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白い影
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「そうなると。話は更にややこしくなんだよなぁ」
「え?」
眉間に人差し指をあてた彬は、「むー」と唸りながら顔を顰めた。
「つまり。お前の知らないトコで、相手が勝手にお前を『特別な友達』と思ってる可能性があるって事だ」
「…………」
怪訝な顔の秀行にニンマリと笑ってみせて、彬は窓の外に視線を移した。
「でも、もしそうならさ。ほんと、些細な事だと思うんだ。彼女がお前に執着した理由って。それこそ、お前が忘れちまうぐらいの、ちっぽけなさ。例えば、たまたま行った公園でそこにいたその子と一日だけ二人で遊んで、それがえらく楽しかったとかさ。何気に言った「またね」ってお前の言葉を信じてるとか。田舎に帰った時か旅行の時に、現地の子とそん時だけ仲良くなって、お前にとってはそれだけの事だったんだけど、その子はお前がまた来てくれると思ってた……とか」
「そんな事で?」
非難めいた秀行の言葉に額に手をあてた彬は、ハハッと笑って前髪をかき上げた。
「ちょっと、思い込み強過ぎか。――でもさ、健気じゃねぇ? そんな、人が簡単に忘れちまうような思い出を大事にして、ずっとお前に憑いてるならさ」
「え?」
眉間に人差し指をあてた彬は、「むー」と唸りながら顔を顰めた。
「つまり。お前の知らないトコで、相手が勝手にお前を『特別な友達』と思ってる可能性があるって事だ」
「…………」
怪訝な顔の秀行にニンマリと笑ってみせて、彬は窓の外に視線を移した。
「でも、もしそうならさ。ほんと、些細な事だと思うんだ。彼女がお前に執着した理由って。それこそ、お前が忘れちまうぐらいの、ちっぽけなさ。例えば、たまたま行った公園でそこにいたその子と一日だけ二人で遊んで、それがえらく楽しかったとかさ。何気に言った「またね」ってお前の言葉を信じてるとか。田舎に帰った時か旅行の時に、現地の子とそん時だけ仲良くなって、お前にとってはそれだけの事だったんだけど、その子はお前がまた来てくれると思ってた……とか」
「そんな事で?」
非難めいた秀行の言葉に額に手をあてた彬は、ハハッと笑って前髪をかき上げた。
「ちょっと、思い込み強過ぎか。――でもさ、健気じゃねぇ? そんな、人が簡単に忘れちまうような思い出を大事にして、ずっとお前に憑いてるならさ」
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