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白い影

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「だけど、んな事言ったら」

「そう。その目的は、彼女の『望み』を聴く為な訳だし」

 フーッと、肩の力を抜くように隆哉が細く息を吐く。彬に視線を戻し、逆に問いかけた。

「あんたは、どっちだと思う?」

「俺? 俺は――。俺もやっぱり、一つ目だな」

「その根拠は?」

「ねぇよ」

 ハハッと大らかに笑った彬は、「だって勘だもん」と顎を突き出し、ニンマリと笑んでみせた。

「なるほど」

 短く応じた隆哉が、腕時計に視線を走らせる。

「あんたの勘のよさは、時任のお墨付きだからね。いいんじゃない、そのセンで」

 そう言って、隆哉はクルリと背中を向け歩き出した。それに続いた彬が、秀行を振り返る。

「ヒデ、俺に任せとけよ。ゼッテー、その子と話すコツを掴んでくっからさ」

 グッと親指を突き立てる。しかし呆然と二人のやり取りを見つめていた秀行は、それに弾かれるように反応して、慌てて足を進めた。驚く彬の横をすり抜けて、縋るように隆哉の腕を掴む。

「ちょっ……と待てよ、相沢。そんな悠長な事言ってて、本当に大丈夫なのか? だって、このままだと、高橋が」
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