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緋い記憶

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 軽く笑い飛ばし否定しようとした彬は、隆哉の言葉に違和感を覚えて言葉を途切らせた。

「あの時はまだ? どーいうこった? それじゃまるで」

「そう。変わったんだ、内容が」

 信じられない面持ちで固まる彬に、隆哉の虚ろな視線が向けられる。

「それがあの『顔』の話につながるんだけど。あの日体育の授業の時まではなんともなかったのに、帰りに見たあんたの顔には『死相』が出てたんだ。はっきりとね」

「しそう?」

「うん。死が近い事が顔に出てた。俺にはえるから。そーいうモノも」

「って、俺もうすぐ死んじまうって事かぁッ?」

 驚愕の表情で絶叫する彬に、隣の隆哉は事も無げに応じる。

「まあ、そーいう事だね」

「そーいう事ってどーすんだよッ! 俺はお前と違ってなぁ、まだ死にた――」

 ――え……?

 彬が言葉を詰まらせるのと、隆哉が言葉を遮ろうとして片手を上げるのとは、ほぼ同時だった。

 ――ちょっと、待て。

「あんたが死にたがってない事ぐらい、百も承知だよ」

 ゆっくりと息を吐き出した隆哉が、隣で蒼ざめる彬にチロリと視線を向けた。
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