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緋い記憶
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相沢の台詞にピクリと反応した彬は、怪訝な顔を相手に向けた。
「なんだそりゃ。答えなきゃなんないのか? お前には関係ないだろ」
アホか、と一蹴に付す。
「それが、一概にそうとは言えないんだよね」
「答える気はない。じゃな」
クルリと背を向け歩き出した彬を、相沢が追う。
「中学時代は、全国に行くメンバーに選ばれた程なんだろ?」
「うるさいよ、帰れ」
「何か、キッカケがあった筈だ」
『キッカケ』という言葉に、無意識にあの事故の記憶が脳裏を過ぎる。
――ほんと、こいつは嫌な事ばかり思い出させやがって……。
「誰から中学時代の事を聞いたのかは知らないが、理由なんて」
ピタリと足を止めた彬は、振り返らずに声を発した。
「なら、俺からも質問だ」
両手に拳を握る。
「お前もサッカー、やってたのか?」
これで「やってた」という言葉が返ってきたのなら、無理矢理にでも納得してやる。
あの、他の奴には真似出来ないと言われた俊介の足さばきをやってのけた事も、俺から一瞬にしろボールを奪った事も。
「なんだそりゃ。答えなきゃなんないのか? お前には関係ないだろ」
アホか、と一蹴に付す。
「それが、一概にそうとは言えないんだよね」
「答える気はない。じゃな」
クルリと背を向け歩き出した彬を、相沢が追う。
「中学時代は、全国に行くメンバーに選ばれた程なんだろ?」
「うるさいよ、帰れ」
「何か、キッカケがあった筈だ」
『キッカケ』という言葉に、無意識にあの事故の記憶が脳裏を過ぎる。
――ほんと、こいつは嫌な事ばかり思い出させやがって……。
「誰から中学時代の事を聞いたのかは知らないが、理由なんて」
ピタリと足を止めた彬は、振り返らずに声を発した。
「なら、俺からも質問だ」
両手に拳を握る。
「お前もサッカー、やってたのか?」
これで「やってた」という言葉が返ってきたのなら、無理矢理にでも納得してやる。
あの、他の奴には真似出来ないと言われた俊介の足さばきをやってのけた事も、俺から一瞬にしろボールを奪った事も。
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