。肩から何かを引き抜くように大きく左腕を引いた隆哉は、次の瞬間、バンッとカードごとその手を肩に叩き付けた。
少しの間を置いてフゥと息を吐き出すと、振り返った秀行にカードを差し出した。
「ありがとう」
礼を言って受け取った秀行に小首を傾げ、気のない様子でボソリと答える。
「別に」
そうして彬の方へと向いた隆哉の動きが、不意に止まった。「ウソだろ」と口の中で小さく呟く。
「へ?」
きょとん、と見上げる彬の顔を、瞬きもせずに隆哉がジッと見つめていた。
「死相が、消えない」
呆然とした声が囁くように吐き出される。「なんだって!」と声を荒げた秀行に、彬がクスリと笑みを洩らした。微笑んで隆哉に近付くと、コツンとその胸元へと拳をあてた。
「幽世の大神、憐れみ給い恵み給え、幸魂奇魂、守り給い幸い給え」
低い声で唱え、ググッと手に力を入れる。肩から何かを引き抜くように大きく左腕を引いた隆哉は、次の瞬間、バンッとカードごとその手を肩に叩き付けた。
少しの間を置いてフゥと息を吐き出すと、振り返った秀行にカードを差し出した。
「ありがとう」
礼を言って受け取った秀行に小首を傾げ、気のない様子でボソリと答える。
「別に」
そうして彬の方へと向いた隆哉の動きが、不意に止まった。「ウソだろ」と口の中で小さく呟く。
「へ?」
きょとん、と見上げる彬の顔を、瞬きもせずに隆哉がジッと見つめていた。
「死相が、消えない」
呆然とした声が囁くように吐き出される。「なんだって!」と声を荒げた秀行に、彬がクスリと笑みを洩らした。微笑んで隆哉に近付くと、コツンとその胸元へと拳をあてた。
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる